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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

2025年夏と秋の時事情勢メモ

■トヨタ、東京製鉄の低炭素鋼材を初採用 車向け開発の電炉材(日本経済新聞2025.10.31)

電炉大手の東京製鉄の鋼材がトヨタ自動車に採用されることが31日、わかった。自動車分野では日本製鉄やJFEスチールなど高炉メーカーの鋼材が主に使われてきた。自動車向けに開発した電炉材が採用されるのは、東京製鉄では初めてとなる。トヨタは2025年中に採用を始める。東京製鉄からの調達量やどの部材に使うかは明らかにしていない。東京製鉄の鋼材はスクラップ100%で製造しており、リサイクルの面で利点がある。

■小泉純一郎氏、首相退陣「非常に残念」 進次郎氏出馬「早過ぎる」(共同通信2025.10.07)

石破茂首相は7日夜、小泉純一郎元首相らと東京都内の日本料理店で会食した。同席した山崎拓元自民党副総裁によると、小泉氏は首相の退陣表明に関し「非常に残念だ」と語った。自民総裁選も話題に上り、高市早苗総裁に敗れた次男の小泉進次郎農相について「自分には出馬の相談はなかった。まだ早過ぎると思っている」と振り返ったという。7日に発足した自民新執行部についても意見交換した。会食には赤沢亮正経済再生担当相、武部勤元幹事長も同席した。首相は8月24日にも同じメンバーで会食している。

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■韓国、政府のオンラインストレージが火災で焼失 8年分の業務資料858TBが消滅か バックアップなく「気が遠くなる」現地報道(ITmedia2025.10.07)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2510/07/news112.html

韓国の政府職員が利用する業務用クラウドストレージ「G-Drive」に関する機器が火災で焼失し、8年分の業務資料に当たる858TBのデータが利用できなくなったと、朝鮮日報が10月2日(現地時間)に報じた。バックアップも存在しないという。
報道によれば、G-Driveは公務員が文書共有などに使う政府用のクラウドストレージで、米Googleのクラウドサービス「Googleドライブ」とは無関係。公務員1人につき30GBのデータ容量を提供しており、韓国の行政機関「行政安全部」は各省庁に対し、全ての業務資料は社内PCに保存せず、G-Driveに保存するよう求めていたとしている。
G-Driveは2024年8月の時点で、74省庁の職員12万5000人(政府職員の約17%)が利用しており、858TB(A4用紙4495億枚相当)のデータを扱っていたという。その容量からバックアップもできておらず、G-Driveを多用する行政機関「人事革新処」の関係者は朝鮮日報の取材に対し「8年分の業務資料が完全に消失した。気が遠くなる状況だ」と答えている。
人事革新処は国会資料や公務員の個人情報、懲戒記録も保存していた。職員の人事情報は他システムに保存していたものの、実際にどんなデータが消失したか把握するのが困難な状況で、2日時点で職員が社内PCやメールから業務資料を探している状態という。
朝鮮日報や東亜日報の報道によれば9月26日、韓国中部大田にある国家情報資源管理院で、無停電電源装置のバッテリー交換中に火災が発生。リチウムイオンバッテリー384個が燃えた他、サーバが全焼し、政府の647システムがまひしたという。このうち、G-Driveを含む96件のシステムに関する機器は全焼したが、G-Driveを除く95システムについては外部にバックアップがあるため復旧が可能という。
1日時点で647システム中105システムは復旧。ただし全システムの38%は月に1回バックアップを取る設定で、9月分のデータを保存できていない可能性もあるという。行政安全部は、全焼した96基のシステムを4週間かけて外部に移転・復旧する方針としている。東亜日報は4日、復旧作業を統括していた職員が飛び降り自殺したことも報じた。

■還流再開要望は下村氏 旧安倍派の元会計責任者が証言-大野元参院議員公判・東京地裁(時事通信2025.09.25)

自民党派閥裏金事件で、約5100万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた元参院議員大野泰正被告66らの公判が25日、東京地裁(福家康史裁判長)であった。「清和政策研究会」(旧安倍派)の松本淳一郎・元会計責任者=有罪確定=が証人として出廷し、政治資金パーティー収入の還流再開を要望した人物が下村博文元政調会長だったと明らかにした。
パーティー券の販売ノルマ超過分の還流は2022年4月にいったん中止が決まったが、派閥会長だった安倍晋三元首相死去後の同年8月に開かれた幹部協議を経て再開された。松本氏は自身の公判や衆院予算委員会の聴取で「ある幹部」から再開の要望があったと証言していたが、名前は明らかにしていなかった。
松本氏は大野被告の弁護人から「返金を再開することを安倍さんが了承していたと言い始めたのは下村さんですね」と尋ねられ、「そうですね」と述べた。さらに「下村さんが、池田(佳隆)議員に返金してやってくれ、安倍さんが了承しているという趣旨のことを述べた」との問いに「はい」と答えた。
8月の幹部協議で下村氏が再開を提案したのかと問われると「(池田議員に)返してやってほしいと言われた。それを再開といえば再開だ」と応じた。
下村氏は今年5月の衆院予算委の参考人招致で、ノルマ超過分の還流を求める声が「派内の議員の一人」から寄せられ、22年6月下旬以降、安倍氏と松本氏に報告したと説明。松本氏には同年7月下旬にも電話で伝えたが、「事務的に伝えた」だけで「再開を求めるということではなかった」としていた。
松本氏は、ノルマ超過分の返金を希望していた議員は「結構な数いたと思う」とも証言。大野被告についても「その中にいたような気がする」と述べた。
下村氏は25日、自身のX旧ツイッターに「松本氏の発言には明らかな事実誤認が含まれ、私が還流再開を要望したとの見方は誤り。ただし、国民の皆さまに疑念を抱かせ、政治不信を招いたことについては深くおわび申し上げます」などと記した。
起訴状によると、大野被告と元政策秘書は資金管理団体「泰士会」の18~22年分の収支報告書に、旧安倍派からの還流分計約5100万円を記載しなかったとされる。

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■ロシア、「国際サタニズム運動」を金融ブラックリスト入り 悪魔崇拝者の資産押収へ(AFPBB2025.09.20)
https://www.afpbb.com/articles/-/3599233

ロシアは19日、「国際サタニズム(サタン主義、悪魔崇拝)運動」と称する組織を金融ブラックリストに追加し、犯罪歴がなくてもメンバーとされる者の資産を凍結できるようにした。ロシア政府は近年、「国際LGBT(性的少数者)運動」や「反ロシア分離主義運動」など、実在しない複数の組織を「テロリストおよび過激派」のブラックリストに掲載している。これらの組織はロシア法の下での定義が曖昧であるため、検察は誰でもメンバーとして告発することができ、政府に楯突くものは誰であろうとを自由に訴追できるという。ロシア最高裁判所は7月、「国際サタニズム運動」を過激派と認定。検察は、同運動のメンバーがロシア正教会を冒涜し、「憎悪」を拡散したとして「国際サタニズム運動」を訴追している。ロシア検事総長は7月の声明で、「国際サタニズム運動は過激なナショナリズムやネオナチズムの表れと密接に結び付いている」と述べた。ロシア正教会最高位のキリル総主教は1月、国際サタニズム運動の禁止への支持を表明し、サタニスト(悪魔崇拝者)が悪質な「儀式」を行い、若者を勧誘していると非難。大統領府(クレムリン)での式典で、「考えてみてほしい。ロシア兵が命をかけて守ろうとしている価値観が、サタニストによって明らかに踏みにじられているのだ」と述べた。ウェブサイトによると、「テロリストと過激派」の金融ブラックリストを管理するロシア連邦機関、ロスフィン・モニタリングは、19日に「国際サタニズム運動」をリストに追加した。サタニズムとは、アブラハムの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)において、悪を体現する超自然的存在であるサタンを崇拝するあらゆる思想や宗教を指す。世界およびロシアで、サタニズムを信仰している人の数は明らかになっていない。

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■日本の造船、35年に建造量2倍の政府目標 建造コスト課題(日本経済新聞2025.09.18)政府は日本の造船業を巡り、建造量を2035年に現在のおよそ2倍となる1800万総トンに引き上げる目標を掲げる。建造能力の増強投資や造船に携わる人材育成などへ支援を検討する。中国の1隻あたりの建造コストは日本より2割程度安い。競争力の強化が課題となる。17日に自民党の関連会議で提示した。2024年の実績は908万総トンだった。目標が実現すれば世界シェアが現状の13%から20%程度まで上昇する。

■国産AI開発を政府が支援へ、学習データ提供し資金面も後押し…アメリカや中国依存を懸念(読売新聞2025.09.18)

政府は自国のデータや技術をもとにした国産AI人工知能の開発に乗り出す。文章などを自動的に作り出す生成AIは米中が開発で大きく先行するが、海外製への依存は、データの海外流出や日本に関する誤情報の拡散を招く恐れがあり、安全保障上、問題視されている。学習データなどの開発資源を日本企業に提供してAIの開発を支援し、信頼性の高い国産AIの確立を目指す。総務省所管の国立研究開発法人・情報通信研究機構NICTが20年近くにわたって収集した日本語データを提供し、AI開発企業プリファード・ネットワークス本社・東京が日本の文化や習慣、制度などについて信頼性の高い回答を出すAIを共同開発する。開発した国産AIは、IT企業のさくらインターネットが国内のデータセンターを通じて提供することを想定する。開発にあたり、良質な日本語データの整備や、傑出した能力を持つスター技術者の登用、開発インフラの提供などを、総務省や経済産業省が資金面などで後押しする方針だ。開発した国産AIは政府や自治体、企業が利用することを念頭に置く。AIの学習に使うデータの提供や、AIの頭脳となる「大規模言語モデル」の開発、データセンターの運営をすべて日本の企業や機関が担い、国内で完結する形で生成AIを開発、提供することを目指す。国内では米国や中国の海外製AIの利用が広がる。だが、海外製は学習データなど開発過程が不透明で、「日本として許容できないデータが学習されている恐れがある」(政府関係者)との懸念もある。海外製は英語のデータを中心に学習しており、日本の文化や歴史などの理解も不十分だとされる。AIの回答が開発国の主義や主張に影響を受けるという問題も指摘され、中国の生成AIディープシークに対し、自民党の小野寺政調会長が「尖閣は日本の領土か」と尋ねたところ、「尖閣は中国固有の領土」と答えたという事例もある。AIの海外への依存には一定の危険性があるとみて、政府は日本の文化や習慣、歴史などを踏まえて信頼性の高い回答を出すAIの開発を後押しすることにした。AI開発には大量のデータやコンピューター、優れた専門人材などが必要になるが、開発資源が豊富な米中が先行し、日本は後れを取っている。生成AIの性能に関する国際的な指標「アーティフィシャル・アナリシス・インテリジェンス・インデックス」によると、米オープンAIや中国アリババ系など米中のAIが上位を独占する。米中のAIを基盤に使う日本企業も増えており、海外依存に懸念が広がっている。

