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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

微妙にホラーな近所の噂話

知人からの「また聞き」という話であります(伝聞ゆえ脚色が混ざってますので、ご了承の程)

知人の、とある知人・某氏が、最近、ちょいと用件があって、某所まで足を延ばし。

そこには、くたびれたような街路樹…10数本のプラタナスが、通りに並んで生えてます。ちと物寂しい場所ではありますが、ちゃんとしたストリート…

某氏は、近所を良く歩き回ってるので、親しくしてるオバチャンも居て、久々にストリートの噂話を聞き込んだそうな。

「ねえねえ、某ちゃん、最近この辺、出るらしいのよぉ」
「何が?」

――お化け。

いやああぁぁああぁぁあああ!!

某氏、実は大変な怖がりだったりする。

そのオバチャン、驚くべき腕力で、無慈悲にも某氏を引きずり、くだんの場所へスピード直行。ひっそりとしたストリートだけあって、その問題のスポットの、そのスジの雰囲気は、必要以上にタップリ。

「無駄に怖がりなさんな。アレ見てよ、アレ」
「アレ?」

オバチャンが、ビシッと指差した先には、くだんのプラタナス街路樹。某氏、訳が分からなくて首をひねったとか。

「この街路樹の中で、アレだけ青々としてんのよぉ。この真冬によ!」
「ナルホド、見てみれば確かに違和感ありまくりですね」

10本以上のプラタナスの街路樹が、揃ってすっかり落葉している中で、その1本だけ、青々とした葉っぱを、ワッサワサと付けている。異様に目立っている。しかも、不気味に目立っていたりする。

「あそこ、出るのよぉ。あの木の下に、死体が埋まってんじゃ無いかって、もっぱらの噂なのよぉ」

――オバチャン、あなたの顔の方が怖いよ!(…とは、某氏の弁)

「噂にしても、冗談でしょう」

――その時、ストリートを大型トラックが『ガーッ』と通り過ぎて行ったそうな。このストリート、地味に大きな道路と交差してたりするそうな(定番の、異世界転生&転移ファンタジーにピッタリの舞台ですね…?!)

「この辺で『ガツン』って大きな音がしてたんだよ。何処かの車が、何か変な物はねたんじゃ無いかって、でも、それらしい物なんて、なーんも無かったんだよね。あんな大きな音してさ、ビックリするような量の血痕だけ残ってて、死体が無いって、ありえないでしょ。だから、あの木の下に、『何か』が死体を埋めたんじゃないかって噂なのよぉ」

――この21世紀現代に、それは有り得ないのでは。

しかしながら。このプラタナス街路樹ストリート…大きな道路と交差しているスポットは、事故多発地帯であり。『何か』が変であり、『何か』が祟ってるらしいとは、ご近所の方々が、ひそかに口をそろえて証言するところであり。

だいぶ前になるけれど。そのストリートでは、『運転の達人』の筈の運転手さんが、何をどう見て判断したのか、それとも車が本当に『何か』に祟られたのか、いきなり暴走して、あっちこっちぶつかって、月面宙返りするなどの信じがたいまでの路上曲芸(?)を披露した末に、やっと止まったと言う、世にも奇妙な交通事故の実績があり…

(一応ですが、その運転手さんは、ちゃんとシートベルトしていて、エアバッグも設計通りにちゃんと膨らんだので、無事だったそうです。あちこち打ち身を作ったりして、世にも恐ろしい思いをされてたようですが)

したがって、その面妖な噂にも、妙に実感が…ジワジワ…ザワザワ…

とは言え、"面妖な『何か』が祟ってるんじゃ無いか"と言う、『超・曖昧な噂』で、警察が動く訳でも無く。

問題のプラタナスが、1本だけ青々としてるというミステリーにも、まぁ、それなりに生物学的&合理的な理由は思いつくんじゃ無かろうか。

一応『血痕が残ってた』と言うのは事実だそうで(雨が降ったりして徐々に消えたそうですが)。幾ばくか収まりがつかない、気味の悪さがあるものの。某氏、さかんに首をひねりながらも、「オバチャン&目撃者たちの白昼夢とかに違いない」と結論したとか。

…『何で血痕が、そこにあったのか?』という部分は、未だ謎のままだそうです。そして、あのプラタナスは、2月の今でも、1本だけ、青々とした状態。『くだんのプラタナスの木の下に、死体か何かが埋まってるらしい』という、近所の水面下の呟きは、まだ消滅しておらず。

町角の、ちょっとしたホラー話でした…(一応、また聞きの伝聞なので、最初にも断りを入れましたが、脚色が入っている筈です)

※なお、事故多発ポイントは、本当に交通事故が多発している場所であります。自動運転テクノロジーが実用化されれば、ちょっとは事故も減るんじゃ無いかと思いますので、切実に期待していたりします。

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