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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

聖なる時空間の観念と星観測、超新星爆発、チェコ上院議員「私は台湾人である」発言

聖なる時空間の観念と星観測

https://twitter.com/Prokoptas/status/1519770166254792704/TOMITA_Akio@Prokoptas
四方位を聖なる空間とし、これに中心点を置きたがるのが中国的発想、四方八方に上と下を加えて十方とし、これを天外から臨みたがるのがインド的発想、逆に、中心から等しい点の集合つまり「円」を聖なる空間としたがるのが西洋的である、ことは既述した。

※中国の宇宙観=天円四方、インド的宇宙観=八面体サイコロ、西洋的宇宙観=ドーム天蓋

https://twitter.com/Prokoptas/status/1519797994924965889/TOMITA_Akio@Prokoptas
その結果、星学においても、インドでは星座を裏から眺め、中国と西洋では表から眺める。地上における観測者を起点とし、太陽の方向を向く点で西方星学と中国星学は同じだが、子午線の考え方が違う。この違いが、(素人考えだが)歳差運動の発見に400年の差が出た原因か?。

https://twitter.com/Prokoptas/status/1519799956055683072/TOMITA_Akio@Prokoptas
中国の星学者が「注意を集中したのは、太陽と同時の出没でもなければ地平線でもなく、北極星と、決して出没することのない周極星であった。彼らの天文体系は、かくして子午線……の概念と密接に結びついていた」(ニーダム)。東西のこの違いは、観測位置の緯度の違いとみたい。

https://twitter.com/Prokoptas/status/1520134393708560384/TOMITA_Akio@Prokoptas
北極星の高度は、観測者の緯度に等しい(図)。中国星学はその北極星と天頂とを結んで子午線とし、西方星学は太陽の最高高度(つまり南中)点と天頂とを結んで子午線とする。星学の1日は南中から南中までの時間。これを改めたのは1925年である。

https://twitter.com/Prokoptas/status/1520135832644259841/TOMITA_Akio@Prokoptas
したがって、黄道座標系を採った西方星学が歳差運動の発見に特に有利だったわけではないが、赤道座標系を採った中国星学は子午線は不動だという先入観を植えつけたのではないかと思う(希臘星学は、むしろ、円運動へのこだわりが足枷になったことが、その歴史からわかろう)。

https://twitter.com/Prokoptas/status/1520137915346845696/TOMITA_Akio@Prokoptas
円形でも方形でも「聖なる空間は聖なる時間と不離の関係にある」。聖なる時間は分点と至点である。キリストは冬至の日に生まれた。その9ヶ月前つまり春分の日は、「天使ガブリエルの精液としての御言葉を介して、聖母マリアがキリストを宿した」(『ユーラシアの女性神話』)。

時間の節:春分点、夏至点、秋分点、冬至点
印度サイデリアル任意の恒星
西洋トロピカル春分
中国サイデリアル歳星(木星)冬至

空間の節
中国=北極星-天頂の子午線、赤道座標系
印欧=南中点-天頂の子午線、黄道座標系

昇交点=黄道に対し月が北上/羅睺星
降交点=黄道に対し月が南下/計都星


◆2022.01.07ニュースメモ:

星が死にゆく最後の瞬間、超新星爆発をリアルタイムで観測 天文史上初

https://www.cnn.co.jp/fringe/35181793.html

(CNN)死期を迎えた巨大な恒星が超新星爆発を起こす現象が初めてリアルタイムで観測されたとして、米カリフォルニア大学などの研究者が6日の天文学会誌に研究結果を発表した。

観測を行った赤色巨星は地球から約1億2000万光年離れた銀河「NGC 5731」に位置していた。爆発前の質量は太陽の10倍もあった。

恒星が最後の輝きに包まれる前には激しい爆発が起きたり高温のガスが噴出したりすることもある。しかし今回の現象が観測されるまで、赤色巨星は比較的静かな状態が続いた後に大爆発して超新星になったり、崩壊して高密度の中性子星になったりすると考えられていた。

