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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

詩歌鑑賞:謝朓

晩登三山還望京邑詩/謝朓
灞涘望長安
河陽視京縣
白日麗飛甍
參差皆可見
餘霞散成綺
澄江靜如練
喧鳥覆春洲
雜英滿芳甸
去矣方帶淫
懷哉罷歡宴
佳期悵何許
涙下如流霰
有情知望郷
誰能鬒不變
《読み下し》晩(ひぐれ)に三山に登り、還って京邑(みやこ)を望む
灞(は)の涘(ほとり)より長安を望み
河陽より京縣(みやこ)を視(み)る
白日は麗(うるわ)しく甍(いらか)に飛び
參(たかき)も差(ひくき)も皆(ことごと)く見る可(べ)し
餘霞(よか)散じて綺(き)と成り
澄江(ちょうこう)靜かなること練(れん)の如し
喧鳥(けんちょう)春洲(しゅんしゅう)を覆い
雜英(ざつえい)芳甸(ほうでん)に滿つ
去らんかな 方(まさ)に帶淫(たいいん)せり
懷しきかな 歡宴(かんえん)罷(や)めたるを
佳(よ)き期(とき)は何許(いつ)なるかと悵(うれ)い
涙下ること流るる霰(あられ)の如し
有情 望郷を知るものぞ
誰(たれ)か能(よ)く鬒(くろかみ)を變(か)えざらん
《解釈》夕暮れに三山に登る
灞水(はすい)の岸辺より長安を望み
河陽より京縣(みやこ)を遥かに眺めやる
白日の光は甍(いらか)に散乱反射して
高く低く続く屋根の連なり
名残りの夕焼けは散じて綺(あやぎぬ)となり
澄める江(おおかわ)は静かなること練(ねりぎぬ)の如し
喧(かまびす)しき鳥は春の洲(なかす)を覆い
雜(まじ)れる英(はなばな)は芳(かぐわ)しき甸(のやま)に滿つ
去らんかな 長居しすぎた野辺よ
懐かしきかな 過ぎ去りし楽しき宴よ
再びの時は何許(いつ)なるかと憂い
涙は下りて霰(あられ)の如く流れる
情(なさけ)有れば望郷の心を知ろう
誰が黒髪を変えずに居られよう
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