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情報流通プラットフォーム対処法2025.04.01施行>不適切SNSアカウント等の凍結・規制
改正資金決済法2025.06.06成立1年以内に施行>クロスボーダー収納代行規制
証券取引等監視委員会の調査権限強化2026年~>無登録金融業者の刑事告発

■改正資金決済法が成立、暗号資産仲介業を新設 規制強化も(日本経済新聞2025.06.06)暗号資産(仮想通貨)の仲介を行う業種の新設などを盛り込んだ改正資金決済法が6日、参院本会議で可決、成立した。仲介業新設で事業会社でも仮想通貨を取り扱えるよう規制を軽くするとともに、交換業者の破綻時の資産流出を防ぐ国内保有命令を盛り込み顧客資産の保護を強化する。改正資金決済法は公布日から1年以内に施行する。仲介業は、暗号資産交換業よりも規制を軽くし自社サービス内で仮想通貨を扱いやすくする。海外に本拠のある交換業者が破綻した際に、顧客資産の海外流出を止めるため国内保有命令を新設した。国境をまたぐ資金移動が増加していることを受け、収納代行を行う国内事業者を対象に資金移動業の登録を求め規制を課す。足元で増加しているオンラインカジノといった違法な無登録業者については取り締まりを強化する。キャッシュレス化の進展に伴い利用が増加しているQRコード決済など、資金移動業者の利用者保護も強化する。破綻時にスムーズに利用者に返金できるよう信託銀行など保証会社から直接返金することを手段として認める。

■総務省、Google・LINEヤフーら5社を「大規模プラットフォーム事業者」に指定、誹謗中傷などの迅速な対応求める-情報流通プラットフォーム対処法に基づく指(2025.05.01InternetWatch)総務省は4月30日、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(情報流通プラットフォーム対処法、情プラ法)第20条第1項に基づく大規模特定電子通信役務提供者(大規模プラットフォーム事業者)の指定を行い、Google、LINEヤフー、Meta、TikTok、Xの5社を指定した。同法は、旧プロバイダ責任制限法から改定され、2025年4月1日に施行された。プロバイダ責任制限法は、プロバイダ(SNSなど情報通信サービスの提供者など)の責任範囲を定め、誹謗中傷や権利侵害の問題が発生した場合における発信者情報開示請求や関連した事件における裁判手続きについて定めた法律であるが、改定においては、誹謗中傷や違法・有害情報を含む投稿の削除など侵害情報送信防止措置の実施手続きの迅速化と、これらの措置の実施状況の透明化を図るため、大規模プラットフォーム事業者に対し、侵害情報送信防止措置の実施手続きの迅速化および、措置の実施状況の透明化を図るための義務を定めている。大規模プラットフォーム事業者の条件は、総務省令(令和4年総務省令第39号)により、月間の利用者数が1千万以上などと定められている。今回指定された事業者は前述の5社だが、同省では、大規模プラットフォーム事業者の追加の指定も検討中だとしている。

■無登録金融業者の調査強化 証券監視委、刑事告発可能に(共同通信2025.09.09)金融庁が、金融商品取引業に登録せず投資勧誘を行っている業者に対し、証券取引等監視委員会の調査権限強化を検討していることが9日、分かった。これまで監視委は無登録業者に対して刑事告発ができなかったが、告発とそれに向けた強制力のある調査が可能になる。金融犯罪に知見がある監視委が早期に実態解明に乗り出すことで、詐欺などの被害拡大を防ぎたい考えだ。月内にも開く金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会で議論。金融商品取引法の改正案に盛り込むことも視野に入れる。法改正が伴う場合は、早ければ2026年の通常国会に金商法改正案を提出することを目指す。政令改正でとどまる可能性もある。

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■中国マネー、不動産から株式へ 7月の資本流出は最大の9兆円(日本経済新聞2025.09.01)中国で株式マネーの流出が拡大している。7月に9兆円近くが大陸外へ流出し、過去最大を記録した。不動産不況が長引くなか、投資家が資産形成しやすいよう当局が国内外の株式投資を促したためだ。上海株も10年ぶりの高値に沸くが、将来不安を背景に資金流出が増えて人民元安の圧力を高める可能性もある。中国国家外貨管理局は毎月、国内の銀行を通じて企業や家計が大陸外と取引した資金を集計している。

■中国恒大が上場廃止 バブル崩壊の不動産業界、終わらぬ危機(日本経済新聞2025.08.25)50兆円近い負債を抱え経営難に陥った不動産大手、中国恒大集団が25日、香港取引所で正式に上場廃止となった。不動産不況は終わりが見えず、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)の業績が悪化するなど同業も追い詰められている。香港時間の25日午前9時、恒大の上場企業としての地位が正式に取り消された。

■パブリックコメントで世論を誘導、「内容」より「数」が独り歩き-殺到する意見にAIでの分類も検討(読売新聞2025.08.28)国民の意見を政策に反映させる国のパブリックコメント(パブコメ)に大量の同一意見が寄せられている。意見の「数」ではなく「内容」が考慮される制度の趣旨が十分周知されず、世論誘導の道具に利用されている実態も浮かび上がる。国は改めて制度の趣旨を周知するとともに、大量の意見を分類するシステムの導入も検討している。

■「ピザ」は児童ポルノ サイバースラング800種、AIで洗い出し(日本経済新聞2025.08.27)ネットスラング隠語を使ったサイバー犯罪に関するやり取りに人工知能AIで対抗する取り組みが相次いでいる。横浜国立大はAIでSNSを分析し、800種類ほどの隠語を特定した。政府もセキュリティー上の脅威となる動きを把握する諜報用のAIを開発する。

■「ボット」の動きAI分析 偽情報対策に441億円 外務省概算要求(毎日新聞2025.08.27)

外務省は27日、2026年度予算の概算要求で偽情報の拡散防止などの情報対策に441億円(前年度比203億円増)を計上する方針を、自民党の部会で明らかにした。交流サイトSNS上で日本に悪意のある発信を「ボット」と呼ばれる自動投稿プログラムで大量に投稿するなどの動きに対し、人工知能(AI)などで従来より高性能な分析ツールを構築する。国際世論の形成に向けた戦略的な発信に取り組み、サイバーセキュリティーの強化やデジタル人材育成も進める。また、中東での武力衝突など緊急事態が頻発している現状を踏まえ、公館の修繕や警備車両導入など、在外邦人の「最後のとりで」となる在外公館の機能強化などに3218億円を盛り込んだ。文化外交の抜本的強化には461億円(前年度比112億円増)を計上。アーミテージ元米国務副長官ら知日派重鎮の死去も踏まえ、米国内や影響力を増すグローバルサウス(新興・途上国)諸国で親日派や知日派の「ジャパン・フレンズ」を増やす。日本語教育が不十分な中南米やアフリカなどに日本語の専門家を派遣し教材を供与する。

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2025.08.24-2025.08.25のネット炎上について、メモ
■「JICAアフリカ・ホームタウン」に関する報道について(JICA2025.08.25)
https://www.jica.go.jp/information/notice/2025/1572980_66416.html
■交流を後押しの「ホームタウン」認定 誤解に基づく情報広がる(NHK2025.08.25)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250825/k10014902871000.html

日本とアフリカのかけ橋となる人材の育成につなげようと、JICAは先週、▽山形県長井市をタンザニアの、▽千葉県木更津市をナイジェリアの、▽新潟県三条市をガーナの、▽愛媛県今治市をモザンビークの「ホームタウン」に認定しました。交流を深めることが目的ですが、「移民を定住させる制度だ」とか「ふるさとが明け渡される」などと誤解した投稿がSNSで広がっていて、なかには500万回以上見られているものもあります。一方で、ナイジェリア政府のウェブサイトには「日本政府が移住して生活と就労を希望する若者向けに特別ビザを発行する」などと書かれているほか、現地メディアも同様の内容を伝えていて、誤解が広まる要因にもなっています。

■外務省がナイジェリア政府に訂正要求「特別なビザ発給」の誤発表に(朝日新聞2025.08.26)

国際協力機構JICAが千葉県木更津市など4市をアフリカ各国の「ホームタウン」に認定したことをめぐり、日本の外務省は26日、新たな査証ビザが発給されるなどという誤情報をナイジェリア政府が発信している点について、訂正を求めたことを明らかにした。
JICAのウェブサイトによると、4市は木更津市のほか、山形県長井市、新潟県三条市、愛媛県今治市。21日にそれぞれがナイジェリア、タンザニア、ガーナ、モザンビークの「ホームタウン」に認定された。国際交流の後押しがその目的だった。
ところがナイジェリアの大統領府は、「日本政府は、高度の技術を持ち革新的で、才能にあふれた若いナイジェリア人が木更津市で生活し、働くための特別ビザの枠組みをつくる」との声明を記載。SNSでは「移民が押し寄せてきたら誰が責任とるんですか」などとする投稿が急速に広がっていた。
日本の外務省関係者によると、JICAからは、ナイジェリアに対し「ホームタウンとの交流強化だ」と説明したものの、「特別なビザを発給する」といった言及は一切していない、と報告があったという。同省は現地大使館を通じて発信内容の訂正を求めるとともに、事業内容について改めて説明しているという。
この問題ではSNSで批判的な声が相次いだことを受けて各市が否定する声明を出す事態になり、JICAも25日、日本側の移民受け入れ促進や特別なビザ発給などは「いずれも事実に反します」とコメントを発表している。

