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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

エネルギー問題・雑考&れいわてつ

■遷移金属不使用の触媒を用いて大気濃度CO2から合成ガスを製造する技術を開発/CO2を原料とした液体燃料や化学品製造の実現に前進(産業技術総合研究所2022.05.13)
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2022/pr20220513_2/pr20220513_2.html

遷移金属を使用せず、CO2吸収と一酸化炭素への還元という二つの機能を持つ二元機能触媒を開発
大気中の低濃度のCO2でも効率よく吸収し、CO2の分離や濃縮工程なしで合成ガスの製造が可能
生成ガスの不純物濃度が極めて低く、液体燃料や化学品製造に適した組成の制御に向け前進

失われたバッファーの回復が急務(U3 Innovations)https://u3i.jp/opinionknowledge/sakamoto/

>現下の需給逼迫は、国内に発電用のタネになるカロリー確保を軽視する運用思想に原因があると考えている。「変動再エネを系統に最大限注入したい、需給ギャップは安定電源である火力や揚水が頑張るから大丈夫だろう」という思考でここまで制度検討、実装がなされてきたところ、並行して計画外事象に備える「守備用インフラ」への認識が十分ではなかった

>電力システム改革後に失われたバッファーは主として石油火力だ。今から30年前、当時の東京電力は概算1100万kWの石油火力を擁し、計画段階では30%の稼働率を設定していた。1993年は歴史的な冷夏となり極度の低需要となったが、石油火力の稼働抑制で発電量を下げて対応した。翌年は猛暑、高需要となったが、焚き増しで対応できた。往時の石油系電力燃料の国内在庫は180日分あり、ざっくりいえば200万kWの下方弾力性とともに600万kWの上方弾力性、電力ストック換算で270億kWh相当のバッファーがあった。高コストと批判されつつも、2000年以降の再三に渡る原子力停止時にもこのバッファーは機能し、安定供給に貢献したと総括できる

>EUのガス貯蔵能力は民生用ガス分も含めて1100TWh、800億m3、総需要の17%程度という評価を文献で確認している。日本のLNGとは水準が全く違う。同じように変動再エネ中心のエネルギーミックスを目指すには、日本は基礎体力がなさすぎる

>ストック確保は日本の伝統的なエネルギー思想だった(中略)この発想をベースにしないと、市場約定ルール、系統アクセスルール等をいくら改変しても、需給バランス改善への根本的な解とはなりえない


【石炭火力発電に関する最近の動向】

●石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実証試験を開始―CO2分離・回収した石炭由来の高濃度水素で燃料電池複合発電、究極の高効率発電を目指す―(NEDO 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構2022.04.19)
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101534.html

NEDOと大崎クールジェン(株)は、革新的な低炭素石炭火力発電技術の確立を目指す「大崎クールジェンプロジェクト」の第3段階に入りました。具体的には、CO2分離・回収型酸素吹石炭ガス化複合発電(CO2分離・回収型酸素吹IGCC)設備に、MW(メガワット)級の燃料電池設備(SOFC)を組み込んだCO2分離・回収型石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実証試験を、4月18日に開始しました。
本実証試験では、第2段階のCO2分離・回収型酸素吹IGCC実証設備に燃料電池を組み合わせて、石炭をガス化したガスからCO2を分離・回収後、得られる高濃度水素ガスを燃料電池に供給し、燃料電池の発電特性や燃料電池内部の温度分布を把握します。また、燃料電池モジュールを並列運転した時の運用性、さらに高圧運転した場合の挙動を調べるなど、CO2分離・回収型IGFCシステムの実現に向けた試験を行います。
実証試験の目標は、本実証試験の成果を500MW級の商用機に適用した場合に、CO2回収率90%の条件で47%程度の送電端効率(高位発熱量基準)の見通しを得ることとします。
今後、高効率な石炭火力発電とCO2分離・回収が両立する技術を確立し、CO2排出量抑制(地球温暖化対策)への貢献を目指します。

(補足資料)なぜ、日本は石炭火力発電の活用をつづけているのか?~2030年度のエネルギーミックスとCO2削減を達成するための取り組み(経済産業省/資源エネルギー庁2018.04.06)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/qa_sekitankaryoku.html

テクの雑学-第183回-進化する石炭火力発電,環境にやさしいIGCC、IGFC
https://www.tdk.com/ja/tech-mag/knowledge/183

IGCC(石炭ガス化複合発電)とは
http://www.joban-power.co.jp/igcc/unit10/about/

石炭ガス化技術と水素製造/水素エネルギーシステム Vo1.37,No.1 (2012)
https://www.hess.jp/Search/data/37-01-029.pdf

石炭エネルギーセンター第4回、石炭基礎講座、石炭ガス化/九州大学、2013年
http://www.jcoal.or.jp/coaldb/shiryo/material/2012_09_hayashi.pdf

石炭ガス化による水素、アンモニアの経済性とCO2 排出量、石炭ガス化(CCS を含む)による水素、アンモニア製造・物流システムの比較検討/国立研究開発法人科学技術振興機構、低炭素社会戦略センター(2019年)
https://www.jst.go.jp/lcs/pdf/fy2018-pp-13.pdf

(コメント)

日本の石炭火力発電テクノロジーは世界トップレベルという話!頼もしいです。アンモニア発電設備への変更も、それほどコストをかけずに可能だそうで、応用が利くのは便利だと思います。エネルギー需要の大きい関東エリアなど都市圏への建設については、土地住民の説得が必要なので、この辺り困難が出そうですが…

特に印象深く思うのはドイツの動き。ロシアからの天然ガス輸送が途絶えたために、急遽、石炭火力を復活させるとのこと(※環境テクノロジーがあまり進展していない旧式のものがほとんどで、もともと廃棄予定だったようです。酸性雨がスゴイ事になりそうな…)。天然ガス備蓄は通常の半分ほどで、夏の間にこれを取り崩してしまうと今冬を越せないという事情があるようです。

いまから法律整備に入っているというドイツ、果たして今冬までに間に合うのか?と、いささか、かなり怪しく思われるところです。発電所は1ヶ月や2ヶ月で新設・増設できるようなシロモノでは無かった筈。

それから、燃料の輸送のほうも、パイプラインでは無く船舶や列車などで…労力的にも大変な筈…(石炭は、パイプラインでは運べないので、船舶や列車、トラックが必要)

⇒インフラ物資の輸送力は、整備や技術者のレベル、スケジュール調整力がモノを言う世界
⇒(参考資料)JR貨物の意地を懸けた緊急燃料輸送列車。東日本大震災石油輸送振り返り
⇒https://train-fan.com/banetsu-west-2011/(鉄道ファンの待合室 2021.10.19)
東日本大震災の時は、大きな幸運がふたつあった、とのこと。
(1)それまで積み重ねていた耐震技術のお蔭があって、大量の石油備蓄が無事だった(※一方で、津波や火事に襲われた備蓄はやられてしまい、震災地での燃料枯渇につながっていた。まだ冬気候の時期だったので、石油の需要は大きい状態)
(2)たまたま、全国汎用型の機関車の一斉退役タイミングで、老朽化しているものの、充分な数の機関車を全国から集めることができた(ディーゼル型なので電力が無くても走れる。ただし旧式ディーゼル型だったので、輸送力も旧式のもの)

