制作プロットのメモ「東奔西走」
第二部タタシマ@第十章「東奔西走」プロット
日付は全てストーリー上の架空の旧暦のもの
■08/30■
カモさんからの情報連携の緊急の文書を預かった渡辺津のベテランの船長、渡辺津へ到着。大沢加湾では先着の物流の船が入っているが、船長は渡辺津の重要メンバーとして、割り込み権を発動。他の船がコースを譲る。
同時に到着した物流の船の中に、坂崎一家が乗り込んだ船があった。瀬都も柚羅と共に同乗し、大阪湾の賑やかなラッシュ状況を見物。坂崎一家を乗せていた物流の船の船長は、残念なことに、渡辺津の重要メンバーでは無いため、ベテラン船長にコースを譲る形に。ベテラン船長の操舵技術に感心して見せる。
坂崎一家、ようやく下船し、港町を歩いて、丸頭の僧形商人(無欲庵の仲間)の詰めている番屋を目指す。以前の海賊襲撃(正体は欠き眉)によって港町は破壊されており、その後、新しく建て替えられた部分が多いため、多少の記憶のある瀬都も戸惑い。人に道を聞き、番屋へ。
丸頭の僧形商人(無欲庵の仲間)の詰めている番屋の前で、坂崎一行と、先着していたベテラン船長から派遣された飛脚とが、出会い頭に衝突事故。柚羅と瀬都が運悪く、身体が小さかったので衝撃をまともに食らい、掘割のドブの中へ沈没。周りの人々が驚き慌てながら、協力して引き上げる。
坂崎一行とベテラン船長、仕切り直し、丸頭商人の道連れとなって伏見稲荷の常陸宮邸へ直行。
常陸宮、ビックリしながらも歓迎。夕星御前たちが柚羅と瀬都がドブまみれな状態であるので、さっそく風呂に入れて洗濯するなど世話。着物のほうは、ドブで使い物にならないので、燃料などとして燃やすしかない。早速、風呂などの燃料に。
常陸宮は、ベテラン船長からの報告を面白おかしく聞き&銅鐸盗難事件の深刻な要点を分析。呪術を知る忍者たちを、鈴鹿峠~坂下宿へ派遣して状況を見る必要あり、急遽、派遣。ついでに、瀬都が伊勢暴動の際の怪異な星の呪術に巻き込まれた中心人物と察知、こちらも注意深く観察。
瀬都は風呂に入れられた際、夕星御前や召使女たちに裸を見られた。身体には、雪森郷事件で受けた、大きな呪術による傷がある。色の濃いアザという感じの、ぞっとするような傷痕。あとで、召使女が常陸宮にそっと教える。常陸宮「興味深い!」と、ますます瀬都に注目。
夕食の後、柚羅と瀬都は、好奇心でもって、常陸宮の不思議なコレクションをそっと見て回る。海外から持ち込まれた古代趣味の神像などの不思議な品々。エジプト・セト神につながる文物も。豹神について改めて話題。
坂崎一家を改めてコレクション部屋に招待。常陸宮、ベテラン船長、居合わせた鹿深氏、無欲庵の全員で、伊勢暴動や朝熊山の騒動の際の怪異な現象について、坂崎一家から詳しく聞き取り、興味深く分析。
深夜、瀬都、大きな夢遊病を久し振りに発生。
■09/01■
未明、近畿地方一帯に、怪異な地震。大きな流星「アマツキツネ?」と騒ぎに。
夢遊病を発した瀬都、注意のため、柚羅と手首どうしでつないでいた紐を引っ張り、歩き出す。柚羅、引きずられながらも「夢遊病」と気付く。瀬都を止めようとするが、できない。屋敷の者を起こすべく、柚羅、大声で騒ぎだす。
瀬都、なにかに導かれるままに柚羅を引きずりつつ、池の前まで来ると、水の上を歩き始める。怪異な現象。そこに、常陸宮や鹿深氏、無欲庵、ベテラン船長たちが来て、目撃して仰天。
正確に新月の刻。夕星御前が、怪異な現象にも対応できる特別な薙刀(五瀬の刃)を持ち出し、池に入る。程なくして、不思議なポーズ(天へ向けて祈る姿勢)をとる瀬都と対峙。
夕星御前、気配の切れ目を見出し、薙刀を振るう。タッチの差で、瀬都の着物を斬り飛ばす羽目になったが、みごと、邪気調伏。邪気が切れたため、瀬都の身体は浮遊する力を失い、柚羅を巻き込みつつ、池へざぶんと落ちる。
2人の少女を池の中から救出。ベテラン船長、瀬都が何かを持っていたことに気付き、池の中を探る。すぐにブツが見つかる。コレクション部屋の中にあった、怪異なセト神像。
