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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

深層崩壊や時事の話題

NHKスペシャル『深層崩壊が日本を襲う』(2010.6.27-21:00-)を視聴。

番組案内=[http://www.nhk.or.jp/ecochan-blog/400/52720.html]

2009年8月9日の台湾・高雄県の小林村と和安村というところで、巨大な土砂災害が発生していた…という映像記録から始まっていました。3日で2000ミリという驚異的な集中豪雨の後で、1km長500m幅最大深度84mという壮大な土砂が崩壊し、巻き込まれた範囲は実に3km幅に及んだというから驚きです。

自分が思い出すのは、1984年に発生した長野県西部地震による御嶽山の斜面崩壊で、王滝村が壊滅した出来事…あれも、地質学的に言えば深層崩壊だと言えますが、地震が原因なので、あまり注目されないのでしょうか…(悩)

・・・・・・【台湾の小林村と和安村を襲った深層崩壊】・・・・・・

集中豪雨が続き、谷あいの小林村を流れている川が異常増水。目撃者・談によれば、不気味な重い地響きが長く長く続いた後、小林村の後背地にあった山が、中腹のあたりから大きく裂け、山そのものが、村に向かって押し寄せてきた…

コンピュータ・シミュレーションによれば、流れ落ちてきた土砂は、時速100km。

※家ほどもある大きな岩がたくさん落ちてきたらしく、現在の被災地は、草一本生えてないような、大きな岩と荒々しい砂利が広がっている、荒涼とした場所のようです(=元々は緑豊かな村で、多くの住民が住んでいたらしい)

小林村は、村全体が、深層崩壊による大量の土砂に埋まってしまったそうです。500人近くが亡くなり、生き残ったのはわずか50数名。その土砂が天然ダムを作り、そのダムが1時間後に決壊して、大量の土砂を含んだ洪水が川下の和安村を襲ったという…唖然とするばかりの大規模災害になったそうです…(参考=台湾全体の死者は700名前後)

近年の気象は大幅に様相を変えてきており、集中豪雨は従来の2倍近くだそうで、大型の台風の発生確率も従来の倍となっており、それに伴う深層崩壊の危険レベルは、日本国内でも激増したと見込まれている…

地震&火山&洪水&深層崩壊で、トリプル・パンチどころかクアドラプル・パンチ。もっとつつけば、まだ何かありそうですが…

《豆知識》1.シングル-2.ダブル-3.トリプル-4.クアドラプル-5.クインティプル-6.セクスタプル-7.セプタプル-8.オクタプル-9.ノナプル-10.ディカプル

《おまけの豆知識=組の場合》デュオ・トリオ・カルテット・クインテット・セクステット・セプテット・オクテット・ノネット

どちらかというと、温暖化というよりは、気象のゆらぎが非常に大きくなった、つまり気象の二極化とも過激化とも言うべき現象だと論じられているらしい。夏は徹底的に暑く、冬は徹底的に寒いとか、降れば土砂降りとか…タガが外れたみたいな、そんな感じ。いずれにせよ、穏やかな気象の時代は、既に終わってしまった…という事かも

*****《陰謀論》*****

http://twitter.com/t_ota/status/16911003079
ニコニコ動画(http://www.nicovideofire.jp/watch/so11160228)で、脳機能学者の苫米地英人と、参議院議員の藤末健三の対談を見る。テンションの高い、熱のこもった対談。前半の通信法制をめぐる具体的な議論は興味深く、肯かされる点も多いが、徐々に話は怪しげな方向に向かってゆく。

http://twitter.com/t_ota/status/16911016782
以前にこのツイッターで、政治家や企業経営者が「成功哲学」というオカルト思想に感染しやすいと述べたことがあるが、この二人がたどり着くのも、典型的な成功哲学。成功哲学は、アメリカのニューエイジ思想に端を発し、世界的に流行した後に衰退したが、このような形でいまだに残存している。

http://twitter.com/t_ota/status/16911024393
その世界観の前提となるのは、精神的次元と物質的次元が究極的には一致するというもの。そこから、科学と宗教はいずれ一つになる、あるいは、意志の力によって現実を変えられる、という主張が出てくる。

http://twitter.com/t_ota/status/16911031582
精神的次元と物質的次元が相互にどのような関係にあるのかということは、理系と文系を問わず、おそらくすべての研究者が直接・間接に関わっている問題である。そして、この問題について一つの典型的な見解を示したのが、哲学者のカントであると思われる。

