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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

制作プロットのメモ「禍ツ日」

第三部マレヒト@第八章「禍ツ日」プロット

日付は全てストーリー上の架空の旧暦のもの

『万葉集』16巻、3849歌
生死(いきしに)の二つの海を厭(いと)はしみ潮干(しおひ)の山を偲(しの)ひつるかも

生死ノ海ハ、華厳経云。云何能度生死海入仏智海。海ハ深クシテ底ナク広クシテ限リナキ物ノ、能人ヲ溺ラスコト、無辺ノ生死ノ衆生ヲ沈没セシムルニ相似タレハ譬フルナリ。
精選本『万葉代匠記』契仲

(契仲:寛永17年=1640年~元禄14年=1701年、江戸時代中期、真言宗の僧、国学者)

■09/29■

明け方、カモさん疲労のため、ゆっくり朝食とお茶。鏡、かいがいしく給仕。

九鬼ほか海軍の偵察メンバー「一大事!」と、宿へ駈け込む。朝っぱらから騒がしい。

城下町へ引っ張り出される。雨竜島の竜宮城、元の形が分からないくらいに歪み、傾いている。地盤がメチャクチャになったせい。

群発地震は、ここ一両日は静か。代わりに地鳴りが激しい。鹿深氏も来て、竜宮城の傾きぶりを観察。全島避難を推奨、決定。新月の刻=大潮の刻までに全島避難を済ませるべき。雨竜島の役所は機能せず、大宰府サイド役人メインで急速に話が回る。触書が出される。

雨竜島の住民たち、かねてからの大地の異変に大いなる不安を抱いていた所だったので、急速に準備が進む。西海岸にたむろしていた人買いヤクザたちは早々に船を確保して別府へ脱出済み。作業員たちも昨晩のうちに逃げ出している。もともと西海岸の崩落状況が、命の危険を覚えるほどあからさまだった。

午前なかば頃、大潮の最初の満潮。

潮汐カレンダーで見ると、だいたい朝09:00ごろ?、城下町や城門前まで海水が上がる。役人たちも危機を覚え、あわてて全島避難を実行に移す。雨竜島の住民たち、パニックになりながらも、手荷物まとめて船に乗り込む。

聖麻の王族や軍も避難準備。ただしユカル王子は「臆病者めが」といきり立つ。かねてから目を付けていた因縁のあるキジムナー像に八つ当たりする形。エビス狛犬キジムナー像を赤く塗る。城下町の目撃者たち、「伝説が復活する」と恐れおののく。

タイミング的に雨竜島の不気味な地鳴りが止まる刻だった。急に地鳴りが止まる。聖麻メンバーはこれを奇跡と解釈し、ユカル王子の威徳を称える。

行動の早い避難者たちは存外に冷静。「単なる伝説だ」と解釈、なおも避難を続ける。花街の女将が特に冷静で、迷信深い遊女たち(商売道具)も動かして避難。

満潮の刻に合わせて別府から来た船の群れが雨竜島へ停泊。かねてから大宰府の役人たちが話を通していたため、行動が早かった。今回、雨竜島の竜宮城の傾斜が見えてビックリして駆け付けたもの。

カモさん一行の昔馴染みのメンバーも来ている。前回の雨竜島海戦で散々振り回された、別府側の役人たち・船長たちが中心。感動の再会で、ちょっと嘆いたり文句を言ったり。

渡辺党の船長の船も協力して、全島避難メンバーを迎えている。花街メンバーが偶然乗り込む事になった。瀬都兄は、新人の船員として荷物運びしている。田舎出身の純朴で可愛い少年風なので、花街の遊女たちにからかわれる羽目に。

花街の女将、船長と話している時に、岸辺に昔の見知っていたような顔を見て不思議そうにする。実は忍者ハイタカ。ハイタカ本人はすぐに姿を消している。

少し回想の話に。昔の聖麻戦争の際に、大将として白川という貴族が来ていた件。彼はハイタカの実の父親。花街の女将が知っているのはハイタカの生母だった女性の方。ハイタカは母親似なので、見知った面相に似ていると言うのは嘘では無い。

鏡青年、花街の商売道具の銅鏡を手入れしながら、女将の回想話を小耳に挟む。

やがて女将の話が終わる。花街メンバーたちは先発の船に乗り換え、別府へ渡る。

干潮=14:00ごろ(潮汐カレンダー参照)

夕方から夜、別府行きの船が次々に雨竜島を出る。全島避難が進行。

空模様が怪しく、地鳴りも不気味に絶えている。鏡、色々と考えあぐねる。

満潮=21:00ごろ(潮汐カレンダー参照)

