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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

2023年2月の時事情勢メモ

【全国・統一地方選シーズンの到来】

4年に1度の春の全国選挙シーズンが迫って来たと感じるこの頃…電子投票など改革意見は数多あれど従来の紙投票=手間かかるけど最も確実な…と感じます

日本経済新聞社とテレビ東京の世論調査
24日〜26日の岸田文雄内閣の支持率:43%、2023年1月調査(39%)から4ポイント上昇
日銀総裁に植田和男氏を起用する方針:「評価する」48%、「評価しない」18%

目下、意外に高い支持率という印象でしょうか。ここの世論調査の範囲を考えると、経済界からの支持は割合に安定していると推測できそうです。電力エネルギー業界は、もっとバックアップして欲しい…等、期待半分・恨み半分というところ?(電力料金の審査は公平にやると言うことでしたが、相当にゴチャゴチャしそうな気も)

内政は今後も各勢力との間で荒れるかも知れませんが、外交の方面では全く失点ナシ、というのは高く評価できるところで。何かがあって、「どうしても総理の交代が必要である」という局面が到来するまでは、岸田政権にお任せという状況(長期政権)が続くと思われました。

とはいえ、安倍元首相が失われた件、まだ当分の間は影響が続きそうです。安倍元首相は総理の座を退いた後、後継者や次世代の議員を育成することを計画していたという話を聞きました。その仕事、事情をよく知る人が、適切に引き継げていると良いなと思います。

■岸田首相が自民党大会で安倍元首相を追悼「失ったものの大きさを実感」(東スポ2023.02.26)
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/255162

岸田文雄首相(65)は26日、都内ホテルで開かれた第90回自民党大会で、昨年の参院選の最中に凶弾に倒れた安倍晋三元首相を追悼した。
今回の党大会は4月の統一地方選の決起大会と見られていた中、岸田首相は総裁演説で「本日の党大会と、昨年の党大会を比べる時、失ったものの大きさを実感せざるを得ません」と話し、選挙中に起きた安倍氏の銃撃事件に対し「未曾有の事件が起こりました。一報を聞いてヘリコプターで総理官邸に戻った時の気持ちを今でも忘れることができません」と振り返った。
自民党が2012年に政権を奪還してから10年が経過したことに触れた時も「安倍総裁のもと〝日本を取り戻す〟、そう固く誓って当時の民主党政権から政権の座を奪還した。安倍元総理の強力なリーダーシップのもと、多くの仲間とともに日本の未来を切りひらくために死力を尽くしてきた。かつて〝六重苦〟と言われた経済状況は、大きく改善し、雇用も企業収益も、もはやデフレ状況ではないところまで戻ってきた。安倍氏、菅義偉前首相が築いてきた前進の10年の成果の礎の上に、次の10年を作るため新たな一歩を踏み出すときです」
来賓としてあいさつした公明党の山口那津男代表も「安倍首相を失ったことは痛恨の極みです。生前のご指導に感謝を申し上げます」とあらためて追悼した。
一方、初めての統一地方選や衆院補選を控える岸田首相は「きたる統一地方選を必ず勝ち抜こうではありませんか。(補選を含め)いずれも国政に影響を与えるかもしれない重要な選挙。自民党の議席をみんなの力で守り抜こうではありませんか」と力強く訴えた。

【考察メモ】

●https://twitter.com/Heinkel_YTV/status/1629709243497746433
2・26で思い出すのは、首相官邸警護中に射殺された警官が斃れた場所の芝生を切り取って、現在に至るまで警視庁本部で保全していると言う話
警察は自衛隊の動向に常に目を光らせてるとは言うが、まだ禍根がガッツリ残ってる
●https://cigs.canon/article/20221201_7141.html
世界食料危機の真実とは 日本で食料危機は起きるのか?
食料有事法制の検討:いくらゴルフ場を転換したとしても600万ヘクタールの農地を創設することは不可能でしょう。真剣に国民のためを考えるなら、大量の輸入穀物等の備蓄を考えるべきです。
ロシアのウクライナ侵攻で、ロシア軍がキーウを陥落できなかったのは、食料や武器などを輸送する兵站に問題があったからといわれます。食料がないと戦争はできないのです。
農政トライアングルに農政を任せてしまった結果、日本の食料安全保障は危機的な状況になっている。台湾有事になると日本は食料から崩壊する。餓死する直前に不明を恥じても手遅れです。国民は食料政策を自らの手に取り戻すべきです。

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【コロナ関連ニュース】

2022.09.20オミクロン対応ワクチン接種開始~2023.3.31迄
2022.11.22ゾコーバ承認(これが、政府がコロナ5類への可能性が開けたと判断した要因と思われる)
2023.01.14屋内マスク不要案浮上/共同通信ニュース(多分、世論の反応を見るための報道)
2023.01.20コロナ5類へ議論
2023.01.23日本版CDC「国立健康危機管理研究機構」法案:~2025年度以降の設立を目指す
※2023年度、内閣官房に「内閣感染症危機管理統括庁」2023年秋ごろ(国会へ法案提出済み)

■「感染症危機管理庁」を今秋創設 法改正案を閣議決定(日本経済新聞2023.02.07)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA068EM0W3A200C2000000/

政府は7日、感染症発生時に司令塔機能を担う「内閣感染症危機管理統括庁」の創設を盛り込んだ新型インフルエンザ等対策特別措置法などの改正案を閣議決定した。今国会での成立、2023年秋の施行を目指す。新型コロナウイルスで初動対応が遅れた反省をふまえ、国の指示権限を強化する。
統括庁は内閣官房に置く。特措法に基づく政府行動計画の策定や政府対策本部の運営、関係省庁の業務の調整などに必要な事務を担う。
トップの「内閣感染症危機管理監」には内閣官房副長官の一人を充てる。次長級の「内閣感染症危機管理対策官」は厚生労働省の医務技監が兼務する。専従職員は平時に38人、有事に101人とする。
首相が都道府県知事や国の行政機関トップに対策を指示できる時期を前倒しする。国民の生活や経済に甚大な影響を及ぼす恐れがあると判断した場合、政府が対策本部を設置した時点で指示権を発動できるようにする。現行法は緊急事態宣言の発令時やまん延防止等重点措置の適用時に限っている。
事業者に対する時短要請などの実効性を高めるため、命令が必要かどうかを判断する目安を明確に定める。

■コロナ薬のゾコーバ 類似薬参考に薬価算定、厚労省方針(日本経済新聞2023.02.17)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA153C20V10C23A2000000/

厚生労働省は15日、塩野義製薬の新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」の薬価(薬の公定価格)について、複数の類似薬を参考に算出する方針を示した。新型コロナや季節性インフルエンザの既存の治療薬などを想定する。算定にあたる専門組織での議論を経て、早ければ今春に薬価が示される可能性がある。
同日の中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)で提示した。ゾコーバは現在、国が買い上げた上で医療機関に無償で供給している。窓口での患者の費用負担はない。塩野義製薬は1月、200万人分の購入で1千億円の売り上げ収益を計上したと公表している。
薬価の決定を巡っては、対象疾患や作用のメカニズムが類似する比較薬を参照する方式や、製造原価などをもとに計算する方式がある。類似薬を参照する際は通常、最も似ている薬を用いる。
ゾコーバは重症化リスクの無い人も使えるが、既存のコロナ薬と異なり、重症化の抑制効果が示されていない。対象患者はインフル薬とも類似性があり、複数の既存薬を使うことにした。既存のコロナ薬は1回の治療あたりの薬価が9万〜25万円程度、インフル薬は数千円の場合が多い。
売上高が年1500億円を超えると見込まれる品目を承認した場合、通常の薬価算定に先だって中医協で議論するルールになっている。ゾコーバはこのルールを適用した。

(コメント)

ゾコーバは巨額開発の新薬ということで、相当に高価な薬剤。実際、既存のコロナ薬は1回の治療あたりの薬価が9万〜25万円とのこと。あまりにも高価すぎると、負担の大きさに怯みそうですが…いつか、どこかで自分も…という可能性を考えると、まあまあ頑張れる範囲の金額に収まると良いなと思います。

いずれにしても、ワクチンと新薬、国産で、複数の選択手段が用意できたことは、今後のためにも良かったと思います。実際、不繊布マスクの国産化と安定した供給の確立は、悪質な転売業者を一掃したという点でも、大きかったので(初期の頃「アベノマスク」と散々揶揄されていたけど、価格が安定して、とても助かったのは事実)。

ほか、H5N1型の鳥インフルエンザについて。哺乳類への感染事例が増加しているというのが不安になるところです。カンボジアで人類への感染・死亡事例が報告されたのも、衝撃を持って受け止められている様子。死亡率は50%超と高く、世界保健機関(WHO)は「人から人への感染かを判断するのは時期尚早だ」としながらも、各国に監視強化を呼びかけているとのこと。

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『孤独の宰相 菅義偉とは何者だったのか』柳沢高志・著

著者(柳沢 高志)ツイッターより

https://twitter.com/kodokunosaisho/status/1574660117357727745
菅首相がコロナと支持率低迷で苦しんでいた時、安倍さんと話をする機会があった。
「菅ちゃんには本当に申し訳ないことをした。私が突然交代したから、総理として準備期間をあげられなかった。一人ですべて抱え込んでしまっていて辛いだろうな」
その苦しみを分かっているからこその、悔恨に感じた。
https://twitter.com/kodokunosaisho/status/1574660320244551682
それでも、安倍さんはすぐに笑顔を浮かべた。
「でも、ワクチンは菅ちゃんじゃなきゃできなかったよね!ああいう官僚を動かす仕事は、誰よりも得意だから。菅ちゃんが総理でいてくれて本当に良かったよ」
うれしそうに話していたのが印象的だった。
お互いをリスペクトし、大好きだったんだろうな。

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【会計不備ありのNPO団体の問題は、なおも派手に炎上し続けている】

