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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

詩歌鑑賞:西脇順三郎(エピック)

「エピック」/西脇順三郎(部分抜粋)

・・・・・・
彼らに近づくには
困難な階段を登らなければ
ならない
脳髄は時間と空間を征服する
悪魔の笛の饗宴に
われわれは燕尾服を着た
栗と鶉(うずら)の間をさまよう色の
ネクタイをしめている
・・・・・・
外界と内界が
せせらぎの渦巻のように
混合する
やがてそれがかたまって
アメスィストのように光る
その宝石で舌が切れるまで
それをなめながら
この重い光明と暗黒の世界を
担いで歩く
人間が考えられない
オブジェを発見するのだ
・・・・・・
すべて内面だ
すべて外面だ
内面は外面だ
外面は内面だ
螺旋だけが残る
・・・・・・
ススキの生えた
外面の世界をのぼつて行く
内面はアマラントの影だ
・・・・・・
あの家の前にある
小さい庭は
一万年前の夢だ
永遠は回転しない
時間のロクロは
空間で廻るだけだ
・・・・・・
もめんづるのからむ
藪の路を
青ざめた人間が
通る
人間は果しないものへ
流れて
行く
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