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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

2022年7月の個人的な注目時事ニュース集

■安倍氏たたえる決議採択 米上院で全会一致(産経新聞2022.07.21)
https://www.sankei.com/article/20220721-SN7IHOLCRFPIVOIQS7WFNJMSA4/

米上院は20日、銃撃されて死去した安倍晋三元首相をたたえる決議案を全会一致で採択した。安倍氏を「一流の政治家で民主主義の価値の擁護者」と評価し、「日本の政治、経済、社会、そして世界の繁栄と安全保障に消し去ることのできない足跡を残した」とした。
決議は前駐日大使のハガティ上院議員ら70人近い議員が13日に共同提出。安倍氏が「自由で開かれたインド太平洋」の考え方を広めたことに触れた上で、現在の日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」の基礎となる構想を推進したと強調した。米大統領とともに日米同盟を強化し、北朝鮮の非核化や日本人拉致問題の解決にも精力的に取り組んだと指摘した。
「米国は偉大な友人を失った」としながらも「そのリーダーシップにより、日米が世界中で自由、繁栄、安全を促進し、専制主義や独裁政治に対抗するため今後数十年にわたって協力する基盤が築かれた」と締めくくった。(共同)

(コメント:この決議の意義は重大。安倍元首相の功績と考えられる点…1、アメリカにとって対等かつ敬意を表する相棒ないし好敵手としての日本の地位の確立、2、民主主義を守り抜くという迷いのない姿勢への評価、3、アメリカ上院下院ともに一致して安倍元首相という傑出した人材への国家最高レベルの評価をなさしめた)

【以下、過去記事ですが、安倍元首相のベストショット写真リンクを兼ねて】
アングル:安倍政権、歴代最長も果たせぬミッション 憲法改正の夢(ロイター2019.11.18)
https://jp.reuters.com/article/japan-abe-legacy-idJPKBN1XS0H0


●ECB、0.5%利上げでマイナス金利脱却 市場安定化措置決定(2022.07.21ロイター)
https://jp.reuters.com/article/ecb-rates-idJPKBN2OW15H

欧州中央銀行(ECB)は21日、2011年以来となる政策金利の引き上げを決定するとともに、市場安定化に向けた新たな債券買い入れ措置を承認した。
政策金利は0.5%ポイント引き上げた。記録的な物価高を受け、引き上げ幅は前回の理事会で示唆した0.25ポイントの倍にした。この結果、リファイナンス金利が0.50%、中銀預金金利がゼロ%、限界貸出金利は0.75%に引き上げられた。
11年ぶりとなる利上げについてECBは声明で「今後の政策理事会で一段の金利の正常化が適切になる」と表明。「今日の決定でマイナス金利を脱し、理事会は金利決定について会合ごとのアプローチに移行できる」とした。
また多額の債務を抱える南欧の金利が上昇することによる「域内格差」を是正する新たな債券買い入れ措置、伝達保護措置(TPI=Transmission Protection Instrument)」を発表した。
TPIの運用について「買い入れ規模は、政策伝達上のリスクの深刻度による。買い入れに事前の制約はない」とした。

(コメント:ガス供給が少なくなっているという話があり。スタグフレーションの気配も漂い始めたところで、将来の見込みは厳しそうです。でも、当座の急激なインフレを抑えるべしという見方が大勢であった模様。利上げという事は、クレジットカード決済やローン返済の時の利率も上昇するという…借金を抱えている人には辛いかなと思われ…)

●情報機関・検察トップ解任 職員がロシアに協力疑い―ウクライナ(時事通信2022.07.18)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022071800157

ウクライナのゼレンスキー大統領は17日のビデオ演説で、バカノフ保安局(SBU)長官とベネディクトワ検事総長の解任を発表した。SBUや検察の多数の職員が、ウクライナ侵攻を続けるロシアに協力している疑いのあることを解任の理由に挙げた。
ロシアによる侵攻開始以降、治安機関トップの交代は初めてで、2人同時は異例。長期戦をにらみ、戦時体制の立て直しを図った形だ。
ゼレンスキー氏は演説で、国家反逆やロシアへの協力の疑いで検察職員らの捜査を進めているケースが651件に上ると明かした上で、「60人以上の職員が占領地にとどまり、わが国に背く活動をしている」と指摘。「国家安全保障の基盤に対するこうした一連の犯罪」は「関連機関のリーダーシップに極めて深刻な疑義を突き付ける」と述べ、解任の決断に至ったと説明した。

「ロシアへの内通者発見」 ゼレンスキー大統領、保安局トップを解任(ロイター2022.07.19)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b7fd507dc741a244dd37badf529bfba9b307af7e

ウクライナのゼレンスキー大統領は7月18日夜、保安局(SBU)のバカノフ長官とベネディクトワ検事総長を解任した。ロシア軍に制圧された地域でSBUと検察の職員らがロシアに協力するなど、国家反逆行為があったとしてトップに引責させた。
ゼレンスキー大統領「ウクライナ保安局に関する重要なニュースがもう1つある。職員の人事監査を行っており、28人を解雇する可能性がある。さまざまなレベルや角度から解雇を検討しているが、理由はどれも似ている。職務遂行能力が十分でないことだ。わが国の軍隊はロシア軍の後方支援に多大な損害を与えることができた。ロシア軍が占領地の拠点を維持することはますます難しくなっている。内通者を突き止め、無力化しながら一歩一歩前進する。展望は明確だ。この国のすべての都市と村にウクライナ国旗が掲げられるだろう。それは時間の問題だ」

(コメント:ロシアの内部混乱もいろいろ聞こえてくるところですが、ウクライナ側の内部混乱も激化している模様。敵性の文化活動の排除や野党の締め出しなど、ウクライナ内部闘争が広がっているのかなと思案。国家の結束にヒビ入っても不思議では無く。ウクライナ崩壊のリスクもありそう)

●ウクライナ議会、ロシアの音楽と出版物の禁止法案可決(ロイター2022.06.20)

ウクライナ最高会議(議会)は19日、ロシアの音楽を放送したり公共の場で流したりするのを禁じる法案を可決した。1991年のソ連崩壊後にロシア市民権を獲得した者の演奏が対象。ロシアやベラルーシ、ウクライナのロシア占領地域からの商業出版物の輸入を禁じる法案も可決した。
一方で、テレビやラジオでのウクライナ語放送やウクライナの音楽の枠を増加させる。ソ連崩壊後のロシア市民権獲得者が同国パスポートを放棄してウクライナのパスポートを取得すれば、執筆物の出版を認める。法案はゼレンスキー大統領の署名を経て成立する見通し。

●ウクライナ、親ロ政党の活動禁止 資産差し押さえ(AFPBB、2022.06.21)
https://www.afpbb.com/articles/-/3410628

ウクライナの裁判所は20日、国内最大の親ロシア派政党「野党プラットフォーム―生活党(Opposition Platform-For Life)」の活動禁止と国内資産の差し押さえを命じた。デニス・マリュスカ法相がSNSへの投稿で発表した。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は3月、ロシアの侵攻を受けた措置として、治安当局により親ロ派と特定された政党の活動を禁止する命令に署名していた。
マリュスカ氏によると、差し押さえられた資産は国庫に移される。このほか、ウクライナの国家安全保障を損なっているとみなされた親ロ派10政党が活動を禁止された。
「野党プラットフォーム―生活党」は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のウクライナ最大の支持者と目される大富豪ビクトル・メドベチュク氏が2018年に設立。19年の議会選挙ではゼレンスキー氏の与党に次ぐ第2党となり、今年3月に活動を禁止されるまで約30議席を保持していた。メドベチュク氏は国家反逆の疑いで拘束されている。

●親ロシア派が拘束の英国人男性死亡 病死と主張 英国政府「問題を緊急に提起」(TBS NEWS DIG Powered by JNN、2022.07.16)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0d8cf21aae774b1fe621680e22c0729dce0bbfcf

