2025年夏と秋の時事情勢メモ
■トヨタ、東京製鉄の低炭素鋼材を初採用 車向け開発の電炉材(日本経済新聞2025.10.31)
電炉大手の東京製鉄の鋼材がトヨタ自動車に採用されることが31日、わかった。自動車分野では日本製鉄やJFEスチールなど高炉メーカーの鋼材が主に使われてきた。自動車向けに開発した電炉材が採用されるのは、東京製鉄では初めてとなる。トヨタは2025年中に採用を始める。東京製鉄からの調達量やどの部材に使うかは明らかにしていない。東京製鉄の鋼材はスクラップ100%で製造しており、リサイクルの面で利点がある。
■小泉純一郎氏、首相退陣「非常に残念」 進次郎氏出馬「早過ぎる」(共同通信2025.10.07)
石破茂首相は7日夜、小泉純一郎元首相らと東京都内の日本料理店で会食した。同席した山崎拓元自民党副総裁によると、小泉氏は首相の退陣表明に関し「非常に残念だ」と語った。自民総裁選も話題に上り、高市早苗総裁に敗れた次男の小泉進次郎農相について「自分には出馬の相談はなかった。まだ早過ぎると思っている」と振り返ったという。7日に発足した自民新執行部についても意見交換した。会食には赤沢亮正経済再生担当相、武部勤元幹事長も同席した。首相は8月24日にも同じメンバーで会食している。
*****
■韓国、政府のオンラインストレージが火災で焼失 8年分の業務資料858TBが消滅か バックアップなく「気が遠くなる」現地報道(ITmedia2025.10.07)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2510/07/news112.html
韓国の政府職員が利用する業務用クラウドストレージ「G-Drive」に関する機器が火災で焼失し、8年分の業務資料に当たる858TBのデータが利用できなくなったと、朝鮮日報が10月2日(現地時間)に報じた。バックアップも存在しないという。
報道によれば、G-Driveは公務員が文書共有などに使う政府用のクラウドストレージで、米Googleのクラウドサービス「Googleドライブ」とは無関係。公務員1人につき30GBのデータ容量を提供しており、韓国の行政機関「行政安全部」は各省庁に対し、全ての業務資料は社内PCに保存せず、G-Driveに保存するよう求めていたとしている。
G-Driveは2024年8月の時点で、74省庁の職員12万5000人(政府職員の約17%)が利用しており、858TB(A4用紙4495億枚相当)のデータを扱っていたという。その容量からバックアップもできておらず、G-Driveを多用する行政機関「人事革新処」の関係者は朝鮮日報の取材に対し「8年分の業務資料が完全に消失した。気が遠くなる状況だ」と答えている。
人事革新処は国会資料や公務員の個人情報、懲戒記録も保存していた。職員の人事情報は他システムに保存していたものの、実際にどんなデータが消失したか把握するのが困難な状況で、2日時点で職員が社内PCやメールから業務資料を探している状態という。
朝鮮日報や東亜日報の報道によれば9月26日、韓国中部大田にある国家情報資源管理院で、無停電電源装置のバッテリー交換中に火災が発生。リチウムイオンバッテリー384個が燃えた他、サーバが全焼し、政府の647システムがまひしたという。このうち、G-Driveを含む96件のシステムに関する機器は全焼したが、G-Driveを除く95システムについては外部にバックアップがあるため復旧が可能という。
1日時点で647システム中105システムは復旧。ただし全システムの38%は月に1回バックアップを取る設定で、9月分のデータを保存できていない可能性もあるという。行政安全部は、全焼した96基のシステムを4週間かけて外部に移転・復旧する方針としている。東亜日報は4日、復旧作業を統括していた職員が飛び降り自殺したことも報じた。
■還流再開要望は下村氏 旧安倍派の元会計責任者が証言-大野元参院議員公判・東京地裁(時事通信2025.09.25)
