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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

記録:選挙パンフ&地震

昨夜、「首を切られる夢」を見ました。生々しい感触が今でも残っていて、時々、「自分の頭が胴体の上にちゃんと乗っているかどうか」を確かめています。夢占いによれば、仕事上のスランプを暗示しているそうな。

オカルト風にテレパシー夢だとすれば、集合的無意識を通じて、他の誰かの状況に感応したのかも知れません。スッキリと首が切断されていたし(夢の中で切断されていたのは自分の首ですが)、夢で描いていた「謎の絵図面」はいつの間にか完成間近であるし、以後の「謎」の進捗状況は、良好だと思われます…^^;;;

・・・閑話休題・・・

数学のT先生の同期知人A様が、余人には窺い知れない謎の理由により公明党にハマっていて、今回の衆院選に際して、公明党の宣伝パンフレット(?)を郵送してこられたそうで、「どんなものなんだろう」と、興味深々でお借りして来ました。

【補足】・・・T先生はノンポリで、リベラル系無党派でいらっしゃいます。民主党に気があったようなのですが、最近は「民主党も、何だかおかしいかも」と訝っておられます。特に決定的だったのが、インド洋給油派遣の見直し云々の騒動だったようです。微妙ですが、もう一押し何かあれば、民主党支持をやめる段階、と見ています。

で、郵送されてきたパンフレット文書。

今回の文書は、A4サイズの紙にみっちりと、6ページ。

…うーん…さすが電子工学を学んでおられて、優秀な学生だったというA様、論理的で説得力のある文章…(汗)。「公明新聞」の切り抜きコピーの選択にも、センスが感じられますし…

(個人的には、文章の調べがちょっと変わっている、と思いました。これは世代的なものかな、と思っていますが…「公明新聞」の切抜きの文章もそんな感じなので、むしろ公明党カラーの文章に特有なものかも知れない…)

A様は、日本列島でも最南端の島の出身だという話でしたが…、あの島にも、あの党の支持者って多いのだろうか、と不思議に思ってしまいました。

選挙キャンペーンと言えば、先日、町の中を「幸福実現党」の宣伝カーが走ってゆきまして、ちょっと話題になったようです。個人的には、「こんな辺境にも来てるの?」と驚きでした。キャンペーン中に来るのは、社民党の別働隊の宣伝カーくらいかな…というほどの辺境なので

今のテレビによれば、「みんなの党」の渡辺喜美氏が「第3極の勢力」だそうですが…、該当する選挙区では、「刺客‐逆刺客騒動(??)」みたいな事になっているようです。直感に過ぎませんが、渡辺氏は当選しても、あまり活躍しないかも…という感じです。身動きを封印するオカルトな御札が額にペタリと貼ってある、の雰囲気…

そういえば…アヘン戦争、もとい、覚醒剤戦争ですが…

…「メ**テ」呪文は、ついに海を越えて、西域を破壊し始めるのでしょうか…


★2009.8.9夜19:57-20:00、関東地方で、大きな地震を観測。びっくりした!というのが、今の感想です。身構えているうちに、だんだん揺れが大きく延びていったので、「もしや、第2次関東大震災に発展するか?!」と、さすがに生きた心地がしませんでした。

震源地は東海道南方沖、マグニチュードは6.9。震源の深さは340km程度。フィリピン海プレートから北米‐ユーラシアプレートの境界に沿って、震度の大きい帯が出てきていました。それにしても、震源地がやたら深かったお蔭で、助かった…という感じです。もし、直下型だったら今頃生きていないかも。