ところが今回の赤色巨星は研究チームが見守る中で、劇的な自己崩壊を起こしてII型超新星になった。巨大な質量をもつ恒星は、中心核の水素やヘリウムなどを燃焼し尽くして急速に崩壊し、激しい爆発を起こして死を迎える。

後に残るのは鉄のみだが、鉄は融合できないことから、恒星のエネルギーは尽きる。そうなると鉄が崩壊して超新星爆発が発生する。

論文の筆頭筆者で米カリフォルニア大学バークリー校の研究員、ウィン・ジェイコブソンガラン氏は今回の研究について「巨大な恒星が死ぬ直前に何が起きるのかを解明するうえで画期的」と位置づけ、「赤色巨星が超新星になる前の活動は、普通のII型超新星においてはこれまで観測されたことがなかった。我々は初めて赤色巨星の爆発を目の当たりにした」と報告している。

この恒星の異常な活動は、超新星になる130日前に観測された。ハワイのマウイ島にあるハワイ大学の望遠鏡が2020年夏、明るい放射線を検出。研究チームはハワイのマウナケア山にある天文台で観測を続け、この超新星を「2020tlf」と命名した。

観測の結果、爆発が起きた時点で恒星を取り巻く物質が存在していたことが判明。夏の間にこの恒星から激しく放出された明るいガスだった。

「まるで時限爆弾を見守っているようだった」と同大のラファエラ・マーガッティ准教授は言う。「我々はこれまで、死にゆく赤色巨星のこれほど激しい活動を確認したことがなかった。我々はこれが輝きを放ち、それから崩壊して燃え上がるのを見ていた」

こうした巨星では、死を迎える前に内部で急激な変化が起きてガスが激しく噴出することがある。

今回の観測は、ジェイコブソンガラン、マーガッティの両氏がノースウェスタン大学在籍中に行った。研究チームはハワイにある望遠鏡に遠隔操作でアクセスし、「巨大恒星が超新星爆発に姿を変える直接的な証拠」を提示した。

ジェイコブソンガラン氏は、今回のような現象をもっと観測することができれば、巨星の命が尽きる最後の瞬間に関する謎を解く手がかりになるとの期待を示している。


◆成る程と考えさせられたツイッター連続メモ

https://twitter.com/ma_sa_o/status/1302941026915504128
河野(kouno)@ma_sa_o

台湾にチェコの上院議員が行って「私は台湾人である」と発言したんだけど、これは中国に対する凄い一手で天才かよって思わされる一手。日本人の大半は意味がわからないだろうから、ちょっと説明したいと思う。
午後9:05 · 2020年9月7日

冷戦時代ドイツが分断されている時に、ジョン・F・ケネディが西ベルリンで「私はベルリン市民だ(ベルリン市民はローマ市民と同じく誇り高い、共産主義に屈しない)」という演説をして大絶賛されたんだけど、チョコの上院議員はこれのリスペクト発言を台湾でした。
午後9:09 · 2020年9月7日

この発言で中国はもちろん激怒!「てめえ!チェコ!後でお前はぶっ殺す!」と抗議、チェコさん大丈夫なの?と日本人は思うだろうけど、実は「私は台湾人である」が布石となっていて、多くのEU諸国が中国に猛反発。最大の親中国であるドイツが、あのドイツさんが猛反発してる状態が現在です。
午後9:12 · 2020年9月7日

ドイツは内心、まだそこまで中国と喧嘩しなくないのです。しないで良いなら中国と喧嘩したくないのです。でも、ドイツ自身がJFKの「私はベルリン市民である」に救われた国であるため、「私は台湾人である」とかチェコに言われた日にゃあ、嫌でも中国への反発に同調しないと駄目になった。
午後9:14 · 2020年9月7日

ドイツだけでなく、EUの主要国が急にチェコの擁護に走り中国批判を痛烈に始めたのは、チェコの「EUの一体感を演出して、共産国家には屈しない」という政治的演出が凄く上手く行ったって事です。つまり「チェコは台湾を分断された時のドイツ」とEUに印象付ける事に成功したんです。これは凄い手です。
午後9:18 · 2020年9月7日

