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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

私製詩歌「青嵐」

せり上がる 日輪の軌道
鈴の音(ね)さざめき 鳴り渡る……

温(ぬく)める海より 風が起これば
桜の花が 散り落ちぬ

ああ 名残の春よ 日影まばゆし

舞い散る花も 野辺の蝶も 霊(たま)ひるがえり あおい空を かき乱す――

亡き人と 行き逢う時空(にわ)に ときが巡る
何よりも 近くて遠い 夢(よみ)の国
青嵐激(しげ)く 吹き敷くところ

目くらめく 五月(さつき)の陽光(ひかり)の しろさ まばゆさ
燃えるような 躑躅(つつじ)のにおい
切なく寂しく ほろびゆく……われは

白い雲は 雄々しく形を成し
海をすさぶ魚群(なのむれ)のごとく
八重波山を おし渡る

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