私製詩歌「神々の身土」
日の影の ゆりくる きしべ
色無き空に 終わりの星を抱いて たてるもの
はるかに あおぐや 神々の身土を
空の裂け目より カムナビは たたり
幾条もの ひらめく いかづちを まとい
聞けるや 鳴りて響(とよめ)く 雲の音(ね)を
はるけき 神々の身土
海と山の間に やちまたは うねり
風と光に 川は さやげり
果てしなくも 崩れゆく
在りし月日を 偲ぶとき
うつろひの 波目は震え
地の底に とどろく水の音(ね)を聞けば
たぎりおつ かなしみ うずき
うつしよの 裂け目を さまようもの
名も無き神々の名の下に
うましもの――
あきらけく
さやけく
けやけし――
思いは まだ なさざるに のたうち
神々は柱のかたちして 荒び
歌をとどろかす
火を噴く山並みの 如くに
形霊(カタチ)と――形代(カタシロ)
たれにも 形得(かたえ)ず かなしみ――
滝の音(ね)
ほろびにいたる 誘水(イザナミ)
裂け目より出ずる
黄泉の底の 水の声――
因果の蔓(かげ)は 雲にからまり
無限の苦さが にじむとき
しんとして 御中(みなか)に けむれ
雲の影に
ひそやかに 化(け)もちて たてるもの
天の原 ふり放(さ)け見れば
その果てに――
緑なす 花綵(はなづな)の 現(うつ)しき島々――
さ青(を)なる 誘生(イザナキ)が花
神々の身土よ
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