大半の日本人から見ると「なんでチェコが台湾行ってるの?あれ?なんかEUの国々が中国に怒ってね?」ぐらいのぼんやりした感覚しかないと思いますが、そういう事が今EUと台湾と中国の間で起こってます。大国ではないチェコがEUを巻き込んだ中国への反発。チェコの議員凄えよね。天才かよ。
午後9:22 · 2020年9月7日

ちなみに、チェコという国家がそう目論んだというより、チェコの上院議長たちのスタンドプレーというか、個人プレーに近い所があるんじゃないかな?チェコが正面から中国と喧嘩しても得がないよね。多分、チェコの議員たちが有能だったという話だと思う。
午後9:27 · 2020年9月7日

一つ補足説明すると、チェコの上院議員がEUに反中を作り出しのではなくすでにEUという鍋の中で煮えたぎっていた反中があり、その鍋の蓋を開けたのが今回のチェコの上院議員の策略という感じです。鍋の蓋が開いたので、いっきに煮えたぎった反中がEUにあふれ出てきたという事ですかね。
午前9:33 · 2020年9月9日

中国がEUを懐柔しようとEUを訪問した今、チェコの一手で中国のEUへの外交が完全に失敗するという事になってしまった。チェコが動いてなければ、ここまで中国がEUで外交的大失敗をする事はなかったはずです。成功はなかったでしょうが、ここまでの大失敗はなかったはず。
午前11:06 · 2020年9月9日

流石にチェコの上院議員も、「中国がチェコを恫喝したせいで余計にEUに反中意識が広がる」までは最初から予想してなかったでしょうし、そこは運が良かったのだと思われます。しかし、「私は台湾人である」は戦略的に考えて使われた神の一手だったのは、間違ってないでしょう。凄いですよね…
午前11:11 · 2020年9月9日

(コメント)中国の歴史意識と欧州の歴史意識の違いが、クッキリと浮き立つような事件だったように思います

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twitterで見かけたステキ画像

埋もれてしまうと見つけにくいので、ツイッター引用メモ

■圧巻!天狗の火渡り。燃え盛る炎を天狗が走り抜ける。祓い清めの神事。
https://twitter.com/katuka2/status/1039831321315430400

■流砂にハマってしまったら…脱出法
https://twitter.com/DiscoveryJapan/status/1034395168261189632
流砂の底は泉が湧き出しているため、ほぼ、泥土で出来た落とし穴である。もがけばもがくほど深みにハマる。そのうち直射日光で弱り、死ぬ。脱出するには、まず水の上を泳ぐように上半身を倒し、足を泥の上に出すことがポイント。足は重いが、焦らず時間をかけて頑張る。両足とも泥の上に出したら、両腕で泥をかいて、無事な地面の上に這い出る、という方法になる。服は砂でジャリジャリしていて、下手すると破傷風などの感染症リスクが大きい。必要によっては服を脱いで、出来るだけ泥を落としておく。それから移動するのがベター。

■アーサー・ラッカム画1902年、魔法使い。タロット隠者と愚者が混ざったような。
https://twitter.com/valet_de_coupe/status/1217040033091219456

■木と雪とワタリガラスの写真
https://twitter.com/akanbird/status/1211084997542572033

■コマツのパワーショベル(動画)瓦礫をかぶっても平気で動き続ける!
https://twitter.com/safetyphoto/status/1216083617283297282

■トルコの羊飼いの伝統的な外套「ケペネク」フェルト製、寝袋スタイル。
https://twitter.com/r2d2c3poacco/status/1204525935594065921

■天才ダヴィンチ、500年前の設計の橋が合理的過ぎた
https://www.gizmodo.jp/2019/10/bridge-leonardo-da-vinci-designed.html

■琵琶湖の絶景写真。夜のオーロラを思わせる。鏡のように静かな湖面。
https://twitter.com/TakahiroBessho/status/1174627309451497472