自民党派閥裏金事件で、約5100万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた元参院議員大野泰正被告66らの公判が25日、東京地裁(福家康史裁判長)であった。「清和政策研究会」(旧安倍派)の松本淳一郎・元会計責任者=有罪確定=が証人として出廷し、政治資金パーティー収入の還流再開を要望した人物が下村博文元政調会長だったと明らかにした。
パーティー券の販売ノルマ超過分の還流は2022年4月にいったん中止が決まったが、派閥会長だった安倍晋三元首相死去後の同年8月に開かれた幹部協議を経て再開された。松本氏は自身の公判や衆院予算委員会の聴取で「ある幹部」から再開の要望があったと証言していたが、名前は明らかにしていなかった。
松本氏は大野被告の弁護人から「返金を再開することを安倍さんが了承していたと言い始めたのは下村さんですね」と尋ねられ、「そうですね」と述べた。さらに「下村さんが、池田(佳隆)議員に返金してやってくれ、安倍さんが了承しているという趣旨のことを述べた」との問いに「はい」と答えた。
8月の幹部協議で下村氏が再開を提案したのかと問われると「(池田議員に)返してやってほしいと言われた。それを再開といえば再開だ」と応じた。
下村氏は今年5月の衆院予算委の参考人招致で、ノルマ超過分の還流を求める声が「派内の議員の一人」から寄せられ、22年6月下旬以降、安倍氏と松本氏に報告したと説明。松本氏には同年7月下旬にも電話で伝えたが、「事務的に伝えた」だけで「再開を求めるということではなかった」としていた。
松本氏は、ノルマ超過分の返金を希望していた議員は「結構な数いたと思う」とも証言。大野被告についても「その中にいたような気がする」と述べた。
下村氏は25日、自身のX旧ツイッターに「松本氏の発言には明らかな事実誤認が含まれ、私が還流再開を要望したとの見方は誤り。ただし、国民の皆さまに疑念を抱かせ、政治不信を招いたことについては深くおわび申し上げます」などと記した。
起訴状によると、大野被告と元政策秘書は資金管理団体「泰士会」の18~22年分の収支報告書に、旧安倍派からの還流分計約5100万円を記載しなかったとされる。
*****
■ロシア、「国際サタニズム運動」を金融ブラックリスト入り 悪魔崇拝者の資産押収へ(AFPBB2025.09.20)
https://www.afpbb.com/articles/-/3599233
ロシアは19日、「国際サタニズム(サタン主義、悪魔崇拝)運動」と称する組織を金融ブラックリストに追加し、犯罪歴がなくてもメンバーとされる者の資産を凍結できるようにした。ロシア政府は近年、「国際LGBT(性的少数者)運動」や「反ロシア分離主義運動」など、実在しない複数の組織を「テロリストおよび過激派」のブラックリストに掲載している。これらの組織はロシア法の下での定義が曖昧であるため、検察は誰でもメンバーとして告発することができ、政府に楯突くものは誰であろうとを自由に訴追できるという。ロシア最高裁判所は7月、「国際サタニズム運動」を過激派と認定。検察は、同運動のメンバーがロシア正教会を冒涜し、「憎悪」を拡散したとして「国際サタニズム運動」を訴追している。ロシア検事総長は7月の声明で、「国際サタニズム運動は過激なナショナリズムやネオナチズムの表れと密接に結び付いている」と述べた。ロシア正教会最高位のキリル総主教は1月、国際サタニズム運動の禁止への支持を表明し、サタニスト(悪魔崇拝者)が悪質な「儀式」を行い、若者を勧誘していると非難。大統領府(クレムリン)での式典で、「考えてみてほしい。ロシア兵が命をかけて守ろうとしている価値観が、サタニストによって明らかに踏みにじられているのだ」と述べた。ウェブサイトによると、「テロリストと過激派」の金融ブラックリストを管理するロシア連邦機関、ロスフィン・モニタリングは、19日に「国際サタニズム運動」をリストに追加した。サタニズムとは、アブラハムの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)において、悪を体現する超自然的存在であるサタンを崇拝するあらゆる思想や宗教を指す。世界およびロシアで、サタニズムを信仰している人の数は明らかになっていない。