●ドイツ、石炭火力を拡大 ロシア産ガス供給減で緊急措置(日本経済新聞2022.06.20)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR194200Z10C22A6000000/

ドイツのハベック経済・気候相は19日、ロシアからの天然ガス供給が大幅に減る事態に備え、ガス消費量を抑える緊急措置を発表した。代替策として石炭火力発電の稼働を増やし、産業界にガス節約を促す新たな仕組みも導入する。家庭の暖房需要が高まる冬に向けてガスの貯蔵を積み増し、ロシアの揺さぶりに対抗する。
19日の声明で明らかにした。発電に利用するガスの消費量を減らす代わりに、石炭火力発電の稼働を拡大させる法整備を進める。
ガス節約を促すため、消費量を減らした企業ほど有利になる新たな仕組み「ガスオークション」の導入も計画する。足元では、ドイツのガス貯蔵量は最大能力の5~6割程度にとどまっている。夏場にガスを節約し、暖房需要が高まる冬までに貯蔵量を最大能力の9割まで引き上げる目標だ。
ロシア産の天然ガスを巡っては、同国国営ガスプロムが15日、ドイツに送る主要パイプライン「ノルドストリーム」の供給量を従来計画から60%削減する方針を示した。14日に40%減を公表していたが、矢継ぎ早に削減率を高めた。ロシア側の揺さぶりが強まっている。ドイツはロシアが侵攻を続けるウクライナに重火器などの武器供与を進める一方で、天然ガスの調達をロシアに依存してきた。
ハベック氏は19日の声明で「ガス供給の安定性は保証されているものの、状況は深刻だ」と指摘した。供給不安を受けて資源価格が高騰しており「我々を分裂させようとするプーチン大統領の明確な戦略であり、許すことはできない」とロシアを強く非難した。
ショルツ政権は石炭火力について、「理想的」な目標として、2030年に廃止することを打ち出してきた。メルケル前政権では38年だったものの、前倒しした。35年にほぼ全ての電力を太陽光や風力などの再生可能エネルギーで賄う計画で、4月に新たなエネルギー戦略を採択したばかりだった。
2月の侵攻前、ドイツはガスの55%をロシアからの輸入に頼っていた。安全保障の観点から、天然資源のロシア依存脱却は急務だ。ただし、再エネの発電能力を積み増すには時間を要する。「脱炭素」に逆行する石炭に一時的に頼らざるを得なくなっている。

●ドイツ、天然ガス生産拡大へあらゆる選択肢模索を=エーオン(ロイター2022.06.24)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-germany-gas-fracking-idJPKBN2O50B9

ドイツのエネルギー大手エーオンのレオンハルト・ビルンバウム最高経営責任者(CEO)は、天然ガスの国内生産拡大に向け、禁止されているフラッキング(水圧破砕によるシェールガス採掘)を含め、あらゆる選択肢を模索する必要があるとの見解を示した。
独誌ビルトシャフツボのインタビューで「状況を改善するためにあらゆる解決策をタブーなく模索しなければならない」と述べた。
独経済省は23日、ロシアからの供給減と価格高騰を受け、天然ガスに関する3段階の緊急計画で第2段階の「警報」を発令した。ただ、高騰するガス価格を消費者に転嫁する条項はまだ発動していない。
ビルンバウム氏は「われわれは国内でさらにガス田を開発することが可能かどうか自問自答しなければならない」と述べ、国内生産の最大化が解決策の一つで、他の代替案よりも環境に優しい可能性があるとの見方を示した。
ドイツでは主に非従来型のフラッキングが禁止されていることや自然保護法により新規掘削の許可獲得が困難なことから天然ガスと石油の生産が減少している。

※(補足資料)ドイツのエネルギー関係データ
https://www.de-info.net/kiso/atomdata06.html(ドレスデン情報ファイル)

2021年度のデータを見ると、国内消費エネルギー30%が天然ガスと原子力。再エネ、石油、石炭系で60%~70%。2022年の冬、ドイツは、いつもの半分ほどしかエネルギーを使えないという状況になりそうですが、EU各国から融通を受けて、しのぐ?

でもEU各国も、ロシア産の天然ガスに依存している状況だったから、融通の余力については苦しいかも。この前のように日本から天然ガスを譲ってもらうとか、インド転売の石油を入れるという形になるのかなと想像してみる…

※(補足資料)ドイツはガス供給の非常警報を発令~冬場のガス不足で高まる景気後退リスク~
https://www.dlri.co.jp/report/macro/193243.html(第一生命経済研究所2022.06.24)

要旨
ロシアがドイツ向けのガス供給を絞るなか、供給不足の懸念が高まっているとして、ドイツ政府は(2022年6月)23日、ガス供給の「非常警報」を発令した。ノルドストリーム1は来月(2022年7月)に定期点検が計画されており、ロシアが何らかの理由をつけて、定期点検後も稼働を認めない恐れもある。このまま冬場のガス不足が深刻となれば、資源価格の更なる高騰が避けられない。ECB(欧州中央銀行)が利上げを強化し、景気をオーバーキルする恐れが高まる。欧州にスタグフレーションの影が忍び寄っている。

※(参考情報)ECB欧州中央銀行:2022年7月に利上げ0.75%確定、2022年9月に利上げ0.5%予定(緩やかなインフレ率=2%程度を目標としているため)

(ドイツは、ロシア天然ガス断絶の危機に対して、どのような対応をしようとしているのか?についての補足記事)
ドイツ、ノルドストリーム2の一部改造を検討=雑誌
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-germany-pipeline-idJPKBN2O50RI(ロイター2022.06.24)
(対応内容:専門家による推測)https://twitter.com/gomatsuo/status/1540374001352028160


国内の電力不足・原発再稼働について(エネルギー政策)

【全文】「節電ポイント」参加家庭に2千円相当付与 官房副長官会見(6/24午前)
https://news.ntv.co.jp/category/politics/594fe6ee67bf454ebf16923c8a5f748d

>この夏の電力需給に向けて、安定供給に必要な予備率3%を確保していたところでありますが、政府として、さらなる供給力向上のため、追加の供給力公募を行い合計135万キロワットの供給力の確保を行ったところであります。
>これらの電源は7月から稼働することとなっておりますので、予備率は更に改善が見込まれるということでございます。引き続き電力の安定供給に向けて万全を尽くしていきたいというふうに思います。

データ:日本の原子力発電所マップ2022年版(2022年6月時点で稼働中の原発)
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h01365/

大手商社で加速するブルーアンモニア生産 三井物産、1,000億円超投じ、豪州で年産100万トン
https://energy-shift.com/news/0afa0b7c-3ca7-493c-a8c4-fa53d508fc7f

天然ガスなど化石燃料から水素をつくり、窒素と反応させて合成するのが一般的だが、アンモニアを完全な脱炭素燃料とするには、再生可能エネルギーを使った電気で水を分解してつくった水素から合成する「グリーンアンモニア」、あるいは製造過程で出たCO2を回収、貯留(CCS)する「ブルーアンモニア」を合成しなければならない。