2023年1月、メディア報道が目立って増加。2月になってメディア的には報道できる(報道しても大丈夫と判断した)内容が尽きたのか、傾向としては減少している。ただしツイッター周辺では、話題スコップが続いている様子。選挙シーズンへと入ったので、ほじくり返し・スコップまとめ事例が増加するものと予想。

■「Colabo」など東京都が若年女性支援事業を「委託契約」から「補助制度」へ 松田都議「都民も納得しやすい形になるのでは」(zakzak、2023.02.22)
https://www.zakzak.co.jp/article/20230222-7FPD55PBYBNGTFQJKPAADIYIJM/

東京都が、性暴力や虐待を受けた若年女性に対する支援事業の見直しに着手した。21日の都議会で、2023年度以降、特定の民間団体と「委託契約」を結ぶ方式から、支援団体への「補助制度」にしたいとの考えを示した。制度改正で、公金の運用はどうなるのか。
21日の都議会定例会代表質問。小池百合子都知事を支える都民ファーストの会の滝口学都議は、支援団体が増えているとしたうえで、より多くの民間活用と経費の使途を明確にするため、「補助によるスキーム(仕組み)を検討すべきだ」などと指摘した。
これに対し、西山智之福祉保健局長は「支援に取り組む団体の活動を一定の基準に基づき後押しできるよう、補助制度化に向け、国と調整している」と答弁した。
事業をめぐっては、都が委託契約を結んだ「Colabo」(仁藤夢乃代表)の会計報告に不正があったなどとする住民監査請求を受け、監査委員が再調査を勧告している。都は今月28日までに結果を報告する必要がある。

(他のアヤシイ福祉団体との黒い関係も浮上してきたまとめ)https://togetter.com/li/1983108
暇空茜氏が何か掘り当てたようです。若年被害助成事業疑獄の発覚

https://twitter.com/mogura2001/status/1598768167689781248
https://twitter.com/buvery/status/1597759988847386625
https://twitter.com/himasoraakane/status/1598879865956356097
https://twitter.com/domoboku/status/1598553340308488192
https://twitter.com/moja_Xtrail/status/1599059794945806337
https://twitter.com/mogura2001/status/1600780571881639941

【補足記事】日本のNPO、マネロンに悪用懸念 テロ資金への低い危機意識指摘(産経新聞2021.08.30)
https://www.sankei.com/article/20210830-NGBYM6M27NILXIMI754JUPIC5U/

日本のマネーロンダリング(資金洗浄)対策が30日、国際組織「金融活動作業部会(FATF)」の審査で、再び実質的な「不合格」と判断された。アフガニスタン情勢の混迷などを受け世界では難民支援の重要性が高まるが、審査は日本の国際NPO(民間非営利団体)がテロ資金の洗浄に悪用されるリスクに警鐘を鳴らすなど、マネロンに関する関係者の低い危機意識と自覚のなさを指摘した。
(中略)金融庁も「日本は性善説に立ち、NPOを信用して資金供与している」と、FATFが指摘するリスクを認める。
NPOの中には、テロ関係者が設立・関与して資金を調達したり、寄付金をテロ活動へ流用したりするなど最初から犯罪を目的としている集団が潜んでいる可能性もある。
政府は来年に向けマネロンの対策強化を図るとしているが、強力な取り締まりが必要だ。
一方、金融機関はマネロン対策に取り組むが、電子決済サービスや暗号資産(仮想通貨)の悪用など手口は巧妙かつ多様化しており、対応に苦慮しているのが実態だ。警察庁によると、マネロンが疑われる取引は令和2年まで5年連続で40万件を超えた。
デジタル化の対応では、窓口での本人確認手続きなどをしなくても銀行口座を開設できるインターネットバンキングの拡大で、不正送金なども増加している。新型コロナウイルス禍も、外出を避けられるネットバンクの利用を押し上げている。
※政府は警察庁と財務省を共同議長とする「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議」を設置し、対策の進展を定期的に確認する

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【グローバル情勢・金融・経済・戦争~インド太平洋】

■半導体そして日本株の夜明けは近い?(金融市場レポート2023.02.28)
https://www.dlri.co.jp/report/macro/233398.html

■佐賀空港のオスプレイ配備計画、市長が受け入れ表明(読売新聞2023.02.27)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230227-OYT1T50122/

陸上自衛隊の輸送機「オスプレイ」を佐賀空港(佐賀市)に配備する計画について、坂井英隆・佐賀市長は27日、計画を受け入れる考えを表明した。(中略)計画では、空港西側の土地約33ヘクタールに駐屯地を建設し、オスプレイ17機などを配備する。陸自・相浦(あいのうら)駐屯地(長崎県佐世保市)所属の「水陸機動団」と一体運用し、南西諸島防衛を強化する。

■敵基地攻撃、ミサイル以外の手段も 首相「あり得る」 衆院予算委(北海道新聞2023.02.28)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/808098

岸田文雄首相は27日の衆院予算委員会で、政府が保有を決めた敵基地攻撃能力(反撃能力)の手段を巡り、相手国の領空に自衛隊機が入って軍事施設を爆撃する可能性を問われ「あり得る」と述べた。政府はこれまで敵基地攻撃の手段として、敵の領域外からの発射を想定した長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」を挙げてきたが、長射程ミサイル以外にも相手国内に侵入して攻撃する選択肢を示唆した形。敵基地攻撃に活用する米国製巡航ミサイル「トマホーク」の取得数については「400発を予定している」と表明した。取得数を公表したのは初めて。

(コメント)首相答弁メモ:
*敵基地攻撃能力に、戦闘機による爆撃や上陸作戦は含まれるか:
現時点ではスタンド・オフ防衛能力(長距離ミサイル)活用を念頭に置いている。技術革新などによっては、スタンド・オフ防衛能力以外もありえる
*米国製巡航ミサイル・トマホークの購入予定数と単価は:
継戦能力が明らかになるため公表して来なかったが最大購入数量として400発の取得を目指す。それ以上は公表を控える
*存立危機事態で敵基地攻撃能力を行使するケースの例示を:
具体的な例を示す事は難しい。いかなるケースでいかなる対応を取るかを明らかにすることは、安全保障上控えるべきだ

■G20財務相会議、共同声明見送り 大半の国がロシア非難(ロイター2023.02.26)
https://jp.reuters.com/article/g20-india-idJPKBN2V001Q

インド南部ベンガルールで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は25日、閉幕した。大半の国・地域がロシアのウクライナ侵攻を非難したものの、中国とロシアの反対で共同声明の採択は見送った。
議長国インドは、ウクライナ戦争を議題にすることに消極的だったが、西側諸国がロシアに対する非難を共同声明に盛り込むよう要求。結局、インドが議長総括で2日間の討議内容と見解の相違点を指摘する形にとどまった。
インドは議長総括で「大半のメンバーはウクライナ戦争を強く非難し、戦争が人々に甚大な苦しみを引き起こし、現在の世界経済の脆弱性を悪化させていると強調した」と表明。サプライチェーン(供給網)の混乱、金融安定に対するリスク、エネルギー・食料不安の継続を挙げた。
その上で「現状と(対ロシア)制裁について他の見解、異なる評価もあった」と指摘した。
昨年11月にインドネシアのバリ島で開催されたG20首脳会議でも、議長国インドネシアが見解の相違があったことを首脳宣言で認めており、共同声明の採択に向けたG20内の合意形成が難しくなっていることが改めて浮き彫りになった。
ドイツのリントナー財務相は中国が共同声明への署名を拒否したのは「遺憾だ」と表明。これに先立ち、イエレン米財務長官はロシアを非難する声明が「絶対に必要だ」とロイターに述べていた。
複数の関係筋によると、ロシアと中国はG20の場で政治問題を協議することを望まないとの立場を示した。
インドは、ロシアへの非難を避け、外交を通じた解決を求めるなど、おおむね中立的な姿勢を維持している。

■途上国債務巡り初の円卓会議 意見の相違も露呈―G20(時事通信2023.02.26)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023022500459&g=int

インド南部ベンガルールでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に合わせて25日、途上国債務問題に関する閣僚級の円卓会議が初めて開催された。議長を務めたインドのシタラマン財務相は「弱くて影の薄い債務国の声に耳を傾けるべきだ」と強調。債務減免協議の打開を呼び掛けたが、参加各国で意見の相違も浮き彫りになった。
途上国の債務問題は、コロナ禍での歳出拡大や、ドル高によるドル建て債務膨張で深刻化している。円卓会議には、日米欧や中国などの債権国、アフリカ諸国を中心とした債務国、民間債権者らが参加。個別国の交渉は行わない方針だが、利害関係者が一堂に会して相互理解を深める場として定例化を目指している。
会議には、途上国向けの2国間融資で最大の貸し手に浮上した中国に公の場で対応を促す狙いもある。中国はこれまで、先進国や国際金融機関に「公正な負担」(劉昆財政相)を要求。融資の規模や条件の開示にも消極的で、債務減免協議を遅らせているとの批判を受けてきた。
G20議長国インドは途上国債務問題の進展に強い意欲を示している。インドは債権国として、事実上のデフォルト(債務不履行)に陥っているスリランカの債務再編に同意した。今回の円卓会議を定例化することにより、同じ新興大国である中国にも妥協を迫る考えとみられる。
ただ、債務問題の前途は多難だ。共同議長を務めた国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は会議終了後、記者団に「各国の違い」が依然として残っていると指摘。中国の姿勢を非難してきたイエレン米財務長官はロイター通信のインタビューで「成果物はなかった」と語り、利害調整の難しさを改めてにじませた。

■どんな目的が…台湾有数の暴力団、沖縄を訪れ「旭琉會」幹部と面会 数十人で飲食し記念撮影も
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1109740(沖縄タイムス2023.02.26)

