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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

2011.10.29ホームページ更新

制作中の物語・第一部-ヤツマタ/第六章-門前町のページ分割が終わりました。

こちらのアドレスから正式公開版に飛べます(ホームページ版)
http://mimoronoteikoku.tudura.com/astrolabe/content.html/物語ノ本流

・・・「門前町」の章で新しく登場してきた、話題の人物のメモ:

■勝間勝宗(かつま・かつむね)

伊勢国司・兼・斎宮寮頭。いわゆる典型的な悪役。性格は多分、エキセントリック。
頭脳明晰で、陰謀が上手。今年の正月に臨時除目で斎宮にやって来たが、その時から既に、斎宮における独裁的権力を確立するべく、精力的に陰謀にいそしんでいた。
ちなみに、前代の斎宮寮頭は、昨年の旧暦11月半ば~12月初め頃に老衰死したという風になっているが、その事情には、いささか疑念が残るものだった(=暗殺と言えなくも無い…という事情があった。この辺は伏線)。
異相の商人・色白屋を手先としているが、本当は勝間が色白屋に使われているのかどうか…その辺はまだ不明だが、とりあえず色白屋とは、完全に利害が一致している。

■鳩屋敷顕貴(はとやしき・あきたか)

太政大臣候補の大貴族。摂関家の血筋を受け継ぐ血統的エリート。
オカルト趣味があり、大陸から渡来してきた「新しい二元論的グノーシス的な陰陽道」=「普裏石目慧尊」の理想に夢中で、自分が「神の御子」として「普裏石目慧尊的なユートピア」を島国に実現しようという夢(=野望=)を持っている。
謎のオカルト美女(=名前はまだ決めていない=)が、背後に控えている。ちなみに「普裏石目慧尊」は、妖術カルト的フリーメーソン&グノーシス秘密結社をモデルにしている。

■不破縄征夷大将軍源朝臣一郎太成尊(ふわなわ・なるたか)

文章博士・侍読(=中国史教師と皇室の家庭教師にあたる役職)になり損ねたが、天下統一&世界征服の野心に燃える剛腕大将軍。現在は満を持して花洛の都に上洛中。織田信長と豊臣秀吉を合体させたような感じ。
法律関係には妙に詳しく、財テクの才能あり。鳩屋敷顕貴の右腕であり、花洛宮廷に渦巻く数々の陰謀の中心でもある。不破縄幕府の将軍でもある。
ちなみに不破縄幕府は、多分、蝦夷&東北を領土としている。一番近いイメージとしては、奥州藤原氏がもっともっと腹黒くて、滅びずに繁栄を続けていて、武人をまとめて奥州幕府を作って、東北王国みたいなものが出来ちゃった、みたいな感じ

*****

おまけの考察=中世におけるニュータイプ貨幣経済の展開

中世の代表である室町時代。

室町デモクラシーと言って良いくらい、常民の政治力が上昇した時代だったと思います。

そのきっかけとなったのが、平家の黄金時代と、それに続く源平争乱~鎌倉時代です。

そこには、大量に流通を始めた宋銭の存在がありました。神仏(御幣・みてぐら)を媒介としない、ニュータイプの貨幣経済の伸張。それは後に、約束手形や為替決済というような金融システムを生み出すものとなりました。

かつて院政時代、日宋貿易にいそしんだ武装商人(なんちゃって海賊にして豪商)でもあった平家は、宋銭をほぼ独占的に扱える利権を押さえていました。

現在のアメリカで、「連邦準備制度理事会(FRB)が通貨発行権を持っていて、アメリカは一民間企業に過ぎないFRBの言いなりである」という事が陰謀論的に説明されていますが、その陰謀論が現実化したかのような事態が、実際の日本の歴史上にあった訳です。宋銭流通を左右し、国家経済を左右する力を得た平家(平清盛の時代)は、治天の君=法皇を監禁するほどの勢力を誇りました。

そしてなおも繁栄を求める平家の野放図な通貨管理により、爆発的な宋銭バブルがスタート。実体経済と合わなくなる程の大量の宋銭が、市場に溢れたのです(平家の考えは、分からないでも無いです。単純に、銭をもっと増やせば富がもっと増えた状態に見える…と思います)。

そのため、米や絹といった貨幣交換商品と宋銭とのレートが不安定になり、関東の武士団は荘園経営に苦しみました(多分、通貨価値が下落した状態になっていて、貨幣量は増えたけど従来より安い価値で米や絹を取引せざるを得なくなった。不公平なレート差によって国富を強奪されるというような印象だったかも…)。源平争乱の背景には、こういったような経済事情の混乱があったと分析されているそうです。

