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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

タロット13死

タロット13死

カード・メッセージ=「終末」

主な意味=破滅の予兆、損害、失業、幕切れ、別離、低迷、八方塞がり、行き詰まり、虚偽が剥がれる、面子が剥がれる、挫折、虚栄心がつぶれる、弱点を暴かれる、荒療治、信頼喪失

吹き荒れる吹雪の闇の中、枯れ木の藪の奥に、大鎌を持って傲然と立つ死神…というイメージで描画。運命の軌道が、その先のあらゆる可能性の分岐を失い、ついに終わるところ…

しかし、終末の後に来る新たな運命もあるのです。終わった運命の軌道、その屍を糧として新たに生じてくる軌道…「死」のカードは、正位置/逆位置で様々な読みがあり、最も臨機応変な判断を迫られるカードであると申せましょう

逆位置においては、破滅を免れるものの、蛇の生殺しのような苦しい状態が続く…という読みもあります。当サイト的には、東日本大震災(2011.3.11)の後の福島原発事故の状況に関して、この「死」の逆位置の状況を感じるものであります。死んでも死に切れない、すっきりと終わり切る事の出来ない怨念のようなもの…

ダンテ『神曲』に描かれた地獄の門には、次のような詩文が銘打たれているそうです:

Per me si va ne la città dolente,
per me si va ne l'etterno dolore,
per me si va tra la perduta gente.

Giustizia mosse il mio alto fattore;
fecemi la divina podestate,
la somma sapïenza e 'l primo amore.

Dinanzi a me non fuor cose create
se non etterne, e io etterno duro.
Lasciate ogne speranza, voi ch'intrate.
我を過ぐれば憂ひの都あり、
我を過ぐれば永遠の苦患あり、
我を過ぐれば滅亡の民あり

義は尊きわが造り主を動かし、
聖なる威力、比類なき智慧、
第一の愛、我を造れり

永遠の物のほか物として我よりさきに
造られしはなし、しかしてわれ永遠に立つ、
汝等こゝに入るもの一切の望みを棄てよ・・・(山川丙三郎訳)

☆タロット連作&解釈の一覧を作成=〔ホームページ更新2013.6.14

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私製詩歌「雪白の連嶺」

星宿の海
万物の相関 無限の照応
限りなき 光明と暗黒の海よ

半ばは明(あか)く 半ばは暗く
紡がれ 織られる
風(かぜ)と景(ひかり)

そら打つ波の かたちして
天涯に 刻の道標 立ち出でし


かの佳き日
雲ひとつ無き 蒼穹に
澄み明らかに 冴えわたる
――雪白の連嶺よ!


遠白き かの連嶺よ 波浪を止(や)みて
今しばし 一瞥を与えよ わがもとに

永劫を 寄せては返す
流星の結びし軌道(みち)を 逍遥すれば
時知らず さやぐ渚に 立ち尽くす――

星宿の海
はじめもはても 知る人ぞ無き
限りなき 光明と暗黒の海よ


インスピレーション元の他人さまの詩歌たち

◆影見れば波の底なるひさかたの空漕ぎわたるわれぞわびしき/紀貫之『土佐日記』

◆水や空そらや水とも見えわかずかよひてすめる秋の夜の月/『古今著聞集』185読み人知らず

◆みゆるごとあらはれながらとこしへにみえざるものを音といふべき/葛原妙子・作(短歌)

タロット12吊るされた男

タロット12吊るされた男

カード・メッセージ=「犠牲」

主な意味=試練の時、束縛、金縛り、封印、下積み、伸び悩み、長期的視野、適応力、長引く病気、中途半端、喪失、苦境、強いられる犠牲、過渡期、暗中模索、五里霧中

苦悩や満身創痍を暗示するカードです。当サイト的には、東日本大震災(2011.3.11)の後の日本に関して、ずっとこのカードが出ているという風に思うのであります

宇宙の深部を思わせる闇の中、逆様になった人物の顔、一面に張った蜘蛛の巣を描画する事で、「運命の巣」に絡め取られて身動きできない状態である事を暗示してみました。同時に、新たな運命の忍び寄りを暗示するべく、若干の綾模様を追加して描画

身動きできぬ苦境の中にあってこそ体得しうる、経験や真実…

しかしその結果を生かすためには、やはり、生き延びてこそ、の事でありましょう。「運命の巣」は時に、或いは常に、理不尽な振る舞いをするものであります。数多の犠牲を呑み込みながらも、なおも業と矛盾に満ちた人間社会…

逆位置は、「逃亡」ないし「現実逃避」の意味を持ちます

投げ込まれた状況が自らのキャパを大きく超えるものであった場合、個別的には、「逃亡」「逃避」という対応も正解のひとつであるかも知れません。しかし、社会そのものが試練の時空と化した場合は、社会そのものから逃避する事が可能かどうかは…不明です

逆位置が示す「逃避」が可能であったとしても、自分がその後の社会変化に関与する事が無くなるので、かえって疎外感や孤独感が強まるだけかも知れません

生と死を超越した宇宙観、そして世界観…それは人類にとっては未知の神学の領域となりますが、「生きるとは何か、死とは何か、なぜ罪のない人が苦しむのか」という事は、 この宇宙全体がどのように運行されているか、そこに視野を向けなければ解く事ができないものでありましょう

深い謎に満ちて、不安定に変容し続ける宇宙であればこそ、何がしかの希望はあるだろうと思うものであります

☆タロット連作&解釈の一覧を作成=〔ホームページ更新2013.6.14