台湾有数の暴力団組織として知られる「竹聯幇(ちくれんほう)」の関係者が今月中旬に沖縄を訪れ、指定暴力団旭琉會の幹部と面会していたことが本紙の取材で分かった。県警は接触の目的を調べ、動向を注視している。
竹聯幇の関係者は本島中部に拠点を置く旭琉會の一家幹部らと13日に面会した。その後パーティー会場で数十人単位が集まり、飲食している。
パーティー会場に13日夕方、旭琉會幹部や竹聯幇の関係者が車で続々と乗り付け、会場入りするのを本紙も確認した。県警の捜査員も駆け付け、参加者を確認した。パーティー終了後、会場入り口で参加者が記念撮影する様子も見られた。
暴力団に詳しい関係者によると、旭琉會の組員が竹聯幇の関係団体と密接な関わりを持つことになり、その会合が持たれたとみられている。
一方、旭琉會の内部では竹聯幇側との交流に異論もあり、正式な交流には至っていないという。県警は竹聯幇関係者の来沖目的について詳しく調べている。

■「闇バイト」で薬物密輸か 荷受け募集、リーダー逮捕(共同通信2023.02.26)

中国から危険ドラッグを密輸したとして、近畿厚生局麻薬取締部が医薬品医療機器法違反の疑いで、大規模密輸・密売組織のリーダーとみられる関東地方の20代の男を逮捕していたことが26日、捜査関係者への取材で分かった。交流サイト(SNS)の「闇バイト」で荷受け役を募り、匿名性の高い通信アプリ「テレグラム」で指示していたといい、麻薬取締部は少なくとも数十件の密輸に関与したとみている。
闇バイトは特殊詐欺で現金を受け取る「受け子」の他、一連の広域強盗事件でも実行役を集める手段となっており、違法薬物の売買でも大きな役割を果たしている実態が浮き彫りになった。麻薬取締部はインターネット上の対策を強化する方針。
捜査関係者によると、男はツイッターに「副業で月10万円稼げる」などと投稿し闇バイトを募集。応募した男女に「荷物の受け取り代行業」「中身はアダルトグッズ」と伝えて違法薬物を中国から自宅に届けさせ、指定住所に転送させていた。こうした荷受け役は少なくとも十数人いた。

(コメント)

曖昧な国境をまたぐ反社会的勢力グループ同士の会合。瀬取りや密輸、密漁をうけおう業者であると想定して。新しく大きな取引の予定や必要が持ち上がり、トップに近い者同士で、会食を通じて、荷物の内容や報酬の条件など、細かい営業関係の内容を打ち合わせていたのかも知れないと想像してみる。

グローバル供給網サプライチェーン混乱が、裏社会に大きな被害を与え始めているのでは。そのため、新しく信頼できる取引先を見付けたり、関係を持ったり、など。

沖縄の取引範囲=米国・沖縄・台湾・中国南岸・東南アジア密輸ルート。この海域、昔からある密輸ルートかと思いますが。上海閥あたりかも。表の供給網が不安定になって、あぶれた「その筋の者たち」が、昔からあるルートに新しく食い込んで割り込もうとしているのか、邪魔したうえで乗っ取ろうとしているのか…

いずれにしても、台湾有事の可能性を含む、国境エリアの動揺に呼応した動きのひとつかも知れない、と思われるところはある。台湾と中国の統一の機運が高まった場合、こうした勢力が伸長するチャンスがありそうな。

【資料】

■「ソ連崩壊から30年:その時、現地では何が起こっていたのか」
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g01237/
ロシアの人々が、西欧の自由・民主主義に懐疑的・反発的な理由。この辺が濃厚…の可能性。ソ連への回帰よりも王政復古を望むという割合が多いかも知れない(ロマノフ時代の苛酷な奴隷制度は抜きで)

■In a tight labor market, some states look to another type of worker: Children
https://www.washingtonpost.com/business/2023/02/11/child-labor-iowa/

(コメント:アイオワ州とミネソタ州で、労働者不足を解決するため児童労働の制限をゆるめる動き。アイオワ州の法案は、10代が働ける職種と時間を拡大し、勤務中に病気、ケガ、死亡した場合に民事責任から企業を保護するという内容。人員不足の際に賃金を上げるのではなく子供に頼るのは米国のお家芸とのこと。新型コロナ後遺症による労働力減少はアメリカ全人口の3%超=470万人との推計が出ている。またアメリカの8つの州では婚姻の最低年齢が無く、児童婚が存在。それを規制しようという動きに共和党が反発しているとのこと)


■「徹子の部屋」年末の顔・タモリ登場 来年は「新しい戦前になるんじゃないですかね」
https://news.yahoo.co.jp/articles/26058d1be65d1bded3a7561dd96cdc80198f7103(デイリースポーツ2022.12.28)

テレビ朝日系「徹子の部屋」は28日、年内最後の放送となり、ゲストに昨年に引き続き、タモリを迎えた。昨年12月28日にタモリが同番組に出演したのが実に8年ぶり。今年は2年連続の出演となった。
黒柳徹子から「今年最後の徹子の部屋、お客さまは皆様待望のタモリさんでございます」と紹介されたタモリは「この世界に入って2度目にテレビに出たのが徹子の部屋だった」と振り返り、「毎年色んな事やりましたねえ」というと、黒柳も「まだプロになってなかった時」と楽しそうに振り返った。
タモリは黒柳から「来年はどんな年になりそう?」と聞かれると「誰も予測できない。でもなんていうか、新しい戦前になるんじゃないですかね」とサラリ。ネットでは「そう、もう日本人は平和ボケしてる場合じゃない」「タモさんは深い」「新しい戦前か…タモリさんはよく見てるよね」などの声が上がっていた。タモリは78年から13年まで、毎年年末の顔として同番組に出演していた。

(コメント:戦前生まれの方だけに意味深な言及と思われました「新しい戦前」)

■アジア、そして世界は、経済の分断によるリスクの高まりに直面している(IMF国際通貨基金2022.12.28)
https://www.imf.org/ja/Blogs/Articles/2022/10/27/asia-and-the-world-face-growing-risks-from-economic-fragmentation

地政学的な緊張を背景に、世界貿易による共通の経済的利益よりも国家安全保障上の懸念と戦略的競争に重きが置かれる可能性が高まった。各国が相互に依存していることを踏まえると、そのような可能性が実現した場合、非常にコストがかかることとなる。アジアにおいては特に言えることだ。例えば、米国は輸入の約半分、そして欧州は輸入の約3分の1がアジアからである。そして、アジア諸国は、主要な一次産品に対する世界の需要のほぼ半分を占めている。最新のアジア太平洋地域経済見通しでは、分断化の憂慮すべき初期兆候を指摘し、世界貿易のつながりがなくなることの潜在的な結果を示す。
https://twitter.com/IMFNewsJapanese/status/1607896626684907520
世界がふたつの貿易ブロックに分かれるという究極の分断化シナリオでは、生産性が大幅に、そして恒久的に落ち込む。世界の製造業と貿易において重要な役割を果たすアジアでは特に大きな損失となる(GDPの3%)。

(占い的な予測コメント)

金融マーケットからの資金流出が激化。マーケット流動マネーが底をつく勢い。おそらく、余裕は、もう残り1年も無い。20世紀から続いて来たグローバル経済システムの残り火は続くけど、もって、後10年~20年くらい?

(岸田政権が、古い原発の整備&再稼働、新しい原発の建設、防衛予算の補充のための緊急的な増税など、あらゆる増強を急いでいる理由)

基軸ドル通貨が結び付けていた世界秩序は崩壊し、ブロック経済圏へとシフトする動きが続いている。経済圏ブロック化と物流寸断が同時に進行。ライフライン断絶した孤立集落のごとく窮乏しかねない日本としては、今までの生活レベルを維持できるかどうかの瀬戸際にある。

手をこまねいていると、亡国の危機。電気・ガス・水道、あらゆる公共サービスが危機状態というレバノンの荒廃を見ると、よりリアルに「最悪の場合」をイメージできると思われ…

(参考)「カルロス・ゴーンの逃げた国に行ったら色々終わってた話」
https://note.com/univ/n/nc747fbc3346d(2022年4月時点)
2023年3月現在のレバノン:外貨不足、謎の新札が大量に市場に出回る、燃料不足、医療品不足、パスポート発行停止(医療従事者がこぞって海外逃亡するのを防ぐため)、スーパーマーケットなどの食料品の購入はドルのみ、インフレ率は1年で332%…とのこと

岸田政権は、通商保護のため、日本自前の軍備を整備しているところ。東南アジアとの外交、いっそう経済・軍事方面の協力が進展中。シーレーンは海賊が多いところで、海賊から商船(石油、石炭、ガス、産業資源、etc)を守る必要があるため、各国との軍事(シーレーン警備)訓練も増加。アメリカは国内混乱が激化していて戦前モンロー主義シフト傾向、目下、太平洋の覇権を維持するだけの国力・軍事力が維持できなくなっている。

生き残るのは、プーチン大統領が頑張って維持している大陸ブロック経済圏=ロシア・ルーブル経済圏、岸田政権が頑張って形成している海洋ブロック経済圏=インド太平洋経済圏。

中華(一帯一路ビジョン)経済圏とEU経済圏は目下、コロナ禍の中で産業基盤が全半壊ステータス、ブロック経済圏として生き残れるかどうかは不明。別の経済圏に寄生する、乗っ取る、という形態は有り得る。

中東アラビア経済圏は、サウジアラビアが意外に健闘、サウジアラビアを盟主として生き残るかも知れない。

PR

新型コロナに関する論文・補足資料

■人はなぜワクチン反対派になるのか ―コロナ禍におけるワクチンツイートの分析―
https://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/pr2024-02-05-001(東京大学プレスリリース2024.02.05)
https://link.springer.com/article/10.1007/s42001-023-00241-8(英文バージョン)

■コロナ対策での日本批判の歴史(はてな匿名ダイアリー)https://anond.hatelabo.jp/20220613212654

■【識者の眼】「非感染性・慢性疾患の疫学者が語る『反ワクチン言説の科学性』のみかた」鈴木貞夫
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=21357(Web医事新報,日本医事新報社2023.02.09)