※何だか、今まさに進行中の、経済カタストローフを見ているかのようであります

日宋貿易がもたらした膨大な貨幣の流通と拡散が、荘園経済を通じて寺社勢力や常民の経済力を上昇させ、そして後に続く室町時代の市場の繁栄をもたらした…と言って良いかも知れません。そして、この時代を通じて、コンスタントに人口の増大と生産力の上昇がありました。元寇といった現象は、日本の市場開放を強烈に迫る、アメリカ的&TPP的な暴力的アクションとしても、理解できると思われます。

※そして、貨幣流通に伴う悲劇もありました。鎌倉幕府の内紛や、その後の南北朝の間で展開した財貨分捕り合戦や、人身売買など(例:『山椒大夫』)。

貨幣の流通は、租税の貨幣化や、商品流通&貨幣交換といった均質化によって、村と村との距離を非常に近くしていました。室町時代には既に、お上の政治に不満あらば、複数の村が団結して一揆を起こす…というような社会が整備されていたという事です。

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春江花月夜/張若虚・作

『春江花月夜』は、張若虚という人によって作られた作品だそうです。初唐、大帝国バロック調の文化華やかなりし時代の、それも最高傑作と評価されている漢詩だそうです。

以下に記した漢詩の意味解釈は、大室幹雄氏の著作『遊蕩都市』(三省堂1996)に書いてあったものです。ポエジーの交響が、実に素晴らしい…と思うのであります…

▼『春江花月夜』・・・張若虚・作/『遊蕩都市』大室幹雄・著より

春江潮水連海平
海上名月共潮生
灎灎隨波千萬里
何處春江無月明
江流宛轉遶芳甸
月照花林皆似霰
空裏流霜不覺飛
汀上白沙看不見
江天一色無繊塵
皎皎空中孤月輪
江畔何人初見月
江月何年初照人
人生代代無窮已
江月年年祗相似
不知江月待何人
但見長江送流水
白雲一片去悠悠
靑楓浦上不勝愁
誰家今夜扁舟子
何處相思名月樓
可憐樓上月徘徊
應照離人粧鏡臺
玉戸簾中巻不去
擣衣砧上拂還來
此時相望不相聞
願逐月華流照君
鴻雁長飛光不度
魚龍潜躍水成文
昨夜閑潭夢落花
可憐春半不還家
江水流春去欲盡
江潭落月復西斜
斜月沈沈藏海霧
碣石瀟湘無限路
不知乘月幾人歸
落月搖情滿江樹
春の長江――たいらかになぎわたり 大潮が海へ流れ出る
海の上で 潮のなかから明月が生まれでる、
艶やかに波に照り映え はるけくも連れ添っていたるところ
月明に 春の大河は輝きわたる。
たわみつつ うねりつつ においたつ野原を河の流れはめぐり
花咲く林を照らして 月光は霰(あられ)と散り、
白砂の岸辺をおぼろおぼろに溶かしこみ
中空(なかぞら)に流れる霜をまばゆく飛ばす月明かり。
江天一色(こうてんいっしょく) 繊塵(せんじん)無し!
皎皎(きょうきょう)たり 空中の孤月輪(こげつりん)!
河の畔で初めて月を見たのはたれか?
河の上でいずれの年に月は初めて人を照らしたのか?
代々ごとに人は生まれて窮まりやむことなく
河の月は年々に満ちてかわることなく、
ただ長江の流れる水を送りやるのが見られるばかり
河の月のだれを照らしてきたかは知るべくもなく――
のどのどとひとひらの白雲は去りゆく
靑楓浦(せいふうほ)に宿って 愁いにわたしのこころはふさぐ、
この夜を小舟にすごす人は誰か
その思われ人はどこで楼上に明月をながめているのか?
ああ! その楼のうえ高く月は徘徊しているだろう
遠いその人の鏡台を照らしているだろう、
玉簾を巻き 戸を閉ざしても その人もまた想いは去らず
擣衣(きぬた)うつ砧(だい)の上を払っても月はやはり射しているであろう。
いま この時に 月をあおぎ望んでわたしの声はとどかない
月の光をおいかけて流れてそなたを照らせるならば!
鴻(おおとり)と雁と群れなして飛び 月の光はさえぎられ
魚と龍と潜み躍って 水はあやしい文様を描く。
昨夜 わたしはひめやかな潭(ふち)に花の散るのを夢みたが…
ああ 春もたけたというのに家へ還りもならず、
河の水は流れ 春は去って尽きようとしているのに
河の潭(ふち)に西に斜いて月はまた落ちかかる。
斜く月はふかぶかと海の霧にかくれて
無限の路を 碣石(かっせき)から瀟湘(しょうしょう)へ 月にまかせて、
たれが帰っていったというのか
落ちゆく月は河辺の樹々に満ちみちる わたしの想いを揺がせて。