■「ホームタウン」認定めぐりナイジェリア政府がHPから発表削除(NHK2025.08.27)

国内の自治体をアフリカの国の「ホームタウン」に認定する交流事業をめぐり「移民を定住させる」などと誤解に基づいた情報が広がる中、ナイジェリア政府は誤解が広まる要因の1つになったとみられる発表をホームページから削除しました。
先週、横浜市で開かれたTICADアフリカ開発会議にあわせて、JICA国際協力機構は交流を後押ししようと、国内の4つの自治体をアフリカの国の「ホームタウン」に認定しましたが、SNSでは「移民を定住させる制度だ」などと誤解に基づいた情報が広がっています。
こうした中、千葉県木更津市が「ホームタウン」に認定されたナイジェリアは「日本政府が移住して生活と就労を希望する若者向けに特別ビザを発行する」などとしていた22日付けの発表を大統領府のホームページから削除しました。
この発表は、誤解が広まる要因の1つになったとみられていて、日本政府は、ナイジェリア政府に対し訂正の申し入れを行っていました。
さらに26日付けで「訂正」と題した新たな発表が掲載され「ホームタウン」について「2国間の文化的なつながりを深める取り組みの一環」として、就労などに言及しない内容となっています。ナイジェリアは発表の削除や訂正の理由を明らかにしていません。

■ナイジェリア政府高官 HP誤掲載「日本側の発表を誤って解釈」(NHK2025.08.27)

国内の自治体をアフリカの国の「ホームタウン」に認定する交流事業をめぐり、ナイジェリア政府のホームページに「日本政府が若者向けに特別ビザを発行する」などの誤った内容が一時、掲載されたことについて、ナイジェリア政府の高官はNHKの取材に応じ、日本側の発表を誤って解釈したと説明しました。
TICADアフリカ開発会議にあわせて、JICA国際協力機構は交流を後押ししようと国内の4つの自治体をアフリカの国の「ホームタウン」に認定しましたが、SNSで「移民を定住させる制度だ」などと誤解に基づいた情報が広がりました。
その要因の一つとみられていたのは、千葉県木更津市の交流先とされたナイジェリアの大統領府のホームページに「日本政府が移住して生活と就労を希望する若者向けに特別ビザを発行する」などとする誤った情報が一時、掲載されたことでした。
これについて、大統領の情報・戦略担当の特別顧問を務めるバヨ・オナヌガ氏が26日、NHKの取材に対しメッセージアプリを通じてコメントしました。
オナヌガ氏は「木更津市をナイジェリアのふるさとだとする発表を行ったのはJICAだったが、私たちの発表は、要点を誤って解釈していたことが判明した」として、ナイジェリアがホームページに掲載した発表が誤りだったことを認めました。
そのうえで「訂正を出したことで、この件を解決したい」としています。日本政府はナイジェリア政府に対し訂正の申し入れを行い、ナイジェリア政府は誤った内容をすでに削除しています。

◇誤情報持続効果をもたらす心理プロセスの理解と今後の展望:誤情報の制御に向けて
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcss/29/3/29_2022.003/_pdf/-char/ja
J-STAGE>認知科学>29 巻(2022)3 号>書誌

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■リサイクル義務化、再検討へ 使用済み太陽光パネル-政府(時事通信2025.08.29)浅尾慶一郎環境相は29日の閣議後記者会見で、使用済み太陽光パネルのリサイクル義務化を再検討する方針を明らかにした。誰がリサイクル費用を負担するかに関し政府内の調整がまとまっていないためで、来年の通常国会を予定していた法案提出時期について「具体的には示せない」と語った。環境省と経済産業省は3月、パネルの解体費用を所有者に、リサイクル費用を製造・輸入業者に負担してもらう案をまとめた。ただ、自動車や家電ではリサイクル費用を所有者の負担としており、内閣法制局が整合性を問題視していた。環境相は会見で、費用負担について「現時点では合理的な説明が困難との整理に至った」と述べた。

■太陽光パネルのリサイクル義務、法案を修正 環境相表明(日本経済新聞2025.08.29)浅尾慶一郎環境相は29日の閣議後の記者会見で、使用済み太陽光パネルのリサイクルを義務付ける法案について「見直しを視野に検討作業を進める」と正式に表明した。リサイクルの費用負担に関する既存の法律との整合性について「現時点で合理的な説明が困難」と語った。代替案については「具体的な方向性を示せる段階ではない」と述べた。リサイクルを求める方針は維持する。費用負担のあり方など具体策は今後、中央環境審議会(環境相の諮問機関)でも議論する。法案では製造会社や輸入事業者がリサイクル費用を負担する仕組みだったが、内閣法制局が法案審査で、家電などのリサイクル費用は所有者が払っており整合性がとれないと指摘していた。政府は当初目指していた2025年の通常国会への法案提出を見送っていた。

■核融合発電の新ルール、規制委が検討 26年3月までに論点整理(日本経済新聞2025.08.15)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA088H60Y5A800C2000000/

原子力規制委員会は、次世代エネルギーのひとつである核融合発電の安全を確保するための新ルールを検討する。技術開発を進める事業者から意見を聞き取り、2026年3月までに規制に向けた論点を整理する。現行法の改正や新法の制定が必要かどうか見極める。
原子力規制庁、茨城県で核融合実験装置を運用する量子科学技術研究開発機構、事業者などが参加する意見交換会の初回を6日に開いた。今後、月1回程度のペースで会合を開き、核融合発電で使用する放射性物質の量や発生する放射線のリスク、設備の安全対策などを確認する。
核融合発電で使用する三重水素(トリチウム)は放射性物質のため、安全管理が必要だ。現在、技術研究のための小規模な実験炉は放射性同位元素等規制法(RI法)に基づいて規制している。一般的な原子力発電所などを対象とする原子炉等規制法とは異なる。
内閣府が3月にまとめた核融合発電の安全に関する考え方では、今ある実験設備と同じ程度のリスクであれば、引き続きRI法で規制することが妥当だとした。ただ、実用化に向けて施設規模が大きくなると取り扱う放射性物質の量も多くなるため、規制委はリスクの度合いに応じた新たなルールが必要になる可能性があるとみている。
意見交換会の論点整理を踏まえ、規制委が法改正などの必要性を議論していく。政府は核融合発電について30年代の実証を目指すとの目標を掲げている。

DRコンゴ・中国:中CMOCグループがDRコンゴにコバルト輸出禁止の解除を要請
https://mric.jogmec.go.jp/news_flash/20250602/186438/(金融資源情報JOGMEC)

2025年5月20日の報道によると、中CMOCグループは、DRコンゴ政府に対し現在実施中のコバルト輸出禁止措置(期限:2025年2月~6月22日)を解除するよう要請した。CMOC副社長は、シンガポールでの業界会議で「中国側の在庫が減少しており、輸出再開が必要」と主張し、輸出規制がコバルトを使用しないリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP電池)への移行を加速させると警告した。これに対しDRコンゴ側は、中国が価格引き下げを意図しているとの疑念を強めた。一方、スイスGlencoreは価格安定を条件に輸出枠制度導入を支持する姿勢を示した。現在、DRコンゴ政府は輸出禁止の影響を評価中であり、延長もしくは輸出割当制への移行が検討されている。CMOCは2025年にコバルトを最大120千t生産する見通しで、主要株主には電池大手中CATL社(寧徳時代新能源科技股份有限公司)が名を連ねる。
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新型コロナに関する論文・補足資料

■ベストセラー“反ワク”内部告発本の標的になった製薬会社が調査結果 著者の社員グループ「実在しない」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2412/19/news183.html(ITmedia2024.12.20)

医療用医薬品を手がけるMeijiSeikaファルマ東京都中央区は12月19日、書籍「私たちは売りたくない!危ないワクチン販売を命じられた製薬会社現役社員の慟哭」に関する社内調査の結果を発表した。著者とされていた現役社員グループ「チームK」は実在しなかった。執筆していたのは1人の社員だった。チームKの名前の由来とされるワクチン接種後に亡くなった元社員とは面識がなく業務上の接点もなかった。書籍の著者紹介には「日本最大のワクチン販売製薬企業の現役社員グループによる編集チーム。2021年9月に同僚社員がコロナワクチン接種後に死亡したことにショックを受けてさまざまな情報を得るようになりmRNA型遺伝子製剤の安全性が確認されていない客観的事実を知る。彼の名前を忘れまいとの思いからチームKと命名」と書かれている。著者の社員は数年前からSNSなどで新型コロナワクチン接種に反対する動画を複数回にわたって配信していた。ワクチン接種に反対する人物らとも接点があり別の共同著書も過去に出版していたことも分かった。MeijiSeikaファルマによると、これまでは亡くなった元社員の家族に配慮してあえてコメントを控えていたという。しかし書籍に関するメディア報道に加えSNSなどで憶測に基づく不正確な情報が広まったため「真実を伝える必要があると考え公表に踏み切った」としている。書籍を出版した方丈社(東京都千代田区)に対しては訂正を要請した。書籍には社員の多くが次世代mRNAワクチンレプリコンを売りたくないと思っているという記載もあるが「多くの社員が誇りを持って取り組んでいる」としている。問題の書籍は2024年9月18日発売。Amazonでは総合1位(9月18-23日)になるなど注目を集め、これまでに7刷・累計16万部以上を販売してベストセラーとなった。テレビ番組などで取り上げられることもあった。

■人はなぜワクチン反対派になるのか ―コロナ禍におけるワクチンツイートの分析―
https://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/pr2024-02-05-001(東京大学プレスリリース2024.02.05)
https://link.springer.com/article/10.1007/s42001-023-00241-8(英文バージョン)