(欧州の再エネ技術は、豊富なロシア天然ガスによる電力を通じて生産したグリーン系燃料がメイン。露宇戦争の影響がどれくらい拡大するのか不明ですが、供給断絶の話もあり、最悪、後退またはストップする可能性が考えられる)

新技術の石炭火力発電「IGCC、石炭ガス化複合発電(エネルギー効率48〜50%)」「IGFC、石炭ガス化燃料電池複合発電(エネルギー効率55%)」は、従来の石炭火力発電では発熱量が低く、使用に適さなかった品質の石炭でも利用可能な技術。今まで活用されなかった小規模ガス田の天然ガスや褐炭が有効利用できるとのこと。国産の石炭は品質が余り良くなかったのですが、これも活用できるようになる

三井物産、UAEの燃料アンモニア生産計画に参加(日本経済新聞2022.06.10)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC105DZ0Q2A610C2000000/

三井物産は10日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)が計画する燃料アンモニアの生産プロジェクトに参画すると発表した。原料となる水素の製造過程で出る二酸化炭素(CO2)を地中に貯留する。2025年から年間100万トン生産する計画で、三井物産は日本への輸出を視野に入れる。
総事業費や出資比率などの詳細は今後詰める。ADNOCのもつ製油所などで副産物として出る水素を原料として、製造過程で出たCO2を地下層に注入する「ブルーアンモニア」を生産する。計画にはADNOC子会社で肥料メーカーのファーティグローブ(アブダビ)や韓国のGSエナジーも参画する。
アンモニアは燃焼時にCO2を排出しない次世代クリーン燃料として注目されている。三井物産はアンモニア製造大手の米CFインダストリーズ・ホールディングスともブルーアンモニアの生産計画で協業するなど、日本向けのアンモニアの確保へ取り組みを広げている。

石炭火力発電IGCCとIGFGで使われる「石炭ガス化技術」(大崎クールジェン)
https://www.osaki-coolgen.jp/technology/faq.html

ガスのカーボンニュートラル化を実現する「メタネーション」技術
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/methanation.html

メタネーション技術=水素と二酸化炭素から天然ガスの主成分であるメタンを合成する技術。日本では、都市ガスの原料である天然ガスを、合成メタンに置き換えることで、ガスの脱炭素化を目指す。2030年時点で、既存インフラへ合成メタンを1%注入(年間28万トン)。2050年時点で90%(年間2500 万トン)を合成メタンに置き換える (残り10%は水素直接利用・バイオガス・その他脱炭素化の手立てでカーボンニュートラル化)

重要文化財で初適用…竹中工務店などが「和鉄」を現代技術で再現した鋼材のスゴイ特性
https://newswitch.jp/p/39668(ニュースイッチ2023.12.14)

竹中工務店と日鉄テクノロジー(東京都千代田区、谷本進治社長)は共同で、江戸時代末期まで国内の木造建築に使われていた和鉄の特性を現代技術で再現した鋼材「REI―和―TETSU(れいわてつ)」を開発した。重要文化財である太宰府天満宮末社志賀社本殿(福岡県太宰府市)の保存修理工事に初めて適用した。
れいわてつは、和鉄の特性を最新の科学技術で分析・評価し、成分組成を忠実に再現した鋼材。現代の鋼材に比べて鉄の純度が高く、耐食性や柔軟性に優れる江戸時代の和鉄の特性を引き継いだ。安定供給が可能で、主に文化財建造物の保存修理工事や伝統木造建築の復元工事で活用が見込める。
江戸時代を中心に製造年代を特定できる和釘(わくぎ)を入手し、原料や製造方法の新たな視点から成分組成を詳細に評価・分析した。この結果、和鉄から作られた和釘は、表面を覆う錆が木材の中で使用年数とともに強固な酸化皮膜を形成。内部の鉄を保護して錆の進行を抑えていたことや、極微量のニッケルなどが耐食性に影響することが分かった。

(コメント:ロストテクノロジーを現代技術で復活できた事例。頼もしい)

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EU首脳キエフ訪問・英首脳キエフ訪問・雑考

《動画メモ》不審船と銃撃戦繰り広げた巡視船「いなさ」引退(動画公開日2020/6/25、サガテレビ)
https://www.youtube.com/watch?v=IgK4ZMmgt08

唐津海上保安部(唐津市)の岩壁にて2020.6.19「解役式」、就役期間1990年1月~2020年6月
※不審船との銃撃戦では64式銃が使われた


日比野庵本館さまの記事を拝読
2022.06.16記事「日韓首脳会談見送りと国際秩序の現状変更を試みる韓国」
https://kotobukibune.at.webry.info/202206/article_15.html

こうして見ると、韓国の絶頂期=乾為天の時期(国際的影響力なども含めて)は、李明博政権の時代(2008年~2013年)だったのだろうなと思われるところ多々あり。竹島問題など様々な問題はさておき、李明博氏は、韓国人という民族が輩出した最高の人材であったようです。

(民族としての力量は「首脳レベルの人材をどれだけ豊かに輩出できるか?」で推定することができると言われています。この点、日本人は民族としては超一流の地盤&苗床を有する、という見立てはあるそうです。伝説的な実績を残した安倍前首相はもちろん、鳩山前首相も、その意味では、宇宙の外まで突き抜ける程の強烈な人材、と評価はできます。小沢一郎氏も、決して無能な人材では無い)

鳩山前首相が「東アジア共同体」構想(2009年ごろ)を公表していたのを思い出しました。現在は、「環太平洋パートナーシップ(TPP)」や、安倍前首相が強力に推し進めた「クアッド」等が実施されており、「東アジア共同体」構想のほうはスルー。

もし「東アジア共同体」が確立していたら…国際秩序も、こうした日韓首脳会談などの状況も、随分と違う光景になっただろうと思いました。韓国は「東アジア共同体」世界へと国際秩序を持って行きたい、らしい…という雰囲気。


■岸田首相、NATO首脳会議への出席を表明 日韓首脳会談「何も決まっていない」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA158IT0V10C22A6000000/(日本経済新聞2022.06.15)

岸田文雄首相は15日の記者会見で、29~30日にスペインのマドリードで開く北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席すると表明した。日本の首相として初めての参加となる。
ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけにアジアでも安全保障の連携が重要になると強調した。「欧州とインド太平洋の安全保障は不可分であり、力による一方的な現状変更は世界のどこであれ認められないと訴える」と述べた。
NATO首脳会議は韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領も出席する。首相は同会議に合わせた日韓首脳会談について「何も決まっていない」と語った。元徴用工訴訟などの問題の解決が急務と指摘したうえで「日本の一貫した立場に基づいて意思疎通していくのは重要だ」と話した。
首相は26~28日のドイツでの主要7カ国首脳会議(G7サミット)から直接スペインのNATO首脳会議に向かう。6月22日公示―7月10日投開票の参院選の期間中に長期の外国訪問がぶつかる。外交・安保への関心が高まっており、海外での実績作りを優先する。
首相はNATOの関心をアジアにも向けるよう首脳会議で説く。「アジアの立場と主要7カ国(G7)の立場が協調したものになるよう働きかける」と語った。「防衛力の抜本的強化を含め日米同盟を新たな高みに引き上げる」と唱えた。
南・東シナ海で海洋進出を活発化させる中国にも触れた。「地域の平和と安定を守るため中国にも主張すべきは主張し、責任ある行動を求めていく」と話した。