■ネパールの田舎を走るトラック。滝が道路を流れる所も。命知らずの道。
https://twitter.com/ryusaiogushi/status/1167913344549830656

■アンティーク、アラビア語のアストロラーベ。300年前の実物。
https://twitter.com/LECURIOarts/status/1055372612451295234

■フレイヤ女神の猫チャリオット。
https://twitter.com/MuseeMagica/status/1163626786212601856

■フレイヤ女神の猫チャリオットの猫。ノルェージャンフォレストキャット。
https://twitter.com/torachi_touken/status/1163696078849368064

■ロシア連邦マダガン州産、石鉄隕石(セイムチャン・パラサイト)
https://twitter.com/gaina4087/status/925619073127391232

■道化師に扮した猫のイラスト
https://twitter.com/MuseeMagica/status/1084266493884264448

■仏像、松本波田の盛泉寺、不動明王。大迫力の迦楼羅焔。
https://twitter.com/shirasuke/status/1134007366033108992

■特撮、仮面ライダー、無人島基地の撮影。火薬を使い過ぎて島の形が変わった
https://twitter.com/mimoronoteikoku

■戦後、祖父がコスプレした理由が壮絶過ぎた
https://twitter.com/Computerozi/status/553079222856470528
https://ure.pia.co.jp/articles/-/29334

■阿弥陀様、超高速でリツイート
https://twitter.com/kakenavi/status/842544283865374720

■坂本龍馬と中岡慎太郎の暗殺シーンをシルエット再現、北辰一刀流玄武館監修
https://twitter.com/shinsengumiken/status/873520243892641792

■廃墟VillaMaria(イタリア)、ヴィクトリアン・グリーン・ハウス、温室
https://twitter.com/miwo_69_star/status/877205117576986624

■古書、ページの間に防虫効果のあるイチョウの葉が挟んである
https://twitter.com/kosho_gessekai/status/926312271839600641

■ショットガン射撃描写、写真資料
https://twitter.com/koburou/status/931756676360708096
http://kuulapaa.com/home/highspeed/Misc.html

■イランの霊廟「シャー・チェラーグ廟」グリーン内壁、多数の鏡による装飾あり
https://twitter.com/BellissM/status/941696965217198080

■スペースXの打ち上げ画像、下部ロケット切り離し夜空を横切ってゆく様子(動画)
https://twitter.com/noriko_kj/status/944382934181482496

■H2ロケット打ち上げ、飛行機からの目撃写真
https://twitter.com/shiro_stamemo/status/944932925459480576

■早朝の富士山、三角の影、ふもとの広野に落ちている(15マイル/23km)
https://twitter.com/ogugeo/status/961729766163283968
https://www.dailymail.co.uk/news/article-2716427/In-shadow-Mount-Fuji-Darkness-cast-Japan-s-highest-peak-captured-spreading-15-miles-valley-stunning-photograph-dawn.html

■濃霧に覆われた山頂付近、一瞬だけ雲が切れて現れた銀河中心部。一期一会の写真
https://twitter.com/m_roadster/status/995587293447471106

■鯛の骨。鳴門骨。強い潮流で疲労骨折、そのたびに修復強化されて太くなったもの
https://twitter.com/o_johnnie_o/status/1010486286497378304

■世界の幽霊屋敷の写真
https://twitter.com/NatGeoMagJP/status/1015197509440790528

■遊郭だった旅館の写真(当時は、まだ現役である)
https://twitter.com/6jigen/status/1024213177448296448

カルロス・ゴーン不正出国に関する時事ニュース・メモ[2]

ベイルート大爆発でゴーン被告宅も被害 ブラジル紙(時事通信2020.08.05)

