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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

深森イラスト習作

これまでにお勉強した装束の知識を元に、制作委員会でアレコレ衣装を組み立てており、今回はエントリのタイミングが遅くなりました(知らない事ばかりだったので、1日がかりでした・汗)

看板キャラに色々着せてみた習作(=ちょっと自信のある力作=)を、3つ公開です。イラスト担当いわく、描いてみないと分からないことも色々あるし、描いてみてからの方が気が付くことが多かったと言う事で、習作を公開です。

★第1の習作は、有名な架空の人物キャラ風。

毛が無かったり(=禿げているわけでは無い=)、ピースしていたりするのはご愛敬。うむ。束帯に似てるけど、これは布袴(ほうこ)ですね。

※「笏」の漢字が間違ってるッ…^^;;;;;;;;;;;;;

…それにしても、至高の冠をしげしげと観察してみて、大人しくて目立ちたがりでは無い普通の男性の場合、至高の地位と言うのは、結構ゴウモンに近かったのでは無かろうか…と、想像してしまったのでありました…^^;;

★第2の習作は、若い女性に見立てて細長を描いてみたもの。

ウサちゃんなのは「ウサギ年」という事で、ご愛敬。

イラスト担当いわく、「細長って本当に細長かったのね」との弁。着物の帯として、細長の帯を締めるということが、普通に行なわれていた筈、と想像。この時代には珍しく、スッキリした雰囲気の装束だったのでは無かろうか…

これはイラスト担当氏の考察なのですが、細長というのは、おそらく、宮廷出仕の可能性があろう若い女性向けに、裳唐衣(=十二単=)スタイルの練習バージョンとして活用されていたんではあるまいか…

と言うのは、裳の扱いというのは、実際はかなり大変らしいのです。

イラスト担当氏いわく、自分では裳を着用した事が無いので、バスタオルを腰に結び付けて、ある程度立ち回ってみた結果という事で…(=大きなタイプのバスタオルは、幅も長さもあるので、裳に見立てることが出来る=)

立ち居振る舞いで、正式の長袴と一緒に、長い長い裳をさばくのは、かなり大変だった筈。相当練習しないと、いざと言うときに優雅にさばけないし、クルリと方向転換したときに裳を踏みつけて転んだりする可能性があるらしい…^^;;;

※実際に、自分も、裳に見立てた掛け布団(薄物)でこけて、青あざを作ったというのがあるので、一応リアルな可能性ではあるのですね。でもお蔭サマで、裳が実際にどのようにさばかれていたのか?を想像出来たような。これは後の物語の場面で、美しい姫君と一緒に、ドラマチックに演出してみたいと思います。

御所が火事になった時などは、家財道具を抱いて逃げるのも一苦労だったのでは無かろうか…と、昔の女性に同情してしまいました。

★第3の習作は十二単で、かぐや姫サマ風。

紅の表着に、「萌黄の匂い」風の五衣に、赤い単に、紫の袴と、ブルーのパターン模様っぽいのを入れた裳(唐衣はイラスト習作の都合上、省略。この感じだと多分、紫か白の唐衣が合いそうです)。

紅(赤系統のカラー)が入ると華やかになる、と言うのがよく理解できた…とイラスト担当氏の弁。

能衣装のジャンルで、うら若い女性を表現する場合は「紅入り(いろいり)」の衣装を使う、年のいった女性を表現する場合は「紅無し(いろなし)」の衣装を使う…というのがあって、赤系統カラーの有無が、役柄の演出方法を選ぶ上で重要な区別になっているそうですが、このたびの習作で、「なるほど」と納得したものでありました…^^;

昔は、「赤(紅)=色」というくらい、濃い赤系統の色は目立つものであったらしいです。

紅の色に関わる詩歌と言えば、万葉集の歌が連想されます*^^*

  • 春の苑-紅にほふ-桃の花-下照る道に-出で立つ乙女・・・(万葉集19巻4139-大伴家持)
  • 物思(も)はず-道行く行くも-青山を-ふりさけ見れば-つつじ花-匂え娘子(をとめ)-桜花-栄え娘子-汝れをぞも-我に寄すといふ-我をもぞ-汝れに寄すといふ-荒山も-人し寄すれば-寄そるとぞいふ-汝が心ゆめ・・・(万葉集13巻3309-柿本人麻呂)
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深森イラスト遊戯「鹿深氏」他