*****
■日本の造船、35年に建造量2倍の政府目標 建造コスト課題(日本経済新聞2025.09.18)政府は日本の造船業を巡り、建造量を2035年に現在のおよそ2倍となる1800万総トンに引き上げる目標を掲げる。建造能力の増強投資や造船に携わる人材育成などへ支援を検討する。中国の1隻あたりの建造コストは日本より2割程度安い。競争力の強化が課題となる。17日に自民党の関連会議で提示した。2024年の実績は908万総トンだった。目標が実現すれば世界シェアが現状の13%から20%程度まで上昇する。
■国産AI開発を政府が支援へ、学習データ提供し資金面も後押し…アメリカや中国依存を懸念(読売新聞2025.09.18)
政府は自国のデータや技術をもとにした国産AI人工知能の開発に乗り出す。文章などを自動的に作り出す生成AIは米中が開発で大きく先行するが、海外製への依存は、データの海外流出や日本に関する誤情報の拡散を招く恐れがあり、安全保障上、問題視されている。学習データなどの開発資源を日本企業に提供してAIの開発を支援し、信頼性の高い国産AIの確立を目指す。総務省所管の国立研究開発法人・情報通信研究機構NICTが20年近くにわたって収集した日本語データを提供し、AI開発企業プリファード・ネットワークス本社・東京が日本の文化や習慣、制度などについて信頼性の高い回答を出すAIを共同開発する。開発した国産AIは、IT企業のさくらインターネットが国内のデータセンターを通じて提供することを想定する。開発にあたり、良質な日本語データの整備や、傑出した能力を持つスター技術者の登用、開発インフラの提供などを、総務省や経済産業省が資金面などで後押しする方針だ。開発した国産AIは政府や自治体、企業が利用することを念頭に置く。AIの学習に使うデータの提供や、AIの頭脳となる「大規模言語モデル」の開発、データセンターの運営をすべて日本の企業や機関が担い、国内で完結する形で生成AIを開発、提供することを目指す。国内では米国や中国の海外製AIの利用が広がる。だが、海外製は学習データなど開発過程が不透明で、「日本として許容できないデータが学習されている恐れがある」(政府関係者)との懸念もある。海外製は英語のデータを中心に学習しており、日本の文化や歴史などの理解も不十分だとされる。AIの回答が開発国の主義や主張に影響を受けるという問題も指摘され、中国の生成AIディープシークに対し、自民党の小野寺政調会長が「尖閣は日本の領土か」と尋ねたところ、「尖閣は中国固有の領土」と答えたという事例もある。AIの海外への依存には一定の危険性があるとみて、政府は日本の文化や習慣、歴史などを踏まえて信頼性の高い回答を出すAIの開発を後押しすることにした。AI開発には大量のデータやコンピューター、優れた専門人材などが必要になるが、開発資源が豊富な米中が先行し、日本は後れを取っている。生成AIの性能に関する国際的な指標「アーティフィシャル・アナリシス・インテリジェンス・インデックス」によると、米オープンAIや中国アリババ系など米中のAIが上位を独占する。米中のAIを基盤に使う日本企業も増えており、海外依存に懸念が広がっている。
*****
情報流通プラットフォーム対処法2025.04.01施行>不適切SNSアカウント等の凍結・規制
改正資金決済法2025.06.06成立1年以内に施行>クロスボーダー収納代行規制
証券取引等監視委員会の調査権限強化2026年~>無登録金融業者の刑事告発
■改正資金決済法が成立、暗号資産仲介業を新設 規制強化も(日本経済新聞2025.06.06)暗号資産(仮想通貨)の仲介を行う業種の新設などを盛り込んだ改正資金決済法が6日、参院本会議で可決、成立した。仲介業新設で事業会社でも仮想通貨を取り扱えるよう規制を軽くするとともに、交換業者の破綻時の資産流出を防ぐ国内保有命令を盛り込み顧客資産の保護を強化する。改正資金決済法は公布日から1年以内に施行する。仲介業は、暗号資産交換業よりも規制を軽くし自社サービス内で仮想通貨を扱いやすくする。海外に本拠のある交換業者が破綻した際に、顧客資産の海外流出を止めるため国内保有命令を新設した。国境をまたぐ資金移動が増加していることを受け、収納代行を行う国内事業者を対象に資金移動業の登録を求め規制を課す。足元で増加しているオンラインカジノといった違法な無登録業者については取り締まりを強化する。キャッシュレス化の進展に伴い利用が増加しているQRコード決済など、資金移動業者の利用者保護も強化する。破綻時にスムーズに利用者に返金できるよう信託銀行など保証会社から直接返金することを手段として認める。