(コメント)

ウクライナ関連で、EU首脳がウクライナ訪問(6/16)⇒英首相がウクライナ訪問(6/17)と急展開な件と関係ありそう。

急遽、NATO動向に食い込まなければならない、との必要が出て来たと思われます。たとえば食糧危機の緩和(小麦の海上輸送路の確立とか)。超特急で急いでいるのは、飢餓タイムリミットが関係しているのかも。飢餓が広まったら、多数の国々の政情不安(内乱)ステージまで、あっという間。

日本は海洋国家ですし、様々な方面で英国と歩調を合わせる形になると思案。究極、黒海への自衛隊派遣(黒海ルートの掃海=機雷の除去、小麦輸送の警護ミッション?)という事態も想像されて、大いに心配になりますが…

※あと、岸田首相は、韓国(東アジア共同体を復活させようという執念)から逃げ切るという高難度クエスト(?)もあるかと思います。ご安全に…!


■独仏伊3首脳がウクライナ訪問へ、G7首脳会議前に=ビルト紙
https://jp.reuters.com/article/germany-ukraine-idJPKBN2NU020

G7サミット日程;2022/06/26~2022/06/28、ドイツ南部エルマウ開催、ゲスト招待国:セネガル、南アフリカ、インド、インドネシア

■欧州委員長、ウクライナEU加盟申請で来週見解へ キーウ再訪問(ロイター2022.06.12)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-eu-idJPKBN2NT01O

欧州連合(EU)欧州委員会のフォンデアライエン委員長は11日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)でゼレンスキー大統領と会談し、同国のEU加盟申請について欧州委の見解が来週末までにまとまるとの見通しを示した。
フォンデアライエン氏がキーウを訪問するのは2月下旬のロシアの侵攻開始以降2回目。共同記者会見で、ゼレンスキー氏との会談によって、ウクライナを加盟候補国として推薦するかについて「来週末までに評価をまとめることができるだろう」と述べた。
EU加盟への道のりは長い。ウクライナを加盟候補国と認定するには加盟国政府の同意が必要。さらに加盟に必要な改革について広範な協議をクリアしなければならない。
フォンデアライエン氏は、行政改革などで進展が見られるものの課題はなお多いと指摘。
「法の支配を強化する取り組みが多く成されたが、汚職対策などの改革が必要だ」と述べた。
ゼレンスキー大統領は共同会見で「欧州全体がロシアの標的であり、ウクライナはこの侵略の第一段階に過ぎない」とし「ウクライナの加盟申請に対するEUの前向きな対応は、欧州プロジェクトに未来があるかどうかという問いに対する前向きな回答になり得る」と述べた。

(コメント)欧州側の言葉遣いを見ると、ウクライナのEU加盟に関して、積極的に応じるような空気では無さそう、という感じです。来週末にまとまるという「見解」次第ですが、最終的な結論は出ないまま、何年間もグダグダする可能性もあるかも。

■EUの4首脳がウクライナ訪問 EU加盟候補国認定を支持
https://www.bbc.com/japanese/61835978(BBC,2022.06.17)

>(ゼレンスキー大統領は)ウクライナがより効果的に自衛し、2月24日の侵攻開始以来ロシアに占領されている領土を解放できるよう、より多くの重火器を早急に送るよう再度訴え
>欧州委員会は17日にも、ウクライナをEU加盟候補国として推薦するかの見解を発表する見通し。EU加盟国は23日と24日の首脳会議でこの件を議論することになっている。

(コメント)お互い、要求は基本的に変わらず、の模様。

>ウクライナ当局は仏独伊について、武器供給が遅く、ロシアのウラジミール・プーチン大統領をなだめることに力を入れ過ぎていると、繰り返し批判してきた。
マクロン仏大統領は6月初め、「ロシアに屈辱を与えない」ことや、プーチン大統領が自らの「根本的な間違い」から抜け出す道筋を残すのが、何より大事だと述べ、ウクライナ側の反発を買った。
こうした中、現在はロシアの安全保障会議副議長を務めるドミトリー・メドヴェージェフ前大統領は16日、ツイッターでEU首脳を批判。「カエルやレバーヴルストやスパゲティが好きなヨーロッパの人たち」はキーウを訪問するのが大好きだが、「一文の得にもならない」と、仏独伊を侮辱する言葉を並べた。

(コメント)ロシア側は、煽りまくっている⇒「カエルやレバーヴルストやスパゲティが好きなヨーロッパの人たち」はキーウを訪問するのが大好きだが、「一文の得にもならない」
欧州文化圏では、強烈な言葉に感じられるのかなと思いました。「レバーヴルストって何?」と思ったのですが、ドイツ方面の独特のソーセージ料理みたいですね…

大方の予想どおり、露宇問題は長期戦へとシフトしたらしい、と思案です。ダラダラ続く感じ?

でも、こうして見ると、西側諸国の全力(?)の武器支援があるのにウクライナは苦しい状態。

比較的早い段階で、武器製造にも転用できる工場エリアを失ってしまっていたのが、大きいのかも知れません。思い出してみれば、ロシア軍は、工場地帯を最優先で破壊していたような。ソ連時代から引き継いだ資産というか。ロシア側としては、「ウクライナの宗主国として、軍隊を派遣して借金(独立に関して宗主国に支払われる筈だった「独立金」?)を取り立てた」という風に考えているかも。

製鉄所も制圧され稼働できない状態だとか。鉄道輸送網がどんどん破壊されていると言うニュースもあり、武器輸送ラインは機能しにくくなっているのだろうと思われました。

ロシアは相当の年数をかけて、全世界と戦争できるだけの準備を整えていたという事なのだろうと思案。「一文の得にもならない」というメッセージは意味深。『それどころか、それ以上に』という言外の含みがあっても不思議では無く。EU経済圏の弱体化、あるいは、「EU」という超国家組織の分裂・解体・消滅という、ハルマゲドン的ミッションもあるのかなぁと考えてみる…

■英首相、侵攻後2度目のキーウ訪問 軍事訓練提供を申し出(ロイター2022.06.17)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-zelenskiy-johnson-idJPKBN2NY1LP

英国は行動が速いな、とビックリであります。
>両氏は、前線での状況や、重火器の追加支援およびウクライナの防空体制を強化することの必要性について議論
>英首相官邸によると、ジョンソン氏は会談で、120日ごとに最大1万人の兵士を訓練可能な大規模訓練の開始を提案。このプログラムはウクライナ国外で実施し、各兵士が3週間かけて、前線での戦闘技術や基本的な医療訓練、サイバーセキュリティー、爆発物処理技術を学ぶものという。