第一のイラスト。「伊勢道の章」の登場キャラ、役人・鹿深(カフカ)氏です。

実は、鹿深氏の設定は、かなり綿密に決まっていました。彼は亀山城の役人ですが、元々から亀山城の役人だったのではなく、以前は花洛の朝廷に勤めていた新進気鋭の役人でした。大体15年前から20年前くらいの頃でしょうか。当時は20代後半から30代前半だったかなと想像(若いですね)。難題解決に並みならぬ手腕を発揮し、早いうちから上役の信頼を得ており、課長さん&部長さんクラスになっていたと思います。

若かりし頃の鹿深氏、という事で、朝廷の役人の平常の装束、つまり衣冠を着せています。貴族では無いですし、ヒラ役人という地位だから、六位以下の、無紋の浅葱(紺色)のスーツですね。ズボンはかなり悩んだのですが、同じブルー系だとさすがにイラストとしては映えないかなあという事で、グリーン系に。実際の装束では麻のズボンだったりしたらしいので、亜麻色というか、ごく薄いクリーム色だったかも知れませんが…

カモさんの旧友で、一癖も二癖もある人物です。今頃は朝廷の重役で、もしかしたら安倍清明よろしく殿上人クラスにも出世しているだろうに、何故に現在は亀山宿に居るのか?というのは、結構「深い事情」があり…、現代風に言えば、引責問題のとばっちり、派閥争い…

鹿深氏は、あれはあれでイタズラ小僧めいた面白い性格の人ですし、面倒で窮屈な朝廷を飛び出してせいせいした、という状態のようです。カモさんを翻弄できるほどの器量のある人物はそんなに居ないのですが、その1人ですね

※亀山城の城主は、早くから鹿深氏を知っていました。朝廷を退職した鹿深氏を、亀山城の嘱託としてスカウトしていたのです(一応、中世の頃の地方の政治技術はまだまだ原始的なレベルであり、文字は普及してはいたものの、高度な法治となると、まだまだという状態ではあったようです。当時は農民一揆や土地訴訟、悪党の乱暴狼藉などが付き物で、大変だったようです)

第二のイラスト。同じく「伊勢道の章」の登場キャラ、九鬼氏の手下の青年です。

赤毛の青年と言う事で、ハーフっぽい赤毛ってこんな感じかなと。年齢はだいたい10代後半です。主人公クラスの年代は、やっぱり、中高生から大学生ぐらいの年代に集中しますね…(悩める青少年は、見ていて面白いという事もあります)

中年のおじさんに付いていって行動している…というあたり、まだ仕事見習いの少年だから、元服するかどうか微妙な時期である、という事にしておきます。本人は本人なりに背伸びして頑張っていて、大人のつもりですし、周囲も「そろそろかな」という考えを持っているようです。

カラーイラストだから、目いっぱいお洒落して、濃いグリーンにまだらに染めた麻の直垂。紅の袖括り紐(ここだけは、多分シルク製)。それに何となく水色の小袖(単?)。

背景は海の写真の加工ですが、「崖っぷち」なあたり、キモ試しのような気も(汗)

イラスト「ウサギの夢」

来年はウサギ年と言う事で、「ウサギの夢」。「ウサギのセレナーデ」とか「ウサギのノクターン」でも良かったかも。

《2010.12.21追記》

民主党・小沢氏の周りが、俄然あわ立ってきているらしいというお話を小耳に挟みました。

12月21日は皆既月食でしたので、何だか占星術的な運命的なものを感じる…という雰囲気も、無きにしも非ずです…

皆既月食と言っても、完全に月が真っ黒になるわけではなく、地球大気を通過する太陽光の状態によって、「アースシャイン(地球照)」と言って、様々な赤銅色に見えるのだそうです。昔は大気が綺麗だったので、地球照も鮮やかに見えたのでは無かろうかと想像しています