■https://furuse-yukihiro.info/2023covidcolumn01/(2023.01.11時点コロナ最新の知見)
新型コロナは、人類文明社会の存続そのものを脅かす不気味な感染症に変容している

■https://www.nature.com/articles/s41579-022-00846-2(2023.01.13時点LongCOVID最新の知見)

■なんでコロナこんなに増えてるの?の疑問にほむほむ先生が答える(2022.12.31)
https://togetter.com/li/2027818

■Persistent COVID-19 Symptoms at 6 Months After Onset and the Role of Vaccination Before or After SARS-CoV-2 Infection
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2800554
Long covidにワクチン効果あり。罹患後に打つと後遺症リスク4割減。対照群は7割弱が44歳以下と比較的若年層

■新型コロナのワクチン、打った方が良い?~mRNAワクチンの効果と安全性、よくある誤解
https://www.fizz-di.jp/archives/1078840555.html(薬剤師ブログ)

■新型コロナウイルスの感染を増強する抗体を発見,COVID-19の重症化に関与する可能性
https://www.amed.go.jp/news/release_20210525-02.html(日本医療研究開発機構2021.05.25)

■Cortical Grey matter volume depletion links to neurological sequelae in post COVID-19 “long haulers”
https://bmcneurol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12883-023-03049-1
神経症状longCOVID患者は脳皮質の灰白質が減少。COVID-19感染後8週間以上24名対象、後遺症ブレインフォグ91.6%、倦怠感87.5%、頭痛41.6%など。皮質灰白質の縮小がlongCOVIDの神経症状に影響している可能性

■Infection by SARS-CoV-2 with alternate frequencies of mRNA vaccine boosting
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jmv.28461(MVジャーナル,2023.01.05)
※「ブースター接種間隔が開くと感染しやすい」及び「非ブーストは最も感染しやすい」という結果が報告された

mRNAワクチン完成までの長く曲がりくねった道(natureダイジェスト2021.09.16)

■https://www.nature.com/articles/s41598-022-27348-8
コロナウイルスのN抗原の中に多発性硬化症の原因となる抗体の抗原になりうる配列と類似のものが存在。MHC結合で評価。多発性硬化症など免疫で起こるものは一部が似るだけでも有効な自己抗体が産出されるので厄介=MHC結合で効率よくT-Cellに抗原提示される。ウイルス感染で脳神経系の合併症、後遺症が圧倒的に多いのは説明つく(ウイルス感染した場合にN抗原暴露)。軽症に抑えられるなら或る程度は抑制可能か?ただしオミクロンで多い頭痛などの症状と長期的な脳の障害に相関あるかどうか(普通はBBBガードがあるので脳には炎症波及しにくい)

■https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(22)01038-0
※ワクチンを接種したのにコロナに感染して重症化する原因はIgG4抗体…との説は、医学・免疫学の専門家の間では、否定されている(論文にて報告済み)
「ワクチン接種回数が多い(2回または3回)ほどスパイク関連IgG4陽性に結びつき、ワクチン接種回数が少ない(1回または0回)ほどスパイク関連IgG3、およびNC IgG、IgG1、IgG3、IgAに密接にクラスター化する様子がうかがわれた。重症度についてもほぼ同様のパターンが観察された。無症状または軽症の場合はスパイク関連IgG4の領域に多く集まり、重症の場合(入院、酸素補給、ICU)はスパイク関連IgG3、NCサブタイプおよび上記で言及したアイソタイプの領域に集まっていた。まとめると、この表現は、感染、より重篤な疾患、ワクチン接種の欠如、およびスパイク関連タンパク質に対するIgG3応答の間の関連を証明するものであった。逆に、スパイク関連タンパク質に対するIgG4応答は、主にワクチン接種によって特徴付けられ、ワクチン接種の繰り返しが多く、平均して病気の経過はより軽快した」

■オミクロン株はデルタ株などと比べ、唾液中の細胞に付着せず単独で空気中に漂う割合が高い
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2800145

■日本における新型コロナウイルス感染症の流行波ごとの性別・年齢的特徴の疫学的検討(国立感染症研究所2022.12.23)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2605-related-articles/related-articles-514/11696-514r01.html

対象期間に報告された9,299,477例…全体では, 性別は男性50.5%, 女性49.2%, 年齢別では20代が17.6%で最も多く, 次いで30代, 40代となっていた。流行波別にみると, 全体の81.5%が第6波に含まれていた。人口10万人当たりの症例数でみると, 第1波の12人から経過とともに増加していき, 第6波では5,822人となった。最も変動が大きかったのは10歳未満で, 人口10万人当たり3人から13,033人へと大幅に上昇した。

■コロナ後遺症、パンデミック以上に警戒必要-呼吸器以外にもリスク(ブルームバーグ2022.12.19)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-19/RMYKMHDWRGGH01

WHOが「ロング・コビッド」と略称で呼ぶコロナの後遺症は、呼吸器疾患が長引く症状よりはるかに深刻だ。気道内部を攻撃するインフルエンザとは異なり、コロナは多重システムのクラスター爆弾に似ている。
「肺だけにとどまらない。ウイルスと免疫システムの間で闘いが繰り広げられており、その闘いはほとんど全ての臓器で発生する可能性がある。完全なゲームチェンジャーだ」コロナで重症化した患者では、免疫細胞集団の変化や特定の白血球の持続的活性化といった免疫障害が最大1年後まで観察されている。
「コロナ以外の感染が増幅し、免疫機能不全となった患者をむしばむ可能性が高くなると予想される……その後、これらの感染症は本来よりも容易に広くまん延していく」
潜行性が極めて強いケースでは、心血管疾患や糖尿病、腎臓障害、脳損傷などの症状が現れる前に、新型コロナウイルスは知らぬ間に組織に炎症を起こし損傷を与えたり、凝固異常を引き起こしたりする。複数の研究によれば、あらゆる重症レベルの病気を患っていた元コロナ患者は、6-12カ月後に亡くなるか合併症で入院するリスクが高くなる。
コロナの影響が遅れて表れることで、平均余命の回復が妨げられる恐れもある。
患者はコロナ感染後の1年で通常の老化ペース4年間と同等の腎機能の低下を経験した。腎臓に病歴がなく、入院していない元コロナ患者でさえ、コロナに感染していない人に比べ、末期腎疾患に至るリスクが倍近いという。同じような影響が他の臓器に広がっている可能性もある。

■中国のコロナ死者100万人近くも、新たな変異株の恐れ-香港研究者ら(ブルームバーグ2022.12.15)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-15/RMX116T0G1KW01

中国政府による新型コロナ政策の急転換に伴い、新型コロナによる死者は国内で約100万人に上る恐れがあると、香港の研究者らが指摘した。香港大学で医学院院長を務めた梁卓偉氏らが執筆した報告書によれば、大規模なブースター接種や他の対策が講じられなければ、全国的な経済再開で100万人当たりの死者数は約684人に上る可能性があるという。中国の人口(約14億1000万人)に当てはめると、これは約96万4400人に相当する。今回の報告書によると、全国的な感染爆発が生じれば新たな変異株につながる恐れもある。

■コロナ後遺症の4割が苦しむ「脳の霧」、脳内伝達の破壊が一因か
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/120600564/(ナショナルジオグラフィック2022.12.07)

■SARS-CoV-2 infection and persistence in the human body and brain at autopsy
(SARS-CoV-2の感染と剖検時の人体および脳における持続性)
https://www.nature.com/articles/s41586-022-05542-y

(概要)コロナウイルス症2019(COVID-19)は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の急性感染時に多臓器不全を引き起こす。急性感染から症状発現後7カ月以上までの脳を含む人体全体におけるSARS-CoV-2の分布、複製、細胞型特異性をマッピングし定量化したところ、SARS-CoV-2は、重症のCOVID-19で死亡した患者を中心に広く分布しており、感染初期には脳を含む複数の呼吸器・非呼吸器組織でウイルス複製が存在した。一部の患者ではSARS-CoV-2が全身感染を引き起こし、数ヶ月間体内に留まる可能性があることを示している。

■緑の人・加藤AZUKI氏による、反ワクチン、反マスクの人は、「自分だけは例外(中二病の一症状)」と思ってるんだろうけど、「怖いモノ知らず」「運の良さに気付かない」「周囲の配慮に気付かない」とかな気がするという趣旨の連続ツイート》https://min.togetter.com/e5G7OyH

■新型コロナワクチン接種済の人々の死亡率は、未接種の人々よりも低い
COVID-19 Vaccination and Non–COVID-19 Mortality Risk — Seven Integrated Health Care Organizations, United States, December 14, 2020–July 31, 2021(CDC論文、2021.10.22)
URL>https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7043e2.htm

疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)の研究結果=「全年齢層において新型コロナワクチン(mRNAワクチン)接種を原因とする死亡者の増加は見られない」。

大規模研究によって得られたデータであり、国際スタンダード論文とされている。日本政府によるワクチン推進政策は、この論文を根拠にしている。

ワクチン接種の影響に関しては、追跡・反論いずれにせよ、この論文を踏まえて論じる必要がある。「ワクチンは有害である」と主張する場合は、この研究結果をくつがえすだけの大人数の統計結果を正確にまとめて、論文データにして正式に公開しなければならない。現在、その類の反論をまとめた医学論文は存在しない。

■新型コロナワクチンの有効性に関する論文
「Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine」
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa2034577
※数万人規模の二重盲検RCT(第3相治験)結果についての調査報告

■日本集中医療医学会>新型コロナウイルス関連小児重症・中等症例の発生状況の中間集計結果
URL>https://www.jsicm.org/news/news220530.html(集計データへのリンク有)
2022.12.01報告、ICU送りになった小児のうちワクチン未接種80%超、ワクチン接種済20%未満

■Severity of SARS-CoV-2 Omicron BA.2 infection in unvaccinated hospitalized children: comparison to influenza and parainfluenza infections
(ワクチン未接種の入院小児におけるSARS-CoV-2 Omicron BA.2感染症の重症度:インフルエンザおよびパラインフルエンザ感染症との比較)
URL>https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35730665/
過去にCOVID-19やワクチン接種の経験がない入院小児において、オミクロンBA.2はハイリスク。インフルエンザ類よりも重症化の割合が大きくなる傾向がある※つまり、普通の風邪と捉えてはならない