■コロナ対策での日本批判の歴史(はてな匿名ダイアリー)https://anond.hatelabo.jp/20220613212654

■【識者の眼】「非感染性・慢性疾患の疫学者が語る『反ワクチン言説の科学性』のみかた」鈴木貞夫
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=21357(Web医事新報,日本医事新報社2023.02.09)

■https://furuse-yukihiro.info/2023covidcolumn01/(2023.01.11時点コロナ最新の知見)
新型コロナは、人類文明社会の存続そのものを脅かす不気味な感染症に変容している

■https://www.nature.com/articles/s41579-022-00846-2(2023.01.13時点LongCOVID最新の知見)

■なんでコロナこんなに増えてるの?の疑問にほむほむ先生が答える(2022.12.31)
https://togetter.com/li/2027818

■Persistent COVID-19 Symptoms at 6 Months After Onset and the Role of Vaccination Before or After SARS-CoV-2 Infection
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2800554
Long covidにワクチン効果あり。罹患後に打つと後遺症リスク4割減。対照群は7割弱が44歳以下と比較的若年層

■新型コロナのワクチン、打った方が良い?~mRNAワクチンの効果と安全性、よくある誤解
https://www.fizz-di.jp/archives/1078840555.html(薬剤師ブログ)

■新型コロナウイルスの感染を増強する抗体を発見,COVID-19の重症化に関与する可能性
https://www.amed.go.jp/news/release_20210525-02.html(日本医療研究開発機構2021.05.25)

■Cortical Grey matter volume depletion links to neurological sequelae in post COVID-19 “long haulers”
https://bmcneurol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12883-023-03049-1
神経症状longCOVID患者は脳皮質の灰白質が減少。COVID-19感染後8週間以上24名対象、後遺症ブレインフォグ91.6%、倦怠感87.5%、頭痛41.6%など。皮質灰白質の縮小がlongCOVIDの神経症状に影響している可能性

■Infection by SARS-CoV-2 with alternate frequencies of mRNA vaccine boosting
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jmv.28461(MVジャーナル,2023.01.05)
※「ブースター接種間隔が開くと感染しやすい」及び「非ブーストは最も感染しやすい」という結果が報告された

mRNAワクチン完成までの長く曲がりくねった道(natureダイジェスト2021.09.16)

■https://www.nature.com/articles/s41598-022-27348-8
コロナウイルスのN抗原の中に多発性硬化症の原因となる抗体の抗原になりうる配列と類似のものが存在。MHC結合で評価。多発性硬化症など免疫で起こるものは一部が似るだけでも有効な自己抗体が産出されるので厄介=MHC結合で効率よくT-Cellに抗原提示される。ウイルス感染で脳神経系の合併症、後遺症が圧倒的に多いのは説明つく(ウイルス感染した場合にN抗原暴露)。軽症に抑えられるなら或る程度は抑制可能か?ただしオミクロンで多い頭痛などの症状と長期的な脳の障害に相関あるかどうか(普通はBBBガードがあるので脳には炎症波及しにくい)

■https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(22)01038-0
※ワクチンを接種したのにコロナに感染して重症化する原因はIgG4抗体…との説は、医学・免疫学の専門家の間では、否定されている(論文にて報告済み)
「ワクチン接種回数が多い(2回または3回)ほどスパイク関連IgG4陽性に結びつき、ワクチン接種回数が少ない(1回または0回)ほどスパイク関連IgG3、およびNC IgG、IgG1、IgG3、IgAに密接にクラスター化する様子がうかがわれた。重症度についてもほぼ同様のパターンが観察された。無症状または軽症の場合はスパイク関連IgG4の領域に多く集まり、重症の場合(入院、酸素補給、ICU)はスパイク関連IgG3、NCサブタイプおよび上記で言及したアイソタイプの領域に集まっていた。まとめると、この表現は、感染、より重篤な疾患、ワクチン接種の欠如、およびスパイク関連タンパク質に対するIgG3応答の間の関連を証明するものであった。逆に、スパイク関連タンパク質に対するIgG4応答は、主にワクチン接種によって特徴付けられ、ワクチン接種の繰り返しが多く、平均して病気の経過はより軽快した」

■オミクロン株はデルタ株などと比べ、唾液中の細胞に付着せず単独で空気中に漂う割合が高い
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2800145

■日本における新型コロナウイルス感染症の流行波ごとの性別・年齢的特徴の疫学的検討(国立感染症研究所2022.12.23)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2605-related-articles/related-articles-514/11696-514r01.html

対象期間に報告された9,299,477例…全体では, 性別は男性50.5%, 女性49.2%, 年齢別では20代が17.6%で最も多く, 次いで30代, 40代となっていた。流行波別にみると, 全体の81.5%が第6波に含まれていた。人口10万人当たりの症例数でみると, 第1波の12人から経過とともに増加していき, 第6波では5,822人となった。最も変動が大きかったのは10歳未満で, 人口10万人当たり3人から13,033人へと大幅に上昇した。

■コロナ後遺症、パンデミック以上に警戒必要-呼吸器以外にもリスク(ブルームバーグ2022.12.19)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-19/RMYKMHDWRGGH01

WHOが「ロング・コビッド」と略称で呼ぶコロナの後遺症は、呼吸器疾患が長引く症状よりはるかに深刻だ。気道内部を攻撃するインフルエンザとは異なり、コロナは多重システムのクラスター爆弾に似ている。
「肺だけにとどまらない。ウイルスと免疫システムの間で闘いが繰り広げられており、その闘いはほとんど全ての臓器で発生する可能性がある。完全なゲームチェンジャーだ」コロナで重症化した患者では、免疫細胞集団の変化や特定の白血球の持続的活性化といった免疫障害が最大1年後まで観察されている。
「コロナ以外の感染が増幅し、免疫機能不全となった患者をむしばむ可能性が高くなると予想される……その後、これらの感染症は本来よりも容易に広くまん延していく」
潜行性が極めて強いケースでは、心血管疾患や糖尿病、腎臓障害、脳損傷などの症状が現れる前に、新型コロナウイルスは知らぬ間に組織に炎症を起こし損傷を与えたり、凝固異常を引き起こしたりする。複数の研究によれば、あらゆる重症レベルの病気を患っていた元コロナ患者は、6-12カ月後に亡くなるか合併症で入院するリスクが高くなる。
コロナの影響が遅れて表れることで、平均余命の回復が妨げられる恐れもある。
患者はコロナ感染後の1年で通常の老化ペース4年間と同等の腎機能の低下を経験した。腎臓に病歴がなく、入院していない元コロナ患者でさえ、コロナに感染していない人に比べ、末期腎疾患に至るリスクが倍近いという。同じような影響が他の臓器に広がっている可能性もある。

■中国のコロナ死者100万人近くも、新たな変異株の恐れ-香港研究者ら(ブルームバーグ2022.12.15)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-15/RMX116T0G1KW01

中国政府による新型コロナ政策の急転換に伴い、新型コロナによる死者は国内で約100万人に上る恐れがあると、香港の研究者らが指摘した。香港大学で医学院院長を務めた梁卓偉氏らが執筆した報告書によれば、大規模なブースター接種や他の対策が講じられなければ、全国的な経済再開で100万人当たりの死者数は約684人に上る可能性があるという。中国の人口(約14億1000万人)に当てはめると、これは約96万4400人に相当する。今回の報告書によると、全国的な感染爆発が生じれば新たな変異株につながる恐れもある。

■コロナ後遺症の4割が苦しむ「脳の霧」、脳内伝達の破壊が一因か
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/120600564/(ナショナルジオグラフィック2022.12.07)

■SARS-CoV-2 infection and persistence in the human body and brain at autopsy
(SARS-CoV-2の感染と剖検時の人体および脳における持続性)
https://www.nature.com/articles/s41586-022-05542-y

(概要)コロナウイルス症2019(COVID-19)は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の急性感染時に多臓器不全を引き起こす。急性感染から症状発現後7カ月以上までの脳を含む人体全体におけるSARS-CoV-2の分布、複製、細胞型特異性をマッピングし定量化したところ、SARS-CoV-2は、重症のCOVID-19で死亡した患者を中心に広く分布しており、感染初期には脳を含む複数の呼吸器・非呼吸器組織でウイルス複製が存在した。一部の患者ではSARS-CoV-2が全身感染を引き起こし、数ヶ月間体内に留まる可能性があることを示している。

■緑の人・加藤AZUKI氏による、反ワクチン、反マスクの人は、「自分だけは例外(中二病の一症状)」と思ってるんだろうけど、「怖いモノ知らず」「運の良さに気付かない」「周囲の配慮に気付かない」とかな気がするという趣旨の連続ツイート》https://min.togetter.com/e5G7OyH

■新型コロナワクチン接種済の人々の死亡率は、未接種の人々よりも低い
COVID-19 Vaccination and Non–COVID-19 Mortality Risk — Seven Integrated Health Care Organizations, United States, December 14, 2020–July 31, 2021(CDC論文、2021.10.22)
URL>https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7043e2.htm

疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)の研究結果=「全年齢層において新型コロナワクチン(mRNAワクチン)接種を原因とする死亡者の増加は見られない」。

大規模研究によって得られたデータであり、国際スタンダード論文とされている。日本政府によるワクチン推進政策は、この論文を根拠にしている。

ワクチン接種の影響に関しては、追跡・反論いずれにせよ、この論文を踏まえて論じる必要がある。「ワクチンは有害である」と主張する場合は、この研究結果をくつがえすだけの大人数の統計結果を正確にまとめて、論文データにして正式に公開しなければならない。現在、その類の反論をまとめた医学論文は存在しない。

■新型コロナワクチンの有効性に関する論文
「Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine」
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa2034577
※数万人規模の二重盲検RCT(第3相治験)結果についての調査報告

■日本集中医療医学会>新型コロナウイルス関連小児重症・中等症例の発生状況の中間集計結果
URL>https://www.jsicm.org/news/news220530.html(集計データへのリンク有)
2022.12.01報告、ICU送りになった小児のうちワクチン未接種80%超、ワクチン接種済20%未満

