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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

私製詩歌「あじさい」

(新しいバージョン)

緑も深き 木下闇に
五月雨そそぐ 降りそそぐ

あやに群ら咲き 彩るものよ
薬玉 薫(くゆ)る かたちして

誰恋うゆえに 赤にや咲くらむ
誰待つゆえに 青にや咲くらむ

色を定めぬ あじさいの
花に宿るは 天の水

涼しき野辺に 五月雨なおも 降りそそぐ
雨だれを 鳴らしつづける 風神雷神
緑の袖の 梅雨美人(つゆ-びじん)

雨上がり はるか青空 虹かかる
あじさいの如くに 色を定めぬ 天の妙(たえ)

(挿絵イラスト試作)

*****

(古いバージョン)

緑も深き 木下闇に
静かなるもの あじさいは
ためいきしろく ほの匂う

夢 食(は)む如き 五月雨の
薬玉 薫(くゆ)る かたちして

誰恋うゆえに 赤にや咲くらむ
誰去ぬゆえに 青にや咲くらむ

色も定めぬ あじさいの
雨の水色 妙(たえ)に思ほゆ

水霊(みづち)に巻かれて 色こそ匂え
緑の袖の 梅雨美人(つゆ-びじん)

誰か心を 思わざる――

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