ウクライナ東部の親ロシア派は15日、拘束していたイギリス人男性が死亡したと発表しました。これを受けてイギリス外務省はロシア外務省などに対し「問題を緊急に提起している」としています。
インタファクス通信によりますと、親ロシア派武装勢力「ドネツク人民共和国」は拘束していたイギリス国籍のポール・ユーリーさんが10日に死亡したことを明らかにしました。
親ロシア派側はユーリーさんについてウクライナ側の外国人傭兵だったとしていて、死亡の理由について「持病の悪化とストレスが原因」だと主張しています。
イギリスBBCによればユーリーさんが「死亡した」との発表を受けてイギリス外務省は「ウクライナ当局およびロシアの外務省に対してこの問題を緊急に提起している」と述べました。
またイギリスに駐在しているロシア大使を呼び出しました。
ユーリーさんは今年4月、ウクライナ南部ザポリージャ州で住民を避難させる活動を行っていた際に、親ロシア派の検問所で別のイギリス人男性とともに拘束されたと見られています。
その後、ユーリーさんが手錠をされた状態でイギリス政府やイギリスメディアを批判する様子がロシアのテレビで流れましたが、ユーリーさんの2人の娘はイギリスメディアに対して「父がそんなことを言うとは思えない」と述べていました。
ユーリーさんは糖尿病を患っていて、インスリンを持ち歩いていたということですが、人道支援団体は、親ロシア派側が、国際赤十字などの支援機関がユーリーさんに会うのを拒否したと主張しています。

(コメント:ロシア・ウクライナ停戦へのプロセスが更にこじれるという、よろしくない影響が出て来そうな。英国ジョンソン首相が首相の座を降りる決意をした、とのニュースの直後というタイミングも、なんだか凄すぎ、と申しますか…すでにグダグダ・ゴチャゴチャで、うらみ骨髄、見通し真っ暗、という段階なのかも知れませんが…)

●停泊中の海保巡視船から機関砲8発を陸へ誤射 けが人なし(2022.07.19,TBS-NEWS-DIG)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/99342

海上保安庁の巡視船が沖縄・伊良部島の基地に停泊中、誤って機関砲の実弾8発を発射し、松野官房長官は、徹底した調査と原因究明を行う考えを示しました。
松野官房長官
「宮古島海上保安部に所属する巡視船が基地において停泊中に、搭載する20ミリ機関砲の点検作業を行っていたところ、誤って実弾8発が発射されたとの報告を受けています」
宮古島海上保安部によると、きょう午前11時10分ごろ、沖縄・伊良部島の長山港に停泊していた巡視船「しもじ」で、搭載されている20ミリ機関砲の点検中に、誤って実弾8発が陸地に向け発射されたということです。
松野官房長官はきょう(19日)午後の会見で、「これまでのところ、人的被害や民間施設への物的被害は確認されていないと聞いている」と述べています。
そのうえで松野長官は、「このような事故が発生したことは大変遺憾」とし、海上保安庁で徹底した事実関係の調査と原因の究明を行うべきとの考えを示しました。

(コメント:尖閣諸島あるいは台湾・沖縄あたりの、将来の極東有事の可能性を連想させるところ。情報戦なのだろうなと思案してみる)

●米下院議長が来月訪台 日本にも 英紙報道(時事通信2022.07.19)
https://news.yahoo.co.jp/articles/5cec47956d16a469f7efd0df4de3ed8d09c4b020

英紙フィナンシャル・タイムズは19日、関係者6人の話として、ペロシ米下院議長が8月に台湾を訪問する計画だと報じた。同紙によると、日本、インドネシア、マレーシア、シンガポールも訪れる。
ペロシ氏の訪台は当初4月に予定されていたが、同氏が直前に新型コロナウイルス検査で陽性となり、延期されていた。中国は当時、訪台は米中関係に深刻な影響を及ぼすと警告していた。同紙によると、米政権内では、ペロシ氏の訪台の是非をめぐり意見が割れていた。一部の当局者は、ロシアのウクライナ侵攻から間もない4月の方が訪問を正当化しやすかったとみていたという。(ロイター時事)。

(コメント:そして、このタイミングで、台湾を米国要人が訪問する…妙に不穏な内容を予期させるところ)


●安倍元首相銃撃犯の怨恨の根、岸信介の統一教会接近とは──祖父の冷戦戦略の副作用に殺されたのか(現代ビジネス)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/97419

政治家は宗教側の「熱意」にあまりに鈍感
(前略)統一教会にかつての勢いはない。安倍政権が続いていた時代、勝共連合の機関誌である『世界思想』の表紙を安倍元首相がたびたび飾ったのも、あるいは統一教会がメッセージを求めたのも、なんとか勢力の挽回をはかろうとしてのことであろう。
安倍元首相は、祖父からの関係があるがゆえに、その要望に従ったのだろうが、それが容疑者を刺激することになった。
首相や元首相を利用しようとする宗教の側は必死であり、その効果に絶大な期待を寄せる。まさに創価学会の戸田がそうだった。
ところが、首相や元首相の側には、それが分からない。あるいは、その認識のズレが、思わぬ形で今回の出来事を生んだのかもしれないのである。

(コメント:真相に近いポイントを突いているかも知れない…)

●肥料、電気代の負担軽減へ 岸田首相「物価高騰、最大限警戒」 対策会合・政府(時事通信2022.07.15)
https://news.yahoo.co.jp/articles/3d31e58ab0e7f3e98ab866f81fe9143b24a9ed4d

政府は15日、「物価・賃金・生活総合対策本部」(本部長・岸田文雄首相)の第2回会合を首相官邸で開いた。
ロシアのウクライナ侵攻などに伴う物価高騰に対応するため、農産品の生産コスト上昇を抑える肥料の購入支援金創設や、電気料金の負担軽減を図る節電プログラムの実施などを決定。こうした対策の経費を賄うため、政府は月内に予備費の執行を決める方針だ。
岸田首相は会合で「世界的な物価高騰は依然として予断を許さない状況だ」と強調。その上で関係閣僚に対し「最大限の警戒感を持って、引き続き対応してほしい」と指示した。
農産品の支援金は、世界的に化学肥料の原材料価格が高騰していることから、肥料価格上昇分の7割を補填する仕組み。6月以降に購入した分までさかのぼって支給する。電気料金については、節電に協力した家庭にポイントを付与する電力会社の取り組みに参加を促すため、政府の支援で今夏にも参加登録者へのポイント付与を始める。

●柏崎刈羽、対テロ施設の計画了承 対策不備には言及なし―規制委(時事通信2022.07.13)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022071300529

原子力規制委員会は13日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)のテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」(特重)について、「新規制基準に適合している」とした審査書案を了承した。原子力委員会と経済産業相の意見を聞いた後、正式決定する。
柏崎刈羽原発をめぐっては、7号機の原子炉本体施設の審査は合格したが、侵入検知装置の故障が放置されるなどテロ対策の不備が相次いで判明。規制委が事実上の運転禁止命令を出し、再稼働に向けた準備が進められなくなっている。特重は同じテロ対策に関連する施設のため、審査の進め方に注目が集まっていたが、13日の規制委では不備についての言及は特になかった。

(コメント:原発再稼働へ一歩前進。岸田政権が、以前から原子力規制委員会に、審査をできるだけ急ぐよう声を掛けていたという話があり。委員会のほうでも、可及的速やかに作業を進めていた模様)

●LNG買い占める欧州 貧困国は電力不足に/欧州のガス需要が価格高騰を招き、アジアなどへの供給を奪う(ウォール・ストリート・ジャーナル2022.07.08、有料のため途中まで)
https://jp.wsj.com/articles/europe-scoops-up-lng-choking-off-power-supplies-in-poorer-nations-11657257346

ウクライナの戦争は、遠く離れた発展途上国の電力を奪う結果になっている。発電に使用される液化天然ガス(LNG)の世界的な供給が、ロシア産ガスの代替として欧州諸国に取り込まれているためだ。
パキスタンが実施した約10億ドル(約1360億円)のLNGの入札に対し、7日に応札が1件もなかった。同国当局が明らかにした。同国では発電所に供給するのに十分な天然ガスを輸入できず、企業や家庭は毎日、政府による強制的な電力停止に悩まされている。
船で世界中に運搬可能なLNGの価格は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で需要が抑制された2年前の底値から1900%も高騰している。現在の価格は、原油に換算すると1バレル=230ドルに相当し、現在の原油価格の2倍以上だ。LNGは通常、原油より安い価格で取引されている。

