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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

国産大麻の復活を目指す動き

《ネット記事はいつの間にか消滅しているので備忘のためメモ》

■大麻栽培農家への過度な規制を緩和へ厚労省が都道府県に9月通達(東京新聞2021.08.26)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/126891

栽培の在り方が議論されている産業用大麻について、厚生労働省は合理的な指導を超えた規制を緩和するよう、9月中旬に都道府県へ通達を出すことを決めた。併せて、10月から厚労省と都道府県、栽培農家の3者協議の場を設ける。
国内の大麻栽培農家は、都道府県から免許を得て、幻覚成分の「テトラヒドロカンナビノール(THC)」の含有量が極めて低い品種を栽培し、神事用の繊維などを生産している。しかし、畑への監視カメラやフェンスの設置、見回りなどについての厳しい規制が問題になっている。
また、三重県では生産した神事用繊維を県外に販売できず、栃木県では後継者を育てるための研修を中止させられたケースもある。厚労省監視指導・麻薬対策課の田中徹課長は「過去には監視カメラのデータを5年分保存させるケースもあった。(薬物大麻の解禁論者に)誤ったメッセージを与えてはいけないが、明らかに行き過ぎた規制もある」と説明している。
規制緩和に向けた方針は23日、栃木、三重、岐阜県や北海道などの栽培農家の代表らが厚労省医薬・生活衛生局の鎌田光明局長を訪ねた際、田中課長が伝えた。農家側は、薬物としての大麻を「マリフアナ」などと表記して産業用大麻と区別することなどを求める要望書を提出した。

■伊勢ブランドで国産大麻復権を規制緩和で期待三重(朝日新聞2022.08.13)
https://www.asahi.com/articles/ASQ8D7KXKQ83ONFB011.html

神事用の大麻の生産をめぐり、県がこれまでの厳しい栽培規制を大幅に緩和し、生産拡大に道を開いた。神事や医療への国産大麻の活用を図る国の方針に沿った転換で、県内唯一の生産法人「伊勢麻」(南伊勢町)の関係者は「伊勢ブランドの大麻で、国産大麻の復権のきっかけになれば」と期待を込める。
伊勢神宮内宮から車で30分ほど行った山奥にある約60アールの大麻畑。7月初旬から、週末は県外からのボランティアの手を借りながら、高さ2メートルほどに育った大麻草の刈り入れが行われている。
収穫した大麻からは、乾燥や発酵などの作業を経て、茎の表皮で作る「精麻(せいま)」と芯部分の「麻幹(おがら)」ができる。精麻は神事で広く使われ、奈良晒(ざらし)などの高級織物や大相撲の横綱の綱などにも使用される。麻幹は合掌造り集落・白川郷(岐阜県)などでかやぶき屋根の下地に使われる。
伝統ある国産大麻だが、戦後は衰退の一途をたどり、厚生労働省によると、全国の栽培面積は最大だった70年ほど前の約5千ヘクタールから2020年は約7ヘクタールにまで減った。
株式会社「伊勢麻」は、国産大麻の衰退を伊勢ブランドの麻で食い止めようと、地元有志が16年に起業した。生産するのは「無毒大麻」と呼ばれる幻覚成分がほとんどない品種「とちぎしろ」だが、栽培や出荷はこれまで県から厳しく規制されてきた。
畑は人目につかない非公開の場所に限られ、高さ2メートル以上の柵と監視カメラの設置を義務づけられたほか、栽培に携わる人は中毒者ではないことを証明する医師の診断書が必要だった。出荷先も県内の神社のみに限られてきた。
伊勢麻の麻職人の谷川原健さん(41)は「診断書が必要と言われ、息子らに収穫を手伝ってもらうこともできず、柵やカメラはまるで栽培が犯罪行為であるかのようだった。悔しい思いをしてきた」という。
そもそも谷川原さんは、県から助成金を得て、16年までの2年間、栃木県の麻農家で栽培と加工技術を学んだ。しかし厳しい規制により、これまで大麻生産で収益を上げるのは難しく、「はしごを外された思いだった」と話す。
大麻の栽培規制をめぐり、潮目が変わったのは昨年9月。コロナ禍で神事や祭りが中止となる中で、厚労省が「国産大麻繊維を使用する伝統文化の存続、栽培技術の継承などが課題になっている」として、栽培や出荷の規制を緩めるよう各都道府県に通知した。さらに今年3月、柵や防犯カメラを合理的に運用するよう重ねて求めた。県薬務課の担当者は「これまでの国策からの大転換と受け止めた」と驚きをもって振り返る。
通知を受け、県は昨冬、余った精麻を県外の神社などに出荷することを許可する方針を伊勢麻に伝えた。さらに7月15日付で大麻栽培の指導要領を改定し、県内で採取された種子から育てた大麻については、栽培場所を原則自由とし、柵や防犯カメラの設置や診断書提出の義務、外部からの研修・見学の受け入れといった規制を除外した。
厚労省は、来年の通常国会にも大麻取締法などの改正案を提出し、乱用への「使用罪」を設けると共に、神事など伝統的な利用や大麻成分の医薬品への活用を目指す考えだ。一見勝之県知事は7月の会見で「神事用ということで伊勢はブランドでもあり、無用な規制をしていく必要はないと考える」と述べた。
有識者らでつくる「伊勢麻振興協会」理事の新田均・皇学館大教授(神道学)は「伊勢麻が国産大麻の安全性への誤解を解き、日本人の衣食住を支えてきた作物の復権につながれば。今後、医薬品やプラスチックの代替品などとして用途が広がれば、南勢地域の有力な作物になり得る」と期待を込める。

■神事用大麻の栽培を三重大が研究 戦後国内初(中日新聞2022.11.25)
https://www.chunichi.co.jp/article/588557

三重大(津市)は24日、神事・産業用大麻の栽培を農学として研究するための専門チームを設置したと発表した。同大の担当者によると、農学分野での大麻研究機関の設立は戦後、国内初だという。
大麻は、日本では古来、「麻」として神事などに使われてきた。同大は、伊勢神宮がある県の大学として、研究に取り組むことを決め、6月、研究者用の大麻取扱者免許を取得した。
同大で取り扱うのは、向精神作用のある麻薬成分含有量が極めて低い大麻で、麻薬としての使用はできない。今後は、国内各地の神事・産業用大麻の種を集め、安定して供給できるように品種改良などを進める。
研究の中心を担う同大大学院地域イノベーション学研究科・生物資源学研究科の諏訪部圭太教授は、神事・伝統のための大麻産業を支えるのが目的だと強調しつつも「将来的には農学に限定することなく、医学、工学などの分野へも発展させていきたい」と話した。
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