■資料:新型コロナワクチンの内容物

▼承認申請資料に使用されている第3相試験の結果を報告した論文
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa2034577

▼補足情報として添付されている治験実施計画書(PDF注意、376頁、英文)
https://www.nejm.org/doi/suppl/10.1056/NEJMoa2034577/suppl_file/nejmoa2034577_protocol.pdf
黒塗りされる前の原文

▼承認決定後にPMDA(医薬品医療機器総合機構)が出した審査報告書
https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_6.pdf
ヒトにおける安全性と有効性を検証する臨床試験結果とこれをめぐる審査の際のやりとりの部分(20頁~55頁)に黒塗りはナシ。黒塗りされているのは製造工程に関する部分であって、内容物に関する部分ではない。

※独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)サイトより「審査報告書・申請資料概要」
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/p-drugs/0020.html

承認審査情報の利用について/マスキングしている箇所は以下の情報です。
1.特定の個人を識別することができる情報
2.公表することにより個人の権利利益を害するおそれがある個人に関する情報
3.公表することにより法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある法人に関する情報

▼補足資料
国立国際医療研究センター病院>予防接種基礎講座>
https://www.hosp.ncgm.go.jp/isc/080/index.html
「予防接種基礎講座」の資料公開:「ワクチンの種類とその構成物質」
https://www.hosp.ncgm.go.jp/isc/080/FY2020/04.RandD.pdf

●コロナワクチンの中に、マイクロチップや放射性物質は入っているか?検証動画
https://www.youtube.com/watch?v=XfkXQtPKgV0(2022.03.15掲載)

●「コロナワクチンの中身は調べてはダメ(秘密契約の存在)」否定記事(2021.03.29付)
「Stanford Scientists Post Entire mRNA Sequence for Moderna Vaccine on Github」
(スタンフォード大学の科学者がモデルナワクチンの全mRNA配列をGithubに掲載)
https://gizmodo.com/stanford-scientists-post-entire-mrna-sequence-for-moder-1846576268
(日本語版:https://www.gizmodo.jp/2021/03/moderna-github.html)

ファイザーワクチンのmRNAコード(note記事、2020.12.31、スパイク言及あり)
[翻訳] BioNTech/Pfizer の新型コロナワクチンを〈リバースエンジニアリング〉する
https://note.com/yubais/n/n349ab986da42


■記事メモ:新型コロナワクチン接種後の死亡 接種との因果関係は? 日本における副反応報告の課題
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuraharayu/20221030-00321661
■記事メモ:新型コロナワクチンは世界でどのくらい死亡を防いだ? 接種率が低いと死亡者数は増える
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuraharayu/20221122-00324829

■新型コロナウイルス、次の変異株は病原性が高い可能性も-南ア研究(ブルームバーグ2022.11.27)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-27/RM0CMHT0AFB501

免疫不全の患者から採取した新型コロナウイルスのサンプルを使った南アフリカの研究によると、ウイルスは変異に伴って病原性を高めることが分かった。新たな変異株が出現した場合、現在流行しているオミクロン株よりも症状が悪化する可能性があることが示唆された。
アフリカ健康研究所(AHRI)のアレックス・シーガル教授が率いた研究によれば、エイズウイルス(HIV)に感染した患者から採取したサンプルを6カ月観察したところ、ウイルスは当初、オミクロン株の「BA.1」と同レベルの細胞融合と死滅を起こしていたが、変異に伴いこのレベルが上昇し、中国の武漢で発見された最初のウイルスと類似するまでになった。ダーバンの同研究所は昨年、オミクロン株に対するワクチンの有効性をテストしている。
新型コロナの病原体が変異を続ける可能性があり、新たに出現する変異株の病原性と死亡の確率が比較的症状の軽いオミクロン株より高くなる恐れがあることが示唆された。この研究はまだ査読を受けておらず、1人の患者から採取したサンプルを使用した実験結果のみに基づく。
「長期感染における新型コロナウイルスの変異は必ずしも弱毒化という結果につながらない可能性が示唆された」と研究者らは24日に発表されたリポートで説明。「将来の変異株の病原性が現在流行しているオミクロン株より強くなる可能性があることを示唆していると考えられる」としている。

■新型コロナ、感染のたびに死亡や疾患リスク上昇か(Forbes、2022.11.18)
https://forbesjapan.com/articles/detail/52018

新型コロナウイルスに感染するたびに、糖尿病や腎臓病、臓器不全、精神疾患といった健康障害の発症リスクが高まる可能性のあることが、米国で実施された研究で明らかになった。新型コロナウイルスに複数回感染しても影響は軽微とする俗説を覆す研究成果だ。
10日に米科学誌ネイチャー・メディシンで発表されたこの研究では、米国の退役軍人向け医療保険制度を通じて治療を受けた約580万人の健康記録を分析した。その結果、新型コロナウイルスに複数回感染した人は、最後の感染から最長6カ月後までの間、肺や心臓、脳、消化器系に影響を及ぼす問題など、多くの健康障害のリスクが高くなっていたことが判明した。
複数回感染した人は、1回だけ感染した人に比べて、死亡する可能性は2倍、入院する可能性は3倍高くなっていた。また、心臓疾患の発症リスクは3倍、肺疾患の発症リスクは3.5倍、脳疾患の発症リスクは1.5倍強上がっていた。
死亡や入院、発症のリスクは、ワクチンを未接種の人でも接種済みの人でも高くなっていた。研究の対象者が感染した変異株には、デルタ株やオミクロン株、オミクロン株の派生型で現在主流となっているBA.5などが含まれる。
論文のシニアオーサーである米セントルイス・ワシントン大学の疫学者ズィヤド・アルアリーは、このところ、新型コロナにかかった人やワクチンを接種した人、とりわけワクチンを接種して感染もした人は「無敵のオーラ」でもあるかのように思われていると苦言を呈する。
そのうえで「わたしたちの研究では、2回目、3回目、4回目と感染を重ねるごとに、健康リスクが高まることがはっきり示された」と強調し、人々に対して引き続き再感染への警戒を怠らないよう呼びかけている。
アルアリーによると、心臓や脳、肺などの疾患に限らず、ほかの健康障害の発症リスクも新型コロナウイルスに感染するたびに高まるようだという。
アルアリーは、何より望ましいのは再感染を避けることだと述べ、そのためにはマスクを着ける、体調を崩したときは外出しない、対象となるブースター接種はすべて受ける、といった対策が役に立つと助言している。

【医学論文】メモ(英文)

●Viral Antigen and Inflammatory Biomarkers in Cerebrospinal Fluid in Patients With COVID-19 Infection and Neurologic Symptoms Compared With Control Participants Without Infection or Neurologic Symptoms
URL》https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2792536

(概要)

新型コロナ感染者の脳脊髄液の89%でRNAでもスパイクタンパク質でもなくウイルスの一部のヌクレオカプシド抗原が検出された。

mRNAワクチンで体内で産生されるのはスパイクタンパク質で、今回新型コロナ感染者の脳脊髄液で検出されたヌクレオカプシドではない。

コロナ感染すると、ヌクレオカプシドが血液脳関門を突破し、脳脊髄液に移行して免疫反応や炎症が起き、症状として生じる。その後も諸症状を残す可能性があることが示唆された。

(ブレインフォグ等の原因?治癒した後も高確率で残留物が検出される。それが他のウイルスと出会って別の症状を引き起こす可能性もあり得る)

感染前の接種および感染後の接種で罹患後症状はより少ない傾向が示されている。未接種の発症では、こうした二次的病態を起こしうるリスクがより濃厚になる可能性がある。

●Coronavirus ‘ghosts’ found lingering in the gut
URL》https://www.nature.com/articles/d41586-022-01280-3

(概要)

Long COVIDの原因は長期残存する体内ウイルスリザーバーが原因か。ウイルスリザーバーの研究が、SARS-CoV-2感染症の病態の本質を明らかにする可能性あり。COVID-19は単なる急性呼吸器感染症ではなく、慢性全身感染症が本質的病態か。

・感染後も数か月以上に渡り、腸管内にウイルス由来抗原(蛋白、RNA)が検出できる
・軽症COVID-19でも、46例中32例で感染7か月後でも腸管組織内にウイルス蛋白が確認できた
・メモリーB細胞が産生する抗体は感染後数か月後も変化し続けており、抗原に長期持続曝露されている事を示唆している(B cell maturation)
・腸管だけでなく、軽症例を含め、心臓、眼球、脳、虫垂、乳房などの各種臓器にもウイルスRNAが証明されている
・ある研究者はマクロファージ内に潜伏感染する形で、全身の臓器にウイルスが存在している可能性を推測
・ウイルスリザーバーの検討はNIHの大規模研究や、患者団体との協力とにより今後進んでいくと期待される

「持続的に存在し続けるウイルス断片がLong COVIDの原因」仮説→ウイルス断片「coronavirus “ghosts”」。

ウイルス断片とLong COVIDとの関連に決着がついたわけではないので注意。簡単な問題ではなく、更なる研究が必要。

※Long COVIDは急性感染後12週を超えて症状が持続する病態と定義されている。これには200以上の症状が関連しており、重症度も軽症から日常生活に影響が出るレベルまでの多岐に渡っている。

■自己免疫疾患患者はコロナワクチン抗体価減、阪大の解析が示唆したこと
https://newswitch.jp/p/35129(ニュースイッチ2022.12.24)

