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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

深森イラスト遊戯「少女たち」

物語の登場キャラのカラーイラストです(「第一部・第七章」で初登場)

物語は基本的に、カモさんの視点を中心に演出していたので、少女視点のシーンは出てきませんでしたが、このカラーイラストでは、少女中心の視点を意識してみました。

カモさん一行の急な訪問で混乱が続いていた事務棟の中を、廊下側から探っている少女たちであります(=この時、カモさん一行をこれ以上奥に入れるべきかどうか、事務棟に勤める役人たちの間で、パニックが起きていたという設定)。

「柳色の業平菱の汗衫」という設定でしたので、そういう感じで色付けしてみました。物語の中の時節(=旧・五月後半=)らしい、涼やかなイメージになったと思います。ちなみに業平菱のパターンは、当サイト作成です。少女らしい、丸い感じで作っています(男子用の業平菱のパターンは、別にあります)

栗色のクセ髪・ネコ顔の少女は「坂崎-柚羅(ユラ)」。越の国の海岸地方の出身という設定。柚羅の父親・尚房は越の国の海岸地方の役人でしたが、功績を買われて、人事異動(春の除目)で伊勢の国に転勤。柚羅の兄・尚通は成人(元服)したばかりです。父親のツテが余り無いため、正式な官位も職業もありませんが、一通りの教育は受けているので、地方の公務員として就職は出来るかも知れないという状況。ざっと見て、柚羅は「中流公務員の娘」と言う事になります。地方には大勢いたであろう、平凡な「中流の少女」です。

黒色のストレート髪・平凡な顔立ち(つぶらな大きな目が割とポイント)の少女は「玉村-瀬都(セツ)」。越の国の山間部の出身で、数年前の事件で一族郎党を失うと言う目に遭い、精神を病みました。現在は人前に出られる程度には落ち着きましたが、やはり不安定な部分はあります。カモさんの奥方・澄江御前の妹の娘、という縁戚関係があり、カモさん夫婦が引き取っています(=カモさん夫婦には子供が居なかったので、実の姪として歓迎された事は間違い無いのです)

(実際の歴史知識=東北地方の社会構造は、都周辺の社会構造とはかなり違っていました。未開の地が殆どで、寒冷で農業ではとても食えなかったので、農業以外の各種職業の部落が発達。漁業、猟師(マタギ)、馬を管理する「牧」、武士、エトセトラ。都周辺のエリアでは穢れに触れる職業として差別を受けるような職業が多かったのです。血や穢れをタブー視しない浄土宗系の仏教が普及したのも、その辺にあるかも。今でも、関東以東のエリアでは「部落」は社会差別&職業差別に繋がる存在では無く、単に各地の中小村落の代名詞、というところが多いそうです。山がち&未開な地理条件も関係していたと思います)

どうでも良いような細かい設定ですが、瀬都の父母は駆け落ちに近い恋愛結婚でした(=身分差を越えた大恋愛ではあったものの、血筋や身分による縛りは、辺境という事もあって、都ほど厳しくはありませんでした)…^^ゞ

なお、澄江御前も越の出身で、「中の上」あたりの娘です。柚羅と同じような身分の娘でしたが、縁あって上京し、花洛の都でカモさんと結婚しました。ちなみにカモさんもその時は、まだ大納言では無く、地方出身のヒラの若手官僚に過ぎませんでした(身分的には釣り合っていた)

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