http://twitter.com/t_ota/status/16911038600
カントは、精神的次元(実践理性の領域)と物質的次元(理論理性の領域)は、多様な仕方で相互干渉しながらも、究極的には重なり合わないという二元論を説いた。私を含め近代の学者たちは、カントの前提を踏まえた上で、その二領域が相互にどのような関係を持つかを研究している(はず)。

http://twitter.com/t_ota/status/16911045431
ところが、慎重さを欠く一部の研究者は、自身のきわめて狭隘な知見や経験から、「精神と物質は同じだ!」「意志の力によって世界は変えられる!」という、安直な結論に飛びつく。そして、いつかは自分の意志の通りに世界を変えることができるはずだという、甘美でパラノイア的な幻想に耽溺する。

http://twitter.com/t_ota/status/16911052211
この対談を見ると、成功哲学がどのような仕方でリアリティを獲得するのかを実感することができる。また、市民に求められているのは、政治家を個々の政策レベルで判断すると同時に、各政治家が奥底で抱えている世界観や幻想のレベルでも判断することであると感じた。難しいことだが・・・。(終)

http://barbare.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-1085.html
戸部良一『外務省革新派──世界新秩序の幻影』(ものろぎや・そりてえる)

中国での戦争が泥沼化した鬱屈、欧州で始まった第二次世界大戦の衝撃、こうした事態に戸惑う国民の耳には、エリート外交官の専門的・高踏的な議論ではなく、革新派の単純化された世界観の方が分かりやすかった。つまり、外交が大衆化された時代において、国内世論に敏感に反応したところに革新派が外務省内で大きなプレッシャー・グループとなった理由があると考えられる。(中略)西欧主導の世界観=「近代」を超える、と言っても、現実としての権力政治は何も変わらないわけで、下半身は彼らが批判した当の「近代」のままでありながら、観念だけで「近代」を「超えた」気分に浸りこむという矛盾。

*****

「政治」と「スピリチュアル」と「成功哲学」……何とも奇怪なラインの中に、古代&中世のグノーシス主義から分かれて隠微に続いてきた、陰謀論的・近代フリーメーソン=近代オカルト思想の血脈の気配が、ちらりほらりと感じられる(…「陰謀論的」、というだけであって、本当に陰謀があるのかどうかは、分かりません。ただ、そういう、いわくいいがたい思考パターンの匂いを感じる、という程度です…)

日本国内では、たとえば、思想のゆらぎが大きくなったり、発言内容に辻褄が合わなくなってきたり…理想の先鋭化に伴う行動の過激化…などというオカルトな現象が、生じ始めているのかも知れない…

思想カタストローフ、二極化現象とか…そういう雰囲気になるのでしょうか。いつかは、我々の社会も、決定的な一瞬の間に、「オカルト&新興カルト」という集中豪雨が降り注ぎ、社会的&心理的な意味での、深層崩壊に見舞われる事になるのかも知れない

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https://www.spf.org/iina/articles/nagasako_03.html
認知領域の戦いにおける陰謀論の脅威—海外における体制破壊事案から日本における陰謀論情勢を考える(笹川平和財団2023.07.19)

そもそも陰謀論とはどのような性質のものなのか。社会学分野における陰謀論研究の大家であるウシンスキーによれば、「陰謀」とは、権力を持つ個人からなる少人数の集団が自分たちの利益のために公共の利益に反して行動するもので、「陰謀論」とは、過去、現在、未来の出来事や状況の説明においてその主な原因として陰謀を挙げるもの、と整理されている。
この世界をディープ・ステートと呼ばれる影の政府が支配すると考えるQAnon思想などは、典型的な陰謀論であるといえる。
そして、このような陰謀論の世界観に陥りやすい人は、連言錯誤(一般的な状況よりも特殊な状況の方が蓋然性が高いと誤判断すること)や意図性バイアス、分析的思考の欠如といった認知的特性があるとされる。
このような認知的特性から、陰謀論を利用した認知戦のオペレーションは、マイクロターゲティングが行いやすくなったSNS環境と親和性があり、戦略的に実行しやすい。
また、2つの陣営に分かれている議論の一方に深く傾倒している人は、自分たちに有利ならその意見が真実かどうかにかかわらず飛びつく傾向があるため、陰謀論では既存の対立構造を利用する手法が用いられる。
これはディスインフォメーションにより社会の分断を図る手法と類似しており、この点でも親和性がある。
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