英国が海洋国家であるという事を考慮すると、黒海のロシア艦隊を何とかする目途が付いたかな?と思案であります。正規軍であれば人道を理由にして(黒海の小麦輸送路の確保など)話が付きそうな。ただ、黒海の海賊勢力のほうは話を通じさせるのは大変そう?(海賊な不法集団がどれだけ居るかにもよりますが)

(地理を見ると、黒海の西側に興味深い島が存在する)

【追記】ウクライナ、対艦ミサイルで攻撃成功 ロシアの黒海制海能力減退
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022062101018(時事通信2022.06.21)

英国防省は21日、黒海で武器や兵員輸送に当たっていたロシア船に対し、ウクライナ軍が欧米から供与された対艦ミサイル「ハープーン」を使用し、損害を与えたと明らかにした。ウクライナ軍の情報として伝えた。ハープーンによる攻撃を成功させたのは初めてという。
このロシア船は救難タグボート「ワシリー・ベフ」。ウクライナの国営通信は先に、海軍が17日、ロシア軍占領下のズミイヌイ島に向け兵士や武器弾薬を運搬中だった同船に攻撃を加え、最大で乗員の70%に損害を与えたと報じていた。
ウクライナ軍は4月、国産の対艦ミサイル「ネプチューン」でロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」を沈没させたと伝えられている。他にも複数の艦艇に打撃を与えてきたとみられる。
英国防省はワシリー・ベフ攻撃を含め、ウクライナの沿岸防衛力の向上で、ロシアの黒海北西部の制海権掌握能力は大きくそがれたと分析している。

【追記】G7、食料危機回避へ支援協議 ウクライナ産輸出路探る
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB17D1R0X10C22A6000000/(日本経済新聞2022.06.24)

主要7カ国(G7)は24日、ベルリンで外相会合を開いた。世界的な食料危機について「ロシアが責任を負っている」との認識で一致した。国連や欧州連合(EU)によるウクライナからの小麦など食料輸出の再開を目指す取り組みを支持した。
林芳正外相がオンラインで会合に参加した後、都内で記者団に説明した。ウクライナや周辺国への人道支援強化も確認した。
26~28日の首脳会議(サミット)を前に予定していなかった閣僚会合を急きょ開き、食料危機などの課題に関して認識を擦り合わせた。外相だけでなく農相らも議論した。
(中略)輸出代替路として、周辺国を経由した陸路や運河などの活用を検討している。ウクライナのセニック外務次官は「穀物輸出のためにポーランドとルーマニア経由の2つの輸送路を確立した」とロイター通信に語った。
ポーランド経由では、ウクライナからトラックや鉄道でポーランド北部の港町に輸送し、貨物船に積み替えてバルト海を渡る。すでにドイツの港湾などを経由してスペインに到着した例も出た。ルーマニア経由は鉄道でドナウ川の港まで運び、ルーマニアの港湾都市などに向かうとされる。
代替路は海上輸送に比べ効率が落ち、コストも高くなる。鉄道ではウクライナと欧州諸国のレールの幅が異なり、積み替えが必要になる。
バイデン米大統領は14日、米欧が協力してポーランドなどとの国境沿いに穀物倉庫を設置し、物流効率を上げる構想を明らかにした。
ウクライナのカチカ経済副大臣兼通商代表は内陸経由の輸送能力を月300万トンまで高められるとするが、2021年の黒海経由での輸送能力は月平均500万トン。抜本的な解決には黒海封鎖の解除が欠かせない。
ゼレンスキー大統領も護送船団方式を英国やトルコ、国連などと協議しているとする。

●露宇問題のほかにも、火を噴きそうなところ

イスラエルvsイラン:秘密工作員がいっぱい居て、お互いに破壊活動を仕掛けている模様
(最近の出来事)イラン科学者2人毒殺か イスラエル工作の疑い―米紙
(2022.06.14時事通信https://www.jiji.com/jc/article?k=2022061400729
>イラン人科学者2人が5月下旬と6月初旬に毒殺されたと伝えた。イランと敵対するイスラエルの関与が濃厚としている。イスラエルは核開発を進めるイランでの工作活動を活発化させているもようで、5月にイランの革命防衛隊の大佐が自宅前で射殺された事件にも関わっていたとされる

ギリシャvsトルコ:トルコとギリシャ間で長年続いてきた緊張が再燃(アラビアニュース2022.06.12)
https://www.arabnews.jp/article/middle-east/article_69527/
>「エルドアン大統領はエーゲ海の紛争を巡ってギリシャに警告を発し、ギリシャがトルコに惨敗した1922年の希土戦争の再来をほのめかしている。今回は、アンカラとアテネとの緊張が近年で最も深刻なまでにエスカレートした状態だ」

アメリカが露宇問題で動きが鈍くなっているのは、このあたりのキナ臭さも原因かも知れない。下手したら、中国(台湾へはみ出そうと…あと、北朝鮮がミサイルをバンバン打ってる)・ロシア(ウクライナへはみ出し中)・イラン(テロ活動・空爆・核緊張など小競り合いエスカレート中)との三正面になるので。さすがに多方面に軍事展開したくないのは理解できる(汗)

●日本取引所グループ、CO2排出量市場を新設へ…9月から実証実験(2022/05/16読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220516-OYT1T50190/

日本取引所グループ(JPX)は16日、二酸化炭素(CO2)排出量を取引する市場を新設し、9月から実証実験を始めると発表した。2023年4月の本格スタートを目指す。価格決定の透明性を高めて取引を活性化させ、企業の脱炭素の動きを後押ししたい考えだ。
新市場では、CO2の排出量目標を定めた企業が目標を超えて削減した分を売却したり、目標に足りない分を購入したりできる。取引所での売買価格は公表する。CO2排出量取引のルール作りに向け、経済産業省が創設した「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ」に参加する国内の大手企業440社が取引の中心となる見通しだ。

●経済産業省委託事業「カーボン・クレジット市場の技術的実証等事業」の落札について(2022/05/16 JPX東証)
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/20220516-01.html

株式会社日本取引所グループ(以下「JPX 」といいます。)では 、中期経営計画2024の重点施策の一つに「社会と経済をつなぐサステナビリティの推進」を据え、その取り組みの一つとして「カーボン・クレジット市場創設に向けた貢献」を掲げております。 今般、経済産業省が実施する委託事業「令和3年度補正カーボンニュートラル・トップリーグ整備事業委託費(カーボン・クレジット市場の技術的実証等事業)」(以下「本事業」といいます。)に係る入札が行われた結果、東京証券取引所が落札したとの通知を受けましたので、お知らせいたします。
今後、東京証券取引所は経済産業省より本事業の委託を受け、本年9月にカーボン・クレジット試行取引を開始する予定です。本事業が、低炭素社会実現に向けた取引所ならではの貢献策との認識のもと、経済産業省と緊密に連携しつつ、本年4月に東京証券取引所に設置した「カーボン・クレジット市場整備室」を中心にJPXグループ全体の市場運営の知見を活かし、準備を進めてまいります。