●ノルドストリーム、検査でガス供給停止 再開不透明(日本経済新聞、2022.07.11)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR114JT0R10C22A7000000/

ロシアとドイツをつなぐ天然ガスの主要パイプライン「ノルドストリーム」は11日朝、定期検査で供給が止まった。毎年恒例の検査で21日ごろまで続く予定だが、経済制裁やウクライナへの武器供与を理由に、ロシア側が検査終了後も供給停止を続ける恐れがある。
定期検査は、ノルドストリームを運営するロシア国営ガスプロムが遮断弁や圧縮機など設備や安全システムをチェックする。必要に応じて設備を補修するが、長くても約2週間で終えるのが通常だ。
ロシアのプーチン大統領は8日「制裁はエネルギー市場の破滅的な価格上昇につながり、欧州全体の家計に打撃を与える可能性がある」と述べた。ウクライナに自走式榴弾砲や防空システムの供与を決めたドイツをけん制した。
ガスプロムは6月中旬以降、ドイツ向けのガス供給量を、契約量の約4割に削減している。ガスプロム側はカナダで修繕していた設備が戻っていないことを理由に挙げていた。カナダ政府は対ロシア経済制裁を理由に設備の輸送に難色を示していたが、9日には許可すると明らかにした。
ドイツ政府は「検査終了後もノルドストリームの完全封鎖が続く恐れがあり、その可能性に向き合う必要がある」(ハベック経済・気候相)とロシアの報復措置への警戒を強めている。
ショルツ首相は11日、国内企業トップらと将来的な供給不足への対応について意見を交わした。ハベック氏は11日にチェコ、12日にオーストリアを訪れ、供給確保に向け連携する。
夏場のガス需要は小さく、供給減がすぐに電力不足につながる可能性は低い。ただ需要が拡大する冬場を前に、ガスの備蓄量を積み増しておきたい政府の思惑には狂いが生じることになる。
産業界への打撃も表面化している。ノルドストリーム経由でガスを調達する独エネルギー大手ユニパーは8日、ドイツ政府に資本注入など救済措置を要請した。不足分は割高なスポット市場から購入しており、損失は年末までに100億ユーロ(約1兆3800億円)に達する可能性がある。
ロシアからドイツに向けてはノルドストリームのほか2本のパイプラインがある。このうちポーランド経由は5月中旬に停止し、ウクライナ経由も7分の1に供給量が落ちている。

●アングル:気候変動対策加速へ、「照準」変えた若者の抗議活動(ロイター2022.07.10)
https://jp.reuters.com/article/youth-protest-climate-change-idJPKBN2OF08Y

<大物政治家と対峙>
英ブリストル大学の講師、オスカー・バーグランド氏は、若い活動家が「気候変動に関する『悪者』を具体的な標的に定めるようになった」と言う。温室効果ガスを排出する特定の企業と、それを可能にしている政治、金融、メディアを狙い撃ちし始めたのだ。
英国では、そうした活動のひとつである「グリーン・ニューディール・ライジング」が見出しをにぎわせている。昨年8月に始まったこの活動は、スナク英財務相ら主要政治家と対峙し、その様子をフィルムに収めてきた。
最近では国会議事堂で石油・天然ガス産業のイベントが開かれた際、大音量で抗議の演説を行って妨害した。望むのは、早急な気候変動対策について超党派の支持を取り付けることだ。公開イベントで議員らを質問攻めにして驚かせたこともある。草の根活動は、政治家にアクセスして「言質」を得る有効な方法だと活動主催者は語った。
<ウクライナ侵攻との結びつき>
世間の関心が高い話題と、気候変動対策を求める活動を結びつけようとする動きもある。

●「節ガス」制度を検討 経産省、LNG不足に備え/企業に使用制限令も(日本経済新聞、2022.07.09)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA01CH90R00C22A7000000/
>経済産業省は液化天然ガス(LNG)の調達難に備え、都市ガスの消費を抑える「節ガス」を家庭や企業に求める仕組みをつくる。需給が逼迫する際には前もって大口企業に使用制限令を出せるようにする。ロシア産LNGの安定供給に懸念が生じていることに対応する。電力分野の節電要請を参考に制度設計する。今冬の需要ピーク前に制度化できるよう、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の有識者会議で詳細を詰める。

●ロシアの黒海封鎖が一因 スリランカ危機 米国務長官(時事通信2022.07.10)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022071000425

ブリンケン米国務長官は10日、訪問先のバンコクで記者会見し、ロシア軍による黒海封鎖でウクライナ産穀物の輸出が停滞していることに関し、スリランカが経済危機に陥った要因の一つとなった可能性があるとの見方を示した。
長官は「黒海封鎖により、2000万トン以上の穀物が世界に供給できないまま、ウクライナの貯蔵庫にとどめられている」と述べた上で、「世界中で深刻化している食料不足はロシア軍のウクライナ侵攻で著しく悪化している」と批判した。
また「ロシアによる侵攻の影響は各地に広がっている」と語り、タイでも肥料が不足し、価格が跳ね上がっていると指摘。肥料が使えなくなれば収穫が減り、農産品の価格が高騰するだろうと懸念を表明した。

(補足:海路封鎖の担当=トルコ、機雷ばらまき担当=ウクライナ、経済制裁による決済ストップ担当=アメリカ※当分の間、輸送路はまともに機能しない見込み)

●経済危機のスリランカ 大統領が辞任へ 政府への抗議広がる(NHK、2022.07.10)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220710/k10013710241000.html
>インド洋の島国・スリランカのラジャパクサ大統領は、今月13日に辞任する意向を議会に伝えました。経済危機が続くスリランカでは9日、最大都市のコロンボなどで政府に対する大規模な抗議活動が広がりデモ隊の一部が大統領の公邸を占拠するなど、政府の責任を追及する声が高まっていました。

外務省:スリランカにおける人道状況の悪化を受けた緊急無償資金協力(2022.05.20)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press1_000880.html
(日本政府は緊急的に人道的支援をしているが、おそらくスリランカ政府には、その支援を有効活用できる程度の正常な政務能力が残っていなかったと思われる。スリランカ政府の上層部のほうで、ほとんど中抜きして、「ポッケ・ナイナイ」状態?)

スリランカ、経済自由度指数112位に後退 改革進展も腐敗・汚職課題(SankeiBiz、2017.03.08)
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/170308/mcb1703080500010-n1.htm

スリランカ国民の9割が大統領一族の辞任を求めていると現地の調査機関が発表(Yahoo個人、2022.05.02)
https://news.yahoo.co.jp/byline/nishantha/20220502-00294192

スリランカ、インフレ率は50%を超え、政府支持率はわずか3%に(Yahoo個人、2022.07.01)
https://news.yahoo.co.jp/byline/nishantha/20220701-00303633


●ウクライナ、ドナウ川の港から黒海へ抜けるルートで穀物輸出開始…要衝奪還で可能に(読売新聞、2022.07.13)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20220713-OYT1T50131/

ウクライナ政府は12日、隣国ルーマニアとの国境となっているドナウ川沿いの港から黒海へ抜け、穀物を輸出するルートが稼働し始めたと明らかにした。先月末に黒海の要衝ズミイヌイ(蛇)島をロシア軍から奪還したことで、航行が可能になったという。
ウクライナ当局によると、この4日間で、ウクライナ産の穀物を輸送する貨物船16隻が、このルートを通ったという。当局は、このルートの活用により、穀物の輸出を月間50万トン増やせるとの見通しも示したが、従来の輸出拠点港だった南部オデーサやミコライウの取扱量をカバーできるほどではない。
13日にはロシアとウクライナ、トルコ、国連が、ウクライナ産穀物の輸出が停滞している問題について協議する。ウクライナが新ルートを稼働させたことで、ロシア側が態度を硬化させる可能性もある。
ウクライナ大統領府によると、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は12日、穀物の主要な輸出先である中東・アフリカ地域の担当特使を任命した。ロシアが自国産穀物の輸出拡大を図ろうとしている動きに対抗し、ウクライナとの関係をつなぎとめる狙いとみられる。