セト神像は、変形していた。豹神像そのもの。有翼の豹神の像、紫金の翼。
柚羅と瀬都はそろって発熱で寝込む、水の上を歩いていた事は覚えていない。坂崎父兄は、翌日09/01には上京して諸々の手続きを済ませる必要があり、無欲庵に少女たちのお世話を依頼して出発する形になる。
夜明け前、常陸宮、鹿深氏、無欲庵、ベテラン船長、夕星御前で、取り急ぎ、検討会議。有翼の豹神の変形像の謎について。瀬都の姿勢は「オランテ」と呼ばれる古い祈りポーズ。現人神に関わる何かか、という議論になる。
(時間をさかのぼる)
鈴鹿峠~坂下宿。坂下宿の廃寺にあった本来の像は、紫銅の行列によって交換されていた。豹トーテムと思われる、動物の豹の像。
近畿地方の一帯が怪異な地震で揺れた瞬間、坂下宿の廃寺の像が爆発現象を起こして変形、同じくらいの大きさの有翼の豹神像になる。(瀬都が持っていた変形像と完全な相似)
目撃者となったヤマイヌの忍者たち、そろって仰天。豹神像はとても頑丈で、かつてのオリハルコン金属みたいに、魔性を切る五瀬の刃でもっても、歯が立たない。動かそうとしても、最大最強の安置の術が掛かっているため、動かせない。ユツ・イオツ魔法陣の基点として固定されたのは明らか。
明け方、ヤマイヌの忍者たち、急遽、常陸宮へ報告のため伏見へ。伏見稲荷の界隈に到着したところで、坂崎の父兄と行き逢う。2人の少女たちが居ない事で首を傾げるが、すぐに事情を察する。
常陸宮、鈴鹿峠からの報告を受けて、同席していた鹿深氏や無欲庵と共に仰天。ベテラン船長に、怪異事件の概要をまとめた文書を託し、カモさんへ送り届けるよう依頼。ベテラン船長も、連続する怪異でハッスルしており、即刻、承知。
(舞台の変更、時間もさかのぼる)
未明、近畿地方の一帯で地震、揺れは淡路島でも大きく感じる。夜空に大きな流星アマツキツネが流れ、カモさん一行、いぶかしむ。特別な現象「星下り」に気付く。カモさん一行、夜中ではあるが急遽、出発、星下りを追う。
近くに、イザナギ神宮がある。ほどなくして、その門前町に入る。元々、翌朝の早い頃に、この界隈へ入る予定だったので、距離は近い。
イザナギ神宮の門前町は夜も明るく、多くの活動がある。やがて、カモさんの目当ての家に到着する。五瀬の刃を鍛錬する刀鍛冶の家。この刀鍛冶もまた、鏡さんと同じ「金目(カナメ)」の異能を持っていた。
漫才コント応酬でもめた後、カモさんと刀鍛冶、話し合う。星下りについて追及。刀鍛冶、しぶしぶながら、星下りにバッチリ気付いていた事を白状、その現場へ案内する。イザナギ神宮の近くに現場がある。
刀鍛冶の本名は「五瀬(イツセ)・織姫(オリヒメ)」(女性の名前)なので、本人はコンプレックスがある。「織姫」は、刀の銘としては刻みにくい。そのことで、再び漫才コント。
カモさん、現場調査の末、真相に気付く。刀鍛冶が「星下り」の星を隠し持っている。しばらく、また漫才コントした後、刀鍛冶の家に戻る。
刀鍛冶がマッドサイエンティスト根性を発揮して、紫銅の伝説の武器に対抗できる薙刀を研究のため制作していた。星下りの星は、その薙刀の上に隠されていたため、薙刀の刃の金属と同化、薙刀の刃を、神話伝説にしかない特別な金属に換えていた。天下取りも狙える武器。星の錬金術。
鏡さんは薙刀を眺め、刀鍛冶と同じように、色々と不思議な特徴に気付く。この薙刀を扱えるのは忍者ハイタカではないかと意見。カモさん納得、イオに、ハイタカへの運搬を任せる。
■09/02■
星下りの特殊事情により、しばらく、刀鍛冶の家に滞在。その間、刀鍛冶の家事を手伝ったりしながら、特別な金属を奪いに来る勢力が無いかどうか、警戒。刀鍛冶は、魔性を祓う武器を作っているだけあって、怪異に対して常人より理解がある。カモさんと漫才コント。
