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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

2022年7月の個人的な注目時事ニュース集

■安倍氏たたえる決議採択 米上院で全会一致(産経新聞2022.07.21)
https://www.sankei.com/article/20220721-SN7IHOLCRFPIVOIQS7WFNJMSA4/

米上院は20日、銃撃されて死去した安倍晋三元首相をたたえる決議案を全会一致で採択した。安倍氏を「一流の政治家で民主主義の価値の擁護者」と評価し、「日本の政治、経済、社会、そして世界の繁栄と安全保障に消し去ることのできない足跡を残した」とした。
決議は前駐日大使のハガティ上院議員ら70人近い議員が13日に共同提出。安倍氏が「自由で開かれたインド太平洋」の考え方を広めたことに触れた上で、現在の日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」の基礎となる構想を推進したと強調した。米大統領とともに日米同盟を強化し、北朝鮮の非核化や日本人拉致問題の解決にも精力的に取り組んだと指摘した。
「米国は偉大な友人を失った」としながらも「そのリーダーシップにより、日米が世界中で自由、繁栄、安全を促進し、専制主義や独裁政治に対抗するため今後数十年にわたって協力する基盤が築かれた」と締めくくった。(共同)

(コメント:この決議の意義は重大。安倍元首相の功績と考えられる点…1、アメリカにとって対等かつ敬意を表する相棒ないし好敵手としての日本の地位の確立、2、民主主義を守り抜くという迷いのない姿勢への評価、3、アメリカ上院下院ともに一致して安倍元首相という傑出した人材への国家最高レベルの評価をなさしめた)

【以下、過去記事ですが、安倍元首相のベストショット写真リンクを兼ねて】
アングル:安倍政権、歴代最長も果たせぬミッション 憲法改正の夢(ロイター2019.11.18)
https://jp.reuters.com/article/japan-abe-legacy-idJPKBN1XS0H0


●ECB、0.5%利上げでマイナス金利脱却 市場安定化措置決定(2022.07.21ロイター)
https://jp.reuters.com/article/ecb-rates-idJPKBN2OW15H

欧州中央銀行(ECB)は21日、2011年以来となる政策金利の引き上げを決定するとともに、市場安定化に向けた新たな債券買い入れ措置を承認した。
政策金利は0.5%ポイント引き上げた。記録的な物価高を受け、引き上げ幅は前回の理事会で示唆した0.25ポイントの倍にした。この結果、リファイナンス金利が0.50%、中銀預金金利がゼロ%、限界貸出金利は0.75%に引き上げられた。
11年ぶりとなる利上げについてECBは声明で「今後の政策理事会で一段の金利の正常化が適切になる」と表明。「今日の決定でマイナス金利を脱し、理事会は金利決定について会合ごとのアプローチに移行できる」とした。
また多額の債務を抱える南欧の金利が上昇することによる「域内格差」を是正する新たな債券買い入れ措置、伝達保護措置(TPI=Transmission Protection Instrument)」を発表した。
TPIの運用について「買い入れ規模は、政策伝達上のリスクの深刻度による。買い入れに事前の制約はない」とした。

(コメント:ガス供給が少なくなっているという話があり。スタグフレーションの気配も漂い始めたところで、将来の見込みは厳しそうです。でも、当座の急激なインフレを抑えるべしという見方が大勢であった模様。利上げという事は、クレジットカード決済やローン返済の時の利率も上昇するという…借金を抱えている人には辛いかなと思われ…)

●情報機関・検察トップ解任 職員がロシアに協力疑い―ウクライナ(時事通信2022.07.18)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022071800157