ほぼ全島避難が完了。残りは雨竜島を見張るための特別メンバー・船の操舵に慣れたベテラン勢、カモさんメンバー。金斑メンバーが確認されているため、警戒する。

■09/30■

未明。新月。大潮~干潮03:00ごろ。

雨竜島、最後の大きな地殻変動。かなり強烈な地震。地震に伴う怪しい光に夜空が照らされる。地面が裂ける。落石、地滑り色々。

居残りメンバー全員で緊急脱出。聖麻メンバーも各自、船に乗って避難。

大潮と地震で、雨竜島海域は荒れている。やがて夜が明ける。

朝日で明るくなる。

満潮09:20ごろ~最大満潮の刻、雨竜島の高い場所で怪異な光。その筋の者たち、金斑の気配に気づく。金斑サイドは、何やら大掛かりな呪術を実行中。

正午に近い頃、日食が始まる。空が暗い。居残りメンバーの船団メンバー、全員で仰天する。

聖麻のユカル王子、すれ違う船の上から鏡に気付き、怒る。弓矢を放つ。

ユカル王子の弓矢で撃たれた鏡、船の上から海の中に落下。

タスキとイオが助けに入る。

海の上では、金斑の呪術がクライマックス。豹尾神と計都星を合成している。

海の中では、タスキ、イオが互いに協力して鏡を確保。浮かび上がろうとしたところで、様々な不思議な光景を見る。金斑の呪術が呼び起こした大いなる渦巻き=神の門を目撃。

海の上では、亡き天才呪術師・猫仙人の謎かけ&置き土産の呪術が発動。道開きと天ノ鳥船。呪術の攪乱が起き、金斑の呪術が遅延。

忍者ハイタカ、金斑を急襲。欠き眉の豹から1本とる形。日食が終わり、真の計都星となるべき候補がズレていたため、金斑の呪術は不発。

日食が終わったが、雨竜島の海は荒れ続ける。とめどない地震動。「だから、ユツとイオツの呪術は禁忌なのだ」とカモさん怒鳴る。

カモさん、手を打ち、猫仙人の置き土産の呪術を完成させる。

大潮~干潮15:30ごろ。

雨竜島、完全に沈没。沈没と引き換えに大地・地盤は新たな均衡を見出し、静穏化へ。

潮流が流れ始め、流速を増す。雨竜島の潮流に詳しくない聖麻の船団は、潮に流されるまま、関門の海峡を抜け、玄海~大陸側の海域へ押し出される。いつの間にか妖異の力によって、聖麻の国章が変わっている。

乱流のさなかに居た渡辺党の船長の船は、一応、乗り切った。鏡青年やタスキ、イオが行方不明。カモさん一行の船、駆け付ける。

鏡青年の行方について急いで検討。どうやら高千穂である。その後、偶然で、芝賀長官の死体が海の中から釣り上げられる。

夕方、別府へ停泊、上陸。


旧プロット

■09/30■

03:00干潮、雨竜島中央のくぼみ、さらに陥没。誰が見ても限界。

06:15ごろ、大潮に向かって潮流大きくなる。島住民、大混乱。地面がドンドン削れる。順次、避難。

09:00~大潮、雨竜島ほぼ沈没。竜宮の塔のみ無事?芝賀長官、大銭屋、欠き眉が何かを待ち受ける。

大潮の混乱で、鏡父、鏡青年の別々の船が互いに離れる。船半壊、沈没しかける。カモさん、鏡父の訴えに応じて、鏡青年を探す。アザミ衆イオ、鏡青年の位置を占う。鏡父をまず救出。

正午ごろ、日食、6分くらい?ユカル、鏡青年を発見。忍者リョウとタスキとイオが急接近、ハイタカは欠き眉を警戒していて別の場所で欠き眉たちを見張っているところ。鏡父、不安であちこち見回す。

ユカル王子、鏡青年を弓矢で撃つ。ケノコがガード。鏡父、驚愕。鏡青年、勢いで海に落ちる。リョウ、仰天しながらも鏡父をホールド。イオとタスキ、鏡青年の身柄確保のため、海中へ。

正午、日食スタート。全員がビックリして見上げる。豹神の影が出現。黄金色のオーラ。鹿深氏とカモさん、「日食の原因の計都星」「豹尾神」と悟る。

完全なる闇の中、大銭屋と欠き眉、礼拝「ケートゥ・オウル・パンテーラ」聖麻軍、全員、呆然。

12:15~転流。干潮へ向かう。豹尾神のもと雨竜島、完全に沈没(干潮でも島が現れない)。干潮と共に海の道が開け、聖麻の船団、関門を通り、一気に玄海へ。「神風だ」大陸沿岸まで航海。

豹尾神、咆哮。その余波で大地震。リョウ、海が泡立ったのを見て鏡青年の安否が気にかかり始める。イオとタスキ、荒れる海の中で苦労しながらも、鏡の身柄確保。

日食終わりかけ。豹神、姿が薄れてゆく。人間側の計都星の依代(叡都王の予定だった)が適合せず、受肉は未達成。大地震続く。地鳴り。

竜宮城の塔が壊れる。欠き眉、大銭屋は脱出。芝賀長官は捨てられ、海の中で溺死。

カモさん、鹿深氏、他面々「何という事を!」潮流~乱流、沈没しないための操舵で手いっぱい。

ハイタカ、欠き眉、互いに対峙。欠き眉のほうは、前回の道成寺の妖異事件から完全には回復しておらず、戦闘力に欠け。その武器は星の錬金術を経た金剛鉄ではないため、ハイタカの用意した薙刀(金剛鉄)に耐えきれず、粉砕される。

欠き眉、逃走。特別な術を使って神速で逃げる。ハイタカ「何か予想外の事が起きたか」と不思議がる。

イオ、タスキは海中で鏡を確保、潮流の極まるその奥に、アメノウズメのような存在を感受。大いなる渦巻き。鏡、言問いに応えている。タスキ、イオと共に渦巻きを通過。高千穂へ飛ばされる。

コケ玉の妖怪ケノコ、海中から芝賀長官の死体を吊り上げ。リョウ、仰天。

15:30~干潮。雨竜島沈没。21:00~大潮。鏡青年を捜索するが見つからず。訳知りそうなケノコを尋問、ネコマタ・ハイネ、聞き取りを担当。妖怪ネットワークでもって、行き先を高千穂と知る。

*****

脱線メモ:日ノ巫女=水銀を入れた壺(器)を持って、儀式をサポートする役割。

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