何となく、「月下美人」の形容詞が似合いそうな「窈窕淑女」のイメージが浮かび上がってきます。詩句を連ねて描かれる幻想ではありますが、イメージが鮮やかに浮かび上がってくるのが、すごいと思います…

2012.8.31暁の夢

建物ごと、複数の時空を放浪する夢でした。

割と夢のストーリーがハッキリしていたので、メモなのです。

夢の中の舞台は、何処かの中堅の賃貸ビルにテナントとして入っている、ひとつのお店でした。「タギー」とか「ダガー」という名前の、サングラス男性が店長を務めているお店です。喫茶店と宝石店を兼ねているような感じの、不思議なお店でした。

とは言え高級店ではなく、訳ありのアンティークを扱っているような…古物商?

何か理由があって入店したものの、何故そこに居たのかは判らず

(きっと、アヤシゲな占いのための宝石を探そうとしていたのかも…)

自分の他にも迷い込んだお客さんは多くて、大体15名くらい。中に、親の判らない赤子が居ました。捨て子という雰囲気は無いものの、途方にくれて、皆で面倒を見るという感じになりました。

夢の中ながら、何故か日にちの区別はつきまして、だいたい1週間を過ごすことに(「食事とか、寝る場所とかはどうしたのか?」というのが疑問でしたが、そこはまあ、夢の中という事で…)。

月曜日。古代人がお店のドアの外でウロウロしていました。おヒゲのボウボウの背の高い、縄文人のような格好をした男性で、黒曜石の槍を持っていたので、思わず物陰に隠れて観察。店主タギーさんと、お店の窓越しに何か話していましたが、やがて雲の中に消えてゆきました。

火曜日。プール業者が来て、お店の前に、あっという間に大型プールを設営。SFが混ざったサーカスみたいでした(「反重力プール」とでも言うのでしょうか、空中浮遊スタイルもありました)。急に暑さを感じたこともあって、他のお客さんと一緒にプールを楽しみました。赤子のお相手もしまして、なかなか楽しい日でした。

水曜日。赤子の母親がお客さんの中に居ることがハッキリしまして、赤子の世話は主に、その若い女性にお任せという形になってきたのであります。店主タギーさんいわく、「彼女は昨日までは居なかったのになあ」という事でした。プールの騒ぎの裏で、赤子を探して、新しく入ってきたのかも知れません。とりあえずホッとしたのであります。

木曜日。お店の中に居たお客さんの一人・セレブっぽい小太りのご婦人が、何かいきなり頭に来た事があったのか、宝石について何か難癖をつけており、店主タギーさんが器用に対応。さすがアヤシゲな業界のプロ、と思わせるところがありました。

小太りのご婦人は濃い紫色のドレスを着ていて、そのドレスには金色のラメが入っていました…

金曜日。再び古代人のおヒゲのボウボウの背の高い男性が、黒曜石の槍を持って現われ、お店のドアの外でウロウロしていました。自分はまたギョッとして、物陰に隠れながら推移を見守っていました。すると、その古代人がお店の中に入ってきました。

店主タギーさんは物慣れた様子で対応。しばらくお話。

やがて、赤子を連れた若い女性が現われ、店主タギーさんに何度もお辞儀をしつつ、古代人と一緒にお店を離れてゆきました。2人は雲の中に消えてゆきました。何とも不思議な光景。

店主タギーさんに事情を聞いてみました。

「あの2人は、ご夫婦でね。何か時空の手違いがあって、奥さんの方は火曜日を取り巻く時空の中に取り残され、ご主人は月曜日の時空の中に取り残され…で、別れ別れになってたのよ。このたび、奥さんが火曜日に、このお店に居た赤子と再会し、そして、今回、金曜日の時空で、親子3人そろって再会したわけだな」

「曜日ごとの時空があるのが常識」というのが何とも不思議でしたが、夢の中なのだから、そういう事もあるのかも

土曜日は、お店の台所のガス管が壊れ、ガス業者がやってきました。業者は、緑のツナギを着た初老の男性でした。しばしお店の中が工事状態になり、閉口したお客さんも散り散りに。

自分は帰り道が分からなかったこともあり、ガス業者がエアコンまで交換してゆくのを、唖然として眺めるばかりだったのであります。

そして日曜日になり、やっと見慣れた光景がお店の窓の外に広がっているのを確認して、帰還の途に。

そこで、目が覚めたのでありました