ブラジル紙エスタド・デ・サンパウロは4日、レバノンの首都ベイルートで発生した大爆発で、日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(66)の自宅が被害を受けたと報じた。
ともに暮らす被告の妻キャロル容疑者=偽証容疑で逮捕状=が同紙に語った。
キャロル容疑者は「みんな無事だったが、家は破壊された。ベイルート全域が破壊された」と述べた。ゴーン被告の自宅はベイルートの高級住宅街にある一軒家で、爆発のあった港からは約5キロ離れているという。

因果応報 ゴーン軍団「チーム国外逃亡」の痛い末路
https://forbesjapan.com/articles/detail/32692

Forbes JAPAN 編集部2020/03/02 17:00

高級リゾート地でスキーを楽しんだり、夫婦で芸術祭にでかけたり。日本を違法脱出して以来、カルロス・ゴーン被告が逃亡生活を満喫する報道が相次いでいる。しかし、カネさえあれば、司直の手から本当に逃げ切れるのだろうか。
外堀を埋められるかのように、国外脱出を手助けした「チーム国外逃亡」が苦境に陥っている。脱出作戦を遂行した元傭兵とプライベートジェット会社、それぞれの隠された過去があちこちで露呈し、立場が悪化する展開に陥っているのだ。
まず、Forbes JAPAN編集部が入手したのは、プライベートジェット会社「MNGジェット」の経営に関する情報である。MNGはゴーン一行を関西空港からトルコのイスタンブールまで運んだプライベートジェットの会社だ。トルコの大財閥が運営している。同社は外部の関係者に「ゴーン事件で風評被害に遭っている。客が集まらない」と、収益悪化の相談を行っている。なぜゴーン逃亡の片棒を担いだら経営に響くのか。実は「悪評」が立つだけの理由があった。
MNGは、一代で財を成したトルコのMehmet Nazif Gunal(メフメト・ナジル・ギュナル)の頭文字からとった名前である。Forbesのビリオネアランキングにも名を連ねるギュナルは、中東一帯で建設業を営み、コングロマリットを形成。エネルギー産業、リゾートホテル、観光産業、金融、そしてアフリカのブルキナファソとリベリアに金の鉱山を所有している。
さらに付け加えると、トルコの強権的で言論弾圧で知られるエルドアン大統領と「唯一、親しいと囁かれる」関係だという。
ゴーン逃亡のニュースをきっかけに、MNGの過去の怪しげなフライトが次々と報道され、同社のプライベートジェットを利用していた人たちが利用しにくくなっているという。
利用者の代表格が、アメリカから経済制裁を受けているベネズエラ政府である。マドゥロ大統領は反米独裁であり、アメリカのボルトン大統領補佐官(その後、辞任)から「残虐」「ならず者」と非難されてきた。産油国ベネズエラは国営石油会社も経済制裁の対象とされており、ベネズエラと取引のある国や企業に対してアメリカ政府は警告を与えている。
経済的に困窮する中、マドゥロ大統領は現金を獲得するため、金塊を海外に密かに運び出して現金化を指示。金塊の「運び屋」的な役割を担っていた飛行機こそ、関西空港からイスタンブールまでゴーン一行を乗せたMNGのジェット機だった。つまり、国外脱出用の飛行機は、制裁をかいくぐって金塊密輸を行っていたジェット機だったのである。LAタイムズによると、何度も運ばれた金塊はトンの量だったという。
それだけではない。昨年3月、ベネズエラでは野党指導者が呼びかけて、大規模な反政府抗議デモが起きた。治安部隊が出動し、政情が不安定になると、マドゥロ大統領を支持するグループが大統領を一時的に国外脱出させようとした。
このとき、脱出用の飛行機としてモスクワ経由で首都カラカスに降り立ったのが、金塊用に使っていたMNGの同じジェット機だった。結局、大統領は国外脱出しなかったものの、アメリカの国務長官がこの計画を暴露。国外脱出は大統領ではなく、その後、ゴーンの脱出に使われることになる。
