忍者ブログ

制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

2019年9月のイラスト制作

《ファンアート絵》

◆2019.09.21公開

『アール・ブレイド ~メルビアンの老騎士と姫君~』(秋原かざや様・著)
https://ncode.syosetu.com/n7270bm/

意外に読みやすく、分かりやすかったです。

ハッピーエンド好きな読者としては少しモヤモヤが残りましたが、「ビターな大人展開」という意味では、納得できる結末であったと思います。

遠未来の宇宙戦闘用の巨大人型ロボット・アクション物だったらしい、と言う事は、最後の対決シーンを拝読するまでまったく気づかなかったのですけど…(滝汗)、スピードアクションの描写がシッカリしていて、ストーリーラインも絞られていて、楽しめました。

サイバー超人なハッカー・キャラが面白かったです。姿かたちや所作の描写が妙に鮮烈で、記憶に残りました。「おおぅ、こういう不可思議な外見も場合によってはアリなのか!」と、ビックリしました。

*****

◆2019.09.22公開

普通より長い「ダッシュ記号(――――)」が多く出て来る影響なのか、独特なリズム感が個性的だなと思いました。

才能豊かな調香師ドーラ嬢18歳、謎の香り成分を突き止める探偵みたいなことをやってますね。ビックリな大活躍。作業部屋でのアレコレ、じーっと注目。

「香り」を重要な小道具とする現場訪問ミステリ物の一品として、楽しませて頂きました。
※2019/09/06「祝福あれ、少女よ(https://ncode.syosetu.com/n5413fn/17/)」話まで読了した時点での感想。

特に、ドーラ嬢が作業室の中で、香りの正体を突き止めようと様々な実験作業をしているシーンが印象に残りました。湯煎鍋の中を注意深くかき回すところ、神秘的な魔女みたいでした。

この世界の中では、調香師は、薬剤師や医師、弁護士と同じくらい高い地位を得ているようで…ビックリ&面白く思いました。正装の方も、白衣に黄色のアザミのピンバッジ、想像してみて、お、オシャレ~と思いました(丈の長いタイプのコックコート風だったら、更に萌える)。

「第一調香師のみが着けられる」と言う誇りのピンバッジは、スコットランド・アザミの紋章の、レトロ風な感じ(盾にアザミのモチーフを描くタイプ)のブローチやピンバッジに似ているのかなと思いました。

PR

詩歌鑑賞:リルケ「秋」他

◆Herbst

Die Blätter fallen, fallen wie von weit,
als welkten in den Himmeln ferne Gärten;
sie fallen mit verneinender Gebärde.

Und in den Nächten fällt die schwere Erde
aus allen Sternen in die Einsamkeit.

Wir alle fallen. Diese Hand da fällt.
Und sieh dir andre an: es ist in allen.

Und doch ist Einer, welcher dieses Fallen
unendlich sanft in seinen Händen hält.

◇秋(リルケ作)

木の葉が落ちる、落ちる、遠くからのように、
天の彼方の庭園が枯れたかのように。
木の葉は否定の身振りをしながら落ちる。

そして夜々には重たい地球が落ちる、
すべての星の間から孤独の中へ。

私たちはみな落ちる。ほらこの手も落ちる。
他のものをみてごらん。落下はすべての内にある。

しかし一者が、この落下を
限りなくやさしくその両手で支えている。

詩歌鑑賞:ボードレール「梟」

《上田敏「海潮音」による翻訳》

梟(ふくろふ)/シャルル・ボドレエル

黒葉(くろば)水松(いちゐ)の木下闇(このしたやみ)に
並んでとまる梟は
昔の神をいきうつし、
赤眼(あかめ)むきだし思案顔。

体(たい)も崩さず、ぢつとして、
なにを思ひに暮がたの
傾く日脚(ひあし)推しこかす
大凶時(おほまがとき)となりにけり。

鳥のふりみて達人は
道の悟(さとり)や開くらむ、
世に忌々(ゆゆ)しきは煩悩と。

色相界(しきそうかい)の妄執(もうしゆう)に
諸人(しよにん)のつねのくるしみは
居(きよ)に安(やすん)ぜぬあだ心。