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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

詩歌鑑賞:伊藤静雄「わがひとに与ふる哀歌」

「わがひとに与ふる哀歌」

太陽は美しく輝き
あるひは 太陽の美しく輝くことを希ひ
手をかたくくみあはせ
しづかに私たちは歩いて行つた
かく誘ふものの何であらうとも
私たちの内(うち)の
誘はるる清らかさを私は信ずる
無縁のひとはたとへ
鳥々は恒(つね)に変らず鳴き
草木の囁きは時をわかたずとするとも
いま私たちは聴く
私たちの意志の姿勢で
それらの無辺な広大の讚歌を
あゝ わがひと
輝くこの日光の中に忍びこんでゐる
音なき空虚を
歴然と見わくる目の発明の
何にならう
如かない 人気(ひとけ)ない山に上(のぼ)り
切に希はれた太陽をして
殆ど死した湖の一面に遍照さするのに
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