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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

2021年9月10月イラスト2022年6月イラスト

●2021年09月11日、制作イラスト、イラストお題モノ

#shindanmaker(ツイッターハッシュタグ)
「変なイラストお題ったー」https://shindanmaker.com/151395

気が向いたら 『王子様の衣装で悟りを開いた顔で残像を残しながら高速で移動するマティ』 を描いてみましょう!

キャラクター出典:自作小説『花の影を慕いて』よりマティ・トッド少年8歳、彼なら筋斗雲を発明するかも知れない

●2021年09月25日、制作イラストをツイッターに公開したもの

タイトル:空襲の炎の底を
制作時間:3時間(細切れ総合)

(制作後記)

今回の絵にまつわる、お話を。

学生時代の話になります。

とある図書館で、蔵書チェック作業のお手伝いをした事がありました。

そこは、戦前からの歴史のある古い図書館。ビックリするような古い蔵書が残っていたり、閉架図書に珍しそうな古本があったりして、歴史好きとしても、トキメクような体験でした。

修理の必要があるかどうか等、ひとつひとつ図書を手に取ってチェックするという単純作業でしたが、知らなかった本たちと出逢う楽しい時間でした。

夏休み中だったかな~と思います。クーラーがなくて、図書館の中は暑かった……

さすがに司書さんが詰めてる別室の方にはクーラーがあったので、時々、気に入った本を抱えてそこに逃げ込んで、読書休憩したりとか……!(^^*

そうやって、のんびりチェック作業していて。

ふと、不思議な本と行き逢いました。

立派なハードカバー仕立てなのですが、ものすごく古くて、くたびれている状態で。さすがに「どのくらい古いんだろう?」と好奇心が湧いて、蔵書印があると思われる奥付のほうを開いてみました。

……戦前の日付がスタンプされていました。

昔ながらの活版印刷で、ペーパーも印刷文字も、圧倒的ズッシリ感。ガッツリ、旧漢字に、旧・仮名遣い。

内容は、各地の民話伝説をいくつか集めて、専門家や研究者の解説を付けたもの。装丁も凝っている風でしたし、当時としては、相当にお金をかけて製作された贅沢な本だったみたいです。

端々が不思議にギザギザになっていたり、不自然なシミ汚れ(?)と思える部分があるけれど。適度に修理パッチが掛かっていて、満身創痍ながら、もう少しの間は頑張れる感じ。

本を手に取ったまま、少し考え込みました。

この辺りのエリアって、確か、戦争中、空襲があった筈。B29とか。あたり一面、焼け野原だったとか。

……

暑い夏の盛りの筈なのに、ゾワッと全身、鳥肌が立ちました。

空襲をくぐり抜けて来た図書……の可能性がある。

燃えやすい本が、どうやって戦火を生き延びて来たのか。

戦争中の頃も、司書さんは居た筈だし、活字中毒な読書マニアさんも居た筈。その中の誰かが、この本を持って避難していたのかも知れない……という想像が出て来ました。

焼夷弾は燃料となる油タップリだったそうですし、油汚れやススだらけの手で本を触ったら、当然、汚れシミとか付着するな……と納得したり。

歴史のある図書館だけあって、古い本も多かったですが。

目に付く限りの蔵書印や修理状況をチェックしてみる限りでは、空襲の炎の中を生き延びたと思しき本は、数冊くらい。ジャンルはバラバラ。手に抱えられる程度の量というのも、ジワジワ来る物がありました。

幸運にも焼け残った図書。

何も無くなった焼け野原の中で、大切に回し読みされたりとかして、人心のなぐさめになったのかも知れず……

……10年くらい後でしょうか、再び、その図書館を訪問する機会があり。

それらの不思議な古い本は、もう整理されていたみたいで、何処の書棚にもありませんでした。さすがに全身くたびれて満身創痍という状態だったですし、閉架の方に移動したのかも。

学生時代の夏の一幕。それなりに、印象深い邂逅でありました。

(おしまい)

※戦争中の図書館エピソードは、見た目、埋もれているけど、存在しているようです⇒「疎開した40万冊の図書」ドキュメンタリー映画がありました。出版本にもなっているようです。


●2021年10月29日、制作イラストをツイッターに公開したもの

タイトル:オオゲツ/ミケツ幻想
制作時間:17時間(細切れ総合)

そのかみの豊穣の祈り
…その空洞は 荒御霊の根源
虚空からあふれ出す山野河海…動植物
あらゆる形の大自然

(制作後記)

土偶=ベンガラを塗ってあるので赤いという設定

「ハイヌウェレ型女神」≒「縄文時代の豊穣の女神(土偶)」≒「オオゲツヒメ」仮説あり

他もろもろ知識は『縄文のメドゥーサ――土器図像と神話文脈』田中基・著より/「顔面把手付釣手土器」=「火を産み出す女神」(イザナミ神話に関連)

https://twitter.com/sizukashirakawa/status/1455498595487027201

[万葉]の歌に「見れど飽かぬ」「見る」「見ゆ」というように視覚に訴えていうものが多いが、それらは視覚を通して存在の内奥の生命にふれようとする、呪的な魂振りの行為であり、それは山川草木をはじめ、およそ存在するもの、生命感情の移入しうる一切のものに及んでいる。

●2022年06月03日、制作イラストをツイッターに公開

タイトル:いつか遥かな日に

今はあなたは問いを生きて下さい。そうすればおそらくあなたは次第に、それと気づくことなく、ある遥かな日に、答えの中へ生きて行かれることになりましょう。―リルケ『若き詩人への手紙』
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