■Severity of SARS-CoV-2 Omicron BA.2 infection in unvaccinated hospitalized children: comparison to influenza and parainfluenza infections
(ワクチン未接種の入院小児におけるSARS-CoV-2 Omicron BA.2感染症の重症度:インフルエンザおよびパラインフルエンザ感染症との比較)
URL>https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35730665/
過去にCOVID-19やワクチン接種の経験がない入院小児において、オミクロンBA.2はハイリスク。インフルエンザ類よりも重症化の割合が大きくなる傾向がある※つまり、普通の風邪と捉えてはならない


■資料:新型コロナワクチンの内容物

▼承認申請資料に使用されている第3相試験の結果を報告した論文
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa2034577

▼補足情報として添付されている治験実施計画書(PDF注意、376頁、英文)
https://www.nejm.org/doi/suppl/10.1056/NEJMoa2034577/suppl_file/nejmoa2034577_protocol.pdf
黒塗りされる前の原文

▼承認決定後にPMDA(医薬品医療機器総合機構)が出した審査報告書
https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_6.pdf
ヒトにおける安全性と有効性を検証する臨床試験結果とこれをめぐる審査の際のやりとりの部分(20頁~55頁)に黒塗りはナシ。黒塗りされているのは製造工程に関する部分であって、内容物に関する部分ではない。

※独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)サイトより「審査報告書・申請資料概要」
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/p-drugs/0020.html

承認審査情報の利用について/マスキングしている箇所は以下の情報です。
1.特定の個人を識別することができる情報
2.公表することにより個人の権利利益を害するおそれがある個人に関する情報
3.公表することにより法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある法人に関する情報

▼補足資料
国立国際医療研究センター病院>予防接種基礎講座>
https://www.hosp.ncgm.go.jp/isc/080/index.html
「予防接種基礎講座」の資料公開:「ワクチンの種類とその構成物質」
https://www.hosp.ncgm.go.jp/isc/080/FY2020/04.RandD.pdf

●コロナワクチンの中に、マイクロチップや放射性物質は入っているか?検証動画
https://www.youtube.com/watch?v=XfkXQtPKgV0(2022.03.15掲載)

●「コロナワクチンの中身は調べてはダメ(秘密契約の存在)」否定記事(2021.03.29付)
「Stanford Scientists Post Entire mRNA Sequence for Moderna Vaccine on Github」
(スタンフォード大学の科学者がモデルナワクチンの全mRNA配列をGithubに掲載)
https://gizmodo.com/stanford-scientists-post-entire-mrna-sequence-for-moder-1846576268
(日本語版:https://www.gizmodo.jp/2021/03/moderna-github.html)

ファイザーワクチンのmRNAコード(note記事、2020.12.31、スパイク言及あり)
[翻訳] BioNTech/Pfizer の新型コロナワクチンを〈リバースエンジニアリング〉する
https://note.com/yubais/n/n349ab986da42


■記事メモ:新型コロナワクチン接種後の死亡 接種との因果関係は? 日本における副反応報告の課題
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuraharayu/20221030-00321661
■記事メモ:新型コロナワクチンは世界でどのくらい死亡を防いだ? 接種率が低いと死亡者数は増える
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuraharayu/20221122-00324829

■新型コロナウイルス、次の変異株は病原性が高い可能性も-南ア研究(ブルームバーグ2022.11.27)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-27/RM0CMHT0AFB501

免疫不全の患者から採取した新型コロナウイルスのサンプルを使った南アフリカの研究によると、ウイルスは変異に伴って病原性を高めることが分かった。新たな変異株が出現した場合、現在流行しているオミクロン株よりも症状が悪化する可能性があることが示唆された。
アフリカ健康研究所(AHRI)のアレックス・シーガル教授が率いた研究によれば、エイズウイルス(HIV)に感染した患者から採取したサンプルを6カ月観察したところ、ウイルスは当初、オミクロン株の「BA.1」と同レベルの細胞融合と死滅を起こしていたが、変異に伴いこのレベルが上昇し、中国の武漢で発見された最初のウイルスと類似するまでになった。ダーバンの同研究所は昨年、オミクロン株に対するワクチンの有効性をテストしている。
新型コロナの病原体が変異を続ける可能性があり、新たに出現する変異株の病原性と死亡の確率が比較的症状の軽いオミクロン株より高くなる恐れがあることが示唆された。この研究はまだ査読を受けておらず、1人の患者から採取したサンプルを使用した実験結果のみに基づく。
「長期感染における新型コロナウイルスの変異は必ずしも弱毒化という結果につながらない可能性が示唆された」と研究者らは24日に発表されたリポートで説明。「将来の変異株の病原性が現在流行しているオミクロン株より強くなる可能性があることを示唆していると考えられる」としている。

■新型コロナ、感染のたびに死亡や疾患リスク上昇か(Forbes、2022.11.18)
https://forbesjapan.com/articles/detail/52018

新型コロナウイルスに感染するたびに、糖尿病や腎臓病、臓器不全、精神疾患といった健康障害の発症リスクが高まる可能性のあることが、米国で実施された研究で明らかになった。新型コロナウイルスに複数回感染しても影響は軽微とする俗説を覆す研究成果だ。
10日に米科学誌ネイチャー・メディシンで発表されたこの研究では、米国の退役軍人向け医療保険制度を通じて治療を受けた約580万人の健康記録を分析した。その結果、新型コロナウイルスに複数回感染した人は、最後の感染から最長6カ月後までの間、肺や心臓、脳、消化器系に影響を及ぼす問題など、多くの健康障害のリスクが高くなっていたことが判明した。
複数回感染した人は、1回だけ感染した人に比べて、死亡する可能性は2倍、入院する可能性は3倍高くなっていた。また、心臓疾患の発症リスクは3倍、肺疾患の発症リスクは3.5倍、脳疾患の発症リスクは1.5倍強上がっていた。
死亡や入院、発症のリスクは、ワクチンを未接種の人でも接種済みの人でも高くなっていた。研究の対象者が感染した変異株には、デルタ株やオミクロン株、オミクロン株の派生型で現在主流となっているBA.5などが含まれる。
論文のシニアオーサーである米セントルイス・ワシントン大学の疫学者ズィヤド・アルアリーは、このところ、新型コロナにかかった人やワクチンを接種した人、とりわけワクチンを接種して感染もした人は「無敵のオーラ」でもあるかのように思われていると苦言を呈する。
そのうえで「わたしたちの研究では、2回目、3回目、4回目と感染を重ねるごとに、健康リスクが高まることがはっきり示された」と強調し、人々に対して引き続き再感染への警戒を怠らないよう呼びかけている。
アルアリーによると、心臓や脳、肺などの疾患に限らず、ほかの健康障害の発症リスクも新型コロナウイルスに感染するたびに高まるようだという。
アルアリーは、何より望ましいのは再感染を避けることだと述べ、そのためにはマスクを着ける、体調を崩したときは外出しない、対象となるブースター接種はすべて受ける、といった対策が役に立つと助言している。

【医学論文】メモ(英文)

●Viral Antigen and Inflammatory Biomarkers in Cerebrospinal Fluid in Patients With COVID-19 Infection and Neurologic Symptoms Compared With Control Participants Without Infection or Neurologic Symptoms
URL》https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2792536

(概要)

新型コロナ感染者の脳脊髄液の89%でRNAでもスパイクタンパク質でもなくウイルスの一部のヌクレオカプシド抗原が検出された。

mRNAワクチンで体内で産生されるのはスパイクタンパク質で、今回新型コロナ感染者の脳脊髄液で検出されたヌクレオカプシドではない。

コロナ感染すると、ヌクレオカプシドが血液脳関門を突破し、脳脊髄液に移行して免疫反応や炎症が起き、症状として生じる。その後も諸症状を残す可能性があることが示唆された。

(ブレインフォグ等の原因?治癒した後も高確率で残留物が検出される。それが他のウイルスと出会って別の症状を引き起こす可能性もあり得る)

感染前の接種および感染後の接種で罹患後症状はより少ない傾向が示されている。未接種の発症では、こうした二次的病態を起こしうるリスクがより濃厚になる可能性がある。

●Coronavirus ‘ghosts’ found lingering in the gut
URL》https://www.nature.com/articles/d41586-022-01280-3

(概要)

Long COVIDの原因は長期残存する体内ウイルスリザーバーが原因か。ウイルスリザーバーの研究が、SARS-CoV-2感染症の病態の本質を明らかにする可能性あり。COVID-19は単なる急性呼吸器感染症ではなく、慢性全身感染症が本質的病態か。

・感染後も数か月以上に渡り、腸管内にウイルス由来抗原(蛋白、RNA)が検出できる
・軽症COVID-19でも、46例中32例で感染7か月後でも腸管組織内にウイルス蛋白が確認できた
・メモリーB細胞が産生する抗体は感染後数か月後も変化し続けており、抗原に長期持続曝露されている事を示唆している(B cell maturation)
・腸管だけでなく、軽症例を含め、心臓、眼球、脳、虫垂、乳房などの各種臓器にもウイルスRNAが証明されている
・ある研究者はマクロファージ内に潜伏感染する形で、全身の臓器にウイルスが存在している可能性を推測
・ウイルスリザーバーの検討はNIHの大規模研究や、患者団体との協力とにより今後進んでいくと期待される

「持続的に存在し続けるウイルス断片がLong COVIDの原因」仮説→ウイルス断片「coronavirus “ghosts”」。

ウイルス断片とLong COVIDとの関連に決着がついたわけではないので注意。簡単な問題ではなく、更なる研究が必要。

※Long COVIDは急性感染後12週を超えて症状が持続する病態と定義されている。これには200以上の症状が関連しており、重症度も軽症から日常生活に影響が出るレベルまでの多岐に渡っている。

■自己免疫疾患患者はコロナワクチン抗体価減、阪大の解析が示唆したこと
https://newswitch.jp/p/35129(ニュースイッチ2022.12.24)