(コメント:ルーマニアとフランスの協力。シーパワー大国でもある英国。英国ジョンソン首相が、黒海の島の奪回作戦の直前にウクライナ電撃訪問していた件を想起。英国首相の座を降りることになったのは、この軍事・経済の目標が達成されたという事実も大きい模様。また情勢が大きく動き始めたら、ジョンソン氏の再登板の可能性もありそう)

●IMF専務理事が債務危機警告-コロナや戦争、利上げで「危機重なる」(ブルームバーグ2022.07.13)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-12/REWWRHT1UM0W01

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は、世界的な債務危機が醸成されつつあると警告を発した。中央銀行によるインフレ抑制を目指した利上げが、脆弱(ぜいじゃく)な国の債務返済コストを押し上げていると論じた。
ゲオルギエワ氏は12日、ワシントンでのイベントで「われわれが現在目にしているのは、危機の上に危機が重なるという状況だ。ウクライナでの戦争に加え、パンデミック後の金融環境の引き締まりで第3の衝撃が襲う可能性もある」と述べた。
物価の急上昇を受けて世界各地の中央銀行が金融政策の引き締めを余儀なくされている。米国も積極的な利上げ姿勢に転換し、それがドルを急騰させた。一方、途上国ではディストレスト債が2500億ドル相当に積み上がり、過去に例を見ないような連鎖的なデフォルト(債務不履行)が発生する恐れが出ている。
ドルを獲得できず、ドルでの債務返済を迫られる国は、返済に「2倍の困難」が生じると、ゲオルギエワ氏は指摘。途上国と新興国の約30%は債務がディストレスとなっているか、それに近い状態にあると付け加えた。

●「ウクライナ」(17)  松里公孝・東京大学法学部教授
https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/36363/report

ロシア史、ウクライナ史が専門の東大の松里教授は「この戦争を理解するためには1991年のソビエト連邦解体にさかのぼらなくてはならない」と強調した。2008年以降の旧ソ連圏の戦争は、いずれも旧連邦構成共和国(グルジア、アゼルバイジャン、ウクライナ)と旧自治単位(南オセチア、アブハジア、カラバフ、クリミア)の間で起きており、拙速なソビエト解体は15の連邦構成共和国の政治家やインテリだけに利益をもたらし、自治単位に不満を残したという。また、分離志向が強いバルト3国やグルジア、アゼルバイジャンは「ソ連に組み込まれたこと自体が違法。ソ連に占領される前の原状回復を目指す」という考えが根強く、ロシアとの認識の隔たりは大きいとみる。
松里教授は、次にこの戦争を分類し、解決策を考察した。分離紛争の解決策には、分離国家を再び飲み込む「連邦化」、パトロン国家による「保護国化」など5つの方法があるという。今回の侵攻は「パトロン国家(ロシア)による親国家(ウクライナ)の破壊」に分類されると分析した。松里教授は、「プーチンは開戦直前まで『保護国化』を考えていたとみられるが、苦戦を経て「親国家の破壊」という究極的解決に踏み込んだ」と指摘した。この解決策の短所として、「国家間の衝突により膨大な人命が失われることと、パトロン国家と分離政体(ドネツク・ルガンスク人民共和国)が勝っても国際的には承認されず、紛争が永続化すること」を挙げた。
最後に、松里教授はこの戦争の発端となった2014年のドンバス分離紛争の背景を解説した。炭鉱労働者が多いドンバスは、1990年代には共産党の牙城だったが、ドネツク州知事から大統領に躍進したヤヌコヴィチ氏が「地域党」を結成した結果、リージョナリズムが煽られ、急進派が伸張したと説明した。その後、ユーロマイダン革命とヤヌコヴィチ氏のロシアへの亡命によって、急進派は旧支配層を追放し、分離政体を打ち立てたという。いま戦闘の中心にいるのは、ロシア軍ではなく人民共和国軍であり、その自立性・主体性を理解することは非常に重要だと指摘した。

(コメント:ドネツク・ルガンスク現地の混乱に伴い、「誰が権力を持っているのか」が錯綜し始めている⇒地域軍閥化・マフィア国家化に近い感じ?)

ロシアのウクライナ侵攻 第1章:ウクライナ危機の起源(松里公孝、東京大学大学院法学政治学研究科教授、NIRA総合研究開発機構、2022.05.13)
https://www.nira.or.jp/paper/research-report/2022/032205.html


●個人保証、創業5年不要に 「技術力」も担保対象―スタートアップ融資後押し・政府(時事通信2022.07.10)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022070900327

政府が、創業間もない「スタートアップ企業」支援のため、金融機関から融資を受ける際に創業5年未満は経営者の個人保証を免除する方針であることが9日、分かった。日本政策金融公庫など政府系金融機関に新たな制度を設ける。併せて、企業の独自技術など無形資産も融資時の担保にできるよう法制化を進める。新興企業が創業期に資金調達しやすい環境を整え、経済活性化を後押しする。
政府は6月に閣議決定した「新しい資本主義」実行計画で、スタートアップ企業を5年間で10倍に増やす目標を掲げた。ただ、こうした企業は工場など担保となる有形資産を持たず、創業当初は赤字が続くことも多い。経営者が連帯保証人となる個人保証や担保なしに融資を受けるのは難しいのが実情だ。
支援策では、日本政策金融公庫が個人保証を不要とする期間について、現行の「創業2年未満」から2倍程度に延ばす方向。信用保証協会も創業5年未満の企業に対し個人保証を求める規則を見直し、保証を不要とする制度を新設する。商工中金は現在も半分以上のスタートアップ向け融資で個人保証を取っていないが、原則不要にする。
民間金融機関にも対応を促す。金融庁は、法人と経営者個人の資産が明確に区分され、財務情報が適切に開示されていれば、個人保証を取らないよう改めて文書で要請する方針だ。
一方、金融機関にとっては個人保証や担保なしに融資すれば、貸倒時のリスクが高まる。金融庁は、技術力や顧客基盤、特許など将来の成長につながる無形資産も担保と位置付けられるよう法整備を検討。民法の特別法として制定する見通しで、早ければ来年の通常国会提出を目指す。

(コメント:スタートアップ起業家にとっては力強い後押しになる内容。従来、新規ビジネスは資金繰りがうまくいかず短期間で消滅する事例が多かったが、もう少し後押しすれば生存率アップしそうなのも結構あるという話。「これだけは負けない」というような売りや技術を持つ個性的なスタートアップ企業が増えると、経済全体でもプラスになるかも知れません)

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2022年7月の参院選を取り巻く時事情勢

首相にふさわしいか、ふさわしくないかを考える時、私は、国を守る最後の砦である自衛隊の最高司令官が務まるかどうか、が重要だと思うのです。岸田さんは、そうした点で非常に適任だったと思います。―『安倍晋三 回顧録』

安倍元首相ご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます…


(ツイッターメモ、1分動画、首相官邸2020.09.16)
https://twitter.com/kantei/status/1305989773480407041
官邸スタッフです。本日、安倍内閣が総辞職するにあたり、安倍総理からのメッセージです。

●安倍元首相銃撃ドキュメント凶弾に震えた現場、衝撃受けた日本(毎日新聞2022.07.08)
https://news.yahoo.co.jp/articles/2d6039782c7e26eb49c589f9611292cfa32f5256

8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅周辺で、参院選の街頭演説中だった安倍晋三元首相(67)が銃撃された。安倍元首相は心肺停止状態で奈良県立医科大付属病院に救急搬送されたが、同日午後5時3分に死亡が確認された。一日の動きをまとめた。

<8日>

午前11時半ごろ…奈良市の近鉄大和西大寺駅近くで参院選の街頭演説中だった安倍晋三元首相(67)が銃撃される。

午前11時32分…奈良県警が奈良市の山上徹也容疑者(41)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕。

