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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

詩歌鑑賞:リルケ「秋」他

◆Herbst

Die Blätter fallen, fallen wie von weit,
als welkten in den Himmeln ferne Gärten;
sie fallen mit verneinender Gebärde.

Und in den Nächten fällt die schwere Erde
aus allen Sternen in die Einsamkeit.

Wir alle fallen. Diese Hand da fällt.
Und sieh dir andre an: es ist in allen.

Und doch ist Einer, welcher dieses Fallen
unendlich sanft in seinen Händen hält.

◇秋(リルケ作)

木の葉が落ちる、落ちる、遠くからのように、
天の彼方の庭園が枯れたかのように。
木の葉は否定の身振りをしながら落ちる。

そして夜々には重たい地球が落ちる、
すべての星の間から孤独の中へ。

私たちはみな落ちる。ほらこの手も落ちる。
他のものをみてごらん。落下はすべての内にある。

しかし一者が、この落下を
限りなくやさしくその両手で支えている。
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詩歌鑑賞:ボードレール「梟」

《上田敏「海潮音」による翻訳》

梟(ふくろふ)/シャルル・ボドレエル

黒葉(くろば)水松(いちゐ)の木下闇(このしたやみ)に
並んでとまる梟は
昔の神をいきうつし、
赤眼(あかめ)むきだし思案顔。

体(たい)も崩さず、ぢつとして、
なにを思ひに暮がたの
傾く日脚(ひあし)推しこかす
大凶時(おほまがとき)となりにけり。

鳥のふりみて達人は
道の悟(さとり)や開くらむ、
世に忌々(ゆゆ)しきは煩悩と。

色相界(しきそうかい)の妄執(もうしゆう)に
諸人(しよにん)のつねのくるしみは
居(きよ)に安(やすん)ぜぬあだ心。

いとも恐ろしき神なる豹の話(考案)

オリジナル和風ファンタジー漫画に入れるための創作神話。

吟遊詩人や、流れの歌うたいによる語り物的な歌、バラードなど、節回しらしきものが含まれた「呪文の詠唱」スタイル。ダーク・ファンタジー祝詞っぽい感じで。

有名なエジプト神話、「オシリスとイシス、セト、ホルス、アヌビスの戦い」を、都合よく加工編集してみたモノ。

●パンテーラ・セートゥ=セト神から。主流の神話では無いけど、研究報告の書籍レベルの方で、オシリス・イシスとの戦いで、セトが豹に変身した、という神話のくだりがある。また、豹の毛皮の模様は天の星空の模様と解釈され、豹の毛皮は神官や書記がまとう聖なるマントと考えられていたという報告がある。女神セシャトは豹の毛皮を身に着けている。また、葬儀で、後継者が豹の毛皮をまとい(セム神官として)儀式に臨む事で、王権の継承などの相続権を主張したという。
●アウル=オシリス神から。現地発音で、アウシル、ウシルなどという発音パターンあり。
●アシテ=イシス神から。現地発音で「アセト」と言ったらしく、それを適当に音韻変化。
●アアル・アエトゥ=アヌビス神とホルス神を適当に合体。エジプトでは冥界を「アアル」と言う。「アエトゥ」はギリシャ語の「ワシ(アエトス)」を適当に変形。

※アヌビス神は犬に似ているので「イヌ」。ホルス(=ハヤブサ)をワシに変え、合体して「イヌ」「ワシ(鳥)」。「イヌワシ」=「ゴールデン・イーグル」。ギリシャ語「ワシ(=アエトス)」発音を適当に変形して、「セートゥ」と似た語尾になるように「アエトゥ」と設定。

*****

『黒ノ瀬戸より出でてよみがえらん』

*****

神代の昔、
すべての古き新しき神々争いし御世、
天に数限りなき星々の霊威トートゥに満てる聖金剛の神ありき、
すなわち全天が神々の帝王、豹神パンテーラ・セートゥありき。

セートゥの愚兄なるアウル、いつわりの日嗣の王、
大地を枯らし肥え太る邪悪、いつわりの太陽王なりき。
我らが高き聖金剛、豹の神パンテーラ・セートゥ、
いつわりの太陽王を天誅し、その骸を切り刻む。

我らがセートゥ、真の日嗣の王なりしが、
偽王アウルが妻、いつわりの麗しの双角女神アシテ、
刻まれし偽王アウルが骸を、太陽の水銀ヘルメスの聖所に持ち込めり。
至高の休息と復活の、太陽の水銀ヘルメスの聖所を穢せる罪よ!

いとも高きトートゥ、いとも速きパンテーラ・セートゥ、
いつわりの太陽王アウルが妻、かの邪悪なる双角女神アシテを
討ち取らんとして強き暴威の軍を差し向けしが、
蛇、黒犬、獅子、牛、様々、けだもの変容に踏み惑う。

いつわりの太陽王アウルと双角女神アシテが子、
残虐非道なる邪金剛の王アアル・アエトゥ、太陽王の偽の日嗣は、
聖金剛の神たるセートゥの豹の皮を剝いで星々織り込めし衣となし、
豹の聖金剛の肉を黒ノ瀬戸の底に封じ、焼き、煙を天まで届かせる。

ゆえに、呪わしき冥土アアルの民、アエトゥを崇める背教者らは
豹の毛皮をまといて姿を偽り、来たるべき偽王アウルの復活の日のため、
偽の日嗣アウルの威光を、なおも世に知ろしめんとする。
しかし、パンテーラ・セートゥの聖金剛の身は、時ならぬ時の瀬に死なず。

偽なる太陽王アウルが骸の邪悪な復活を止め、
卑しき邪金剛の王アアル・アエトゥが大凶の鉄の時代を止め、
この凶悪に満ちし世界を救うため、黄金時代の再来のため、
太陽の水銀ヘルメスを手にして、パンテーラ・セートゥよみがえらん。

全天が神々の帝王、偉大なる聖金剛パンテーラ・セートゥ、
天に数限りなき星々をかたどりし至高の金の豹の姿をまとい、
過去・現在・未来とこしえの三重の光輝を、一位の王冠として、
時ならぬ時の瀬より出で、太陽の水銀の杖もて、よみがえらん!

*****

《三面神》

左・中央・右の三面を持つ上古の沈黙の秘神。神名を誰も知らず。左右いずれかが「宿命の貌」もしくは「運命の貌」で、常に揺らぐ。中央の貌は常に目を閉じていて「宿命の貌」も「運命の貌」も見ることができない。中央の目が開くと「宿命の貌」も「運命の貌」も生々流転の変化をやめ、宇宙は凍り付いてゆく。その果てに無に帰すとの伝承あり。神格は天之御中主神に似る。