…広範囲で最高震度4。震度6に到達しなくて良かった…ドキドキ

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詩歌鑑賞:立原道造「暁と夕の詩」

暁と夕の詩/立原道造

「或る風に寄せて」

おまへのことでいつぱいだつた 西風よ
たるんだ唄のうたひやまない 雨の昼に
とざした窗のうすあかりに
さびしい思ひを噛みながら

おぼえてゐた おののきも 顫へも
あれは見知らないものたちだ……
夕ぐれごとに かがやいた方から吹いて来て
あれはもう たたまれて 心にかかつてゐる

おまへのうたつた とほい調べだ――
誰がそれを引き出すのだらう 誰が
それを忘れるのだらう……さうして

夕ぐれが夜に変るたび 雲は死に
そそがれて来るうすやみのなかに
おまへは 西風よ みんななくしてしまつた と

「やがて秋……」

やがて 秋が 来るだらう
夕ぐれが親しげに僕らにはなしかけ
樹木が老いた人たちの身ぶりのやうに
あらはなかげをくらく夜の方に投げ

すべてが不確かにゆらいでゐる
かへつてしづかなあさい吐息にやうに……
(昨日でないばかりに それは明日)と
僕らのおもひは ささやきかはすであらう

――秋が かうして かへつて来た
さうして 秋がまた たたずむ と
ゆるしを乞ふ人のやうに……

やがて忘れなかつたことのかたみに
しかし かたみなく 過ぎて行くであらう
秋は……さうして……ふたたびある夕ぐれに――

「真冬の夜の雨に」

あれらはどこに行つてしまつたか?
なんにも持つてゐなかつたのに
みんな とうになくなつてゐる
どこか とほく 知らない場所へ
真冬の雨の夜は うたつてゐる
待つてゐた時とかはらぬ調子で
しかし帰りはしないその調子で
とほく とほい 知らない場所で

なくなつたものの名前を 耐へがたい
つめたいひとつ繰りかへしで――
それさへ 僕は 耳をおほふ

時のあちらに あの青空の明るいこと!
その望みばかりのこされた とは なぜいはう
だれとも知らない その人の瞳の底に?

「溢れひたす闇に」

美しいものになら ほほゑむがよい
涙よ いつまでも かはかずにあれ
陽は 大きな景色のあちらに沈みゆき
あのものがなしい 月が燃え立つた

つめたい!光にかがやかされて
さまよひ歩くかよわい生き者たちよ
己は どこに住むのだらう――答へておくれ
夜に それとも昼に またうすらあかりに?

己は 嘗てだれであつたのだらう?
(誰でもなく 誰でもいい 誰か――)
己は 恋する人の影を失つたきりだ

ふみくだかれてもあれ 己のやさしかつた望み
己はただ眠るであらう 眠りのなかに
遺された一つの憧憬に溶けいるために

「眠りのほとりに」

沈黙は 青い雲のやうに
やさしく 私を襲ひ……
私は 射とめられた小さい野獣のやうに
眠りのなかに 身をたふす やがて身動きもなしに

ふたたび ささやく 失はれたしらべが
春の浮雲と 小鳥と 花と 影とを 呼びかへす
しかし それらはすでに私のものではない
あの日 手をたれて歩いたひとりぼつちの私の姿さへ

私は 夜に あかりをともし きらきらした眠るまへの
そのあかりのそばで それらを溶かすのみであらう
夢のうちに 夢よりもたよりなく――

影に住み そして時間が私になくなるとき
追憶はふたたび 嘆息のやうに 沈黙よりもかすかな
言葉たちをうたはせるであらう

「さまよひ」

夜だ――すべての窓に 燈はうばはれ
道が そればかり ほのかに明く かぎりなく
つづいてゐる……それの上を行くのは
僕だ ただひとり ひとりきり 何ものをもとめるとなく

月は とうに沈みゆき あれらの
やさしい音楽のやうに 微風もなかつたのに
ゆらいでゐた景色らも 夢と一しよに消えた
僕は ただ 眠りのなかに より深い眠りを忘却を追ふ……

いままた すべての愛情が僕に注がれるとしたら
それを 僕の掌はささへるに あまりにうすく
それの重みに よろめきたふれるにはもう涸ききつた!

