詩歌鑑賞:土井晩翠「夕の磯」
「夕の磯」/土井晩翠『天地有情』
見よ夕日影波の上
しばしたゆたふ紅を、
沈まば盡きんけふ一日
名殘はいかにをしむとも
久しかるべき影ならず。
見よ老びとの磯の上
思にしづむ面影を、
逝かば終らむ身の一世
ほだしはいかにつらくとも
久しかるべき命(めい)ならず。
嗚呼雲入りて星出で、
夕日は波にしづみけり、
わが日わが世のあとひとつ
夕波騷ぎ風あれて
嗚呼老びとの影いづこ。
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〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)
「夕の磯」/土井晩翠『天地有情』
見よ夕日影波の上
しばしたゆたふ紅を、
沈まば盡きんけふ一日
名殘はいかにをしむとも
久しかるべき影ならず。
見よ老びとの磯の上
思にしづむ面影を、
逝かば終らむ身の一世
ほだしはいかにつらくとも
久しかるべき命(めい)ならず。
嗚呼雲入りて星出で、
夕日は波にしづみけり、
わが日わが世のあとひとつ
夕波騷ぎ風あれて
嗚呼老びとの影いづこ。