ウクライナのゼレンスキー大統領は17日のビデオ演説で、バカノフ保安局(SBU)長官とベネディクトワ検事総長の解任を発表した。SBUや検察の多数の職員が、ウクライナ侵攻を続けるロシアに協力している疑いのあることを解任の理由に挙げた。
ロシアによる侵攻開始以降、治安機関トップの交代は初めてで、2人同時は異例。長期戦をにらみ、戦時体制の立て直しを図った形だ。
ゼレンスキー氏は演説で、国家反逆やロシアへの協力の疑いで検察職員らの捜査を進めているケースが651件に上ると明かした上で、「60人以上の職員が占領地にとどまり、わが国に背く活動をしている」と指摘。「国家安全保障の基盤に対するこうした一連の犯罪」は「関連機関のリーダーシップに極めて深刻な疑義を突き付ける」と述べ、解任の決断に至ったと説明した。

「ロシアへの内通者発見」 ゼレンスキー大統領、保安局トップを解任(ロイター2022.07.19)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b7fd507dc741a244dd37badf529bfba9b307af7e

ウクライナのゼレンスキー大統領は7月18日夜、保安局(SBU)のバカノフ長官とベネディクトワ検事総長を解任した。ロシア軍に制圧された地域でSBUと検察の職員らがロシアに協力するなど、国家反逆行為があったとしてトップに引責させた。
ゼレンスキー大統領「ウクライナ保安局に関する重要なニュースがもう1つある。職員の人事監査を行っており、28人を解雇する可能性がある。さまざまなレベルや角度から解雇を検討しているが、理由はどれも似ている。職務遂行能力が十分でないことだ。わが国の軍隊はロシア軍の後方支援に多大な損害を与えることができた。ロシア軍が占領地の拠点を維持することはますます難しくなっている。内通者を突き止め、無力化しながら一歩一歩前進する。展望は明確だ。この国のすべての都市と村にウクライナ国旗が掲げられるだろう。それは時間の問題だ」

(コメント:ロシアの内部混乱もいろいろ聞こえてくるところですが、ウクライナ側の内部混乱も激化している模様。敵性の文化活動の排除や野党の締め出しなど、ウクライナ内部闘争が広がっているのかなと思案。国家の結束にヒビ入っても不思議では無く。ウクライナ崩壊のリスクもありそう)

●ウクライナ議会、ロシアの音楽と出版物の禁止法案可決(ロイター2022.06.20)

ウクライナ最高会議(議会)は19日、ロシアの音楽を放送したり公共の場で流したりするのを禁じる法案を可決した。1991年のソ連崩壊後にロシア市民権を獲得した者の演奏が対象。ロシアやベラルーシ、ウクライナのロシア占領地域からの商業出版物の輸入を禁じる法案も可決した。
一方で、テレビやラジオでのウクライナ語放送やウクライナの音楽の枠を増加させる。ソ連崩壊後のロシア市民権獲得者が同国パスポートを放棄してウクライナのパスポートを取得すれば、執筆物の出版を認める。法案はゼレンスキー大統領の署名を経て成立する見通し。

●ウクライナ、親ロ政党の活動禁止 資産差し押さえ(AFPBB、2022.06.21)
https://www.afpbb.com/articles/-/3410628

ウクライナの裁判所は20日、国内最大の親ロシア派政党「野党プラットフォーム―生活党(Opposition Platform-For Life)」の活動禁止と国内資産の差し押さえを命じた。デニス・マリュスカ法相がSNSへの投稿で発表した。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は3月、ロシアの侵攻を受けた措置として、治安当局により親ロ派と特定された政党の活動を禁止する命令に署名していた。
マリュスカ氏によると、差し押さえられた資産は国庫に移される。このほか、ウクライナの国家安全保障を損なっているとみなされた親ロ派10政党が活動を禁止された。
「野党プラットフォーム―生活党」は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のウクライナ最大の支持者と目される大富豪ビクトル・メドベチュク氏が2018年に設立。19年の議会選挙ではゼレンスキー氏の与党に次ぐ第2党となり、今年3月に活動を禁止されるまで約30議席を保持していた。メドベチュク氏は国家反逆の疑いで拘束されている。