午前11時40分…警察庁が対策本部を設置。

午前11時53分…ドクターヘリが現場近くに到着。

午前11時54分…安倍氏を乗せた救急車が現場を出発。

午前11時57分…安倍氏をドクターヘリに移す。

午後0時13分…ドクターヘリが離陸。

午後0時20分…ドクターヘリが奈良県橿原市の県立医科大付属病院に到着。

午後0時半ごろ…山口県下関市の安倍氏の事務所に後援会関係者らが次々と集まる。

午後0時38分…山形県寒河江市の「道の駅寒河江」での街頭演説を終えた岸田文雄首相が、同県東根市の陸上自衛隊神町駐屯地を陸自ヘリで出発。

午後2時…東京都の小池百合子知事が定例記者会見で「どのような理由であっても、こういった蛮行は許すことができない」。

午後2時5分ごろ…共産党の志位和夫委員長が大阪市北区で、街宣車の上には乗らず、車を背にして街頭演説。セキュリティー強化のためといい、陣営は「大阪府警から要請があった」。

午後2時20分ごろ…山口県の村岡嗣政知事が安倍氏について「県のさまざまな取り組みに後押しをしていただいた。ご無事をお祈りしたい」と県庁で述べた。安倍氏後援会の伊藤昭男会長は下関市の事務所前で「ただただ、無事でいてほしい」。

午後2時29分…岸田首相が空自輸送機などで移動後、陸自ヘリで首相官邸屋上ヘリポートに到着。

午後2時半…安倍氏の元秘書、前田晋太郎・下関市長が「ぼうぜんとしている」とコメントを発表。

午後2時47分…岸田首相が首相官邸で、涙ぐみながら「何とか一命を取り留めていただくよう心から祈りたい。民主主義の根幹である選挙が行われている中で起きた卑劣な蛮行で、決して許すことはできない」。

午後5時3分…安倍氏の死亡確認。

午後5時17分…奈良県警が奈良市内の山上容疑者の自宅マンションを家宅捜索。

午後6時過ぎ…搬送先の奈良県立医科大付属病院の福島英賢教授らが記者会見。病院到着時は「心肺停止状態だった」などと説明。

午後6時55分…岸田首相が安倍氏死去を受け、首相官邸で「誠に残念で言葉もない」と述べる。

■「岡山にも行っていた」逮捕の男…安倍元総理の事件前日の遊説先 つけ回していたか
https://www.mbs.jp/news/kansainews/20220709/GE00044705.shtml
>捜査関係者によりますと、山上容疑者は事件前日の7月7日に安倍元総理の遊説先である「岡山にも行っていた」と供述していることが新たにわかりました。警察は、山上容疑者が安倍元総理をつけ回していた可能性もあるとみて調べています。


●(論文資料)ロシアにおける遵法精神の欠如,法社会学と経済史の側面から見たロシアの基層社会
https://www.joetsutj.com/uploads/2022/04/2011_3_jigyo1_11.pdf
(サハリン2問題におけるロシアの行動の文化的理由、心理的根拠などの考察の資料)

●世界経済は同時減速へ、主要国が向こう1年でリセッション入り-野村
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-04/REHF43DWX2PS01

●世界市場、過去数十年で最悪の上半期に/株・債券・仮想通貨などほぼ総崩れ、投資家はさらなる急変動に身構え
https://jp.wsj.com/articles/markets-post-worst-first-half-of-a-year-in-decades-11656651501

(ウォール・ストリート・ジャーナル2022.07.01)インフレの加速と金利の上昇が数カ月に及ぶ売りに拍車を掛けた結果、無傷でいられた市場はほぼ皆無だった。ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、S&P500種指数は21%安となり、上半期として1970年以来の下落率を記録した。投資適格債は、iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF(上場投資信託)でみた騰落率がマイナス11%に沈み、史上最悪の上半期となった。新興国では経済成長の減速が打撃となり、株式・債券相場が急落した。暗号資産(仮想通貨)は暴落し、個人投資家やヘッジファンドなどが多額の損失を抱え込んだ。

スペインの大学、菅前首相に金メダル授与…コロナ禍で五輪開催「困難ある中で成功」
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220630-OYT1T50251/(読売新聞2022.06.30)

自民党の菅前首相が、新型コロナウイルス禍で行われた昨年の東京五輪・パラリンピックの開催に貢献したとして、スペインのカミーロ・ホセ・セラ大学からその功績をたたえる金メダルを授与された。同大は「困難や制限がある中で大きな成功を収めた五輪・パラリンピック開催において、中心的役割を果たした」としている。大学側によると、菅氏は「私の首相時代の取り組みにご理解と評価をいただき、厚く御礼申し上げる」との談話を出した。

(コメント:コロナ禍の困難の中、国際イベントを成功に導いたという菅前首相の偉業について、海外からの評価は嬉しい限りであります。当時、同時並行でおこなわれていたサイバー戦争は、ネットワークの歴史に特記されるレベルの、すさまじい状況だったという話※ネットワーク・セキュリティの教科書に載るレベル)


現在のメチャクチャ不安定な電力供給状況は、岸田政権の責任と言うよりは、民主党の菅直人総理がやらかした件によるものが、はるかに大きい。

岸田政権は、民主党政権の時代にできた法律に手足を縛られていて、原発を増やす事は出来ない状態。第2次安倍政権でさえ、8年かけても状況を変えることは出来なかった※外交安保「セキュリティ・ダイヤモンド」構築などのほうが、はるかに緊急の内容だったようです

(参考)第176回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説(首相官邸サイト)2010.10.01 https://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201010/01syosin.html
>再生可能エネルギーの利用拡大に向け、全量買取制度の円滑な導入を目指すとともに、大規模太陽光発電や新エネ・省エネ設備に係る規制を緩和します。

くわえて当時の経済産業省の官僚たちが、東京電力の政治力を削ろうとして手出しをしたのも要因(こちらはエネルギー政策の主導権争いというか、官民の政治闘争のゴタゴタ。いまのような惨状を考えなかったのか?と呆れますが、当時は真剣だったようです。東京電力は、国政を左右できるほどに巨大な組織だったらしい)

いまの電力不足を生み出した法律の立ち上げ(電力システム改革・電力自由化など)に関わった中心人物のひとりは、東京大学社会科学研究所教授・松村敏弘氏という話(こちらは伝聞なので正確に裏を取る必要はありますが、当時、政策立案の参考人として活躍していた人なので間違いないかと)

(法律)再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=423AC0000000108

(簡潔な説明)「平成29年度版 原子力白書」(内閣府原子力委員会)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/hakusho/hakusho2018/2-1.htm

1)電力自由化時代の原子力発電
「電力システムに関する改革方針」(2013年4月閣議決定)を踏まえ、電力システム改革が段階的に進められています。2016年4月1日には電力小売の全面自由化が開始され、2020年4月からは送配電部門の法的分離が実施される予定です。
(中略)小売及び発電の全面自由化により地域独占と総括原価料金規制が撤廃され、原子力事業では投資・費用の長期的な回収ができなくなる可能性が懸念されるとともに、廃炉の円滑な実施、迅速かつ最善な安全対策、安定供給の確保に支障を来す可能性が指摘されています。

松村敏弘氏の見解=「初の電力需給ひっ迫警報 大騒ぎしすぎではないか」
https://energy-forum.co.jp/online-content/9210/
(2022年3月22日、季節外れの寒波で節電をお願いする羽目になった件についての見解。松村敏弘氏の見解は、正直いって、日本列島の自然条件の苛烈さを甘く見過ぎ、と思われる)

2022年3月の東日本における電力需給ひっ迫に係る検証について(資源エネルギー庁、PDF、2022.05.17)
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/049_05_01.pdf

再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース第28回準備会合(内閣府、2022.04.01)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/conference/energy/20220401_pre28/220401energy01.pdf


岸田首相の実績について語っていたツイートが有りましたのでメモ(発足半年以内、コロナ禍、ウクライナ問題など平時では無い中で、スピード決断。おそらく岸田政権を攻撃しているのは、第1次安倍政権を攻撃したのと同じ、特亜系+旧ソ連ロシア系)

https://twitter.com/gominkan_pete/status/1540955877276262400
ピート@gominkan_pete
岸田総理批判派の方々はこれをご存知なのだろうか。 僕には超有能にしか思えないのですが。
・外交文書に「北方領土は不法占拠」
・経済安保法案
・ドイツの慰安婦像撤去の直談判
・GDP比2%で防衛費増額公言
・憲法審査会の定例化
・介護看護職の給料引き上げ
・賃上げ率2.28%
・出産育児一時金

●コロナ禍の首相交代劇 安倍晋三の証言「総理の人事 非常に孤独」(NHK、2022.01.14)
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/75302.html


今回の参院選のポイントと思われる項目

・・・(1)消費税減税などの政策の実行力を期待して野党への投票を考える場合

その政策を実行する力が、野党側にはある、と期待できるかどうか?(財務省の影響力を考える必要がある)
他、ウクライナ問題・国際情勢・環境問題への対応についても充分な能力を期待できるかどうか?

