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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

タロット04皇帝

タロット04皇帝

カード・メッセージ=「支配」

主な意味=男性的な叡智、父性、リーダーシップ、統率、処理能力、実行力、独断的&果断的、強い責任感および高い社会的信用、ごり押し、上昇志向、剛健、自信

男性的な支配力を暗示するカードです。「女帝」カードが大地母神的な支配を暗示していたのに対して、この「皇帝」カードは天空神的な支配を暗示します。上意下達、上下関係といった条件においての支配…もしくは管理的なもの

ルールに従う厳格さ。社会的立場、社会的能力、社会的責任、社会的信用…組織的支配&法的支配に要求される素質が、この「皇帝」カードの要点であります。政治家個人に対してこの「皇帝」カードが出てきたら、その政治家は、真の統治者として認められた…と判断して良い程のものです

逆位置の場合は、これらの特徴が裏返しになって出てきます。ワンマン、横暴、弾圧…

社会的条件によって、この「皇帝」カードの性質はプリズムのように様々に変容します。善政と悪政は、常に、紙一重の関係であり…様々な矛盾や欲望が渦巻く複雑な人間社会においては、その傾向はより混沌としたものになっている筈です

(実際の占いにおいても、「皇帝」は慎重な読みを要求するカードだと思います)

正位置においてさえ、その「皇帝」の力が逆位置になったかのように白黒逆転して表現され解釈される事は多いものであり、その解釈における屈折を意識して描画してみました

男性的な叡智は、その決断力の強さ、選別力の確かさに現われてきます。全てを受容する事で多様性や豊かさを約束しようとする女性的な叡智にとっては、永遠の謎の領域であるかも知れません

☆タロット連作&解釈の一覧を作成=〔ホームページ更新2013.6.14

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タロット03女帝

タロット03女帝

カード・メッセージ=「豊穣」

主な意味=繁栄、女性的な叡智と母性、円満、大団円、努力の結実、仕事の充実、豊かな実り、開放的、細かな物事にこだわらない

女性的な支配力を強く感じるカードであり、それを意識して描画。古い時代の、大地の豊穣&繁栄への祈り=地母信仰(例:古代ギリシャのデメテル信仰)という文化につながってゆくカードでもある…と思います

果実の結実、穀物の収穫…という昔ながらのオーソドックスなイメージ解釈もあり、そこから、女性的な「絆」という支配力や、「絆」によって結ばれた支配圏を想起し、中央に円形の光らしきものを置いてみました。散在するものを一つにまとめあげるための統率力には色々有りますが、「絆」という統率方法は、とりわけ女性的なスタイルであると申せましょう

「絆」は、母性的な愛情と、豊かさを左右する大地母神的な権力と、土地的&家族的な縁とが結びついた、不思議な支配スタイルです

それでもそれは、やはり支配の一種には違いなく、「絆」によって結ばれる事を良しとしない状況の中では、「おせっかい」「愛情の押し付け」「武力を伴わない(富の力を介在する)、従属への強制」と感じられる場合も、それなりにあるのです…それが逆位置における解釈ともなります

逆位置の状況…愛情や執着、嫉妬といったものが関わるだけに、感情的に荒れるとその影響は甚大なものとなるのであり、理性では割り切れない泥沼もまた深くなりましょう。古代ギリシャ神話において、娘を死神に奪われたデメテルの怒りと嘆きが不毛の冬を到来させた…と物語られたように、大地母神の怒りの真の恐ろしさは、その巨大な荒廃と喪失から来るものであります

当サイトにおけるタロットカード「女帝」のイメージは、鬼子母神の伝説で知られるインドの神、「訶梨帝母(かりていも/ハーリティー)」における「慈悲と残虐の二重性」とほぼ重なるものになります。カード「女帝」は、一種の畏怖の対象である…と思うのであります

☆タロット連作&解釈の一覧を作成=〔ホームページ更新2013.6.14

タロット02女教皇

タロット02女教皇

カード・メッセージ=「知恵」

主な意味=先見の明、静謐、奥ゆかしい、良識ある判断、心の豊かさ、洞察、潔癖、ひらめき、均整、知性的、精神的、繊細な感受性

「知恵の泉」としてもイメージされるカードです。爾来、魔術師のカードが「創造のスパーク、知識の炎」のイメージで感受されてきたのに対し、女教皇のカードは「水」を湛えたイメージで感受されてきたカードでした

不思議な聖杯から、泉のごとく無限にあふれ出す叡智…というイメージで描画

聖杯から流れ出した水は、やがて闇の中に繊細な綾模様を描き…人間の感受性は、その綾模様に神秘的かつ豊穣な意味を見出す。知恵やひらめきが何処から来るのかは分かりませんが…昔の人が詩的に表現したように、それは霊的な水の形をして流れ、宇宙の彼方から人の意識の中に到来してくるものである…と考える事は、今でも可能であります

「知恵」は、「知識」のように羅列して検討する事も組み立てて論じる事も出来ないものですが、確かに原初から存在してきました。物事の本質を精密に指し示し、的確に把握し、適切に判断する基本となる…その不思議な力は、多くの思想家が認めてきたところであります

知恵にもいろいろありますが、タロットカード「女教皇」と付き合ってみる限りでは、「家庭的な暖かな知恵/生活の知恵」というよりは、「冷静でクールな知恵/透徹した識見」を象徴していると感じます。女性の性質を持つカードではあるものの、「高度に透明で、中性的なものである」と言って良いかも知れません

この女教皇のカードは、逆位置になると、ヒステリー、過敏、ストレス、高すぎるプライド、ムラが出る、意地が悪い…などなどの意味となりますが、いずれにしても、繊細な感受性や知的精密さを本質とするが故の裏返し…とも申せましょう

☆タロット連作&解釈の一覧を作成=〔ホームページ更新2013.6.14