MNGのジェット機は輸送物の中身に目をつむり、危うい輸送を請け負ってきたわけだが、ゴーン一行を関西空港からイスタンブールに運んだ後、一行はレバノン行きの飛行機に乗り換えている。こちらもMNGが運用するプライベートジェットだった。これがさらなる黒い履歴をもつ。
レバノン行きのジェット機TC-RZAの元所有者は、2016年にマイアミでFBIにマネーロンダリングと銀行詐欺で逮捕された実業家、レザ・ザラブだった。
現在36歳のレザ・ザラブはイラン生まれで、トルコを拠点にビジネスを行っていた。妻はトルコの有名な歌手である。レザはエルドアン大統領と親しいと言われ、彼は経済制裁下のイランから天然ガスと石油をトルコに向けて、密かに輸出する取引を行っていた。
経済制裁下にあるためドルやユーロでの取引ができない。そこで無刻印・非登録の金塊を使って、イランと取引を行ったのだ。発覚するや、トルコのエルドアン政権を揺るがす一大スキャンダルとなり、レザがアメリカから「闇商人」と呼ばれた。起訴後、レザは懲役75年を求刑されており、現在公判中だ。彼が犯罪に使用していた飛行機に乗って、ゴーン一行はトルコからレバノンに飛ぶのである。
MNGの過去の行為から見えてくる問題は、カネをもった特権階級であれば、法律の抜け道が用意されている、という点だ。一連の事情に詳しい香港の危機管理・安全警備専門会社Blackpandaの顧問、デイビッド鈴木はこう話す。
「プライベートジェット機に対するチェックが甘いのは、VIPは危険ではないという大前提があるからです。だから、手荷物など保安検査が緩く設定されています。一方で、VIPは秘匿性を好む。プライベートジェットのMNGはここをうまく利用して、VIPのために、あえて細部には目を閉じて、抜け穴を意図的につくっているのです」
法が支配する世界でありながら、多額のカネを支払う人には航空行政もプライベートジェットも目をつむるという不公平な世界がグローバルに構築されているのだ。
MNGは「搭乗者名簿など公式書類にカルロス・ゴーンの名前はなかった」と釈明。だが、小型のジェット機内で乗客数が名簿と違うのであれば、乗務員は気づくはずである。脱出後の騒ぎを受けて、1月1日に同社は「内部調査によって、1人の社員が独断で記録の改ざんを行っていたことがわかった」と発表。飛行機を悪用されたとして、ゴーンを刑事告訴した。
しかし、この事件を調べている情報機関関係者からは「被害者ヅラを演じている」と見られている。トルコ当局もパイロット4人を拘束。ゴーンを搭乗させたことで悪目立ちしたうえに、「風評」が広まり、利用客に影響。自業自得の末路だといえるだろう。
同じくチーム国外逃亡の面々も「悪のコネクション」が発覚している。日本に潜伏して、逃亡ルートを策定した元グリーンベレー部隊のマイケル・テイラーは、チームの中心人物。すでにテイラーの過去は報道でも明らかになっている通り、FBIへの賄賂と詐欺罪で逮捕・服役した過去がある。
調査している当局の関係者によると、「日本人はグリーンベレー出身という経歴からハリウッド映画に出てきそうなサバイバルの達人を想像するかもしれません。しかし、テイラーは、賄賂など袖の下を使った手法でビジネスを行ってきたと見られています」と言う。そして、さらに賄賂以上にアメリカ人にとっては衝撃的な「悪のつながり」がフィナンシャル・タイムズとウォール・ストリート・ジャーナルによって明らかになった。
ジョニー・デップ主演の映画『ブラック・スキャンダル』(2015年)をご存知だろうか。ボストンの犯罪組織のボス、ジェームズ・バルジャーの実話を映画化したものだ。バルジャーは「ホワイティ」と呼ばれ、1970年代から90年代半ばまで、やりたい放題に犯罪を繰り返していた。
