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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

タロット02女教皇

タロット02女教皇

カード・メッセージ=「知恵」

主な意味=先見の明、静謐、奥ゆかしい、良識ある判断、心の豊かさ、洞察、潔癖、ひらめき、均整、知性的、精神的、繊細な感受性

「知恵の泉」としてもイメージされるカードです。爾来、魔術師のカードが「創造のスパーク、知識の炎」のイメージで感受されてきたのに対し、女教皇のカードは「水」を湛えたイメージで感受されてきたカードでした

不思議な聖杯から、泉のごとく無限にあふれ出す叡智…というイメージで描画

聖杯から流れ出した水は、やがて闇の中に繊細な綾模様を描き…人間の感受性は、その綾模様に神秘的かつ豊穣な意味を見出す。知恵やひらめきが何処から来るのかは分かりませんが…昔の人が詩的に表現したように、それは霊的な水の形をして流れ、宇宙の彼方から人の意識の中に到来してくるものである…と考える事は、今でも可能であります

「知恵」は、「知識」のように羅列して検討する事も組み立てて論じる事も出来ないものですが、確かに原初から存在してきました。物事の本質を精密に指し示し、的確に把握し、適切に判断する基本となる…その不思議な力は、多くの思想家が認めてきたところであります

知恵にもいろいろありますが、タロットカード「女教皇」と付き合ってみる限りでは、「家庭的な暖かな知恵/生活の知恵」というよりは、「冷静でクールな知恵/透徹した識見」を象徴していると感じます。女性の性質を持つカードではあるものの、「高度に透明で、中性的なものである」と言って良いかも知れません

この女教皇のカードは、逆位置になると、ヒステリー、過敏、ストレス、高すぎるプライド、ムラが出る、意地が悪い…などなどの意味となりますが、いずれにしても、繊細な感受性や知的精密さを本質とするが故の裏返し…とも申せましょう

☆タロット連作&解釈の一覧を作成=〔ホームページ更新2013.6.14

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2009.12.27ホームページ更新

深森の帝國ホームページに、考察エッセイをひとつ追加しました。

物語ノ時空セクション/近代精神の底に…知性の勝利と霊性の敗北
=直通アドレス=[http://mimoronoteikoku.tudura.com/garden/legend/byzantine.html

>>参考記事(書籍の読書記録)

このエッセイの原形を思いついたのが1ヶ月前なので、考察の文章を練るのに1ヶ月くらいかかった訳で、何だかとんでもない難産でありました(イメージ原形までさかのぼると、2009年夏になります)。

ふと思い立って大室幹雄・著『劇場都市』を読んでみたら、その後でにわかにインスピレーションが湧いたのか、自然に文章が出てきました。

これにはとっても驚かされた…と同時に、東西の教養に広く通じておられる人の緻密な文章を読むというのは、やっぱり色々な意味で、ものすごく刺激になるのだなあ、と実感しています…^^ゞ

リーメンシュナイダー小話

★ティルマン・リーメンシュナイダーという中世ドイツの神秘主義彫刻家★

ヨーロッパ中世の神秘思想を論じた各種文献をつらつらとめくっていると、気になる名前に出会いました。

中世ドイツの彫刻家、ティルマン・リーメンシュナイダー(1460-1531)。

彼は神秘主義に生きた芸術家であり、彼の彫刻はいずれも、深い観照の体験から来る稀有の完成度に達している作品なのである…と、評価されています。ロマンチック街道沿いに多くの作品を残しておられるそうです。

特にリーメンシュナイダーの神秘主義思考がよく表現されているといわれる作品が、「ロザリオの中のマリア(薔薇の花冠の中のマリア)」と呼ばれる作品だという事です。

ドイツ語では多分、「Maria im Rosenkrantz」と綴られている作品。この作品で扱われている薔薇の象徴性は、うっすらと、錬金術的-宇宙思想における薔薇の象徴性とも、微妙につながっているような…という気配が感じられるのだとか…^^

ちょっと驚いたのが、あの井筒俊彦氏が、中世ヨーロッパの神秘思想にも踏み込んで論じておられる事でした。

今後の勉強のために、気になるくだりをメモ:

〝歴史的概念としての《Mystik》は、イオニアの自然体験および密儀宗教に端を発するヘレニズムと、旧約聖書に端を発するヘブライズムの二大宗教思潮が基督教を通じて相合流し、中世カトリック教会の盛時を経て近世に入り、ついに16世紀スペインのカルメル会的神秘主義に到って絶頂に達する観照精神の長くかつ複雑な伝統である〟

呪術的・魔術的な色彩はむしろ、神秘主義そのものにとっては邪道であるらしいのですね^^;

〝・・・西欧の神秘主義に関する限り、プラトニズムはギリシアにおいてはついに完結せず、かえって基督教の観照主義によって真に窮極の境地にまで到達するものである・・・〟

…もし、こういったものが西洋人のミスティックの伝統だったのであれば、今の魔術的色彩の濃い西洋文明のありさまは、いったいどういう訳であるのか…はなはだ疑問に思えてまいります。

この辺りは、自分でも整理しきれていませんし、大した結論は出せておりませんが…;^^ゞ

(ご紹介)アムゼルくんの世界(Die Welt des Amselchens)-2010.1.25エントリ「内と外」に、リーメンシュナイダーの弟子と言われている人の、彫刻作品の写真が載っています。リーメンシュナイダーの芸風がよく継承されていると思います…^^