・・・(2)外交・安保関連(あとで調べる)

・・・(3)参院選公約の表をみて、経済政策を選ぶとしたら4つに整理できそう

・アベノミクス一部継続+価格激変の緩和+将来的には資産所得倍増社会へシフト(いまの自民党)
・アベノミクス破棄+賃上げ、子ども関連予算の倍増(民主党・共産党)
・消費税減税のみ(維新)
・消費税減税+給付金(国民)

ウィズコロナ型の新しい経済構造を組み立てるのも含めて考える必要がある。おそらく日本全国レベルでの産業構造の切り替えが必要。雇用調整、人材の移動など。どう考えても数年~10年はかかりそう。

産業構造を切り替えている間にこぼれ落ちる人はどうしても出るので、社会保障に相当に大きな予算を用意しないといけないのは確実(※この場合、消費税の減税と言う選択肢は絶対ありえない⇒未来への投資という側面もあるので)

応急手当およびスタート構成要素として、どれが最も適切と思えるか?
(参院選なので、数年がかりで、じっくりと組み立ててゆくチャンス)


【追記】2022年10月の時事メモ

■政府、有事の際の民間輸送力を3倍に増強へ(共同通信2022.10.28)
政府は、有事の際に自衛隊部隊を輸送するため、優先使用契約を結ぶ民間船舶の数を増強する方針を固めた。台湾の事態緊迫化などに備え、現在の2隻から6隻程度へ約3倍に増やす計画。関係者が27日、明らかにした。

■安倍元首相の追悼演説 悶絶した19日間(毎日新聞2022.11.04)
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20221102/pol/00m/010/003000c

安倍晋三元首相に対する衆院としての追悼演説を引き受けた。10月7日に要請を受けてから、25日の演説当日までの19日間はまさに悶絶の日々だった。

正式要請前日に岸田首相から電話

演説の要請は自民党から立憲民主党を通じてあった。「ご遺族の意向」と「自民の総意」ということだった。前日の6日に岸田文雄首相から電話があり、翌日に正式に要請があることを伝えられた。
安倍氏の家族葬で弔辞を読んだ麻生太郎元首相や、国葬で友人代表の弔辞を行った菅義偉前首相と違い、私には安倍氏とのエピソードは乏しい。さらに二人は安倍氏が政治的に行ったことは基本的にすべて正しかったという前提で語った。
しかし、私は安倍氏と対峙して政権を奪われた前任の首相だ。結局はそうした関係で安倍氏を語るしかない。
また、追悼演説は衆院を代表してのものだ。評価は各党で違うので、個々の政策にあまり立ち入ることはできない。褒めすぎれば野党は引くし、批判的な言動が目に余れば与党は反発し、さらには傍聴席にいるご遺族を傷つけることになる。バランスの取れた演説内容をと考え始めたら、一時はどうしてよいのか分からなくなった。

安住氏の一言

引き受けた日から演説内容を考え始めた。しかしすぐには書けない。原稿用紙を前に置いて、しばらくはじっと動けなかった。
最初に浮かんだのは2012年11月の党首討論の場面だった。
(中略)
原稿化するに際しては一字一句、非常に気を使った。正直、荷が重いとも感じた。
内容は泉健太代表ら執行部には知らせなかった。ただ演説の前日に安住淳国対委員長だけには見てもらった。安住氏は一読してただ一言、「歴史的な演説になるでしょう」と言ってくれた。ほっとした。
演説当日の本会議場は与党席も野党席も固唾をのんで私に注目していた。首相時代を含めなんども登壇したが、これほど緊張感のある本会議場は初めてだった。
最初の一言を放った瞬間、与野党から拍手を受けた。演説中はなぜか議場の一人一人の姿がよく見え、白い花が置かれた安倍氏の議席がどうしても目に入った。演説を終えた直後、万雷の拍手をもらい、ようやく肩の荷が下りた。
国会は与野党が対決する場であると同時に合意形成を図る場でもある。亡くなった同僚に対して在りし日をしのんで党派を超えて追悼の誠を示す。追悼演説を経て、国会が与野党共通の土俵であることを再確認できた。
国葬を含めた一連の出来事が国民に投げかけたものは非常に大きい。特に国葬決定に至るプロセスにはかなり問題があった。しかし、私は安倍氏の前任者であり、第2次安倍政権の始まりに関わっている。「礼に始まり、礼に終わる」という私の人生観を貫徹しなければならないと思い、国葬には出席した。
安倍氏は病気で一度退陣して再び政権についた。挫折から学ぶ力、どん底からはい上がる執念を持っていた。
法案の強行採決や勝手な閣議決定もした。一方で退位を実現するための皇室典範特例法をめぐっては持論があっても各党と丁寧に協議する手法をとった。物事を成し遂げるためには硬軟両方をやってのけた。
首相経験者は私や岸田氏を含めて計64人しかいない。それぞれがその孤独を味わい、一人で決断をしてきた。安倍氏の評価をめぐって議論があるのは当然だが、国家を背負う重みをよく分かっている人だった。

■野田元首相による安倍元首相の追悼演説・全文(NHK、2022.10.25)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221025/k10013869471000.html

(コメント:民主主義という困難な理想を共にする政治家・戦友としての、心を震わせるもののある演説だったと思います)

エネルギー問題・雑考&れいわてつ

■遷移金属不使用の触媒を用いて大気濃度CO2から合成ガスを製造する技術を開発/CO2を原料とした液体燃料や化学品製造の実現に前進(産業技術総合研究所2022.05.13)
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2022/pr20220513_2/pr20220513_2.html

遷移金属を使用せず、CO2吸収と一酸化炭素への還元という二つの機能を持つ二元機能触媒を開発
大気中の低濃度のCO2でも効率よく吸収し、CO2の分離や濃縮工程なしで合成ガスの製造が可能
生成ガスの不純物濃度が極めて低く、液体燃料や化学品製造に適した組成の制御に向け前進

失われたバッファーの回復が急務(U3 Innovations)https://u3i.jp/opinionknowledge/sakamoto/

>現下の需給逼迫は、国内に発電用のタネになるカロリー確保を軽視する運用思想に原因があると考えている。「変動再エネを系統に最大限注入したい、需給ギャップは安定電源である火力や揚水が頑張るから大丈夫だろう」という思考でここまで制度検討、実装がなされてきたところ、並行して計画外事象に備える「守備用インフラ」への認識が十分ではなかった

>電力システム改革後に失われたバッファーは主として石油火力だ。今から30年前、当時の東京電力は概算1100万kWの石油火力を擁し、計画段階では30%の稼働率を設定していた。1993年は歴史的な冷夏となり極度の低需要となったが、石油火力の稼働抑制で発電量を下げて対応した。翌年は猛暑、高需要となったが、焚き増しで対応できた。往時の石油系電力燃料の国内在庫は180日分あり、ざっくりいえば200万kWの下方弾力性とともに600万kWの上方弾力性、電力ストック換算で270億kWh相当のバッファーがあった。高コストと批判されつつも、2000年以降の再三に渡る原子力停止時にもこのバッファーは機能し、安定供給に貢献したと総括できる

>EUのガス貯蔵能力は民生用ガス分も含めて1100TWh、800億m3、総需要の17%程度という評価を文献で確認している。日本のLNGとは水準が全く違う。同じように変動再エネ中心のエネルギーミックスを目指すには、日本は基礎体力がなさすぎる