サイコパスの殺人者であり、逮捕されそうになると1995年に国外に逃亡。FBIから最重要指名手配に指定され、2011年に逮捕されるまで、実に16年間にわたって逃亡生活を送っていた。バルジャーは麻薬取引や恐喝、そして19件の殺人で起訴され、18年に獄死した。
バルジャーの犯罪が全米を騒がせる大スキャンダルに発展した理由は、一つは弟がマサチューセッツ州上院議長という大物政治家であったこと(犯罪には関与していない)。もう一つが、FBIの捜査員、ジョン・コノリーと癒着していたことだ。コノリーはマフィアの情報を提供してもらう代わりにバルジャーの凶悪犯罪に目をつむった。
バルジャーは「FBIの協力者」という立場を悪用して、暴虐非道の犯罪を繰り返したのだ。バルジャーへの捜査が始まろうとすると、FBI内部でコノリーが捜査の妨害を行い、告発者たちが消される悲劇が続くようになる。
FBIのスター捜査官だったコノリーの悪行が次々と明らかになると、メディアは大騒ぎとなった。コノリーは逮捕され、殺人罪などで懲役40年の判決を受けた。彼は現在服役中である。このコノリーと親しい付き合いがあったのが、ゴーンの国外逃亡の中心的役割を果たすマイケル・テイラーであった。1994年にボストンで警備会社を立ち上げたテイラーのビジネスを、コノリーが手伝っていたのだ。その手伝いは99年にコノリーが逮捕されるまで続いたという。
こうしてゴーン軍団の「チーム国外逃亡」からは出るわ出るわと、世界の悪いつながりが次々と数珠つなぎで浮上する。では、テイラーはどうやってゴーンを日本から脱出させたのか。その一端がForbes JAPANの取材で明らかになった。
2018年4月にゴーンが保釈された後、日時は定かではないが、テイラーは来日。彼らがチームを編成して行ったのは、ゴーンを監視する者がいるかどうかだった。テイラーたちはゴーンを尾行する二組の存在を発見する。一つは日産が依頼した警備会社である。24時間体制でゴーンを尾行し、日産の関係者と会って証拠隠滅を図らないか、警備会社は密かに監視をしていた。
ゴーンの弁護人、弘中惇一郎弁護士はこれを「重大な人権問題」と訴え、昨年7月に刑事告訴すると表明。これによって、テイラーたちの「邪魔者」が一組消えた。しかし、残るもう一組は誰なのか。
ゴーンを尾行・監視するもう一組とは、東京地検の関係者であった。ゴーンを尾行する検察関係者を、その背後からテイラーのチームが尾行する。そこでテイラーたちは気づいたという。時々、ゴーンが外出して、六本木のグランドハイアットホテルに行くと、尾行していた検察関係者はホテルの中にまでは立ち入らないのだ。
テイラーたちはそこでこう考えたという。「だったら、ホテル内でゴーンと会っても、ばれることはない」と。ゴーンの保釈条件には、誰と面会したか記録する義務がある。だから、彼らはなかなか相談をする場所がない。しかし、ホテル内であれば、ゴーン本人と面会しても監視されていないため、ばれない。
ちなみに、テイラーの息子、ピーター・テイラーは弘中弁護士の事務所内でゴーンと会っており、検察は「逃亡の打ち合わせを事務所内で行った疑いがある」と見ている。ホテルと事務所、どちらで打ち合わせをしようがしまいが、テイラーたちは「抜け道」を見つけ、さらに関西空港とMNGジェットという次の抜け道を用意するのである。
こうして一連の国外脱出を見ていくと、もともと公然と抜け道が存在するため、逃亡自体はそう難しいものではなかったことがわかる。しかし、脱出は成功したものの、明かしたくなかったテイラーの過去が白日のもとにさらされたうえ、アメリカ世論の嫌われ者、ジョン・コノリーとの付き合いまでが報じられた。犯人隠避の容疑で逮捕状も出ている。もはやマサチューセッツ州の自宅に帰ることはできないだろう。
一方、フランスの検察は、ゴーンによるルノーから資金流用やマネーロンダリングの疑いが強まったとして、裁判所に予審手続きの開始を発表した。「チームゴーン」が悪い方向に転がっているように、ゴーンの未来も決して明るいとは言えないのではないだろうか。