詩歌鑑賞:伊藤静雄「かの微笑のひとを呼ばむ」
「かの微笑のひとを呼ばむ」/伊藤静雄
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われ 烈しき森に切に憔(つか)れて
日の了る明るき断崖のうへに出でぬ
静寂はそのよき時を念じ
海原に絶ゆるなき波濤の花を咲かせたり
あゝ 黙想の後の歌はあらじ
われこの魍魅の白き穂波蹈み
夕月におほ海の面(おもて)渉ると
かの味気なき微笑のひとを呼ばむ
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〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)
「かの微笑のひとを呼ばむ」/伊藤静雄
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われ 烈しき森に切に憔(つか)れて
日の了る明るき断崖のうへに出でぬ
静寂はそのよき時を念じ
海原に絶ゆるなき波濤の花を咲かせたり
あゝ 黙想の後の歌はあらじ
われこの魍魅の白き穂波蹈み
夕月におほ海の面(おもて)渉ると
かの味気なき微笑のひとを呼ばむ