●親ロシア派が拘束の英国人男性死亡 病死と主張 英国政府「問題を緊急に提起」(TBS NEWS DIG Powered by JNN、2022.07.16)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0d8cf21aae774b1fe621680e22c0729dce0bbfcf

ウクライナ東部の親ロシア派は15日、拘束していたイギリス人男性が死亡したと発表しました。これを受けてイギリス外務省はロシア外務省などに対し「問題を緊急に提起している」としています。
インタファクス通信によりますと、親ロシア派武装勢力「ドネツク人民共和国」は拘束していたイギリス国籍のポール・ユーリーさんが10日に死亡したことを明らかにしました。
親ロシア派側はユーリーさんについてウクライナ側の外国人傭兵だったとしていて、死亡の理由について「持病の悪化とストレスが原因」だと主張しています。
イギリスBBCによればユーリーさんが「死亡した」との発表を受けてイギリス外務省は「ウクライナ当局およびロシアの外務省に対してこの問題を緊急に提起している」と述べました。
またイギリスに駐在しているロシア大使を呼び出しました。
ユーリーさんは今年4月、ウクライナ南部ザポリージャ州で住民を避難させる活動を行っていた際に、親ロシア派の検問所で別のイギリス人男性とともに拘束されたと見られています。
その後、ユーリーさんが手錠をされた状態でイギリス政府やイギリスメディアを批判する様子がロシアのテレビで流れましたが、ユーリーさんの2人の娘はイギリスメディアに対して「父がそんなことを言うとは思えない」と述べていました。
ユーリーさんは糖尿病を患っていて、インスリンを持ち歩いていたということですが、人道支援団体は、親ロシア派側が、国際赤十字などの支援機関がユーリーさんに会うのを拒否したと主張しています。

(コメント:ロシア・ウクライナ停戦へのプロセスが更にこじれるという、よろしくない影響が出て来そうな。英国ジョンソン首相が首相の座を降りる決意をした、とのニュースの直後というタイミングも、なんだか凄すぎ、と申しますか…すでにグダグダ・ゴチャゴチャで、うらみ骨髄、見通し真っ暗、という段階なのかも知れませんが…)

●停泊中の海保巡視船から機関砲8発を陸へ誤射 けが人なし(2022.07.19,TBS-NEWS-DIG)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/99342

海上保安庁の巡視船が沖縄・伊良部島の基地に停泊中、誤って機関砲の実弾8発を発射し、松野官房長官は、徹底した調査と原因究明を行う考えを示しました。
松野官房長官
「宮古島海上保安部に所属する巡視船が基地において停泊中に、搭載する20ミリ機関砲の点検作業を行っていたところ、誤って実弾8発が発射されたとの報告を受けています」
宮古島海上保安部によると、きょう午前11時10分ごろ、沖縄・伊良部島の長山港に停泊していた巡視船「しもじ」で、搭載されている20ミリ機関砲の点検中に、誤って実弾8発が陸地に向け発射されたということです。
松野官房長官はきょう(19日)午後の会見で、「これまでのところ、人的被害や民間施設への物的被害は確認されていないと聞いている」と述べています。
そのうえで松野長官は、「このような事故が発生したことは大変遺憾」とし、海上保安庁で徹底した事実関係の調査と原因の究明を行うべきとの考えを示しました。

(コメント:尖閣諸島あるいは台湾・沖縄あたりの、将来の極東有事の可能性を連想させるところ。情報戦なのだろうなと思案してみる)

●米下院議長が来月訪台 日本にも 英紙報道(時事通信2022.07.19)
https://news.yahoo.co.jp/articles/5cec47956d16a469f7efd0df4de3ed8d09c4b020