(コメント)今回の露宇問題とか、資源エネルギー問題、最近のドル高円安などの経済混乱の中で、日本で開設するというのは結構、大きそう。事前に、ドイツ首相が来て岸田首相と直接顔を合わせて会談したくらいなので(※そういうニュースがあったと記憶)。

途上国からの要望も多いのだろうなと考えてみる。石炭方面で、現実的に達成可能な、緩やかな基準が設けられる可能性と言うのもあるかも。

露宇問題および関連の調査メモ

現在、全世界規模で起きているインフレの原因=資源インフレ+流通インフレ+バラマキインフレ

つまり
(1)露宇戦争による資源インフレ
(2)物流の停滞によるコストプッシュインフレ
(3)コロナ助成金をバラまいて労働離れを起こしてしまった事による賃金インフレ

特に(3)は社会共産主義の末路を思わせる部分。悪性インフレは、通常の場合は、歴史上どれか1つが原因となることが多かったが、今回は新型コロナの影響が激しく加わったため、全世界で(1)(2)(3)と三重に原因が重なるという歴史的なインフレになっている(…と、解釈することができる)。

国家運営としては「全土規模の災害が起きた時に、全国民に直接に大金を給付すると、およそ1年後に国家衰亡レベルの需給ショックが波及するので、よろしくない」という経験値を積めたと思われるけれど、その歴史的経験を生かせるのは、まずこの国家的危機を生き延びてからになりそう(国家分裂して歴史的経験も散逸したら目も当てられない)。

日本政府としては、全世界から波及して来る経済ショックを緩和するため、原発再稼働(審査を通った原発は取り急ぎ稼働させる)という防衛手段を取り始めたと解釈。もともと岸田政権は、経済安全保障を確実にするために、原発再稼働の推進については当初より強い意志を表明していた。

・岸田政権、中枢に原発推進派 歓迎する電力業界(毎日新聞2021.10.04)
https://mainichi.jp/articles/20211004/k00/00m/010/091000c

「事実上の甘利内閣」 歓喜する電力業界
「エネルギー政策に通じた人が多く登用されている。やりやすい」。新政権の布陣が明らかになるにつれ、電力業界の幹部からはこんな歓迎の声が上がる。
業界が最も歓迎するのは甘利明幹事長の誕生だ。麻生派ながら総裁選で岸田氏を全面支援し、安倍晋三元首相が実質率いる細田派との調整にも奔走。幹事長の立場だが、永田町では早くも「事実上の『甘利内閣』だ」とささやかれている。
甘利氏は2006年の第1次安倍内閣から08年の福田康夫内閣まで経済産業相を務めている。経産省の有力幹部OBのほか、電力、ガス業界を中心にエネルギー業界に幅広い人脈を持ち、「原子力ムラのドン」の一人として有名だ。実際、4月に結成された、原発の建て替えや新増設を訴える自民党の議員連盟でも最高顧問に就いている。
「甘利氏の一番弟子」(大手電力幹部)と言われ、岸田氏の推薦人にも名を連ねた山際大志郎政調会長代理も経済再生担当相で入閣する。山際氏はエネルギー政策に強く、国会では「原発を使い倒さなければ、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)はできない」(21年2月の衆院予算委)と述べるなど、原発推進の急先鋒で知られる。
カーボンニュートラルは菅氏が昨年秋の所信表明で50年に実現を目指すと宣言した「菅カラー」の一つだった。7月に策定した次期エネルギー基本計画の原案では、甘利氏ら実力者が名を連ねる自民党の議連や経団連などが繰り返し訴えた原発の「新増設」を書き込まず、成長戦略でも原発回帰を思わせる文言を削除。脱原発派の河野、小泉両氏の訴えに沿った政策決定を続けてきた。
エネ基本計画、高市氏の下で「見直し」?
総裁選でそのエネ基本計画を見直すと明言し、小型の新型原子炉の開発などを加速させるよう主張した高市早苗氏は政調会長に就任した。選挙戦では、小泉氏が高市氏を念頭に「あらゆる手段を駆使して(再エネ優先の政策を)潰そうという勢力に負けないように、支えていただきたい」とけん制したが、政調会長は党の政策立案を仕切る責任者。政権公約(マニフェスト)の策定を主導する立場でもあり、業界は河野、小泉路線からの修正に期待を寄せる。
政策立案に直接関わるポストではないが、国対委員長に就く高木毅元復興相も原発推進派で知られる。

・原発再稼働「安全性を最優先」 風評対策に全力―岸田首相(時事通信2022.03.11)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022031100908

岸田文雄首相は11日、原発の再稼働について「いかなる事情よりも安全性を最優先しなければならない」と述べ、原子力規制委員会の審査をクリアすることが大前提との政府方針を改めて示した。

・岸田首相「できるだけ原発を動かしていきたい」 原油高への対応で(朝日新聞2022.04.27)
https://www.asahi.com/articles/ASQ4W5T4GQ4WUTFK015.html

岸田文雄首相は26日夜、テレビ東京の番組で、物価高騰に対応する「緊急対策」の柱の一つであるエネルギーの安定供給について、「できるだけ可能な原子力発電所は動かしていきたい」と述べた。安全性には配慮しつつ、国民に再稼働への理解を求めていく考えだ。

●東京電力の管理下にある原発がなかなか再稼働しない理由⇒東京電力の仕事が不真面目なため…

柏崎刈羽原発 見通せぬ再稼働への道筋 テロ対策、改善道半ば(毎日新聞2022.04.27)
https://mainichi.jp/articles/20220427/k00/00m/040/378000c

東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)でテロ対策の不備が相次いで発覚した問題で、原子力規制委員会は27日、東電自身による改善策の実効性や問題の背景に関する検査の中間報告をまとめた。報告は、東電の改善策に対して、複数の侵入検知器の機能が同時期に失われたことの原因分析が不足している点などについて東電による再検証・対策が必要だと指摘した。東電が目指す同原発7号機の再稼働に向けた手続きの再開は、見通せない状況だ。
規制委「侵入検知器の故障、検証不足」
「人の力によらない核セキュリティーを担保できるようにすることが必須だ」。「ソフト面(の対策)は深掘りして、具体的に作り込むべきだ」。27日にあった規制委の定例会。検査したチームから中間報告が示されると、委員からは、今後の検査方針について、さまざまな意見が出された。
柏崎刈羽原発では昨年、敷地内への侵入を検知する機器が16カ所で故障し、うち10カ所でずさんな代替措置しかとられていなかったことや、発電所員が同僚のIDカードを使って中央制御室へ不正侵入したことなどセキュリティー上の問題が相次いで発覚した。一連の不備を受け、核燃料の移動禁止命令が昨年4月に規制委から出されており、7号機の再稼働に向けた手続きは凍結状態になっている。東電が再稼働を目指すには、今回規制委から指摘された事項を全て改善・反映することが前提となる。
東電は昨年9月に東電自身がまとめた報告書で、テロ対策教育の強化など36項目の改善策を提示。今年3月には、36項目のうち34項目について9月までに実行するとし、今後3年間で関連設備の整備に200億円をかけるなどと発表した。