大阪大学の山口勇太大学院生と行木紳一郎大学院生、加藤保宏助教、熊ノ郷淳教授らは、関節リウマチ(RA)や全身性エリテマトーデス(SLE)など自己免疫疾患患者において新型コロナウイルスに対するメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン接種後の免疫動態を解析し、特定の免疫抑制治療でウイルスへの中和抗体価が減弱しやすいことを発見した。患者の特徴に応じたワクチンの投与方針の検討材料になることが期待される。
自己免疫疾患患者が使用する免疫治療は、ワクチンによる免疫反応を減弱させる懸念がかねてあった。そこで研究チームは阪大病院に通院中の患者の血液サンプルを収集し、ワクチン接種前後の新型コロナウイルスに対する中和抗体価の変化などを調べた結果、ステロイドやアバタセプトを使用しているRA患者は中和抗体価のピークが低く、TNF(腫瘍崩壊因子)―α阻害薬を使用するRA患者は長期で見ると中和抗体価が下がりやすい傾向にあることが分かった。こうした治療を行っている患者は、他者に比べてワクチン接種を前倒しすることが望ましいことも示唆された。
成果は米科学誌ランセット・リージョナル・ヘルス・ウェスタンパシフィック電子版に掲載された。

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補足:ワクチン接種の効果に関する医学論文

URL》https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2798990

(概要:COVID-19ワクチン接種率が低い地域ではCOVID-19死や超過死亡が多かった)

URL》https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.08.08.22278547v1

(概要:アメリカ、2021年12月~2022年5月、刑務所入所者11.2万人対象。一晩以上同室=濃厚接触とした場合、濃厚接触者への二次感染リスクは未接種者と比べ、1回以上ワクチン接種者では24%低下、接種回数が増えるごとに12%低下。既感染歴があると二次感染リスクは22%低下。既感染歴とワクチン接種歴の両方があると二次感染リスクは41%低下。ブースターワクチン接種と最近のワクチン接種が感染力をさらに低下させた。結論、ワクチン由来免疫と自然獲得免疫がそれぞれ独立してSARS-CoV-2オミクロン感染リスクを低下させた)

URL》https://www.covid-datascience.com/post/israeli-data-how-can-efficacy-vs-severe-disease-be-strong-when-60-of-hospitalized-are-vaccinated

(概要:「ワクチン接種者のほうが非接種者より重症者数が多い」という指摘があるが、これはシンプソンのパラドックスと言われるもの。論文にて検討のうえ導き出された結論:母数を合わせ、年齢ごとに調整して計算すると、高齢者・70歳以上のブーストなしでの対重症度効果は低いが、ブースターで高い効果を回復。若年層では、ブーストによる効果は非常に高いが、ブーストなしでもワクチン接種の効果は85%以上と非常に高い。となる)

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イベルメクチンについて(ツイッター「新型コロナウイルス_ワクチン情報」2022.12.16)

https://twitter.com/VaccineWatch/status/1603541029881524224
イベルメクチンのCOVID-19に対する効果を調べた臨床試験RCTの結果、高用量(1日あたり600mcg/kgで6日間毎日)でも死亡、入院、回復までの時間で有効性は認められず。
(論文URL)https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.12.15.22283488v1

トルコ麻薬ルートmemo/ペロシ氏台湾訪問/新電力問題

【東西を結ぶ麻薬の道「バルカンルート」 トルコが本格的な対策に乗り出した】
https://globe.asahi.com/article/13578689(朝日新聞GLOBE2020.07.28)

NATO加盟国なのにロシアからミサイル防衛システムを買い、東地中海では天然資源を独自開発。シリアでは複数回の軍事作戦を展開し――欧米からは「単独行動主義」としばしば批判されるトルコ。そんなトルコが長年、他国との連携と協力を重ねてきた分野がある。麻薬犯罪捜査だ。ヨーロッパとアジア、中東とアフリカをつなぐ地理的位置にあり、陸路、海路、空路で様々な人や物が行き交うトルコは、麻薬の重要な中継地点でもある。国際捜査は、新型コロナウイルスで各国の国境が閉ざされた中でも粛々と続けられており、6月末には「共和国史上最大」の作戦が公表された。
■麻薬の道「バルカンルート」
アフガニスタン、パキスタン、イランにまたがる地域は、「黄金の三日月地帯」と呼ばれ、東南アジアの「黄金の三角地帯」と並び称される世界最大の麻薬の生産地だ。この三日月地帯で栽培された大麻や、ケシからつくられるヘロインはトルコを経由して一大消費地ヨーロッパに、主に陸路で運ばれる。トルコ国境からギリシャ、ブルガリアに抜け、バルカン半島を通る「バルカンルート」だ。一方、同じルートを西から東へ、ヨーロッパからは合成麻薬がトルコを通ってアジア、中東に渡っていく。
ここ数年、トルコの年間麻薬犯罪捜査件数は約15万件、国内で押収される麻薬は数十トン。麻薬犯罪の拘束者は年間20万人に上る。普段は地味に、時に大々的に、麻薬関連ニュースはほぼ毎日、新聞紙面の一角を占めている。
■「過去最大級」の捜査 ボス2人逮捕
「トルコ共和国史上、最大の作戦が行われた」。警察を管轄する内務省のソイル大臣は6月30日、誇らしげに語り、大量に積まれた外貨や金塊、骨董品の刀などを報道陣に公開した。円換算で10億円以上。ほかに300近い不動産の権利書や20の高級外車、紙幣計算機なども押収された。
「沼地作戦」と名付けられたこの大規模捜査はトルコの11県で一斉に行われ、マフィアのボス2人を含む約80人が拘束された。協力国はオランダ、ブラジル、エクアドルなど8ヵ国。拘束されたのは1990年代から麻薬の密輸を牛耳っていた犯罪集団で、中にはイスタンブールにある警察の元署長も含まれていた。
逮捕されたボスの一人は、国際刑事警察機構(インターポール)の国際指名手配を受けている男だった。麻薬取引によりブラジルで逮捕され刑務所から逃走。オランダで再び麻薬とマネーロンダリングで逮捕後、約6000万円を支払い保釈されたが、その後トルコに逃げてきた。ビジネスマンを装い、シリア国境近くの街でシリア難民支援団体の会合に参加し、多額の寄付をするなど「善良な市民」を装っていた。
もう一人もトルコやスペインで逮捕・服役歴をもつ。手引きしたイスタンブールの元警察署長が自身の公用車とドライバーをあてがっていた。コロナの感染拡大で都市封鎖措置がとられていた中でも「バルカンルート」でトルコに運ばれた麻薬の売上金をギリシャ・ブルガリア国境の街に受け取りに行くなど、自由に移動していた。
だが、こうした動きはすべて警察が把握。数か月間泳がせ、犯罪網を割り出していた。9ヵ国が連携したこの捜査は、水面下で1年以上続けられていたという。
■PKKの「サプライチェーン」
トルコの麻薬犯罪捜査は、トルコがシリア北部やイラク北部で行っている「対テロ対策」の一環でもある。過去約40年間トルコ軍と戦っているテロ組織「クルド労働者党(PKK)」を支えているのは、麻薬取引で獲得した潤沢な資金だとされているためだ。
インターポールによると、PKKはヨーロッパの違法麻薬取引市場の実に8割を支配している。資金源の9割は麻薬とマネーロンダリングといい、PKKの収入は年々拡大、トルコ警察は年約15億ドルと見積もっている。
PKKが生まれたトルコ南東部は、メソポタミア文明を育んだチグリス川、ユーフラテス川が流れ農業に適した肥沃な大地で覆われている。1978年にPKKが設立された南東部のディヤルバクルとその周辺は、大麻の栽培に最も適した地域とされ、その山がちな地形が捜査当局の発見を難しくしてきた。広大な敷地に背の高いトウモロコシを植え、その内側に見えないように大麻を育てている事例もあるという。
1960年代以降、人手不足を埋めるべく、トルコからヨーロッパに渡った移民の中にはPKKを支持する人もいた。そうした支持者をも利用しながら、PKKはヨーロッパ各地で拠点を拡大、強固なネットワークを築き上げてきた。大陸をまたぐ麻薬の密輸にはマフィア間の協力が欠かせないのだが、PKKは単独で、生産から密輸、売買ができるといういわば強固な「サプライチェーン」を整えた。ディヤルバクル出身のバイバシン一家など、ヨーロッパでも恐れられた麻薬マフィアも少なくない。
ここ数年の捜査強化の背景には、2016年7月のクーデター未遂事件がある。政府転覆を狙った軍の一部による犯行だが、背後にはアメリカ在住のイスラム指導者がいるとされ、「FETO」と呼ばれた信奉者らは、特にトルコの治安機関や司法機関に根を張り、警察の麻薬捜査に関わっていた幹部も多く含まれていた。政府はそうしたグループがPKKともつながり、意図するままに麻薬取引をしていたとみており、その後の麻薬捜査の加速化につながった。
2017年にはベルギーやオーストリアとの共同捜査で、PKKの麻薬ネットワークの要所が寸断されるなど、PKKのサプライチェーンも徐々に弱まっている模様だ。
■若者にじわりと広がる麻薬
トルコは単なる中継地というだけではない。密売人と麻薬が往来する中で、一部はトルコ国内で消費されている現実がある。ヨーロッパから流れてくる合成麻薬は値段が安く、近年、特に若者の間で広がっている。大都市のスラム街では学校近くに密売人がたむろし、登下校中の子供たちを狙うケースもある。
麻薬使用者の低年齢化を危惧したソイル内務大臣はおととし、「学校近くで麻薬密売人を見つけた警察官は、そいつの足をへし折る義務がある」と公言、物議を醸した。野党や弁護士団体は「司法を無視した犯罪の扇動だ」と抗議し同大臣を提訴、大臣は「取り締まる側にとって、それぐらいの意気込みが必要という意味だ」と釈明に追われた。
一大消費地であるEUと比べると、トルコの麻薬使用率は際立って少ない。だが、欧州薬物・薬物依存監視センターの2019年報告書では、トルコでの麻薬使用者の低年齢化(15~34歳)が指摘されており、20歳未満の麻薬による死者はEU平均の約3倍となっている。半数以上は合成麻薬といい、過去、9歳の子供が麻薬乱用で病院に運ばれたケースもあった。内務省は2014年、組織犯罪だけでなく、個人の密売にも焦点を当て、専門家集団による小規模な「麻薬チーム」を作り、若者が集まる場所やスラム街の学校周辺に重点的に配置した。
さらに今年から、麻薬犯罪情報提供に対する報奨金の額を一気に拡大した。組織の中心人物や重要関係者の逮捕につながった場合、最高額で約800万円だ。背後に犯罪組織がある場合が多いヘロインとコカインに関する情報で押収に至った場合、一キログラムあたり最高約100万円、大麻は約25万円。個人の密売情報も報奨金対象とし、発見情報には報奨金一律約4万円が支払われる。
こうした対策は徐々に成果を見せ、2018年以降、麻薬の押収量は増加する一方、死者は減少傾向にある。
■静かな夏の熱い戦い
世界貿易機関(WTO)の予想では、2020年は世界貿易が13%~32%縮小するとされている。コロナの影響で生活が苦しくなり、手っ取り早くお金を得られるとして密輸に手を染めたり、麻薬犯罪組織に取り込まれたりする人が増える可能性が危惧されている。
トルコはコロナ禍で通貨安が進行し、一時は2018年の通貨危機の水準を下回るほどリラ安となった。リラを買い支える原資となる外貨準備もコロナ禍の数か月で急減、経常赤字も常態化しており、外貨を稼ぐ観光業は大打撃を受けている。今月初めにEUが発表した、第三国からの渡航者受け入れリストにはトルコの名前はなく、観光収入での景気回復が期待されるが、苦しい状況が続く。
国連が5月に発表した報告書は、麻薬の密輸・売買を取り締まる各国政府がコロナ対策に手を取られ、犯罪組織が活動しやすい環境になっていると指摘する。
2008年のリーマンショックによる世界的な経済危機では、各国政府が支出削減を強いられ、麻薬犯罪捜査の予算も大幅に縮小した結果、密輸が増えたという。専門家の中には、コロナによる経済不況で、税関職員の給料も減り、汚職がはびこる可能性を指摘する人もいる。
連日35度を超える暑さのトルコのリゾート地は、例年の外国人観光客による賑わいが嘘のように閑散としている。だが、コロナ禍の静かな夏を迎えても、麻薬との戦いはこの夏も熱を帯びている。

