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〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)
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宮原昭夫・著『書く人はここで躓く!―作家が明かす小説の「作り方」』

興味深い指摘をメモメモ:

▼「説明」と「描写」の違い

「説明」=限定的な解釈のみに留める書き方。科学論文などでは、これが一般的。
例:「美しい花が咲いている」⇒いつ読んでも「美しい花」という限定的な解釈になる

「描写」=その時の気分で解釈が変わり、多様な読み方が出来る。小説ではこの強みを生かしたものが多い。
例:「ピンク色の小さな花が咲いている」⇒春なら桜の花っぽいなと思ったり、秋なら小菊の花っぽいなと思ったりする

ただし、ケース・バイ・ケースなので注意。誤解ぬきにハッキリさせたいシーンの場合は、「説明」を使った方が良いらしい。

▼小説でストーリーを組み立てる順番

世間話の順で思いつくままに書く人も居るが、これは、ちょっとまずいらしい。

まずい例:「昨日、お昼ごろ急に雨が降って来たでしょ、あの時美容院に行ってたんだけどお布団干したままだったから慌てちゃったわ。布団っていえば、角の☆☆屋さんで月末までディスカウントやってるわよ。あそこの奥さん、2人目なんですってね。連れ子さん高校生だもんで、大学受験どうしようとか、大変よネ。そうそう、受験と言えば、うちの子がね…」

設定を積み重ねるばかりで、「伏線が生かされていない、小説になっていない」とされているのが、こういうケース。

▼キャラクターの人間像と人間関係

・ストーリー展開に応じてキャラクターの性格を捻じ曲げようとすると、人間像が分裂し、ストーリーが破綻する羽目になる事に注意。この場合は、キャラクターが展開する方向に向かってストーリーが流れるようにすると、想定以上の結果に辿り付く場合がある。

・一人称小説で、作者の分身たる主人公は良く描けているが、相手役や敵役となる「他者」が上手く表現されていない事がある。この場合は、「モノローグ」に終始するので、ストーリー性が無くなっていく。かといって、無計画にキャラを増やすと、作者のクローン人間が増えたようになってしまいかねない。

・「他者(脇役)」の眼差しは、主人公にとっての出来事を別の側面から捉える機能を持ち、ダイアローグ効果によって、ストーリー展開を立体的・客観的にする事が出来る。

▼会話劇の取り扱い

黒澤明(映画監督)『ぼくは映画を撮る時、サイレント映画だったらどう撮るか、と考え、それを出発点にしている』

これは、「会話の表現力に頼らなければ成り立たないようなドラマは、ドラマとしては弱い」という事を示している。

映画の場合、あくまでも映像だけで全てを語り尽くすという気持ち&覚悟で作る。会話が無くても、ほぼ観客に分かる状態だが、それに会話の表現力が加わる事で、いっそうドラマがパワーアップするという効果を狙う…という事。

大道具や小道具にこだわり、その上に衣装にこだわり、更に会話の演出にもこだわる…という方針が、黒澤明(映画監督)にはあった。実際、そうする事によって、「会話劇を楽しむ」「会話劇そのものを味わう」というような余裕が生み出せている。

※実際の会話劇は、ナレーションのようには流れない。沈黙が続いたり、言い直しが生じたり、言いたい事とは逆の事を口走ったり、…という事が普通にある。地の文がシッカリしていない場合は、会話劇がナレーションの役割を担う事になるため、会話劇そのもののリアリティが薄くなりがち…というケースが多い。

▼作品タイトル

「(作品全体を象徴する)一行詩の一種かも知れない」という意見アリ。

(参考資料)Web小説家に”なった”! ~ゼロから始めて三週間で小説家になる方法~
http://talkmaker.com/works/be218b35f858c863bd286b8ef47fb2a5.html

タイトル6割、あらすじ3割、目次1割。【タイトル+3行(あらすじ冒頭部)】が分かれ目。王道66%、新奇性33%がちょうどよい配合比。

なお、あらすじ冒頭部「世界観の説明から入るパターン」=アクション成分が少なくなるため、目を引きにくくなるらしい。「ドキッとするような、決定的な事件」から入るのがベター、という意見アリ。

*****

他にも色々なポイントが書かれていましたが、こちらは割と普遍的に言われている内容が、ほとんどでした。

参考になりそうな部分を、以下に少し並べてみます:

▼リアリティ関連

真のリアリティは「それらしさ(如何にも有りそうな細部の描写)」だけでは作れない。ただの想像だけでは思いつかないような意外さ(※作者ならではの気付きや着眼点)を含むと、案外、リアリティが出る。

「一回性(一期一会的な要素、突飛さ)」と「必然性」の組み合わせは、リアリティを感じさせる重要な部分。例えば、「いかにも有りそうな情報の中に、チラッと突飛な情報を混ぜると、人間は案外、まるごと信じ込む」というようなモノ。

キャラの思考や感性の中に、作者自身の思考や生活臭が入り込んでしまうと、かえってリアリティが壊れるので、注意。各キャラごとの特性は、完璧に演じ切らないといけない。

▼ディテール関連

細部を際立たせるために、全体シーンにおける対比・調和の効果を狙うというのは、割と使える。

「対比」の例:「岸壁の上で、小さな人影らしき物が動いた。広々とした青空を背景にして、奇妙なシルエットとなって浮き上がっている。よく見ると、どうやら、甲冑で武装した人物らしい」

「調和」の例:「蒸し暑い夏の夜、生暖かい風が吹いて来た…何処かで猫の不気味なニャーと言う鳴き声がボンヤリと響く。そこの角には、おぼろおぼろとした怪異な人影が…」

よく出来た細部は、小説全体の有り様、雰囲気を支配するパワーがある。

・秋山駿(文芸評論家)『小説の細部は、作者の(作品そのものに)与える"意味"を超える』
・川村二郎(文芸評論家)『(各々の細部の)表現全体の生気が、主題を包み隠してしまわねばならない』

例えば、セリフ描写で、「思い付きで、登場キャラに、作者の意見をストレートに言わせる」と言うスタイルがある。このようなスタイルでは、作者の筆(=主題)の存在が強く浮き過ぎてしまうケースがあるので注意。

キャラのセリフ表現などと言った細部の表現が浮いてしまうと、その部分の違和感が強くなり、小説(エンタメ)そのものとしては少し味わいにくいタイプの作品となる。

▼小説タブーとなる「三大誤魔化し」

(1)あらすじ会話
…本来はナレーションや描写で語るべき情報を、キャラのセリフでもって、ナレーション的に説明してしまうスタイル。地の文の組み立てがシッカリしてない作品に多い。

(2)贋シーン
…特定のシーンが、キャラの回想や回顧、設定などを描写するための舞台として浪費されてしまっているケース。例えば、A地点からB地点へキャラが移動しているという場面描写がされているのに、その行程では、次につながるような伏線や会話劇はおろか、いっさい何も起こらない…というパートがあったりする。

(3)手抜き回想
…シーン配列が上手くいっておらず、過剰なまでに回想シーンが入ってしまい、全体の流れをぶった切ってしまうスタイル。回想シーンの途中で、更に別の回想シーンが重複してしまう…というケースも多く見られる。

《以上》

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