英紙フィナンシャル・タイムズは19日、関係者6人の話として、ペロシ米下院議長が8月に台湾を訪問する計画だと報じた。同紙によると、日本、インドネシア、マレーシア、シンガポールも訪れる。
ペロシ氏の訪台は当初4月に予定されていたが、同氏が直前に新型コロナウイルス検査で陽性となり、延期されていた。中国は当時、訪台は米中関係に深刻な影響を及ぼすと警告していた。同紙によると、米政権内では、ペロシ氏の訪台の是非をめぐり意見が割れていた。一部の当局者は、ロシアのウクライナ侵攻から間もない4月の方が訪問を正当化しやすかったとみていたという。(ロイター時事)。

(コメント:そして、このタイミングで、台湾を米国要人が訪問する…妙に不穏な内容を予期させるところ)


●安倍元首相銃撃犯の怨恨の根、岸信介の統一教会接近とは──祖父の冷戦戦略の副作用に殺されたのか(現代ビジネス)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/97419

政治家は宗教側の「熱意」にあまりに鈍感
(前略)統一教会にかつての勢いはない。安倍政権が続いていた時代、勝共連合の機関誌である『世界思想』の表紙を安倍元首相がたびたび飾ったのも、あるいは統一教会がメッセージを求めたのも、なんとか勢力の挽回をはかろうとしてのことであろう。
安倍元首相は、祖父からの関係があるがゆえに、その要望に従ったのだろうが、それが容疑者を刺激することになった。
首相や元首相を利用しようとする宗教の側は必死であり、その効果に絶大な期待を寄せる。まさに創価学会の戸田がそうだった。
ところが、首相や元首相の側には、それが分からない。あるいは、その認識のズレが、思わぬ形で今回の出来事を生んだのかもしれないのである。

(コメント:真相に近いポイントを突いているかも知れない…)

●肥料、電気代の負担軽減へ 岸田首相「物価高騰、最大限警戒」 対策会合・政府(時事通信2022.07.15)
https://news.yahoo.co.jp/articles/3d31e58ab0e7f3e98ab866f81fe9143b24a9ed4d

政府は15日、「物価・賃金・生活総合対策本部」(本部長・岸田文雄首相)の第2回会合を首相官邸で開いた。
ロシアのウクライナ侵攻などに伴う物価高騰に対応するため、農産品の生産コスト上昇を抑える肥料の購入支援金創設や、電気料金の負担軽減を図る節電プログラムの実施などを決定。こうした対策の経費を賄うため、政府は月内に予備費の執行を決める方針だ。
岸田首相は会合で「世界的な物価高騰は依然として予断を許さない状況だ」と強調。その上で関係閣僚に対し「最大限の警戒感を持って、引き続き対応してほしい」と指示した。
農産品の支援金は、世界的に化学肥料の原材料価格が高騰していることから、肥料価格上昇分の7割を補填する仕組み。6月以降に購入した分までさかのぼって支給する。電気料金については、節電に協力した家庭にポイントを付与する電力会社の取り組みに参加を促すため、政府の支援で今夏にも参加登録者へのポイント付与を始める。

●柏崎刈羽、対テロ施設の計画了承 対策不備には言及なし―規制委(時事通信2022.07.13)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022071300529

原子力規制委員会は13日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)のテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」(特重)について、「新規制基準に適合している」とした審査書案を了承した。原子力委員会と経済産業相の意見を聞いた後、正式決定する。
柏崎刈羽原発をめぐっては、7号機の原子炉本体施設の審査は合格したが、侵入検知装置の故障が放置されるなどテロ対策の不備が相次いで判明。規制委が事実上の運転禁止命令を出し、再稼働に向けた準備が進められなくなっている。特重は同じテロ対策に関連する施設のため、審査の進め方に注目が集まっていたが、13日の規制委では不備についての言及は特になかった。

(コメント:原発再稼働へ一歩前進。岸田政権が、以前から原子力規制委員会に、審査をできるだけ急ぐよう声を掛けていたという話があり。委員会のほうでも、可及的速やかに作業を進めていた模様)

●LNG買い占める欧州 貧困国は電力不足に/欧州のガス需要が価格高騰を招き、アジアなどへの供給を奪う(ウォール・ストリート・ジャーナル2022.07.08、有料のため途中まで)
https://jp.wsj.com/articles/europe-scoops-up-lng-choking-off-power-supplies-in-poorer-nations-11657257346

