詩歌鑑賞:萩原朔太郎(廣瀬川)
「廣瀬川」
廣瀬川白く流れたり
時さればみな幻想は消えゆかん。
われの生涯(らいふ)を釣らんとして
過去の日川邊に糸をたれしが
ああかの幸福は遠きにすぎさり
ちひさき魚は眼(め)にもとまらず。
「宿命」の中の「物みなは歳日と共に亡び行く わが故郷に歸れる日、ひそかに祕めて歌へるうた」より
物ものみなは歳日(としひ)と共に亡び行く。
ひとり來てさまよへば
流れも速き廣瀬川。
何にせかれて止(とど)むべき
憂ひのみ永く殘りて
わが情熱の日も暮れ行けり。
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〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)
「廣瀬川」
廣瀬川白く流れたり
時さればみな幻想は消えゆかん。
われの生涯(らいふ)を釣らんとして
過去の日川邊に糸をたれしが
ああかの幸福は遠きにすぎさり
ちひさき魚は眼(め)にもとまらず。
「宿命」の中の「物みなは歳日と共に亡び行く わが故郷に歸れる日、ひそかに祕めて歌へるうた」より
物ものみなは歳日(としひ)と共に亡び行く。
ひとり來てさまよへば
流れも速き廣瀬川。
何にせかれて止(とど)むべき
憂ひのみ永く殘りて
わが情熱の日も暮れ行けり。