※考察の参考:「電力危機を作り出したのは誰か/再エネ業界が原発再稼働に反対する本当の理由(JBpress、2022.06.10)」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70500
>なぜ再エネ派は原発再稼働に反対し、ぎりぎりの電力運用を求めるのか。その1つの理由は、彼らの中に反原発派が多いからだが、それだけではない。最大の理由は、原発が動くと再エネが送電線にただ乗りできなくなるからだ。


■過去最高の226兆ドルに達した世界債務(国際通貨基金2021.12.15)
https://www.imf.org/ja/News/Articles/2021/12/15/blog-global-debt-reaches-a-record-226-trillion

IMFの世界債務データベースの最新情報によれば、2020年の世界債務は対GDP比で28%ポイント増の256%
インフレ率や名目GDPの上昇が債務比率の低下につながるケースもあるが、持続的な形で大幅に債務を削減できる見込みは薄いだろう。恒常的な高インフレを防止するために中央銀行が利上げを行えば、借入コストも上昇する。政策金利は既に多くの新興市場国で引き上げられており、今後もさらなる利上げが予想されている。また、先進国の中央銀行は国債その他の資産の大量購入にもブレーキをかける予定であり、その縮小の方法が経済回復と財政政策にも影響を与えると考えられる。
歴史が示しているように、金利が反応してしまえば、財政政策の効果は薄くなってしまい、歳出を拡大しても(あるいは減税を実施しても)経済活動や雇用に限られた影響しか与えられず、インフレ圧力を助長させてしまう恐れがある。債務の持続可能性に関する懸念も強まるだろう。
世界の金利が予想以上に急上昇し、成長が低迷すれば、リスクは増幅する。金融環境の本格的な引き締めが実施されれば、債務水準の最も高い政府、家計、企業はさらに圧迫されるだろう。公的部門と民間部門が同時にレバレッジ解消へと追い込まれれば、成長見通しにも影響が及ぶはずである。

■2021年~2022年、新型コロナに発する上海ロックダウンの影響で、貨物船の物流がスムーズに流れておらず、大渋滞を起こしている。
ジェトロ2022.04.15「上海の封鎖管理が物流や貿易などサプライチェーンに影響(中国)」
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2022/fe14854d922bc13b.html
>封鎖管理の期間中も税関や港湾関係者は勤務を継続しており、空港や港湾での貨物輸出入などは行われている。しかし、トラック運転手が封鎖区域から出られない、あるいは港湾の出入りに通行許可証が必要といった状況で、輸出する貨物を港湾まで運ぶことができない、または輸入しても貨物を港湾から自社倉庫まで運び出せないといった事態が生じている。このように物流機能が制限されているため、一部自動車メーカーでは日本に必要な部品を届けることができず、工場の稼働停止を余儀なくされているという。また、日本から必要な部品が届かず、中国の工場が稼働停止に追い込まれるケースもあり得る。

■アメリカ物流が大混乱している(トラック運転手の深刻な人手不足が指摘されている)
「アメリカで物流が大混乱 小売店の棚から酒が消えた!?/ビジネス テレ東2021.11.11」
https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/business/entry/2021/024853.html
>「アメリカ国内の主要な港で問題が発生している。多くの船が大渋滞を起こしていて、商品がタイムリーに入ってこなくなっている」
>バイデン大統領は2021年10月、ロサンゼルスの2つの港を24時間体制の操業に切り替えると発表
(参照「米ロザンセルス港、24時間稼働へ 物流の停滞解消のため」https://www.bbc.com/japanese/58907449)
>港が24時間稼動しても、そこから荷物を配送するトラックが足りていない/ベテラン運転手「冬場の悪条件の中での運転は大変だ」「毎日ではないが夜の11時半起きの時がある」厳しい労働環境
>全米でおよそ8万人のトラック運転手が不足/この問題が輸送コストの上昇にもつながると指摘。「賃金の上昇分をカバーするためには、取引先に負担してもらわなければならない。需要が大きいにも関わらず、労働力とのバランスが取れていない」
>アメリカ国内の物流の7割を担うトラック輸送。ドライバー不足は今後、アメリカの経済回復の足かせとなるかも


■仏大統領の「ロシアに屈辱を与えてはならない」発言にウクライナ反発 東部では修道院燃える
https://www.bbc.com/japanese/61693912
中世の宗教戦争っぽい@キリル総主教の言う「悪」=分離独立したウクライナ正教会、ということだったのか?


米「台湾の独立支持せず」 国務省文書また更新
https://news.yahoo.co.jp/articles/0958e057651da6124ab7c804dd2bbe00e6207d8e

【ワシントン共同】米国務省は3日までに、ホームページで公開している米台関係に関する情報をまとめた文書「ファクトシート」を再び更新し、先月削除した「台湾の独立を支持しない」との文言を復活させた。中国外務省が削除に反発していた。 文書の再更新は5月28日付。ブリンケン国務長官は同26日の中国政策に関する演説で、台湾政策に変更はなく「一つの中国」政策を維持するとし「台湾の独立を支持しない」と述べており、国務省報道担当者は長官の発言を文書にも反映させたと説明した。中国の反発が更新に影響したかどうかについては明らかにしなかった。

台湾(国民党政府)は「ひとつの中国」と「独立を目標とする」の間で器用に立ち位置を変え、利益最大化の戦略をとると指摘されている。本省人・外省人ネットワーク。例えば河南省の稼ぎの半分以上は台湾企業が出している(※鴻海iPhone)。波及効果で100万人以上の雇用を生み出しているとの指摘がある。

(参照)2022.06.10公開「06-10 中国の貿易は好調?その実態はこうなっています!」チーム妙佛
https://www.youtube.com/watch?v=PoUBjIhQADk
大陸進出した多くの台湾企業が稼ぎ出した数字だけで、中国経済の半分ほどになる


リベラルが招いた悲劇、ウクライナ危機が提起する安全保障のジレンマ(iza!記事)
https://www.iza.ne.jp/article/20210319-LQ7NIFVNBBHZRD5H2NBCSGF44Q/

>ウクライナ危機を引き起こしたのは、当時のバラク・オバマ政権が(冷戦時代のような)ロシアの勢力圏的発想を認めず、ロシアの立場や行動を理解していなかったゆえの結果
>ブッシュ政権に続くオバマ政権が、ロシアの勢力圏的発想を19世紀的であるとして認めないのは自由である。しかし、オバマ政権が国際法にのっとってそう主張するだけでロシアを抑止できると考えているのであれば、それはオバマ元大統領のような法律家が陥りがちな考えであろう。
>ウクライナ危機は、米国およびNATO諸国のネオリアリズム的観点の欠如がもたらした危機であると見ることもできる。
>国際ルールを誠実に守る明治期の日本や現代の日本のような国があることを否定するものではない。しかし、米露中のような国は、基本的には国際ルールを守りつつも、安全保障上の問題に軍事力で対応する場合があることを忘れてはならない。

|欧州|十字砲火にさらされて凍える国々https://inpsjapan.com/news/europe-caught-in-freezing-crossfire/

|欧州|ガス供給停止と政治的冷え込みhttps://inpsjapan.com/news/political-chill-may-outlast-the-big-freeze/