ウクライナの戦争は、遠く離れた発展途上国の電力を奪う結果になっている。発電に使用される液化天然ガス(LNG)の世界的な供給が、ロシア産ガスの代替として欧州諸国に取り込まれているためだ。
パキスタンが実施した約10億ドル(約1360億円)のLNGの入札に対し、7日に応札が1件もなかった。同国当局が明らかにした。同国では発電所に供給するのに十分な天然ガスを輸入できず、企業や家庭は毎日、政府による強制的な電力停止に悩まされている。
船で世界中に運搬可能なLNGの価格は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で需要が抑制された2年前の底値から1900%も高騰している。現在の価格は、原油に換算すると1バレル=230ドルに相当し、現在の原油価格の2倍以上だ。LNGは通常、原油より安い価格で取引されている。

●ノルドストリーム、検査でガス供給停止 再開不透明(日本経済新聞、2022.07.11)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR114JT0R10C22A7000000/

ロシアとドイツをつなぐ天然ガスの主要パイプライン「ノルドストリーム」は11日朝、定期検査で供給が止まった。毎年恒例の検査で21日ごろまで続く予定だが、経済制裁やウクライナへの武器供与を理由に、ロシア側が検査終了後も供給停止を続ける恐れがある。
定期検査は、ノルドストリームを運営するロシア国営ガスプロムが遮断弁や圧縮機など設備や安全システムをチェックする。必要に応じて設備を補修するが、長くても約2週間で終えるのが通常だ。
ロシアのプーチン大統領は8日「制裁はエネルギー市場の破滅的な価格上昇につながり、欧州全体の家計に打撃を与える可能性がある」と述べた。ウクライナに自走式榴弾砲や防空システムの供与を決めたドイツをけん制した。
ガスプロムは6月中旬以降、ドイツ向けのガス供給量を、契約量の約4割に削減している。ガスプロム側はカナダで修繕していた設備が戻っていないことを理由に挙げていた。カナダ政府は対ロシア経済制裁を理由に設備の輸送に難色を示していたが、9日には許可すると明らかにした。
ドイツ政府は「検査終了後もノルドストリームの完全封鎖が続く恐れがあり、その可能性に向き合う必要がある」(ハベック経済・気候相)とロシアの報復措置への警戒を強めている。
ショルツ首相は11日、国内企業トップらと将来的な供給不足への対応について意見を交わした。ハベック氏は11日にチェコ、12日にオーストリアを訪れ、供給確保に向け連携する。
夏場のガス需要は小さく、供給減がすぐに電力不足につながる可能性は低い。ただ需要が拡大する冬場を前に、ガスの備蓄量を積み増しておきたい政府の思惑には狂いが生じることになる。
産業界への打撃も表面化している。ノルドストリーム経由でガスを調達する独エネルギー大手ユニパーは8日、ドイツ政府に資本注入など救済措置を要請した。不足分は割高なスポット市場から購入しており、損失は年末までに100億ユーロ(約1兆3800億円)に達する可能性がある。
ロシアからドイツに向けてはノルドストリームのほか2本のパイプラインがある。このうちポーランド経由は5月中旬に停止し、ウクライナ経由も7分の1に供給量が落ちている。

●アングル:気候変動対策加速へ、「照準」変えた若者の抗議活動(ロイター2022.07.10)
https://jp.reuters.com/article/youth-protest-climate-change-idJPKBN2OF08Y