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https://twitter.com/dig_nonfiction/status/1557194327402500097

早坂隆@dig_nonfiction(2022.08.10)
終戦直後、ソ連軍の不法侵攻に対し、占守島で実際に戦われた元少年戦車兵の小田英孝さん(94歳)。「占守島ではよくあれだけ戦ったと思いますよ。あそこで日本軍の強さを知ったから、ソ連はそれ以上、手を出せなくなったわけでしょう。戦った意義はあったと思っています」。

●第29回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(経済産業省・資源エネルギー庁、2022.08.09)
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/029.html

注目:
・資料3,カーボンニュートラルやエネルギー安全保障の実現に向けた革新炉開発の技術ロードマップ(骨子案)
・資料5,エネルギー・原子力に関する国内外の動向

●一般送配電事業者9社から最終保障供給約款の変更届出を受理しました(経済産業省・資源エネルギー庁、2022.08.11)
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220810001/20220810001.html

本日、北海道電力ネットワーク株式会社、東北電力ネットワーク株式会社、東京電力パワーグリッド株式会社、中部電力パワーグリッド株式会社、北陸電力送配電株式会社、関西電力送配電株式会社、中国電力ネットワーク株式会社、四国電力送配電株式会社及び九州電力送配電株式会社から電気事業法(昭和39年法律第170号)第20条第1項の規定に基づく最終保障供給約款の変更届出等を受理しました。

(コメント:卸電力市場の取引価格と連動させ、燃料費の高騰時にはこれを反映して料金を引き上げる仕組み。適用は2022年9月から、現状においては大幅な値上げとなるそうです。かねてから新電力の新規受付停止・電力難民の関係で問題となっていた部分でしたが、ひとまず解決というところのようであります)


■ペロシ米国下院議長の台湾訪問/2022.08.02~08.03

外務省>林外務大臣会見記録(2022.08.02)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken24_000131.html

【林外務大臣】ペローシ下院議長の外遊につきまして、日本政府としてコメントする立場にないと考えております。その上で一般論として申し上げますと、我が国としては、米中両国の関係の安定、これは、国際社会にとっても極めて重要であるというふうに考えております。

コメント:非常に細心の注意を要する局面だったと思われますが…上手な立ち居振る舞いをやってのけた、という評価であります。

生前、安倍元首相に訪台の予定が持ち上がっていたという話。安倍元首相であれば、訪台したとしても、各方面の人脈を通じて「大山鳴動して鼠一匹」の範囲に収められたと思うのであります。現在は、安倍元首相が居ない状態で進行している出来事であります。「条件がまったく変わってしまった」という前提があり。

岸田内閣の意思表明として「林外務大臣>日本政府としてコメントする立場にない」、万が一の暴発事件を通じて付け込まれるようなスキを見せなかった、という意味で、国防上、素晴らしいコメントとなったと思います。

図式としては、「死せる安倍、生ける米・中・台を走らす」。安倍元首相は死亡された後も、ガッツリ仕事されているような感じで。この影響度の大きさ、やはり常人ばなれしていると思案…

(お金の流れや、経済動向などを含めて複眼的に思案してみると、「これは、えぐい…」と思われるところ多々であります。なかなか気が抜けないなという流れ。安倍元首相の亡き今、岸田首相には、いっそう頑張って頂きたいと思います)


【新型コロナ2類・5類の指定について、時事ニュース・メモ】

●「強力措置残すべきだ」 コロナ分類引き下げに後藤厚労相
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022072900572&g=soc(2022.07.29時事通信)

後藤茂之厚生労働相は29日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルスの感染症法上の分類見直しについて「感染力の強いBA.5の状況を考えれば、強力な措置の可能性を残しておくべきだ」と述べ、慎重な姿勢を示した。
後藤厚労相は「新型コロナの致死率は季節性インフルエンザより高く、特に高齢者はその差が顕著だ」と指摘。医療提供体制に影響が及ぶ場合は「強力な感染拡大防止策を取れるようにしておくことが必要だ」と強調した。

●新型コロナ「2類相当」見直しへ 第7波収束後、全数把握議論―政府
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022073000311&g=pol(2022.07.30時事通信)

政府は新型コロナウイルスの流行がオミクロン株中心となり、重症化率が低下していることを踏まえ、現在「2類相当」としている新型コロナの感染症法上の位置付けを「第7波」収束後に見直す方向で調整に入った。厳格な対応を緩和することを想定。全感染者の情報を集約する全数把握取りやめの是非などについて検討を進める。政府筋は30日、「2類相当の見直しは不可欠。第7波が落ち着いたら議論を進める」と語った。(後略)

コメント:政府の判断は妥当と思われます。要は、「新たな変異株への厳重な警戒は必要であり、引き続き2類相当の強力な対応を続ける」、「全数把握などの2類相当の医療業務は、医療機関の過大な業務状況を生んでおり、負担軽減となるよう、5類相当へ引き下げ」。軽症者も含む全数把握は、ストップしても良いタイミングだという判断。軽症者については季節性インフルエンザ同等(感染対策をしつつ社会活動の幅を拡大)として、重症者に集中して、医療リソースを振り分けましょう、という流れ。


寡聞にして知らなかったのでありますが、「ワクチン接種者はコロナ感染率が高くなる」という話題があり。ネットでも色々言われている様子であります。

日本のワクチン接種率は80%~90%という事で、ワクチン接種済みの人数が多いからでは?と思案。

変異株はワクチンによる防壁を突破して感染するという報告があるので、感染率「1対1」として考える。すると、パッと見た目では、感染人数はワクチン接種者の方が多い。これを感染率と認識して、騒いでいる状態かと。

要は、小学生の算数の問題ではないか?と思案。

ちなみに、コロナ重症化率はワクチン接種者のほうが有意に低い、という報告がされているところ。

今のところ、沖縄県のワクチン接種率が、全国平均に比べてとても低い状態。ワクチン接種をしていない人数が多い場合の推移を見るという意味では、偶然ながら貴重な事例となっているのかなと思います。

コロナ後遺症のほうは比率はあまり変わらないようですが。ワクチン接種回数(ブースター接種)が増えると、将来的には、長期ダメージ影響度は抑えられる…と、可能性としては言われている模様(※まだ時間経過が浅く、当座の経過観察や予測のみに留まる。ハッキリした報告ではないので注意)


■経済産業省>通商白書2022(2022.07.29公開)
https://twitter.com/meti_NIPPON/status/1552894610980057089

>不確実性を増す世界情勢、日本経済の向かうべき道は?
今知っておきたい、ロシアによるウクライナ侵略の世界経済への影響や、不確実性の高まる世界で加速する4つのトレンドと今後の通商政策の方向性についてまとめました。#通商白書2022

https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2022/whitepaper_2022.html
セクション:第1章 第2節 世界的な供給制約の高まり
よくまとまっていて、非常に参考になりました。
(1頁)サプライチェーンにおける供給制約の関係図=何で色々値上がりしたのか?というのが図解で理解できました。グローバル影響度の大きさに震える…

■内閣府・原子力委員会>令和3年版(2021年版)原子力白書(2022.07.28公開)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/hakusho/index.htm

・2021年6月に具体化された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、高速炉、小型モジュール炉(SMR)、高温ガス炉、核融合に関する目標・工程表を提示。
・2021年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」において、原子力発電について、安全性の確保を大前提に、長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置付け、2030年度における電源構成の見通しでは20~22%程度を見込むと明示。


■半導体連携、台湾有事を念頭 調達多様化目指す 経済版「2プラス2」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022073000235&g=int(2022.07.29時事通信)

