考古学的に考える月と兎の関係
考古学的に考える月と兎の関係/http://togetter.com/li/298839
◆スーパームーンというので、考古学的な月の話をしようか。大抵の文明では太陽暦より太陰暦の方が先に来たと考えられているけど、それは「月の満ち欠けと時の変遷」の相関関係が分かりやすいからだと言われてる。RawheaD 2012/05/06 02:05:23
◆そして、世界最古の「月の満ち欠けの記録」が、フランスのドルドーニュで発見されたオーリニャック文化の、この遺物(http://lunarscience.nasa.gov/articles/oldest-lunar-calendars/)。オーリニャックの太陰暦と呼ばれるこれは、動物の骨に月の満ち欠けが刻まれているという。約32,000年前の遺物。RawheaD 2012/05/06 02:07:21
◆日本だと「月にいるのは兎」と相場が決まっているが、ご存じの通りこれは世界各地で異なっていて、クワガタだったり女性の顔だったりする。中国も実は兎で、これは分かりやすい(日本のが後発だろう)けど、実はマヤ等メソアメリカでも一般に兎と言われている。RawheaD 2012/05/06 02:13:40
◆この事実をベースに「実は古代マヤ文明は中国と交易があった」と論じる研究者もいるが、考古学的にこの学説は全くサポートされていない。というのも、中国産の遺物がマヤ地域で見付かったことも、その逆も、ただの一度もないからだ。RawheaD 2012/05/06 02:16:09
◆もう1つの考え方は、マヤ人の先祖が東アジアから持ち込んだというもの。新世界の人々は元を辿ればほぼすべてが北東アジア出身と考えられている。新大陸へ渡ったのは1万5000年~9000年前。「月の兎」という文化的概念も、もしかするとそこまで遡るのかもしれない。RawheaD 2012/05/06 02:20:40
◆しかし、もう1つ可能性がある。それは、兎の懐胎期間が平均すると、ちょうど月の周期と同じ「30日」という事実に関係する。兎を観察していればそれに気付くのは難しくないし、その期間が月の満ち欠けと同期していると思うのも無理は無い。RawheaD 2012/05/06 02:25:00
◆つまり、東アジアとメソアメリカで全く独立して「月と兎の密な関係」という思想が生まれてもおかしくない、という考え方である。そして、その思想をベースに満月を見上げてみると……やっぱり兎が見えてしまうのだろう。個人的にはこれが一番可能性が高いと思っている。RawheaD 2012/05/06 02:26:15
◆古代マヤにとって、いかに「月と兎」の関係が密であったかを端的に表わしている土器がある。ボストン美術館所蔵のこの一品(残念ながら盗掘品の可能性大)には正に、月の女神が兎を産んでいるシーンが描かれている:
http://research.mayavase.com/kerrmaya_hires.php?vase=559