>ストック確保は日本の伝統的なエネルギー思想だった(中略)この発想をベースにしないと、市場約定ルール、系統アクセスルール等をいくら改変しても、需給バランス改善への根本的な解とはなりえない


【石炭火力発電に関する最近の動向】

●石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実証試験を開始―CO2分離・回収した石炭由来の高濃度水素で燃料電池複合発電、究極の高効率発電を目指す―(NEDO 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構2022.04.19)
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101534.html

NEDOと大崎クールジェン(株)は、革新的な低炭素石炭火力発電技術の確立を目指す「大崎クールジェンプロジェクト」の第3段階に入りました。具体的には、CO2分離・回収型酸素吹石炭ガス化複合発電(CO2分離・回収型酸素吹IGCC)設備に、MW(メガワット)級の燃料電池設備(SOFC)を組み込んだCO2分離・回収型石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実証試験を、4月18日に開始しました。
本実証試験では、第2段階のCO2分離・回収型酸素吹IGCC実証設備に燃料電池を組み合わせて、石炭をガス化したガスからCO2を分離・回収後、得られる高濃度水素ガスを燃料電池に供給し、燃料電池の発電特性や燃料電池内部の温度分布を把握します。また、燃料電池モジュールを並列運転した時の運用性、さらに高圧運転した場合の挙動を調べるなど、CO2分離・回収型IGFCシステムの実現に向けた試験を行います。
実証試験の目標は、本実証試験の成果を500MW級の商用機に適用した場合に、CO2回収率90%の条件で47%程度の送電端効率(高位発熱量基準)の見通しを得ることとします。
今後、高効率な石炭火力発電とCO2分離・回収が両立する技術を確立し、CO2排出量抑制(地球温暖化対策)への貢献を目指します。

(補足資料)なぜ、日本は石炭火力発電の活用をつづけているのか?~2030年度のエネルギーミックスとCO2削減を達成するための取り組み(経済産業省/資源エネルギー庁2018.04.06)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/qa_sekitankaryoku.html

テクの雑学-第183回-進化する石炭火力発電,環境にやさしいIGCC、IGFC
https://www.tdk.com/ja/tech-mag/knowledge/183

IGCC(石炭ガス化複合発電)とは
http://www.joban-power.co.jp/igcc/unit10/about/

石炭ガス化技術と水素製造/水素エネルギーシステム Vo1.37,No.1 (2012)
https://www.hess.jp/Search/data/37-01-029.pdf

石炭エネルギーセンター第4回、石炭基礎講座、石炭ガス化/九州大学、2013年
http://www.jcoal.or.jp/coaldb/shiryo/material/2012_09_hayashi.pdf

石炭ガス化による水素、アンモニアの経済性とCO2 排出量、石炭ガス化(CCS を含む)による水素、アンモニア製造・物流システムの比較検討/国立研究開発法人科学技術振興機構、低炭素社会戦略センター(2019年)
https://www.jst.go.jp/lcs/pdf/fy2018-pp-13.pdf

(コメント)

日本の石炭火力発電テクノロジーは世界トップレベルという話!頼もしいです。アンモニア発電設備への変更も、それほどコストをかけずに可能だそうで、応用が利くのは便利だと思います。エネルギー需要の大きい関東エリアなど都市圏への建設については、土地住民の説得が必要なので、この辺り困難が出そうですが…

特に印象深く思うのはドイツの動き。ロシアからの天然ガス輸送が途絶えたために、急遽、石炭火力を復活させるとのこと(※環境テクノロジーがあまり進展していない旧式のものがほとんどで、もともと廃棄予定だったようです。酸性雨がスゴイ事になりそうな…)。天然ガス備蓄は通常の半分ほどで、夏の間にこれを取り崩してしまうと今冬を越せないという事情があるようです。

いまから法律整備に入っているというドイツ、果たして今冬までに間に合うのか?と、いささか、かなり怪しく思われるところです。発電所は1ヶ月や2ヶ月で新設・増設できるようなシロモノでは無かった筈。

それから、燃料の輸送のほうも、パイプラインでは無く船舶や列車などで…労力的にも大変な筈…(石炭は、パイプラインでは運べないので、船舶や列車、トラックが必要)

⇒インフラ物資の輸送力は、整備や技術者のレベル、スケジュール調整力がモノを言う世界
⇒(参考資料)JR貨物の意地を懸けた緊急燃料輸送列車。東日本大震災石油輸送振り返り
⇒https://train-fan.com/banetsu-west-2011/(鉄道ファンの待合室 2021.10.19)
東日本大震災の時は、大きな幸運がふたつあった、とのこと。
(1)それまで積み重ねていた耐震技術のお蔭があって、大量の石油備蓄が無事だった(※一方で、津波や火事に襲われた備蓄はやられてしまい、震災地での燃料枯渇につながっていた。まだ冬気候の時期だったので、石油の需要は大きい状態)
(2)たまたま、全国汎用型の機関車の一斉退役タイミングで、老朽化しているものの、充分な数の機関車を全国から集めることができた(ディーゼル型なので電力が無くても走れる。ただし旧式ディーゼル型だったので、輸送力も旧式のもの)

●ドイツ、石炭火力を拡大 ロシア産ガス供給減で緊急措置(日本経済新聞2022.06.20)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR194200Z10C22A6000000/

ドイツのハベック経済・気候相は19日、ロシアからの天然ガス供給が大幅に減る事態に備え、ガス消費量を抑える緊急措置を発表した。代替策として石炭火力発電の稼働を増やし、産業界にガス節約を促す新たな仕組みも導入する。家庭の暖房需要が高まる冬に向けてガスの貯蔵を積み増し、ロシアの揺さぶりに対抗する。
19日の声明で明らかにした。発電に利用するガスの消費量を減らす代わりに、石炭火力発電の稼働を拡大させる法整備を進める。
ガス節約を促すため、消費量を減らした企業ほど有利になる新たな仕組み「ガスオークション」の導入も計画する。足元では、ドイツのガス貯蔵量は最大能力の5~6割程度にとどまっている。夏場にガスを節約し、暖房需要が高まる冬までに貯蔵量を最大能力の9割まで引き上げる目標だ。
ロシア産の天然ガスを巡っては、同国国営ガスプロムが15日、ドイツに送る主要パイプライン「ノルドストリーム」の供給量を従来計画から60%削減する方針を示した。14日に40%減を公表していたが、矢継ぎ早に削減率を高めた。ロシア側の揺さぶりが強まっている。ドイツはロシアが侵攻を続けるウクライナに重火器などの武器供与を進める一方で、天然ガスの調達をロシアに依存してきた。
ハベック氏は19日の声明で「ガス供給の安定性は保証されているものの、状況は深刻だ」と指摘した。供給不安を受けて資源価格が高騰しており「我々を分裂させようとするプーチン大統領の明確な戦略であり、許すことはできない」とロシアを強く非難した。
ショルツ政権は石炭火力について、「理想的」な目標として、2030年に廃止することを打ち出してきた。メルケル前政権では38年だったものの、前倒しした。35年にほぼ全ての電力を太陽光や風力などの再生可能エネルギーで賄う計画で、4月に新たなエネルギー戦略を採択したばかりだった。
2月の侵攻前、ドイツはガスの55%をロシアからの輸入に頼っていた。安全保障の観点から、天然資源のロシア依存脱却は急務だ。ただし、再エネの発電能力を積み増すには時間を要する。「脱炭素」に逆行する石炭に一時的に頼らざるを得なくなっている。

●ドイツ、天然ガス生産拡大へあらゆる選択肢模索を=エーオン(ロイター2022.06.24)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-germany-gas-fracking-idJPKBN2O50B9

ドイツのエネルギー大手エーオンのレオンハルト・ビルンバウム最高経営責任者(CEO)は、天然ガスの国内生産拡大に向け、禁止されているフラッキング(水圧破砕によるシェールガス採掘)を含め、あらゆる選択肢を模索する必要があるとの見解を示した。
独誌ビルトシャフツボのインタビューで「状況を改善するためにあらゆる解決策をタブーなく模索しなければならない」と述べた。
独経済省は23日、ロシアからの供給減と価格高騰を受け、天然ガスに関する3段階の緊急計画で第2段階の「警報」を発令した。ただ、高騰するガス価格を消費者に転嫁する条項はまだ発動していない。
ビルンバウム氏は「われわれは国内でさらにガス田を開発することが可能かどうか自問自答しなければならない」と述べ、国内生産の最大化が解決策の一つで、他の代替案よりも環境に優しい可能性があるとの見方を示した。
ドイツでは主に非従来型のフラッキングが禁止されていることや自然保護法により新規掘削の許可獲得が困難なことから天然ガスと石油の生産が減少している。

※(補足資料)ドイツのエネルギー関係データ
https://www.de-info.net/kiso/atomdata06.html(ドレスデン情報ファイル)

2021年度のデータを見ると、国内消費エネルギー30%が天然ガスと原子力。再エネ、石油、石炭系で60%~70%。2022年の冬、ドイツは、いつもの半分ほどしかエネルギーを使えないという状況になりそうですが、EU各国から融通を受けて、しのぐ?