■総務省、Google・LINEヤフーら5社を「大規模プラットフォーム事業者」に指定、誹謗中傷などの迅速な対応求める-情報流通プラットフォーム対処法に基づく指(2025.05.01InternetWatch)総務省は4月30日、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(情報流通プラットフォーム対処法、情プラ法)第20条第1項に基づく大規模特定電子通信役務提供者(大規模プラットフォーム事業者)の指定を行い、Google、LINEヤフー、Meta、TikTok、Xの5社を指定した。同法は、旧プロバイダ責任制限法から改定され、2025年4月1日に施行された。プロバイダ責任制限法は、プロバイダ(SNSなど情報通信サービスの提供者など)の責任範囲を定め、誹謗中傷や権利侵害の問題が発生した場合における発信者情報開示請求や関連した事件における裁判手続きについて定めた法律であるが、改定においては、誹謗中傷や違法・有害情報を含む投稿の削除など侵害情報送信防止措置の実施手続きの迅速化と、これらの措置の実施状況の透明化を図るため、大規模プラットフォーム事業者に対し、侵害情報送信防止措置の実施手続きの迅速化および、措置の実施状況の透明化を図るための義務を定めている。大規模プラットフォーム事業者の条件は、総務省令(令和4年総務省令第39号)により、月間の利用者数が1千万以上などと定められている。今回指定された事業者は前述の5社だが、同省では、大規模プラットフォーム事業者の追加の指定も検討中だとしている。
■無登録金融業者の調査強化 証券監視委、刑事告発可能に(共同通信2025.09.09)金融庁が、金融商品取引業に登録せず投資勧誘を行っている業者に対し、証券取引等監視委員会の調査権限強化を検討していることが9日、分かった。これまで監視委は無登録業者に対して刑事告発ができなかったが、告発とそれに向けた強制力のある調査が可能になる。金融犯罪に知見がある監視委が早期に実態解明に乗り出すことで、詐欺などの被害拡大を防ぎたい考えだ。月内にも開く金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会で議論。金融商品取引法の改正案に盛り込むことも視野に入れる。法改正が伴う場合は、早ければ2026年の通常国会に金商法改正案を提出することを目指す。政令改正でとどまる可能性もある。
*****
■中国マネー、不動産から株式へ 7月の資本流出は最大の9兆円(日本経済新聞2025.09.01)中国で株式マネーの流出が拡大している。7月に9兆円近くが大陸外へ流出し、過去最大を記録した。不動産不況が長引くなか、投資家が資産形成しやすいよう当局が国内外の株式投資を促したためだ。上海株も10年ぶりの高値に沸くが、将来不安を背景に資金流出が増えて人民元安の圧力を高める可能性もある。中国国家外貨管理局は毎月、国内の銀行を通じて企業や家計が大陸外と取引した資金を集計している。
■中国恒大が上場廃止 バブル崩壊の不動産業界、終わらぬ危機(日本経済新聞2025.08.25)50兆円近い負債を抱え経営難に陥った不動産大手、中国恒大集団が25日、香港取引所で正式に上場廃止となった。不動産不況は終わりが見えず、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)の業績が悪化するなど同業も追い詰められている。香港時間の25日午前9時、恒大の上場企業としての地位が正式に取り消された。
■パブリックコメントで世論を誘導、「内容」より「数」が独り歩き-殺到する意見にAIでの分類も検討(読売新聞2025.08.28)国民の意見を政策に反映させる国のパブリックコメント(パブコメ)に大量の同一意見が寄せられている。意見の「数」ではなく「内容」が考慮される制度の趣旨が十分周知されず、世論誘導の道具に利用されている実態も浮かび上がる。国は改めて制度の趣旨を周知するとともに、大量の意見を分類するシステムの導入も検討している。