大阪大学の山口勇太大学院生と行木紳一郎大学院生、加藤保宏助教、熊ノ郷淳教授らは、関節リウマチ(RA)や全身性エリテマトーデス(SLE)など自己免疫疾患患者において新型コロナウイルスに対するメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン接種後の免疫動態を解析し、特定の免疫抑制治療でウイルスへの中和抗体価が減弱しやすいことを発見した。患者の特徴に応じたワクチンの投与方針の検討材料になることが期待される。
自己免疫疾患患者が使用する免疫治療は、ワクチンによる免疫反応を減弱させる懸念がかねてあった。そこで研究チームは阪大病院に通院中の患者の血液サンプルを収集し、ワクチン接種前後の新型コロナウイルスに対する中和抗体価の変化などを調べた結果、ステロイドやアバタセプトを使用しているRA患者は中和抗体価のピークが低く、TNF(腫瘍崩壊因子)―α阻害薬を使用するRA患者は長期で見ると中和抗体価が下がりやすい傾向にあることが分かった。こうした治療を行っている患者は、他者に比べてワクチン接種を前倒しすることが望ましいことも示唆された。
成果は米科学誌ランセット・リージョナル・ヘルス・ウェスタンパシフィック電子版に掲載された。

*****

補足:ワクチン接種の効果に関する医学論文

URL》https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2798990

(概要:COVID-19ワクチン接種率が低い地域ではCOVID-19死や超過死亡が多かった)

URL》https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.08.08.22278547v1

(概要:アメリカ、2021年12月~2022年5月、刑務所入所者11.2万人対象。一晩以上同室=濃厚接触とした場合、濃厚接触者への二次感染リスクは未接種者と比べ、1回以上ワクチン接種者では24%低下、接種回数が増えるごとに12%低下。既感染歴があると二次感染リスクは22%低下。既感染歴とワクチン接種歴の両方があると二次感染リスクは41%低下。ブースターワクチン接種と最近のワクチン接種が感染力をさらに低下させた。結論、ワクチン由来免疫と自然獲得免疫がそれぞれ独立してSARS-CoV-2オミクロン感染リスクを低下させた)

URL》https://www.covid-datascience.com/post/israeli-data-how-can-efficacy-vs-severe-disease-be-strong-when-60-of-hospitalized-are-vaccinated

(概要:「ワクチン接種者のほうが非接種者より重症者数が多い」という指摘があるが、これはシンプソンのパラドックスと言われるもの。論文にて検討のうえ導き出された結論:母数を合わせ、年齢ごとに調整して計算すると、高齢者・70歳以上のブーストなしでの対重症度効果は低いが、ブースターで高い効果を回復。若年層では、ブーストによる効果は非常に高いが、ブーストなしでもワクチン接種の効果は85%以上と非常に高い。となる)

*****

イベルメクチンについて(ツイッター「新型コロナウイルス_ワクチン情報」2022.12.16)

https://twitter.com/VaccineWatch/status/1603541029881524224
イベルメクチンのCOVID-19に対する効果を調べた臨床試験RCTの結果、高用量(1日あたり600mcg/kgで6日間毎日)でも死亡、入院、回復までの時間で有効性は認められず。
(論文URL)https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.12.15.22283488v1

トルコ麻薬ルートmemo/ペロシ氏台湾訪問/新電力問題

【東西を結ぶ麻薬の道「バルカンルート」 トルコが本格的な対策に乗り出した】
https://globe.asahi.com/article/13578689(朝日新聞GLOBE2020.07.28)

NATO加盟国なのにロシアからミサイル防衛システムを買い、東地中海では天然資源を独自開発。シリアでは複数回の軍事作戦を展開し――欧米からは「単独行動主義」としばしば批判されるトルコ。そんなトルコが長年、他国との連携と協力を重ねてきた分野がある。麻薬犯罪捜査だ。ヨーロッパとアジア、中東とアフリカをつなぐ地理的位置にあり、陸路、海路、空路で様々な人や物が行き交うトルコは、麻薬の重要な中継地点でもある。国際捜査は、新型コロナウイルスで各国の国境が閉ざされた中でも粛々と続けられており、6月末には「共和国史上最大」の作戦が公表された。
■麻薬の道「バルカンルート」
アフガニスタン、パキスタン、イランにまたがる地域は、「黄金の三日月地帯」と呼ばれ、東南アジアの「黄金の三角地帯」と並び称される世界最大の麻薬の生産地だ。この三日月地帯で栽培された大麻や、ケシからつくられるヘロインはトルコを経由して一大消費地ヨーロッパに、主に陸路で運ばれる。トルコ国境からギリシャ、ブルガリアに抜け、バルカン半島を通る「バルカンルート」だ。一方、同じルートを西から東へ、ヨーロッパからは合成麻薬がトルコを通ってアジア、中東に渡っていく。
ここ数年、トルコの年間麻薬犯罪捜査件数は約15万件、国内で押収される麻薬は数十トン。麻薬犯罪の拘束者は年間20万人に上る。普段は地味に、時に大々的に、麻薬関連ニュースはほぼ毎日、新聞紙面の一角を占めている。
■「過去最大級」の捜査 ボス2人逮捕
「トルコ共和国史上、最大の作戦が行われた」。警察を管轄する内務省のソイル大臣は6月30日、誇らしげに語り、大量に積まれた外貨や金塊、骨董品の刀などを報道陣に公開した。円換算で10億円以上。ほかに300近い不動産の権利書や20の高級外車、紙幣計算機なども押収された。
「沼地作戦」と名付けられたこの大規模捜査はトルコの11県で一斉に行われ、マフィアのボス2人を含む約80人が拘束された。協力国はオランダ、ブラジル、エクアドルなど8ヵ国。拘束されたのは1990年代から麻薬の密輸を牛耳っていた犯罪集団で、中にはイスタンブールにある警察の元署長も含まれていた。
逮捕されたボスの一人は、国際刑事警察機構(インターポール)の国際指名手配を受けている男だった。麻薬取引によりブラジルで逮捕され刑務所から逃走。オランダで再び麻薬とマネーロンダリングで逮捕後、約6000万円を支払い保釈されたが、その後トルコに逃げてきた。ビジネスマンを装い、シリア国境近くの街でシリア難民支援団体の会合に参加し、多額の寄付をするなど「善良な市民」を装っていた。
もう一人もトルコやスペインで逮捕・服役歴をもつ。手引きしたイスタンブールの元警察署長が自身の公用車とドライバーをあてがっていた。コロナの感染拡大で都市封鎖措置がとられていた中でも「バルカンルート」でトルコに運ばれた麻薬の売上金をギリシャ・ブルガリア国境の街に受け取りに行くなど、自由に移動していた。
だが、こうした動きはすべて警察が把握。数か月間泳がせ、犯罪網を割り出していた。9ヵ国が連携したこの捜査は、水面下で1年以上続けられていたという。
■PKKの「サプライチェーン」
トルコの麻薬犯罪捜査は、トルコがシリア北部やイラク北部で行っている「対テロ対策」の一環でもある。過去約40年間トルコ軍と戦っているテロ組織「クルド労働者党(PKK)」を支えているのは、麻薬取引で獲得した潤沢な資金だとされているためだ。
インターポールによると、PKKはヨーロッパの違法麻薬取引市場の実に8割を支配している。資金源の9割は麻薬とマネーロンダリングといい、PKKの収入は年々拡大、トルコ警察は年約15億ドルと見積もっている。
PKKが生まれたトルコ南東部は、メソポタミア文明を育んだチグリス川、ユーフラテス川が流れ農業に適した肥沃な大地で覆われている。1978年にPKKが設立された南東部のディヤルバクルとその周辺は、大麻の栽培に最も適した地域とされ、その山がちな地形が捜査当局の発見を難しくしてきた。広大な敷地に背の高いトウモロコシを植え、その内側に見えないように大麻を育てている事例もあるという。
1960年代以降、人手不足を埋めるべく、トルコからヨーロッパに渡った移民の中にはPKKを支持する人もいた。そうした支持者をも利用しながら、PKKはヨーロッパ各地で拠点を拡大、強固なネットワークを築き上げてきた。大陸をまたぐ麻薬の密輸にはマフィア間の協力が欠かせないのだが、PKKは単独で、生産から密輸、売買ができるといういわば強固な「サプライチェーン」を整えた。ディヤルバクル出身のバイバシン一家など、ヨーロッパでも恐れられた麻薬マフィアも少なくない。
ここ数年の捜査強化の背景には、2016年7月のクーデター未遂事件がある。政府転覆を狙った軍の一部による犯行だが、背後にはアメリカ在住のイスラム指導者がいるとされ、「FETO」と呼ばれた信奉者らは、特にトルコの治安機関や司法機関に根を張り、警察の麻薬捜査に関わっていた幹部も多く含まれていた。政府はそうしたグループがPKKともつながり、意図するままに麻薬取引をしていたとみており、その後の麻薬捜査の加速化につながった。
2017年にはベルギーやオーストリアとの共同捜査で、PKKの麻薬ネットワークの要所が寸断されるなど、PKKのサプライチェーンも徐々に弱まっている模様だ。
■若者にじわりと広がる麻薬
トルコは単なる中継地というだけではない。密売人と麻薬が往来する中で、一部はトルコ国内で消費されている現実がある。ヨーロッパから流れてくる合成麻薬は値段が安く、近年、特に若者の間で広がっている。大都市のスラム街では学校近くに密売人がたむろし、登下校中の子供たちを狙うケースもある。
麻薬使用者の低年齢化を危惧したソイル内務大臣はおととし、「学校近くで麻薬密売人を見つけた警察官は、そいつの足をへし折る義務がある」と公言、物議を醸した。野党や弁護士団体は「司法を無視した犯罪の扇動だ」と抗議し同大臣を提訴、大臣は「取り締まる側にとって、それぐらいの意気込みが必要という意味だ」と釈明に追われた。
一大消費地であるEUと比べると、トルコの麻薬使用率は際立って少ない。だが、欧州薬物・薬物依存監視センターの2019年報告書では、トルコでの麻薬使用者の低年齢化(15~34歳)が指摘されており、20歳未満の麻薬による死者はEU平均の約3倍となっている。半数以上は合成麻薬といい、過去、9歳の子供が麻薬乱用で病院に運ばれたケースもあった。内務省は2014年、組織犯罪だけでなく、個人の密売にも焦点を当て、専門家集団による小規模な「麻薬チーム」を作り、若者が集まる場所やスラム街の学校周辺に重点的に配置した。
さらに今年から、麻薬犯罪情報提供に対する報奨金の額を一気に拡大した。組織の中心人物や重要関係者の逮捕につながった場合、最高額で約800万円だ。背後に犯罪組織がある場合が多いヘロインとコカインに関する情報で押収に至った場合、一キログラムあたり最高約100万円、大麻は約25万円。個人の密売情報も報奨金対象とし、発見情報には報奨金一律約4万円が支払われる。
こうした対策は徐々に成果を見せ、2018年以降、麻薬の押収量は増加する一方、死者は減少傾向にある。
■静かな夏の熱い戦い
世界貿易機関(WTO)の予想では、2020年は世界貿易が13%~32%縮小するとされている。コロナの影響で生活が苦しくなり、手っ取り早くお金を得られるとして密輸に手を染めたり、麻薬犯罪組織に取り込まれたりする人が増える可能性が危惧されている。
トルコはコロナ禍で通貨安が進行し、一時は2018年の通貨危機の水準を下回るほどリラ安となった。リラを買い支える原資となる外貨準備もコロナ禍の数か月で急減、経常赤字も常態化しており、外貨を稼ぐ観光業は大打撃を受けている。今月初めにEUが発表した、第三国からの渡航者受け入れリストにはトルコの名前はなく、観光収入での景気回復が期待されるが、苦しい状況が続く。
国連が5月に発表した報告書は、麻薬の密輸・売買を取り締まる各国政府がコロナ対策に手を取られ、犯罪組織が活動しやすい環境になっていると指摘する。
2008年のリーマンショックによる世界的な経済危機では、各国政府が支出削減を強いられ、麻薬犯罪捜査の予算も大幅に縮小した結果、密輸が増えたという。専門家の中には、コロナによる経済不況で、税関職員の給料も減り、汚職がはびこる可能性を指摘する人もいる。
連日35度を超える暑さのトルコのリゾート地は、例年の外国人観光客による賑わいが嘘のように閑散としている。だが、コロナ禍の静かな夏を迎えても、麻薬との戦いはこの夏も熱を帯びている。