でもEU各国も、ロシア産の天然ガスに依存している状況だったから、融通の余力については苦しいかも。この前のように日本から天然ガスを譲ってもらうとか、インド転売の石油を入れるという形になるのかなと想像してみる…

※(補足資料)ドイツはガス供給の非常警報を発令~冬場のガス不足で高まる景気後退リスク~
https://www.dlri.co.jp/report/macro/193243.html(第一生命経済研究所2022.06.24)

要旨
ロシアがドイツ向けのガス供給を絞るなか、供給不足の懸念が高まっているとして、ドイツ政府は(2022年6月)23日、ガス供給の「非常警報」を発令した。ノルドストリーム1は来月(2022年7月)に定期点検が計画されており、ロシアが何らかの理由をつけて、定期点検後も稼働を認めない恐れもある。このまま冬場のガス不足が深刻となれば、資源価格の更なる高騰が避けられない。ECB(欧州中央銀行)が利上げを強化し、景気をオーバーキルする恐れが高まる。欧州にスタグフレーションの影が忍び寄っている。

※(参考情報)ECB欧州中央銀行:2022年7月に利上げ0.75%確定、2022年9月に利上げ0.5%予定(緩やかなインフレ率=2%程度を目標としているため)

(ドイツは、ロシア天然ガス断絶の危機に対して、どのような対応をしようとしているのか?についての補足記事)
ドイツ、ノルドストリーム2の一部改造を検討=雑誌
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-germany-pipeline-idJPKBN2O50RI(ロイター2022.06.24)
(対応内容:専門家による推測)https://twitter.com/gomatsuo/status/1540374001352028160


国内の電力不足・原発再稼働について(エネルギー政策)

【全文】「節電ポイント」参加家庭に2千円相当付与 官房副長官会見(6/24午前)
https://news.ntv.co.jp/category/politics/594fe6ee67bf454ebf16923c8a5f748d

>この夏の電力需給に向けて、安定供給に必要な予備率3%を確保していたところでありますが、政府として、さらなる供給力向上のため、追加の供給力公募を行い合計135万キロワットの供給力の確保を行ったところであります。
>これらの電源は7月から稼働することとなっておりますので、予備率は更に改善が見込まれるということでございます。引き続き電力の安定供給に向けて万全を尽くしていきたいというふうに思います。

データ:日本の原子力発電所マップ2022年版(2022年6月時点で稼働中の原発)
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h01365/

大手商社で加速するブルーアンモニア生産 三井物産、1,000億円超投じ、豪州で年産100万トン
https://energy-shift.com/news/0afa0b7c-3ca7-493c-a8c4-fa53d508fc7f

天然ガスなど化石燃料から水素をつくり、窒素と反応させて合成するのが一般的だが、アンモニアを完全な脱炭素燃料とするには、再生可能エネルギーを使った電気で水を分解してつくった水素から合成する「グリーンアンモニア」、あるいは製造過程で出たCO2を回収、貯留(CCS)する「ブルーアンモニア」を合成しなければならない。

(欧州の再エネ技術は、豊富なロシア天然ガスによる電力を通じて生産したグリーン系燃料がメイン。露宇戦争の影響がどれくらい拡大するのか不明ですが、供給断絶の話もあり、最悪、後退またはストップする可能性が考えられる)

新技術の石炭火力発電「IGCC、石炭ガス化複合発電(エネルギー効率48〜50%)」「IGFC、石炭ガス化燃料電池複合発電(エネルギー効率55%)」は、従来の石炭火力発電では発熱量が低く、使用に適さなかった品質の石炭でも利用可能な技術。今まで活用されなかった小規模ガス田の天然ガスや褐炭が有効利用できるとのこと。国産の石炭は品質が余り良くなかったのですが、これも活用できるようになる

三井物産、UAEの燃料アンモニア生産計画に参加(日本経済新聞2022.06.10)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC105DZ0Q2A610C2000000/

三井物産は10日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)が計画する燃料アンモニアの生産プロジェクトに参画すると発表した。原料となる水素の製造過程で出る二酸化炭素(CO2)を地中に貯留する。2025年から年間100万トン生産する計画で、三井物産は日本への輸出を視野に入れる。
総事業費や出資比率などの詳細は今後詰める。ADNOCのもつ製油所などで副産物として出る水素を原料として、製造過程で出たCO2を地下層に注入する「ブルーアンモニア」を生産する。計画にはADNOC子会社で肥料メーカーのファーティグローブ(アブダビ)や韓国のGSエナジーも参画する。
アンモニアは燃焼時にCO2を排出しない次世代クリーン燃料として注目されている。三井物産はアンモニア製造大手の米CFインダストリーズ・ホールディングスともブルーアンモニアの生産計画で協業するなど、日本向けのアンモニアの確保へ取り組みを広げている。

石炭火力発電IGCCとIGFGで使われる「石炭ガス化技術」(大崎クールジェン)
https://www.osaki-coolgen.jp/technology/faq.html

ガスのカーボンニュートラル化を実現する「メタネーション」技術
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/methanation.html

メタネーション技術=水素と二酸化炭素から天然ガスの主成分であるメタンを合成する技術。日本では、都市ガスの原料である天然ガスを、合成メタンに置き換えることで、ガスの脱炭素化を目指す。2030年時点で、既存インフラへ合成メタンを1%注入(年間28万トン)。2050年時点で90%(年間2500 万トン)を合成メタンに置き換える (残り10%は水素直接利用・バイオガス・その他脱炭素化の手立てでカーボンニュートラル化)

重要文化財で初適用…竹中工務店などが「和鉄」を現代技術で再現した鋼材のスゴイ特性
https://newswitch.jp/p/39668(ニュースイッチ2023.12.14)

竹中工務店と日鉄テクノロジー(東京都千代田区、谷本進治社長)は共同で、江戸時代末期まで国内の木造建築に使われていた和鉄の特性を現代技術で再現した鋼材「REI―和―TETSU(れいわてつ)」を開発した。重要文化財である太宰府天満宮末社志賀社本殿(福岡県太宰府市)の保存修理工事に初めて適用した。
れいわてつは、和鉄の特性を最新の科学技術で分析・評価し、成分組成を忠実に再現した鋼材。現代の鋼材に比べて鉄の純度が高く、耐食性や柔軟性に優れる江戸時代の和鉄の特性を引き継いだ。安定供給が可能で、主に文化財建造物の保存修理工事や伝統木造建築の復元工事で活用が見込める。
江戸時代を中心に製造年代を特定できる和釘(わくぎ)を入手し、原料や製造方法の新たな視点から成分組成を詳細に評価・分析した。この結果、和鉄から作られた和釘は、表面を覆う錆が木材の中で使用年数とともに強固な酸化皮膜を形成。内部の鉄を保護して錆の進行を抑えていたことや、極微量のニッケルなどが耐食性に影響することが分かった。

(コメント:ロストテクノロジーを現代技術で復活できた事例。頼もしい)