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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

タロット18月

タロット18月

カード・メッセージ=「動揺」

主な意味=不安、信念のぐらつき、磨耗、副作用、迷妄、妄言、混沌、執着が薄まる、秘密、謎、同情、疑問、流動的、竜頭蛇尾、波乱含み、不安定、静観、回想

宇宙は不安定に揺れ動き、生命もまた常に揺れ動きます。「月」カードは、その変わりやすさを象徴するカードであります。満ちては欠ける月の姿に、揺らぎの象徴を読み取ってきた…その長い歴史が感じられるカードであると思うのであります

絶えず波打つ夜の水面(海面でもあるし、湖面でもある、川面でもある)…、そして首をわずかに傾ける人物の顔、そして淡く光を投げかける月…すべてがおぼろにかすみつつ、揺らいでいる…というイメージで描画しました

今まで確かだと思っていたものが、後先も知れぬ混沌に投げ込まれる…それは確かに不安を呼び起こす事象であります。執着心が薄れる事は、逆に言えば、呪縛が薄れた状態であり、新たなものに目を向ける契機ともなります。しかし、人間は、それ程スムーズに切り替われないものであると思います

妄言を撒き散らす事でその不安に対応しようとする人が居るし、静観する事で対応しようとする人も居ます。この不安が何処から来るのかと、過去を分析しようとする人、世界の謎を解こうとする人も居るでしょう。すべては、人次第なのであります

正位置/逆位置の差は、大きくありません。強いて言えば逆位置の方が、「動揺が終わる」という意味合いが相対的に濃い…と申せましょう

逆位置において相対的に読み取れる「動揺が終わる」という意味合いは、際限の無い動揺の中で、人がどのような行動を取るのかが固まってくる…という予兆として解釈できます。しかし、本当に状況や時代を画するものなのか、竜頭蛇尾に終わるのか…という点で、慎重な読みが要求されるものです

(可能であれば、限度を超えた非難・中傷・愚痴・陰口などといった行為は抜きで、恐る恐るではあっても、人としての品位を落とさずに乗り切る…という選択をされたいものであります)

「月」カードは、「変容」の予兆でもあります

☆タロット連作&解釈の一覧を作成=〔ホームページ更新2013.6.14

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タロット17星

タロット17星

カード・メッセージ=「希望」

主な意味=インスピレーション(霊感)、イマジネーション(想像力)、孤高、新境地、芸術、高い理想、飛躍、羅針盤、遠方旅行、将来性、進展、均衡、知性、教養、良質な情報、ヒント

どこか孤高・孤独の雰囲気を漂わせるカードです

一面の星空の中、果てしなく遠い星を感受しようと精神集中する人物の横顔…そして、何処か高いところから流れ落ちてくる霊感の水を受け止める両手…というイメージで描画。「星」カードが持つ数々の矛盾を意識しました

星と羅針盤は密接な関係にあり、高い境地から物事を俯瞰して見る事が出来る…という状況を指し示しますが、別に「コンステレーション」という心理学的状況を示す事があります

「コンステレーション」は元々「星座」という意味がありますが、とりわけユング心理学においては、「配置」と解釈されるものであります。互いに無関係な星の配置が、星座として意識され意味を持ってくる…それと同じように、無関係に見える物事が、ある出来事を共時的に現出し構成するパターンとして意識されるのです

「偶然の一致」…シンクロニシティ。タロットカード「星」には、その力が付いて回ります

運命の事象と人間の心理とが、高次元の中で織り成してゆくものを、「星」と解釈する事も可能でありましょう。インスピレーションないしイマジネーションは、常に、高い境地から到来してくるものであります。それは宇宙の彼方から到来するのです

北村透谷は『内部生命論』で、以下のような議論を行なっています:

畢竟(ひつきやう)するにインスピレーシヨンとは宇宙の精神即ち神なるものよりして、人間の精神即ち内部の生命なるものに対する一種の感応に過ぎざるなり。吾人の之を感ずるは、電気の感応を感ずるが如きなり、斯の感応あらずして、曷(いづく)んぞ純聖なる理想家あらんや

インスピレーションを生かすも殺すも、その人の知性や教養の状態によります。玉石混淆する情報の中で、如何に良質な情報やヒントを発掘できるかというのも、やはりその人の頭脳や感性、判断力の如何によると申せましょう

逆位置においては、安易な発想、高望み、期待はずれ、頼りなさ、非現実的、独善的、自己中心的、ひとりよがり…などという傾向が出てきます

星カードは正位置/逆位置の落差が大きいカードです(「隠者」カードほど極端では無いけれど、理想や希望をキーワードにする分、落差が大きい)。分裂症、躁鬱性、一貫しない行動、気分屋、神経過敏、悲観、劣等感…という箇所で、「隠者」カードの逆位置と似ていると申せましょう。「隠者」カードが新興カルトの教祖になりやすいカードであるのに対して、「星」カードはその熱心な信者になりやすいカードです

☆タロット連作&解釈の一覧を作成=〔ホームページ更新2013.6.14

タロット16塔

タロット16塔

カード・メッセージ=「崩壊」

主な意味=アクシデント、破綻、破局、不幸、全体を崩壊させるほどの重大なミス、トラブル続出、世界観の崩壊、卒倒、急病、深刻な亀裂、安心感が潰される、パニック、倒産、撤退戦、緊迫

このカードは、度重なるストレスやダメージに耐えてきていたものが、ついに耐え切れずに崩壊する、倒れる…「その時」を暗示するカードであります。感情的な側面から見れば、「プッツン」&「ぶち切れる」状態を予兆するカードです

長く安定している、安泰である…と思われていたものが、或る日、いきなり破綻する…その時の衝撃は凄まじいものです。例えば東日本大震災(2011.3.11)が発生した、その時のように

その時、運命の軌道に巨大な亀裂が入り、ガラスのひびが広がってゆくかのように、あらゆる可能性の束が発生します…しかし、従来の安定した軌道はすっかり潰されてしまっているため、危険な隘路を通るコースになります…通常は「通れる」とは思われていなかったコースを

狭い隘路に殺到する、あらゆる出来事。タロットカード「塔」が指し示す事象。それは必然として、あらゆるトラブルと、遅延と、パニックを引き起こします。3.11における交通機関のパニック…トラブル続出が、大量の帰宅難民を発生させたのと同じ事です

カード「塔」の正位置/逆位置は、どちらも同じ「崩壊」を意味するものですが、その解釈は異なってきます。どちらに正負の意味を読み込むかは、その時の状況次第…「撤退戦が成功するか否か」でリーディングする場合が多いのではないかと思います(ただし、当サイトの感触のみです)

現実には、破綻処理…撤退戦の手腕に優れた人材は、極めて稀です。最近の事象では、自民党政権から民主党政権への政権交代を引き起こした総選挙…すなわち2009年9月の総選挙で自民党が大敗を喫した時、新しく選ばれた総裁としてその撤退戦を指揮した谷垣禎一氏が、その希少な事例にあたると思います。陣営の建て直しは、単なる構造改革とは明らかに異なるものなのです

3.11東日本大震災の後の日本もまた、隘路という隘路の中に抜け道を探す…という撤退戦の只中にあります。千年に一度の巨大な事象。沸き起こってくる物事は、それが如何に突飛な内容に満ち溢れていたとしても、それなりに意味のあるものなのでしょう

☆タロット連作&解釈の一覧を作成=〔ホームページ更新2013.6.14