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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

古代部族の想像・前篇

この記事は、ユーモア・イラスト付きでお送りいたします。テーマは歴史ファンタジー系という事もあるので、イラスト系ブログらしく、歴史ファンタジー系のイラストで遊んでみたいと思います。

お題は、「そのかみの大陸に栄えた、強大な部族の王と魔法使い(呪術師)を想像してみよう」。架空の大陸の名前は・・・そうですね、例えば「ロマンシア Romancia 」としてみましょうか。

架空の大陸ロマンシア Romancia ・・・それはそれは広大な大陸で、熱帯から砂漠オアシスから永久凍土まで様々な自然環境があり、様々な生き物が居て、更にどんな怪物や異類異形が居るのか・・・冒険の可能性と、未知なるものへの畏怖に満ちた世界。知らないところへ迷ってしまいながら無事に帰ってきた人は英雄とされ、数々の不思議な冒険話を披露したことでしょう。摩訶不思議な異国との遭遇や、怪獣退治のお話もあったかも知れません。

最初の項目は、自然環境や社会環境に関するもの、5つ。

  1. 上古(そのかみ)、その大地は広大で、森は深く、比較的温暖で、緑滴る沃野であった。熊やトラや鹿、オオカミなど、多様な動物が豊かに生息していた事が知られている。想起する時代は、氷河期の記憶も濃厚な、石器&土器時代とする。
  2. 洪水神の神話が、あちこちの部族で伝承されていた。洪水神話と人類発生神話は一体であった。おそらく、氷河期が終わって周期的に大量の氷が溶け出した頃の記憶に由来するのであろうが、実際は不明。
  3. 洪水などの災害はおそらく凄まじいものであり、そのため、洪水の時期を事前に察知する呪術師の伝統があった。呪術師はカレンダーを持っていた(先人から星の位置などを秘密に伝承されていた)かも知れない。
  4. そのかみの大地の諸部族は、険しい地形や、広大な原始林や大河で互いに区画されて孤立していたが、豊かな生産物に恵まれていたため、部族ごとに、先祖代々の定着度が深い。中世の諸王国は、このように自然に形成された区画の伝統を引き継いでおり、その地域差は大きいものであった。
  5. 沖積平野に定着した部族の間では、原野に食用穀物の原種を発見し、原初的な農耕を行なっていた可能性がある。彼らは早々に、本格的な村を形成した。その中には石造りの城壁を巡らせた村もあり、ささやかながら「おらが国」を称していた。

氷河期末期の洪水の記憶も濃厚な、架空の大陸ロマンシア Romancia 。石器・土器文化に彩られている自然環境や社会環境のイメージは、十分に描けましたでしょうか?太古の、こうした条件の中に生きていた諸部族の姿を、これからイメージするわけです。

では、次の項目に続きます。その部族の姿に関する情報です。あくまでも想像実験です。部族の外見を具体的に想像して、自由にイラストに起こしてみてください。歴史ファンタジーの大陸ロマンシアにおける、石器・土器時代の人物イラストを描く際のヒント、4つです。

  1. 太古の諸部族は、その多くが、成人儀礼として入れ墨を行なっていた。その入れ墨は赤や青や黒で、おそらくは額や頬に数種のラインを引く系統が多かった。なお、中世における騎馬民族の諸王国の時代では、その古代の入れ墨の伝統はすでに絶えて久しく、辺境の野蛮人の習俗と見られていた。
  2. 入れ墨の種類で、その人物の社会的役割が判別できた。呪術師は、目尻や目の周囲に念入りに魔術的な入れ墨を施し、眼力のパワーアップを図った。王侯諸侯といった高貴な人物は、眉の間に特に美麗な入れ墨装飾を施していたと推測される。
  3. それぞれの部族は、村の中でほぼ全ての生活が完結しており、異族の侵入や魔物の出現を恐れていた。ゆえに、古代は、国境の辻に魔除けのためのしゃれこうべを並べたり、悪霊退散の呪術を施したりしたと言われている。王が隣国を訪問する際には、強力な魔法使いが先払いを務め、道々で悪霊退散の呪術を行なう事によって、旅の安全を図った。
  4. 呪術師は杖を持ち、神と人との媒介を行なう存在であった。王の補佐の地位にもあった。杖の装飾が如何なるものであったかは明らかではない。魔除けや、聖なる天意の伝達、という機能から想像して欲しい。強大な王は、数多の呪術師を従えた。杖持つ人がずらりと従うさまは、壮観であったろう。

これで、ヒント終了です。当サイトのイメージは、以下のイラストのようになりました。

想像(1)太古の部族の王と呪術師

1つめのイラストは、青や赤の鮮やかな入れ墨を額や頬に入れた、古代における架空の部族の王と呪術師です。氷河期を抜けて間もない、石器・土器時代という事なので、衣服は、動物の毛皮。何となく、熊の毛皮とかを想像。

王様という事で、川から拾える美麗な石をつづったアクセサリを首にあしらってみました。色つきガラスも、ちょっと頑張れば作れるかも知れないので、キラキラとしたガラスでも良いかも知れません。

呪術師のほうは、真っ赤な入れ墨を目の周りに配置してみました。「燃えるような力強い目」になったかな?と思います。呪術師の持ち物として、おまじないのための複雑な模様を描き込んだドクロを追加。

想像(2)祈祷を行なう太古の呪術師

2つめのイラストは、とっぷりと暮れた夜更けに、悪霊退散の祈祷をして踊っている呪術師のイメージ。岩の上に自然に出来た平たい部分を祭壇に見立て、聖なる土器に火をたき、聖なる杖とドクロを振り回し、強力な呪文を唱えている図です。杖の先端には、特別に作られた石器の矢じりが付けられており、更に、太陽の鳥と考えられているカラスの羽がくくりつけられています。(何故カラスの羽か、というのは、わが国のヤタガラスが理由だからで、特に深い意味はありません。極楽鳥が神の鳥と考えられているのであれば、極楽鳥の羽でも良いのです。)

イラストに表現したように、各種のヒントからは、何となく、アフリカ奥地の狩猟採集系の部族や、マヤ・アステカといったメソアメリカ地域の古代部族に通ずるイメージを感じました。アマゾン奥地では、シャーマンは医師であり、薬師であり、楽士であり、夢見師であり、予言者でもあります。

さて、いかがでしたでしょうか?架空の大陸ロマンシア Romancia の石器・土器時代を生きた、ある部族の王と呪術師・・・、どんなイメージが浮かびましたでしょうか。

次回[古代部族の想像・後篇]は、この不思議な実験の種明かしとなります。乞うご期待。

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