<大物政治家と対峙>
英ブリストル大学の講師、オスカー・バーグランド氏は、若い活動家が「気候変動に関する『悪者』を具体的な標的に定めるようになった」と言う。温室効果ガスを排出する特定の企業と、それを可能にしている政治、金融、メディアを狙い撃ちし始めたのだ。
英国では、そうした活動のひとつである「グリーン・ニューディール・ライジング」が見出しをにぎわせている。昨年8月に始まったこの活動は、スナク英財務相ら主要政治家と対峙し、その様子をフィルムに収めてきた。
最近では国会議事堂で石油・天然ガス産業のイベントが開かれた際、大音量で抗議の演説を行って妨害した。望むのは、早急な気候変動対策について超党派の支持を取り付けることだ。公開イベントで議員らを質問攻めにして驚かせたこともある。草の根活動は、政治家にアクセスして「言質」を得る有効な方法だと活動主催者は語った。
<ウクライナ侵攻との結びつき>
世間の関心が高い話題と、気候変動対策を求める活動を結びつけようとする動きもある。

●「節ガス」制度を検討 経産省、LNG不足に備え/企業に使用制限令も(日本経済新聞、2022.07.09)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA01CH90R00C22A7000000/
>経済産業省は液化天然ガス(LNG)の調達難に備え、都市ガスの消費を抑える「節ガス」を家庭や企業に求める仕組みをつくる。需給が逼迫する際には前もって大口企業に使用制限令を出せるようにする。ロシア産LNGの安定供給に懸念が生じていることに対応する。電力分野の節電要請を参考に制度設計する。今冬の需要ピーク前に制度化できるよう、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の有識者会議で詳細を詰める。

●ロシアの黒海封鎖が一因 スリランカ危機 米国務長官(時事通信2022.07.10)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022071000425

ブリンケン米国務長官は10日、訪問先のバンコクで記者会見し、ロシア軍による黒海封鎖でウクライナ産穀物の輸出が停滞していることに関し、スリランカが経済危機に陥った要因の一つとなった可能性があるとの見方を示した。
長官は「黒海封鎖により、2000万トン以上の穀物が世界に供給できないまま、ウクライナの貯蔵庫にとどめられている」と述べた上で、「世界中で深刻化している食料不足はロシア軍のウクライナ侵攻で著しく悪化している」と批判した。
また「ロシアによる侵攻の影響は各地に広がっている」と語り、タイでも肥料が不足し、価格が跳ね上がっていると指摘。肥料が使えなくなれば収穫が減り、農産品の価格が高騰するだろうと懸念を表明した。

(補足:海路封鎖の担当=トルコ、機雷ばらまき担当=ウクライナ、経済制裁による決済ストップ担当=アメリカ※当分の間、輸送路はまともに機能しない見込み)

●経済危機のスリランカ 大統領が辞任へ 政府への抗議広がる(NHK、2022.07.10)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220710/k10013710241000.html
>インド洋の島国・スリランカのラジャパクサ大統領は、今月13日に辞任する意向を議会に伝えました。経済危機が続くスリランカでは9日、最大都市のコロンボなどで政府に対する大規模な抗議活動が広がりデモ隊の一部が大統領の公邸を占拠するなど、政府の責任を追及する声が高まっていました。

外務省:スリランカにおける人道状況の悪化を受けた緊急無償資金協力(2022.05.20)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press1_000880.html
(日本政府は緊急的に人道的支援をしているが、おそらくスリランカ政府には、その支援を有効活用できる程度の正常な政務能力が残っていなかったと思われる。スリランカ政府の上層部のほうで、ほとんど中抜きして、「ポッケ・ナイナイ」状態?)

スリランカ、経済自由度指数112位に後退 改革進展も腐敗・汚職課題(SankeiBiz、2017.03.08)
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/170308/mcb1703080500010-n1.htm

スリランカ国民の9割が大統領一族の辞任を求めていると現地の調査機関が発表(Yahoo個人、2022.05.02)
https://news.yahoo.co.jp/byline/nishantha/20220502-00294192

スリランカ、インフレ率は50%を超え、政府支持率はわずか3%に(Yahoo個人、2022.07.01)
https://news.yahoo.co.jp/byline/nishantha/20220701-00303633