■「ピザ」は児童ポルノ サイバースラング800種、AIで洗い出し(日本経済新聞2025.08.27)ネットスラング隠語を使ったサイバー犯罪に関するやり取りに人工知能AIで対抗する取り組みが相次いでいる。横浜国立大はAIでSNSを分析し、800種類ほどの隠語を特定した。政府もセキュリティー上の脅威となる動きを把握する諜報用のAIを開発する。
■「ボット」の動きAI分析 偽情報対策に441億円 外務省概算要求(毎日新聞2025.08.27)
外務省は27日、2026年度予算の概算要求で偽情報の拡散防止などの情報対策に441億円(前年度比203億円増)を計上する方針を、自民党の部会で明らかにした。交流サイトSNS上で日本に悪意のある発信を「ボット」と呼ばれる自動投稿プログラムで大量に投稿するなどの動きに対し、人工知能(AI)などで従来より高性能な分析ツールを構築する。国際世論の形成に向けた戦略的な発信に取り組み、サイバーセキュリティーの強化やデジタル人材育成も進める。また、中東での武力衝突など緊急事態が頻発している現状を踏まえ、公館の修繕や警備車両導入など、在外邦人の「最後のとりで」となる在外公館の機能強化などに3218億円を盛り込んだ。文化外交の抜本的強化には461億円(前年度比112億円増)を計上。アーミテージ元米国務副長官ら知日派重鎮の死去も踏まえ、米国内や影響力を増すグローバルサウス(新興・途上国)諸国で親日派や知日派の「ジャパン・フレンズ」を増やす。日本語教育が不十分な中南米やアフリカなどに日本語の専門家を派遣し教材を供与する。
*****
2025.08.24-2025.08.25のネット炎上について、メモ
■「JICAアフリカ・ホームタウン」に関する報道について(JICA2025.08.25)
https://www.jica.go.jp/information/notice/2025/1572980_66416.html
■交流を後押しの「ホームタウン」認定 誤解に基づく情報広がる(NHK2025.08.25)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250825/k10014902871000.html
日本とアフリカのかけ橋となる人材の育成につなげようと、JICAは先週、▽山形県長井市をタンザニアの、▽千葉県木更津市をナイジェリアの、▽新潟県三条市をガーナの、▽愛媛県今治市をモザンビークの「ホームタウン」に認定しました。交流を深めることが目的ですが、「移民を定住させる制度だ」とか「ふるさとが明け渡される」などと誤解した投稿がSNSで広がっていて、なかには500万回以上見られているものもあります。一方で、ナイジェリア政府のウェブサイトには「日本政府が移住して生活と就労を希望する若者向けに特別ビザを発行する」などと書かれているほか、現地メディアも同様の内容を伝えていて、誤解が広まる要因にもなっています。
■外務省がナイジェリア政府に訂正要求「特別なビザ発給」の誤発表に(朝日新聞2025.08.26)
国際協力機構JICAが千葉県木更津市など4市をアフリカ各国の「ホームタウン」に認定したことをめぐり、日本の外務省は26日、新たな査証ビザが発給されるなどという誤情報をナイジェリア政府が発信している点について、訂正を求めたことを明らかにした。
JICAのウェブサイトによると、4市は木更津市のほか、山形県長井市、新潟県三条市、愛媛県今治市。21日にそれぞれがナイジェリア、タンザニア、ガーナ、モザンビークの「ホームタウン」に認定された。国際交流の後押しがその目的だった。
ところがナイジェリアの大統領府は、「日本政府は、高度の技術を持ち革新的で、才能にあふれた若いナイジェリア人が木更津市で生活し、働くための特別ビザの枠組みをつくる」との声明を記載。SNSでは「移民が押し寄せてきたら誰が責任とるんですか」などとする投稿が急速に広がっていた。
