2026年5月の時事情勢メモ
(コメント:フジャイラは、ホルムズ海峡を通らない重要な石油物流ルート。日本にも大きな影響が憂慮されるとの話。イラン国内では、過激派と穏健派に分裂している様子。表明がぶれている。「イランにはUAE攻撃の意図は無い」、「イランは攻撃の権利がある」という表明が同時並行している状況。フジャイラ拠点への爆撃に関し、イラン上層部でどのようなやり取りがあったのか謎。なおかつ、周辺のアラブ諸国への爆撃は、四面楚歌の状況を招いている筈。イランには勝算があるのだろうかと首をかしげるところ)
■UAE、イランのミサイル迎撃 東部フジャイラ石油施設で火災(ロイター2026.05.05)
https://jp.reuters.com/world/security/LIW5VZO4PVOU5IEOJJDJRVOYEM-2026-05-04/
アラブ首長国連邦UAE国防省は4日、イランから発射されたミサイル4発のうち3発を自国の領海上空で迎撃したと明らかにした。UAEの東部フジャイラではイランが発射したとみられるドローン小型無人機による攻撃があり、石油工業地帯で火災が発生。UAE外務省はこうした攻撃は深刻なエスカレーションに当たると非難し、対応する権利を留保すると表明した。国防省によると、4発目のミサイルは海上に落下した。イラン国営メディアは軍高官の話として、イランにはUAEを標的にする意図はないと報道。ただ、UAE外務省は声明で、国家の安全に対する直接的な脅威と非難し、UAEには対応する「全面的かつ正当な権利」が留保されていると表明した。航空機追跡サービスのフライトレーダー24によると、ミサイル迎撃の情報を受け、UAEに向かっていた複数の航空便がオマーン首都マスカットに目的地を変更したほか、サウジアラビア上空で旋回を強いられる航空機が出るなど、中東の航空交通が広範に混乱した。フジャイラ石油工業地帯で発生した火災では、インド国籍の3人が負傷し、病院に搬送された。フジャイラは内陸部の油田から原油をオマーン湾岸へ運ぶアブダビ・パイプラインの終点に位置しており、UAEの原油輸出に極めて重要な拠点。フジャイラのエネルギー関連インフラが標的になるのは今回が初めてではなく、3月14日にはフジャイラ港がドローンによる攻撃を受け、火災が発生し、一部の原油積み出しが停止された。
(フジャイラの重要性に関する先行の解説記事)
【新着記事】日本の原油調達、複数ルート運用へ急旋回LOGISTICS TODAY@logi_today■日本の原油調達で3つの動きが連続した。・コスモ石油千葉製油所に米国産原油が到着(4/26)・出光丸がホルムズ海峡を東向き通過した模様(4/28)・UAEがOPEC・OPECプラスからの脱退を発表(4/28、5/1発効)■5月1日には国家備蓄原油第2弾(580万kl/20日分)の放出も始まる。非中東調達、ホルムズ迂回、選別通航、備蓄放出を組み合わせる複線運用の現状をサプライチェーンの切り口で解説。(2026.04.29_https://logi-today.com/946047)
(要点抜粋)4月下旬時点で日本の原油調達には、米国産を含む非中東ルート、ヤンブーやフジャイラを起点とする中東産原油のホルムズ迂回ルート、出光丸のような選別通航によるホルムズ通過という3つの経路が、いずれも実際の船積み、航行、到着を伴って動き始めている。これらの経路は性格が異なる。米国産は調達先の分散、ヤンブー・フジャイラは中東産原油の輸送経路の迂回、出光丸はホルムズ通過の選別運用、後述する備蓄放出は到着までの時間差を埋める政策手段である。性格の異なる手段を重ね始めたことに、今回の変化がある。恒常的な調達網の組み替えとは別の動きであり、危機下で複数の手段を同時に動かす、応急的な複線化である。
UAEのOPEC脱退:UAEは4月28日、国営通信を通じて、OPECとOPECプラスから5月1日付で脱退すると発表。●UAEがOPECプラスの減産制約から外れることで、原油生産・輸出を独自判断で増やせる立場になる。●UAEの輸出ルートは、ホルムズ海峡を通る通常ルートと、UAE北部のフジャイラ港を起点とする迂回ルートに分かれる。日本にとって選別調達路になり得る。●ADNOC(アブダビ国営石油会社)は国営石油会社でありながら、近年は海外の生産・販売網を広げ、国際石油会社に近い動きを強めている。海外通信社の報道によれば、UAE側はADNOCを世界のバリューチェーンに関与する供給者と位置づけている。OPECの量規律から離れたADNOCの対日供給余力が、5月以降の焦点となる。