欠き眉の勢力が来ない事を確認。イオは、ふと小耳に挟んだ内容が気になり、鉄と水銀の関係について鏡さんに質問。鏡さんも金属の専門家なので、正確に答えられる。「鉄は水銀に溶けない」=水星・水銀(合金~金融~融解/神話の交錯で生じる)呪術や妖異の現象に対して重要な示唆。
■09/03■
刀鍛冶の家を出発し淡路島を南下~門崎へ到着。聖麻のゴタゴタで居の津が危うくなった鏡さんの父親が、都で保護された後、門崎の村の小屋に移され生活している。
鏡さんの父親=鏡麿呂。小屋の中で情報交換。今までの旅の話など。
鏡父の話=05/16朝、息子の出奔に気付いて呆然だった。聖麻の私兵がうろついて身の危険を感じた。忍者の器物屋に連れ出され、都の小さい路地に潜伏、ひっそりと鏡研磨の仕事を請け負いつつ生計を立てていた。七夕を過ぎた頃、聖麻鏡を、器物屋が持って来てビックリした。(鏡さんが伊勢で朝ノ君に依頼していた内容)
鏡父の話=つづき=鏡父は、聖麻鏡の修復状態を観察し、息子の仕事だとすぐに分かり、感心。聖麻王国の国宝でもあった神鏡なので、これを聖麻氏に持って行けば、息子に対する妙な嫌疑なども晴れるのではと思い、聖麻王子のユカルに連絡を取った。
鏡父の話=つづき=だが、事情はすっかり変わっており、逆に鏡父は居場所をつかまれ、聖麻の私兵に始末されるという状況になっていた。直前に器物屋が気付き、無事に救出された。その後、鏡父は本当に恐ろしく思い、ここ淡路島の門崎でひっそりと暮らしていた。なお、聖麻王子のユカルは、向こうでは、国宝の神鏡を取り戻した英雄として扱われているようだ。
鏡父の話が終わる。色々と複雑な気持ちになったが、聖麻の前王が生きていた頃とは全く変わってしまったのだという事で、皆で納得する。
カモさんが、聖麻の闇について解説。その闇が、鏡母の死をもたらしたと推理。雨竜島経由で入って来た財宝でいっぱいだった蔵があり、それは、よろしくない呪術も含むため、機密扱いだった。鏡母は、偶然にも蔵を開いて秘密を知ってしまい、口封じで殺されたのではないかと言う推理。よって、聖麻王室としては、鏡一家に全滅していて欲しいのが本心。
なお、都で鏡父が隠れ住んでいた路地裏の方は、忍者の工作が入っていて、鏡父の死体の替え玉が用意されていたので、しばらくは誤魔化せる。当分の間は安全な筈。
ここまで説明して、カモさんは、鏡父子に「これから、どうしたいのか、父子でよく相談して決めてほしい」と推奨。どのような結論になっても、ヤツマタとしては、その決断を尊重する。
改めて、カモさんと鏡父で、海岸に出て、ゆっくりと考えながら話。鏡父、今までは上層部に言われるままに動いて来た身なので、すぐには思考パターンを変えられず。
カモさん「権力の庇護のもと、家業に集中して打ち込める時代は終わっている。自分で世間をよく見聞きして、自分でどうしたいのか、対応を決める必要がある」と指摘、教授。鏡父、「どうするのか」ではなく「どうしたいのか」について、違和感を覚えるが、考えてみると返す。
やがて夜になる。海に近く、鳴門の渦潮の音が響く。鏡さんは初めて聞くのでビックリ。鏡父も、最初の時はビックリしたと答える。就寝。
■09/04■
淡路島、門崎の海岸。鏡父子、早朝の散歩。偶然ながら、この日は鏡母の月命日。
門崎から鳴門海峡の方向を眺める。対岸に四国の大地。
鏡父、持っていた巻物を息子に見せて、聖麻鏡について詳しい説明をする。神鏡とされるのは、反射パターンに緻密な細工があって、時代によって不思議な反射像を見せるため。
代々の鏡職人としては、国宝の神鏡を平常状態に保つ必要があり、鏡研磨の際にひと手間入れる必要があった。だが、鏡は、それを知らずに「正確に」修復したため、異例状態で現れる、特別な神意を受けた反射像が現れた。幾何学的で、広げられた両翼の形。呪術者が見るなら、「押し羽振る」と表現するパターン。
(伏線が入る:この幾何学的な両翼の反射像は、有翼の豹神の像に生えた翼と相似)
■■■【第二部タタシマ】ここで終了する。【第三部マレヒト】へ続く。