日本の外務省関係者によると、JICAからは、ナイジェリアに対し「ホームタウンとの交流強化だ」と説明したものの、「特別なビザを発給する」といった言及は一切していない、と報告があったという。同省は現地大使館を通じて発信内容の訂正を求めるとともに、事業内容について改めて説明しているという。
この問題ではSNSで批判的な声が相次いだことを受けて各市が否定する声明を出す事態になり、JICAも25日、日本側の移民受け入れ促進や特別なビザ発給などは「いずれも事実に反します」とコメントを発表している。
■「ホームタウン」認定めぐりナイジェリア政府がHPから発表削除(NHK2025.08.27)
国内の自治体をアフリカの国の「ホームタウン」に認定する交流事業をめぐり「移民を定住させる」などと誤解に基づいた情報が広がる中、ナイジェリア政府は誤解が広まる要因の1つになったとみられる発表をホームページから削除しました。
先週、横浜市で開かれたTICADアフリカ開発会議にあわせて、JICA国際協力機構は交流を後押ししようと、国内の4つの自治体をアフリカの国の「ホームタウン」に認定しましたが、SNSでは「移民を定住させる制度だ」などと誤解に基づいた情報が広がっています。
こうした中、千葉県木更津市が「ホームタウン」に認定されたナイジェリアは「日本政府が移住して生活と就労を希望する若者向けに特別ビザを発行する」などとしていた22日付けの発表を大統領府のホームページから削除しました。
この発表は、誤解が広まる要因の1つになったとみられていて、日本政府は、ナイジェリア政府に対し訂正の申し入れを行っていました。
さらに26日付けで「訂正」と題した新たな発表が掲載され「ホームタウン」について「2国間の文化的なつながりを深める取り組みの一環」として、就労などに言及しない内容となっています。ナイジェリアは発表の削除や訂正の理由を明らかにしていません。
■ナイジェリア政府高官 HP誤掲載「日本側の発表を誤って解釈」(NHK2025.08.27)
国内の自治体をアフリカの国の「ホームタウン」に認定する交流事業をめぐり、ナイジェリア政府のホームページに「日本政府が若者向けに特別ビザを発行する」などの誤った内容が一時、掲載されたことについて、ナイジェリア政府の高官はNHKの取材に応じ、日本側の発表を誤って解釈したと説明しました。
TICADアフリカ開発会議にあわせて、JICA国際協力機構は交流を後押ししようと国内の4つの自治体をアフリカの国の「ホームタウン」に認定しましたが、SNSで「移民を定住させる制度だ」などと誤解に基づいた情報が広がりました。
その要因の一つとみられていたのは、千葉県木更津市の交流先とされたナイジェリアの大統領府のホームページに「日本政府が移住して生活と就労を希望する若者向けに特別ビザを発行する」などとする誤った情報が一時、掲載されたことでした。
これについて、大統領の情報・戦略担当の特別顧問を務めるバヨ・オナヌガ氏が26日、NHKの取材に対しメッセージアプリを通じてコメントしました。
オナヌガ氏は「木更津市をナイジェリアのふるさとだとする発表を行ったのはJICAだったが、私たちの発表は、要点を誤って解釈していたことが判明した」として、ナイジェリアがホームページに掲載した発表が誤りだったことを認めました。
そのうえで「訂正を出したことで、この件を解決したい」としています。日本政府はナイジェリア政府に対し訂正の申し入れを行い、ナイジェリア政府は誤った内容をすでに削除しています。
◇誤情報持続効果をもたらす心理プロセスの理解と今後の展望:誤情報の制御に向けて
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcss/29/3/29_2022.003/_pdf/-char/ja
J-STAGE>認知科学>29 巻(2022)3 号>書誌
*****
■リサイクル義務化、再検討へ 使用済み太陽光パネル-政府(時事通信2025.08.29)浅尾慶一郎環境相は29日の閣議後記者会見で、使用済み太陽光パネルのリサイクル義務化を再検討する方針を明らかにした。誰がリサイクル費用を負担するかに関し政府内の調整がまとまっていないためで、来年の通常国会を予定していた法案提出時期について「具体的には示せない」と語った。環境省と経済産業省は3月、パネルの解体費用を所有者に、リサイクル費用を製造・輸入業者に負担してもらう案をまとめた。ただ、自動車や家電ではリサイクル費用を所有者の負担としており、内閣法制局が整合性を問題視していた。環境相は会見で、費用負担について「現時点では合理的な説明が困難との整理に至った」と述べた。