ロシア・ウクライナ間でガス紛争発生https://inpsjapan.com/news/russia-gas-dispute-raises-political-heat/

「日本の第二の敗戦」を読んでhttps://note.com/naotoikeda/n/n1bf71429b6f7


■ロシア傘下のウクライナ教会離反 侵攻に反発、関係断絶
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022052800189

キリスト教東方正教会でロシア正教会の傘下にあったウクライナの教会が27日、ロシアのウクライナ侵攻に反発し、関係断絶を発表した。プーチン大統領に近いとされるロシア正教会トップのキリル総主教の立場には「同意できない」と主張。声明で「戦争は神の教えに反する」と強調し、ロシアとウクライナの双方に停戦交渉の継続を訴えた。

■ロシアの総主教「理解する」 ウクライナの教会の断絶宣言
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022053000160

【モスクワAFP時事】ロシア正教会トップのキリル総主教は29日、ウクライナでロシア正教会の傘下だった教会がロシアとの関係断絶を宣言したことに対し「ウクライナの教会が今日、苦しんでいることを完全に理解する」と述べた。モスクワの救世主ハリストス大聖堂で語った。
24日の関係断絶宣言後、初めて見解を表明した。総主教は「悪」がロシアとウクライナの正教徒を分断させようとしているが、その試みは成功しないと断言。「信者の暮らしを複雑にしないため、可能な限り賢明に行動すべきだ」と訴えた。
キリル総主教は、プーチン体制を支える強力な支柱の一人と考えられている。2月のウクライナ侵攻開始も強く支持した。

(ウクライナ東方正教会は多くの信者を得ているので、この「完全独立」を機に、おそらくロシア東方正教会の管理下には戻りたくない・戻らないと思われる。トルコは以前も、ロ・ウ停戦交渉に顔を出していたと記憶。キリル総主教が「可能な限り賢明に行動すべき」と発言したので、停戦への動きも目立ってきそう。キリル総主教が何を「悪」として発言したのかは、とっても要注意なミステリーというところで、専門家による考察も望まれる。引き続き、仲介国としてのトルコの役割は重要なところ※コンスタンティノープル正教会を擁する国)

補足資料
―ロシア正教会とウクライナ正教会の関係図
https://twitter.com/Fact_master_666/status/1503345648443158530
―ウクライナ正教会の経緯をザックリ(※連続投稿スレッドは長い)
https://twitter.com/kliment_klimis/status/1512422947126145026


■プーチン大統領の戦争、背後に「ロシア世界」思想 米メディア「ウォールストリート・ジャーナル」が指摘
http://www.kirishin.com/2022/03/21/53449/、2022年3月21日

ロシア正教の指導者モスクワ総主教キリル1世は最近、ウクライナで続く戦争について、正義と悪の黙示録的戦いに他ならないと語った。この戦争の結末は「神の加護を受けられるか否かという人類の行方」を決めることになる。米メディア「ウォールストリート・ジャーナル」(WSJ)3月18日の指摘を紹介する。
プーチン大統領は、今回のウクライナ侵攻の目的が「一部のウクライナ人」の解放だとしており、キリル1世の説明によれば、その「一部のウクライナ人」は、世界の支配者と称する国々が提供する価値観的なものを拒否しているという。その価値観とは、同性愛者の権利を主張する「ゲイ・プライド」のパレードに代表されるものであり、「こうした諸国」に仲間入りする際の踏み絵の役割を果たしている。「こうした諸国」とは欧州連合(EU)と、さらに広く西側諸国を指している。
ロシア正教は、プーチン氏の地政学的野望を支えるイデオロギーの形成に積極的役割を果たしてきた。その世界観は、現在のロシア政府をロシアのキリスト教文明の守護者と見なすものであり、それゆえロシア帝国と旧ソ連の版図にあった国々を支配する試みを正当化する。
ウクライナ生まれの神学者で、キリル1世のアドバイザーを務めた経験を持つシリル・ホボラン神父によれば、こうした考え方は共産主義崩壊後のロシアがイデオロギーの空白を埋めようとする中で生まれたもので、長年迫害されてきたロシア正教が、新たに開けた公共の場で影響力を持つのと同時進行してきた。
モスクワ総主教庁に務めた経験を持つセルゲイ・チャプニン氏によれば、これらが「ソ連崩壊後の市民宗教」、言い換えれば「ルスキー・ミール(ロシア世界)」という思想の原点になったという。「ルスキー・ミール」という言葉は11世紀に生まれたもので、現在のロシア・ベラルーシ・ウクライナの大半を含む東スラブ語圏のことを意味する。
プーチン氏にとって「ルスキー・ミール」は、旧ソ連やそれ以前のロシア帝国の領土を含むロシアの正当な勢力圏を意味する言葉だ。プーチン氏は、ウクライナ侵攻の3日前の2月21日、「ウクライナは我々にとって単なる隣国ではない。ウクライナは我々の歴史・文化・精神世界と不可分の存在だ」と語っていた。ロシア正教はこの言葉を信奉し、そこに宗教的色彩を加えた。その宗教的意味合いの中では、ウクライナが特別な役割を担っている。
しかし、ウクライナでは、ルスキー・ミールの宗教的概念は、政治的概念と同様の抵抗に直面した。ウクライナの正教会信者の多くはロシアが主導する正教会に属しているが、ウクライナにはかなりのカトリック信者のほか、モスクワからの独立を求めてきたウクライナ正教会の信者もいる。2019年、東方正教会の宗教指導者コンスタンチノープル総主教のバルトロメオ1世はその独立を認めた。
この決定は東方正教会内に深刻な亀裂をもたらした。さまざまな国の教会が、モスクワ側についたり、コンスタンチノープル側についたりした。プーチン氏はバルトロメオ1世が米政府の命令に従っていると非難した。
ロシア国内で、ルスキー・ミールは深く宗教的な響きを得ている。特に軍においては正教会の聖職者は軍の士気を高め、愛国心を促す。ロシアで核戦力を扱う陸海空の3軍には、いずれも守護聖人がいる。正教会はまた、シリア内戦におけるロシアの役割について、少数派のキリスト教徒を守るための「十字軍」だとして熱心に宣伝していたという。
プーチン氏は昨秋の演説で、トランスジェンダリズムや「キャンセル・カルチャー(問題視される事柄に対するバッシング)」など、自らが西欧や米国に見受けられる文化的なトレンドと捉えているものを厳しく非難した。同氏は「我々は異なる視点を持つ。独自の精神的価値観、歴史的伝統と多民族国家の文化に依拠しなければならない」と述べていた。
しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻は、同教会が結束を求めてきた人々を分断し、侵攻の理由となったイデオロギー自体を損なう恐れがある。ロシアによるウクライナ侵攻以降、ウクライナの聖職者の一部はキリル総主教が戦争を支持していることに抗議するため、礼拝の際に同総主教への祈りを中止した。また、ロシア正教会への忠誠を撤回すると語る聖職者も出ている。(CJC)