朝やけよ!早く来い――眠りよ!覚めよ……
つめたい灰の霧にとざされ 僕らを凍らす 粗い日が
訪れるとき さまよふ夜よ 夢よ ただ悔恨ばかりに!

「朝やけ」

昨夜の眠りの よごれた死骸の上に
腰をかけてゐるのは だれ?
その深い くらい瞳から 今また
僕の汲んでゐるものは 何ですか?

こんなにも 牢屋(ひとや)めいた部屋うちを
あんなに 御堂のやうに きらめかせ はためかせ
あの音楽はどこへ行つたか
あの形象(かたち)はどこへ過ぎたか

ああ そこには だれがゐるの?
むなしく 空しく 移る わが若さ!
僕はあなたを 待つてはをりやしない

それなのにぢつと それのベツトのはしに腰かけ
そこに見つめてゐるのは だれですか?
昨夜の眠りの秘密を 知つて 奪つたかのやうに

物語夢「探査機」2

10時間をたっぷり回った後、母星からの緊急指令が届いた。

「ただちに帰還せよ」

軌道のずれによっては帰還年数が倍になってしまうのだが、幸いにこのタイミングだ。最適条件の時よりは少しばかり長くなるものの、帰還に何十年も掛けるよりはずっとマシである。母星の人々も同じ物を見てとり、私と同じ判断を下したのだ、この運用スケジュール変更に矛盾は無い。私は航海用エネルギーの残量を点検し、燃料配分を計算した後、小天体を飛び立った。

改めて言おう、帰路は楽な旅では無かった。順調に飛べば9年程度で母星に到着するのだが (それだってずいぶん長い時間だが)、小天体を飛び立った時点で既に満身創痍だった私は、更なるダメージに苦しんだ。

専門的な説明は省くが、電池パネルの損傷が深刻だったのだ。度重なるエネルギー枯渇と電源クオリティの低下に、私はたびたび頭を抱えた。エネルギー状態が安定しないままだと、精密機器の劣化が早まる。人工知能たる私だって無事じゃいられない、エネルギーの安定化には念を入れた。

無事なアンテナが少なく、通信データ量も限られた状態であったが、調整時間だけはたっぷりあった。時間は掛かったが、隕石が衝突した後の貴重な様々なデータは、キッチリ送信できたはずだ。母星の専門家がノイズやエラー信号を修正すれば、私が見た光景を再現できるはずだし、 興味深い論文が何本も出来るだろう。

良く分からないのは「私」である。そもそも「私」は何だったのであろう。

――深宇宙探査機の心臓部、人工知能「アルゲンテウス」。それ以上でも以下でも無い、はずである。

母星の誘導技術は巧みであった。通信も徐々に近くなり、往復1時間を切った――低パワー観測器でも母星の姿を捉えられる。私は故郷の歌を歌いたくなった。考えてもみない事であった。「私」に何が起きたのであろう、改めてセルフチェックを掛けるが、人工知能を構築するシステムには変わったところはない――度重なるダメージによる故障が増えた、という変化はあるが。

「私」=「探査機」の壊滅的な状態は、母星にはキチンと伝わっているようだ。母星からの機体チェック指令はとみに増加し、そのたびに私はエラー信号だらけではあるが、応答を返した。エラー信号だらけなのは私のせいではない、この機体がそもそも満足に機能しないのである。

「私」は「私」である。この部分はクリアなのだが、アンテナの劣化やセンサーの故障がひどすぎて、まともなデータを送れないのだ。全く訳の分からない事態に陥ったものだ、母星の研究者たちの解析能力に期待するしか無い。

小さな点でしか無かった母星は、今や圧倒的な輝きをもって迫っている。青く、まばゆく、そして余りにも明るい。私はそれに合わせてカメラの感度を下げた。カメラもまたボロボロであったが、単純なシステムのお蔭か、比較的に思い通りに機能する。