■太陽光パネルのリサイクル義務、法案を修正 環境相表明(日本経済新聞2025.08.29)浅尾慶一郎環境相は29日の閣議後の記者会見で、使用済み太陽光パネルのリサイクルを義務付ける法案について「見直しを視野に検討作業を進める」と正式に表明した。リサイクルの費用負担に関する既存の法律との整合性について「現時点で合理的な説明が困難」と語った。代替案については「具体的な方向性を示せる段階ではない」と述べた。リサイクルを求める方針は維持する。費用負担のあり方など具体策は今後、中央環境審議会(環境相の諮問機関)でも議論する。法案では製造会社や輸入事業者がリサイクル費用を負担する仕組みだったが、内閣法制局が法案審査で、家電などのリサイクル費用は所有者が払っており整合性がとれないと指摘していた。政府は当初目指していた2025年の通常国会への法案提出を見送っていた。
■核融合発電の新ルール、規制委が検討 26年3月までに論点整理(日本経済新聞2025.08.15)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA088H60Y5A800C2000000/
原子力規制委員会は、次世代エネルギーのひとつである核融合発電の安全を確保するための新ルールを検討する。技術開発を進める事業者から意見を聞き取り、2026年3月までに規制に向けた論点を整理する。現行法の改正や新法の制定が必要かどうか見極める。
原子力規制庁、茨城県で核融合実験装置を運用する量子科学技術研究開発機構、事業者などが参加する意見交換会の初回を6日に開いた。今後、月1回程度のペースで会合を開き、核融合発電で使用する放射性物質の量や発生する放射線のリスク、設備の安全対策などを確認する。
核融合発電で使用する三重水素(トリチウム)は放射性物質のため、安全管理が必要だ。現在、技術研究のための小規模な実験炉は放射性同位元素等規制法(RI法)に基づいて規制している。一般的な原子力発電所などを対象とする原子炉等規制法とは異なる。
内閣府が3月にまとめた核融合発電の安全に関する考え方では、今ある実験設備と同じ程度のリスクであれば、引き続きRI法で規制することが妥当だとした。ただ、実用化に向けて施設規模が大きくなると取り扱う放射性物質の量も多くなるため、規制委はリスクの度合いに応じた新たなルールが必要になる可能性があるとみている。
意見交換会の論点整理を踏まえ、規制委が法改正などの必要性を議論していく。政府は核融合発電について30年代の実証を目指すとの目標を掲げている。
DRコンゴ・中国:中CMOCグループがDRコンゴにコバルト輸出禁止の解除を要請
https://mric.jogmec.go.jp/news_flash/20250602/186438/(金融資源情報JOGMEC)
2025年5月20日の報道によると、中CMOCグループは、DRコンゴ政府に対し現在実施中のコバルト輸出禁止措置(期限:2025年2月~6月22日)を解除するよう要請した。CMOC副社長は、シンガポールでの業界会議で「中国側の在庫が減少しており、輸出再開が必要」と主張し、輸出規制がコバルトを使用しないリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP電池)への移行を加速させると警告した。これに対しDRコンゴ側は、中国が価格引き下げを意図しているとの疑念を強めた。一方、スイスGlencoreは価格安定を条件に輸出枠制度導入を支持する姿勢を示した。現在、DRコンゴ政府は輸出禁止の影響を評価中であり、延長もしくは輸出割当制への移行が検討されている。CMOCは2025年にコバルトを最大120千t生産する見通しで、主要株主には電池大手中CATL社(寧徳時代新能源科技股份有限公司)が名を連ねる。