●ウクライナ、ドナウ川の港から黒海へ抜けるルートで穀物輸出開始…要衝奪還で可能に(読売新聞、2022.07.13)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20220713-OYT1T50131/

ウクライナ政府は12日、隣国ルーマニアとの国境となっているドナウ川沿いの港から黒海へ抜け、穀物を輸出するルートが稼働し始めたと明らかにした。先月末に黒海の要衝ズミイヌイ(蛇)島をロシア軍から奪還したことで、航行が可能になったという。
ウクライナ当局によると、この4日間で、ウクライナ産の穀物を輸送する貨物船16隻が、このルートを通ったという。当局は、このルートの活用により、穀物の輸出を月間50万トン増やせるとの見通しも示したが、従来の輸出拠点港だった南部オデーサやミコライウの取扱量をカバーできるほどではない。
13日にはロシアとウクライナ、トルコ、国連が、ウクライナ産穀物の輸出が停滞している問題について協議する。ウクライナが新ルートを稼働させたことで、ロシア側が態度を硬化させる可能性もある。
ウクライナ大統領府によると、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は12日、穀物の主要な輸出先である中東・アフリカ地域の担当特使を任命した。ロシアが自国産穀物の輸出拡大を図ろうとしている動きに対抗し、ウクライナとの関係をつなぎとめる狙いとみられる。

(コメント:ルーマニアとフランスの協力。シーパワー大国でもある英国。英国ジョンソン首相が、黒海の島の奪回作戦の直前にウクライナ電撃訪問していた件を想起。英国首相の座を降りることになったのは、この軍事・経済の目標が達成されたという事実も大きい模様。また情勢が大きく動き始めたら、ジョンソン氏の再登板の可能性もありそう)

●IMF専務理事が債務危機警告-コロナや戦争、利上げで「危機重なる」(ブルームバーグ2022.07.13)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-12/REWWRHT1UM0W01

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は、世界的な債務危機が醸成されつつあると警告を発した。中央銀行によるインフレ抑制を目指した利上げが、脆弱(ぜいじゃく)な国の債務返済コストを押し上げていると論じた。
ゲオルギエワ氏は12日、ワシントンでのイベントで「われわれが現在目にしているのは、危機の上に危機が重なるという状況だ。ウクライナでの戦争に加え、パンデミック後の金融環境の引き締まりで第3の衝撃が襲う可能性もある」と述べた。
物価の急上昇を受けて世界各地の中央銀行が金融政策の引き締めを余儀なくされている。米国も積極的な利上げ姿勢に転換し、それがドルを急騰させた。一方、途上国ではディストレスト債が2500億ドル相当に積み上がり、過去に例を見ないような連鎖的なデフォルト(債務不履行)が発生する恐れが出ている。
ドルを獲得できず、ドルでの債務返済を迫られる国は、返済に「2倍の困難」が生じると、ゲオルギエワ氏は指摘。途上国と新興国の約30%は債務がディストレスとなっているか、それに近い状態にあると付け加えた。

●「ウクライナ」(17)  松里公孝・東京大学法学部教授
https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/36363/report