日米両政府はワシントンで29日に開いた外務・経済閣僚による「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)で、経済安全保障の観点から重要性が高まっている半導体のサプライチェーン(供給網)構築をめぐり緊密に連携することで一致した。
台湾有事を念頭に、半導体の生産施設が集中する台湾への過度な依存を見直し、自国生産を含めた調達の多様化を図る。半導体の開発加速や増産をもくろむ中国に対抗する構えだ。
(中略)
米国は台湾有事をにらみ、半導体など先端技術に関する新たな対中輸出規制の枠組みを模索する。いざ有事となれば、ウクライナに侵攻したロシアに対して構築した多国間の輸出規制の枠組みを「対中国でも再現したい」(米商務次官)考えだ。経済版2プラス2では人権侵害に悪用されかねない技術の輸出規制も議題に含まれており、関連技術を持つ日本は今後、難しい対応を迫られる可能性もある。

(コメント:もろ、経済安全保障の案件。岸田政権の謎のステルス能力でもって、着々と事が進むだろうと想像。「あれ、いつの間にか…?!」という将来が、今から見えるような)

■台湾を訪れる各国政府関係者とペロシによって窮地に立たされるバイデン
https://kotobukibune.at.webry.info/202207/article_28.html(日比野庵本館ブログ、2022.07.29)

コメント:「台湾有事」関連を取り扱っている記事。ここ数日(2022年7月の後半ごろ)の日・米・台の動きについて、まとめられた内容。

安倍前総理1人の外交パワー=国会議員の一大派閥と同じくらいの外交パワーがあったのかも、と思案

1人分のパイプを失っただけで、これだけ人脈の状況が不安定になるとは、自民党の国会議員たち、どれだけ安倍氏に頼っていたのだろうと想像。安倍氏1人に外交パイプ維持(様々な交渉や調整)の負担を背負わせて、自分たちは楽していた、という状況があった…とかだと、これからの激変する海外情勢の中で、シッカリ国会議員としての仕事を任せられるのかどうか、すごく不安。1人1人が、良い方向に化けることを祈ります


■安倍晋三元首相が中国を翻弄した秘策「狂人理論」/「中国が最も恐れた政治家」が使ったアメとムチ
https://toyokeizai.net/articles/-/606101(2022.07.24東洋経済)

コメント:非常に秀逸な政治評論と感じました。安倍晋三氏という希代の政治家の思考や行動をうかがい知れる記事。

欧米の政治家たちの中国に対する無理解と、中国に扇動されての、ジャパンバッシングの流れ(南京問題、戦争責任、慰安婦問題など)⇒安倍首相は、中国による「邪悪な日本」宣伝キャンペーンに対し、キッチリ反論するという手段をとった

記事より:安倍首相による、欧州政治家の中国理解の不十分さに対するコメント
「欧米諸国の首脳には、習氏に対して理解不足による過大評価をする傾向があります/ドイツのメルケル首相がその筆頭で、『習主席は反腐敗キャンペーンを展開していてクリーンな政治家だ』と、ある国際会議の場で持ち上げて、中国擁護論を展開していました」

実際に見聞きしたからこそのコメントであって、じっくり検討するに値する内容であり、実際にじっくり検討して、対中外交の基本方針を決めて行ったのだろうと思われました。

安倍氏による習近平氏の人物評、および対中外交の基本姿勢の組み立て

「中国共産党が得意な『心理戦』と『世論戦』を始めとする権謀術数に長けている人物だと感じました。あのまま反論しなければ、政治経験が乏しいトランプ氏らはあっさりと習氏に篭絡されていたでしょう。私がいたるところで中国のネガティブキャンペーンを張っていたから、習氏は私のことを強く警戒していたようですが」
「中国は力の信奉者だと思っています。と同時にメンツを非常に重んじる。硬軟織り交ぜた外交が必要です。私は自ら『嫌われ役』を買って出て安全保障分野では中国に圧力をかけつつ、党内の対中強硬派も説得してきた。一方で、二階さんやほかの閣僚には中国側の顔を立ててもらい、経済分野を中心に協力を持ちかけてもらったことが結果としてうまくいったのだと思います」

自民党の親中派議員を組み合わせて、まさに「アメとムチ」戦略で、中国と対峙していったという経緯。国益を重視したプロフェッショナルな是々非々の姿勢を貫いたからこそ、中国も、ロシアも、安倍政権を好敵手と判断し、外交チェスゲームに応じていったのだろうと考えられました。

中国政府当局者による安倍外交の評価

「戦後初めて、対米追随ではなく、独自の戦略を持った外交を打ち出した日本の指導者だと評価しています。小泉純一郎氏ばりのイデオロギー色を発しながら、田中角栄氏のように実利的なアプローチも仕掛けてくる。なかなか手の内が読めずに苦労しました。ある意味で、われわれが最も恐れた日本の政治家でした」

台湾有事に関し、想定されるシナリオのひとつ:
(1)中国公船による台湾海峡の船舶取り締まり。中国海軍による東シナ海一帯での海上封鎖
(2)日本の南西諸島の一部を含めた空域での「飛行禁止区域」の設定
(3)日本や米領グアムの近海への弾道ミサイルの威嚇射撃(※安倍氏は、このシナリオに関し「台湾有事は日本有事である」とコメントしたとのこと)

安倍氏は首相退任後、台湾有事に関し警戒的な発言が増加:その理由

「私に具体的な訪台の計画がない段階から、中国外務省が北京の日本大使に抗議したり、東京の中国大使館幹部が外務省に申し入れたりして右往左往していたそうです。放っておけばいいんです。私が『狂人理論(マッドマン・セオリー)』をやれば、中国も日本を挑発しづらくなるし、外交交渉も優位に立てるから」

…「狂人理論」というのは知りませんでしたが。

中国船や中国戦闘機による日本領海・領空侵犯の多さにもかかわらず、遂に極東有事を起こさせなかった…という歴史的な事実が有り。極東の安定化&安全保障の方面では、強力に、かつ有効に機能したのであろうということが、よく理解できます…

記事の最後の部分

今後の、極東有事の可能性も含めて、東アジア情勢の変化について考える時の重要な要素になると思われました。

(安倍氏は)自他ともに認める対中強硬派だったからこそ、存在自体が中国に対して牽制となった。と同時に経済交渉を進める際に、自民党内や世論の「右派」を説得することができた。
(中略)
岸田政権が安易な対中融和に傾くこともあるかもしれない。そうなれば、足元を見た習近平政権が日本に対して強硬に出てくる可能性がある。抑えが利かなくなった自民党などの右派が対中強硬に一気に傾くことも考えられる。
議員会館の安倍氏の部屋では、何度か岸田文雄首相とニアミスした。外交を中心に安倍氏に助言を求めていたそうだ。2021年9月の自民党総裁選で最終的に岸田氏を支持した理由を問うと、安倍氏はこう答えた。
「外相として4年8カ月の長期にわたって、安倍外交を支えてくれたことを感謝しているからです。自分の手柄にする政治家が多い中で、岸田さんは常に謙虚に懸命に支えてくれました」
「安倍外交の後継者」として、対中外交を含めたかじ取りをしていくのか。岸田氏の真価が問われている。

■技能実習制度、本格見直しへ 政府、有識者会議で議論(共同通信2022.07.29)
https://nordot.app/925581021847126016

古川禎久法相は29日の閣議後記者会見で、外国人技能実習制度の本格的な見直しに乗り出す考えを表明した。実習先で暴行を受けるなど人権侵害が後を絶たないといった問題点を挙げ「制度の趣旨と運用実態が乖離せず、整合する」ことが必要だと強調した。政府は年内にも有識者会議を設け、具体的な制度改正に向けた議論を進める方針。
古川氏は今年2月から勉強会を開き、専門家や外国人支援団体の代表ら10人超から意見聴取。「人づくりによる国際貢献という制度の目的と、人手不足を補う労働力として扱う実態が乖離している」と指摘されたという。会見で「長年の課題を歴史的決着に導きたい」とした。

■技能実習生、過半数が来日前に借金 平均54万円、入管庁が初調査
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022072600646&g=soc(2022.07.26時事通信)

出入国在留管理庁は26日、外国人技能実習生が来日するために支払う費用負担に関する初の実態調査の結果を公表した。それによると、来日前に出身国で借金をした実習生の割合は54.7%に上り、平均額は54万7788円だった。
技能実習制度をめぐっては、実習生が出身国の送り出し機関などに「手数料」や「保証金」を支払うため多額の借金を負い、それが日本国内での失踪や不法就労につながっていると指摘されている。
調査は入管庁と「外国人技能実習機構」が昨年12月10日から今年4月末にかけて実習制度の運用状況を検査した際に併せて実施。2184人から有効な回答を得た。
来日前に借金をしているかどうか尋ねた質問には2107人が答え、このうち54.7%に当たる1152人が「はい」、残り955人が「いいえ」だった。借金の平均額を国籍別に見ると、ベトナムが67万4480円で最多。カンボジアの56万6889円、中国の52万8847円が続いた。
来日前に送り出し機関か仲介業者、またはその両方に対して支払った金額については1369人が答えた。平均は54万2311円。国籍別の上位三つはベトナム68万8143円、中国59万1777円、カンボジア57万3607円だった。入管庁はベトナムに関し、「不当に高額な手数料を徴収する送り出し機関などがある」と分析している。
日本にいる外国人技能実習生は昨年末時点で27万6123人。古川禎久法相は制度の見直しを検討する内部の勉強会を設置しており、有識者との意見交換を踏まえた論点整理を月内にも公表する。入管庁はその後の議論を進めるに当たり、調査結果を活用する考えだ。

■5類見直し秋にも議論。政府「見直しに向けた議論に着手したい」/ネット「即実施でも即検討でもなく、秋から議論。しかも「したい」って何?」「岸田:秋から検討するかも」
http://totalnewsjp.com/2022/07/24/covid19-530/

現在、コロナは感染症法上、危険度が上から2番目に高い「2類」相当の扱いだ。受診できるのが指定医療機関などに限られ、保健所や指定医療機関には大きな負担がかかる。これが「5類」相当に引き下げられると、季節性インフルエンザのように一般の医療機関でも対応が可能になる。