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https://twitter.com/dig_nonfiction/status/1557194327402500097

早坂隆@dig_nonfiction(2022.08.10)
終戦直後、ソ連軍の不法侵攻に対し、占守島で実際に戦われた元少年戦車兵の小田英孝さん(94歳)。「占守島ではよくあれだけ戦ったと思いますよ。あそこで日本軍の強さを知ったから、ソ連はそれ以上、手を出せなくなったわけでしょう。戦った意義はあったと思っています」。

●第29回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(経済産業省・資源エネルギー庁、2022.08.09)
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/029.html

注目:
・資料3,カーボンニュートラルやエネルギー安全保障の実現に向けた革新炉開発の技術ロードマップ(骨子案)
・資料5,エネルギー・原子力に関する国内外の動向

●一般送配電事業者9社から最終保障供給約款の変更届出を受理しました(経済産業省・資源エネルギー庁、2022.08.11)
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220810001/20220810001.html

本日、北海道電力ネットワーク株式会社、東北電力ネットワーク株式会社、東京電力パワーグリッド株式会社、中部電力パワーグリッド株式会社、北陸電力送配電株式会社、関西電力送配電株式会社、中国電力ネットワーク株式会社、四国電力送配電株式会社及び九州電力送配電株式会社から電気事業法(昭和39年法律第170号)第20条第1項の規定に基づく最終保障供給約款の変更届出等を受理しました。

(コメント:卸電力市場の取引価格と連動させ、燃料費の高騰時にはこれを反映して料金を引き上げる仕組み。適用は2022年9月から、現状においては大幅な値上げとなるそうです。かねてから新電力の新規受付停止・電力難民の関係で問題となっていた部分でしたが、ひとまず解決というところのようであります)


■ペロシ米国下院議長の台湾訪問/2022.08.02~08.03

外務省>林外務大臣会見記録(2022.08.02)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken24_000131.html

【林外務大臣】ペローシ下院議長の外遊につきまして、日本政府としてコメントする立場にないと考えております。その上で一般論として申し上げますと、我が国としては、米中両国の関係の安定、これは、国際社会にとっても極めて重要であるというふうに考えております。

コメント:非常に細心の注意を要する局面だったと思われますが…上手な立ち居振る舞いをやってのけた、という評価であります。

生前、安倍元首相に訪台の予定が持ち上がっていたという話。安倍元首相であれば、訪台したとしても、各方面の人脈を通じて「大山鳴動して鼠一匹」の範囲に収められたと思うのであります。現在は、安倍元首相が居ない状態で進行している出来事であります。「条件がまったく変わってしまった」という前提があり。

岸田内閣の意思表明として「林外務大臣>日本政府としてコメントする立場にない」、万が一の暴発事件を通じて付け込まれるようなスキを見せなかった、という意味で、国防上、素晴らしいコメントとなったと思います。

図式としては、「死せる安倍、生ける米・中・台を走らす」。安倍元首相は死亡された後も、ガッツリ仕事されているような感じで。この影響度の大きさ、やはり常人ばなれしていると思案…

(お金の流れや、経済動向などを含めて複眼的に思案してみると、「これは、えぐい…」と思われるところ多々であります。なかなか気が抜けないなという流れ。安倍元首相の亡き今、岸田首相には、いっそう頑張って頂きたいと思います)


【新型コロナ2類・5類の指定について、時事ニュース・メモ】

●「強力措置残すべきだ」 コロナ分類引き下げに後藤厚労相
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022072900572&g=soc(2022.07.29時事通信)

後藤茂之厚生労働相は29日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルスの感染症法上の分類見直しについて「感染力の強いBA.5の状況を考えれば、強力な措置の可能性を残しておくべきだ」と述べ、慎重な姿勢を示した。
後藤厚労相は「新型コロナの致死率は季節性インフルエンザより高く、特に高齢者はその差が顕著だ」と指摘。医療提供体制に影響が及ぶ場合は「強力な感染拡大防止策を取れるようにしておくことが必要だ」と強調した。

●新型コロナ「2類相当」見直しへ 第7波収束後、全数把握議論―政府
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022073000311&g=pol(2022.07.30時事通信)

政府は新型コロナウイルスの流行がオミクロン株中心となり、重症化率が低下していることを踏まえ、現在「2類相当」としている新型コロナの感染症法上の位置付けを「第7波」収束後に見直す方向で調整に入った。厳格な対応を緩和することを想定。全感染者の情報を集約する全数把握取りやめの是非などについて検討を進める。政府筋は30日、「2類相当の見直しは不可欠。第7波が落ち着いたら議論を進める」と語った。(後略)

コメント:政府の判断は妥当と思われます。要は、「新たな変異株への厳重な警戒は必要であり、引き続き2類相当の強力な対応を続ける」、「全数把握などの2類相当の医療業務は、医療機関の過大な業務状況を生んでおり、負担軽減となるよう、5類相当へ引き下げ」。軽症者も含む全数把握は、ストップしても良いタイミングだという判断。軽症者については季節性インフルエンザ同等(感染対策をしつつ社会活動の幅を拡大)として、重症者に集中して、医療リソースを振り分けましょう、という流れ。


寡聞にして知らなかったのでありますが、「ワクチン接種者はコロナ感染率が高くなる」という話題があり。ネットでも色々言われている様子であります。

日本のワクチン接種率は80%~90%という事で、ワクチン接種済みの人数が多いからでは?と思案。

変異株はワクチンによる防壁を突破して感染するという報告があるので、感染率「1対1」として考える。すると、パッと見た目では、感染人数はワクチン接種者の方が多い。これを感染率と認識して、騒いでいる状態かと。

要は、小学生の算数の問題ではないか?と思案。

ちなみに、コロナ重症化率はワクチン接種者のほうが有意に低い、という報告がされているところ。

今のところ、沖縄県のワクチン接種率が、全国平均に比べてとても低い状態。ワクチン接種をしていない人数が多い場合の推移を見るという意味では、偶然ながら貴重な事例となっているのかなと思います。

コロナ後遺症のほうは比率はあまり変わらないようですが。ワクチン接種回数(ブースター接種)が増えると、将来的には、長期ダメージ影響度は抑えられる…と、可能性としては言われている模様(※まだ時間経過が浅く、当座の経過観察や予測のみに留まる。ハッキリした報告ではないので注意)


■経済産業省>通商白書2022(2022.07.29公開)
https://twitter.com/meti_NIPPON/status/1552894610980057089

>不確実性を増す世界情勢、日本経済の向かうべき道は?
今知っておきたい、ロシアによるウクライナ侵略の世界経済への影響や、不確実性の高まる世界で加速する4つのトレンドと今後の通商政策の方向性についてまとめました。#通商白書2022

https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2022/whitepaper_2022.html
セクション:第1章 第2節 世界的な供給制約の高まり
よくまとまっていて、非常に参考になりました。
(1頁)サプライチェーンにおける供給制約の関係図=何で色々値上がりしたのか?というのが図解で理解できました。グローバル影響度の大きさに震える…

■内閣府・原子力委員会>令和3年版(2021年版)原子力白書(2022.07.28公開)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/hakusho/index.htm

・2021年6月に具体化された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、高速炉、小型モジュール炉(SMR)、高温ガス炉、核融合に関する目標・工程表を提示。
・2021年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」において、原子力発電について、安全性の確保を大前提に、長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置付け、2030年度における電源構成の見通しでは20~22%程度を見込むと明示。


■半導体連携、台湾有事を念頭 調達多様化目指す 経済版「2プラス2」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022073000235&g=int(2022.07.29時事通信)