ロシア史、ウクライナ史が専門の東大の松里教授は「この戦争を理解するためには1991年のソビエト連邦解体にさかのぼらなくてはならない」と強調した。2008年以降の旧ソ連圏の戦争は、いずれも旧連邦構成共和国(グルジア、アゼルバイジャン、ウクライナ)と旧自治単位(南オセチア、アブハジア、カラバフ、クリミア)の間で起きており、拙速なソビエト解体は15の連邦構成共和国の政治家やインテリだけに利益をもたらし、自治単位に不満を残したという。また、分離志向が強いバルト3国やグルジア、アゼルバイジャンは「ソ連に組み込まれたこと自体が違法。ソ連に占領される前の原状回復を目指す」という考えが根強く、ロシアとの認識の隔たりは大きいとみる。
松里教授は、次にこの戦争を分類し、解決策を考察した。分離紛争の解決策には、分離国家を再び飲み込む「連邦化」、パトロン国家による「保護国化」など5つの方法があるという。今回の侵攻は「パトロン国家(ロシア)による親国家(ウクライナ)の破壊」に分類されると分析した。松里教授は、「プーチンは開戦直前まで『保護国化』を考えていたとみられるが、苦戦を経て「親国家の破壊」という究極的解決に踏み込んだ」と指摘した。この解決策の短所として、「国家間の衝突により膨大な人命が失われることと、パトロン国家と分離政体(ドネツク・ルガンスク人民共和国)が勝っても国際的には承認されず、紛争が永続化すること」を挙げた。
最後に、松里教授はこの戦争の発端となった2014年のドンバス分離紛争の背景を解説した。炭鉱労働者が多いドンバスは、1990年代には共産党の牙城だったが、ドネツク州知事から大統領に躍進したヤヌコヴィチ氏が「地域党」を結成した結果、リージョナリズムが煽られ、急進派が伸張したと説明した。その後、ユーロマイダン革命とヤヌコヴィチ氏のロシアへの亡命によって、急進派は旧支配層を追放し、分離政体を打ち立てたという。いま戦闘の中心にいるのは、ロシア軍ではなく人民共和国軍であり、その自立性・主体性を理解することは非常に重要だと指摘した。

(コメント:ドネツク・ルガンスク現地の混乱に伴い、「誰が権力を持っているのか」が錯綜し始めている⇒地域軍閥化・マフィア国家化に近い感じ?)

ロシアのウクライナ侵攻 第1章:ウクライナ危機の起源(松里公孝、東京大学大学院法学政治学研究科教授、NIRA総合研究開発機構、2022.05.13)
https://www.nira.or.jp/paper/research-report/2022/032205.html


●個人保証、創業5年不要に 「技術力」も担保対象―スタートアップ融資後押し・政府(時事通信2022.07.10)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022070900327

政府が、創業間もない「スタートアップ企業」支援のため、金融機関から融資を受ける際に創業5年未満は経営者の個人保証を免除する方針であることが9日、分かった。日本政策金融公庫など政府系金融機関に新たな制度を設ける。併せて、企業の独自技術など無形資産も融資時の担保にできるよう法制化を進める。新興企業が創業期に資金調達しやすい環境を整え、経済活性化を後押しする。
政府は6月に閣議決定した「新しい資本主義」実行計画で、スタートアップ企業を5年間で10倍に増やす目標を掲げた。ただ、こうした企業は工場など担保となる有形資産を持たず、創業当初は赤字が続くことも多い。経営者が連帯保証人となる個人保証や担保なしに融資を受けるのは難しいのが実情だ。
支援策では、日本政策金融公庫が個人保証を不要とする期間について、現行の「創業2年未満」から2倍程度に延ばす方向。信用保証協会も創業5年未満の企業に対し個人保証を求める規則を見直し、保証を不要とする制度を新設する。商工中金は現在も半分以上のスタートアップ向け融資で個人保証を取っていないが、原則不要にする。
民間金融機関にも対応を促す。金融庁は、法人と経営者個人の資産が明確に区分され、財務情報が適切に開示されていれば、個人保証を取らないよう改めて文書で要請する方針だ。
一方、金融機関にとっては個人保証や担保なしに融資すれば、貸倒時のリスクが高まる。金融庁は、技術力や顧客基盤、特許など将来の成長につながる無形資産も担保と位置付けられるよう法整備を検討。民法の特別法として制定する見通しで、早ければ来年の通常国会提出を目指す。

(コメント:スタートアップ起業家にとっては力強い後押しになる内容。従来、新規ビジネスは資金繰りがうまくいかず短期間で消滅する事例が多かったが、もう少し後押しすれば生存率アップしそうなのも結構あるという話。「これだけは負けない」というような売りや技術を持つ個性的なスタートアップ企業が増えると、経済全体でもプラスになるかも知れません)

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