日米両政府はワシントンで29日に開いた外務・経済閣僚による「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)で、経済安全保障の観点から重要性が高まっている半導体のサプライチェーン(供給網)構築をめぐり緊密に連携することで一致した。
台湾有事を念頭に、半導体の生産施設が集中する台湾への過度な依存を見直し、自国生産を含めた調達の多様化を図る。半導体の開発加速や増産をもくろむ中国に対抗する構えだ。
(中略)
米国は台湾有事をにらみ、半導体など先端技術に関する新たな対中輸出規制の枠組みを模索する。いざ有事となれば、ウクライナに侵攻したロシアに対して構築した多国間の輸出規制の枠組みを「対中国でも再現したい」(米商務次官)考えだ。経済版2プラス2では人権侵害に悪用されかねない技術の輸出規制も議題に含まれており、関連技術を持つ日本は今後、難しい対応を迫られる可能性もある。

(コメント:もろ、経済安全保障の案件。岸田政権の謎のステルス能力でもって、着々と事が進むだろうと想像。「あれ、いつの間にか…?!」という将来が、今から見えるような)

■台湾を訪れる各国政府関係者とペロシによって窮地に立たされるバイデン
https://kotobukibune.at.webry.info/202207/article_28.html(日比野庵本館ブログ、2022.07.29)

コメント:「台湾有事」関連を取り扱っている記事。ここ数日(2022年7月の後半ごろ)の日・米・台の動きについて、まとめられた内容。

安倍前総理1人の外交パワー=国会議員の一大派閥と同じくらいの外交パワーがあったのかも、と思案

1人分のパイプを失っただけで、これだけ人脈の状況が不安定になるとは、自民党の国会議員たち、どれだけ安倍氏に頼っていたのだろうと想像。安倍氏1人に外交パイプ維持(様々な交渉や調整)の負担を背負わせて、自分たちは楽していた、という状況があった…とかだと、これからの激変する海外情勢の中で、シッカリ国会議員としての仕事を任せられるのかどうか、すごく不安。1人1人が、良い方向に化けることを祈ります


■安倍晋三元首相が中国を翻弄した秘策「狂人理論」/「中国が最も恐れた政治家」が使ったアメとムチ
https://toyokeizai.net/articles/-/606101(2022.07.24東洋経済)

コメント:非常に秀逸な政治評論と感じました。安倍晋三氏という希代の政治家の思考や行動をうかがい知れる記事。

欧米の政治家たちの中国に対する無理解と、中国に扇動されての、ジャパンバッシングの流れ(南京問題、戦争責任、慰安婦問題など)⇒安倍首相は、中国による「邪悪な日本」宣伝キャンペーンに対し、キッチリ反論するという手段をとった

記事より:安倍首相による、欧州政治家の中国理解の不十分さに対するコメント
「欧米諸国の首脳には、習氏に対して理解不足による過大評価をする傾向があります/ドイツのメルケル首相がその筆頭で、『習主席は反腐敗キャンペーンを展開していてクリーンな政治家だ』と、ある国際会議の場で持ち上げて、中国擁護論を展開していました」

実際に見聞きしたからこそのコメントであって、じっくり検討するに値する内容であり、実際にじっくり検討して、対中外交の基本方針を決めて行ったのだろうと思われました。

安倍氏による習近平氏の人物評、および対中外交の基本姿勢の組み立て

「中国共産党が得意な『心理戦』と『世論戦』を始めとする権謀術数に長けている人物だと感じました。あのまま反論しなければ、政治経験が乏しいトランプ氏らはあっさりと習氏に篭絡されていたでしょう。私がいたるところで中国のネガティブキャンペーンを張っていたから、習氏は私のことを強く警戒していたようですが」
「中国は力の信奉者だと思っています。と同時にメンツを非常に重んじる。硬軟織り交ぜた外交が必要です。私は自ら『嫌われ役』を買って出て安全保障分野では中国に圧力をかけつつ、党内の対中強硬派も説得してきた。一方で、二階さんやほかの閣僚には中国側の顔を立ててもらい、経済分野を中心に協力を持ちかけてもらったことが結果としてうまくいったのだと思います」

自民党の親中派議員を組み合わせて、まさに「アメとムチ」戦略で、中国と対峙していったという経緯。国益を重視したプロフェッショナルな是々非々の姿勢を貫いたからこそ、中国も、ロシアも、安倍政権を好敵手と判断し、外交チェスゲームに応じていったのだろうと考えられました。

中国政府当局者による安倍外交の評価

「戦後初めて、対米追随ではなく、独自の戦略を持った外交を打ち出した日本の指導者だと評価しています。小泉純一郎氏ばりのイデオロギー色を発しながら、田中角栄氏のように実利的なアプローチも仕掛けてくる。なかなか手の内が読めずに苦労しました。ある意味で、われわれが最も恐れた日本の政治家でした」

台湾有事に関し、想定されるシナリオのひとつ:
(1)中国公船による台湾海峡の船舶取り締まり。中国海軍による東シナ海一帯での海上封鎖
(2)日本の南西諸島の一部を含めた空域での「飛行禁止区域」の設定
(3)日本や米領グアムの近海への弾道ミサイルの威嚇射撃(※安倍氏は、このシナリオに関し「台湾有事は日本有事である」とコメントしたとのこと)

安倍氏は首相退任後、台湾有事に関し警戒的な発言が増加:その理由

「私に具体的な訪台の計画がない段階から、中国外務省が北京の日本大使に抗議したり、東京の中国大使館幹部が外務省に申し入れたりして右往左往していたそうです。放っておけばいいんです。私が『狂人理論(マッドマン・セオリー)』をやれば、中国も日本を挑発しづらくなるし、外交交渉も優位に立てるから」

…「狂人理論」というのは知りませんでしたが。

中国船や中国戦闘機による日本領海・領空侵犯の多さにもかかわらず、遂に極東有事を起こさせなかった…という歴史的な事実が有り。極東の安定化&安全保障の方面では、強力に、かつ有効に機能したのであろうということが、よく理解できます…

記事の最後の部分

今後の、極東有事の可能性も含めて、東アジア情勢の変化について考える時の重要な要素になると思われました。

(安倍氏は)自他ともに認める対中強硬派だったからこそ、存在自体が中国に対して牽制となった。と同時に経済交渉を進める際に、自民党内や世論の「右派」を説得することができた。
(中略)
岸田政権が安易な対中融和に傾くこともあるかもしれない。そうなれば、足元を見た習近平政権が日本に対して強硬に出てくる可能性がある。抑えが利かなくなった自民党などの右派が対中強硬に一気に傾くことも考えられる。
議員会館の安倍氏の部屋では、何度か岸田文雄首相とニアミスした。外交を中心に安倍氏に助言を求めていたそうだ。2021年9月の自民党総裁選で最終的に岸田氏を支持した理由を問うと、安倍氏はこう答えた。
「外相として4年8カ月の長期にわたって、安倍外交を支えてくれたことを感謝しているからです。自分の手柄にする政治家が多い中で、岸田さんは常に謙虚に懸命に支えてくれました」
「安倍外交の後継者」として、対中外交を含めたかじ取りをしていくのか。岸田氏の真価が問われている。

■技能実習制度、本格見直しへ 政府、有識者会議で議論(共同通信2022.07.29)
https://nordot.app/925581021847126016

古川禎久法相は29日の閣議後記者会見で、外国人技能実習制度の本格的な見直しに乗り出す考えを表明した。実習先で暴行を受けるなど人権侵害が後を絶たないといった問題点を挙げ「制度の趣旨と運用実態が乖離せず、整合する」ことが必要だと強調した。政府は年内にも有識者会議を設け、具体的な制度改正に向けた議論を進める方針。
古川氏は今年2月から勉強会を開き、専門家や外国人支援団体の代表ら10人超から意見聴取。「人づくりによる国際貢献という制度の目的と、人手不足を補う労働力として扱う実態が乖離している」と指摘されたという。会見で「長年の課題を歴史的決着に導きたい」とした。

■技能実習生、過半数が来日前に借金 平均54万円、入管庁が初調査
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022072600646&g=soc(2022.07.26時事通信)

出入国在留管理庁は26日、外国人技能実習生が来日するために支払う費用負担に関する初の実態調査の結果を公表した。それによると、来日前に出身国で借金をした実習生の割合は54.7%に上り、平均額は54万7788円だった。
技能実習制度をめぐっては、実習生が出身国の送り出し機関などに「手数料」や「保証金」を支払うため多額の借金を負い、それが日本国内での失踪や不法就労につながっていると指摘されている。
調査は入管庁と「外国人技能実習機構」が昨年12月10日から今年4月末にかけて実習制度の運用状況を検査した際に併せて実施。2184人から有効な回答を得た。
来日前に借金をしているかどうか尋ねた質問には2107人が答え、このうち54.7%に当たる1152人が「はい」、残り955人が「いいえ」だった。借金の平均額を国籍別に見ると、ベトナムが67万4480円で最多。カンボジアの56万6889円、中国の52万8847円が続いた。
来日前に送り出し機関か仲介業者、またはその両方に対して支払った金額については1369人が答えた。平均は54万2311円。国籍別の上位三つはベトナム68万8143円、中国59万1777円、カンボジア57万3607円だった。入管庁はベトナムに関し、「不当に高額な手数料を徴収する送り出し機関などがある」と分析している。
日本にいる外国人技能実習生は昨年末時点で27万6123人。古川禎久法相は制度の見直しを検討する内部の勉強会を設置しており、有識者との意見交換を踏まえた論点整理を月内にも公表する。入管庁はその後の議論を進めるに当たり、調査結果を活用する考えだ。

■5類見直し秋にも議論。政府「見直しに向けた議論に着手したい」/ネット「即実施でも即検討でもなく、秋から議論。しかも「したい」って何?」「岸田:秋から検討するかも」
http://totalnewsjp.com/2022/07/24/covid19-530/

現在、コロナは感染症法上、危険度が上から2番目に高い「2類」相当の扱いだ。受診できるのが指定医療機関などに限られ、保健所や指定医療機関には大きな負担がかかる。これが「5類」相当に引き下げられると、季節性インフルエンザのように一般の医療機関でも対応が可能になる。