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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

twitter覚書:震災後の漫画

喜多野土竜先生に聞いた震災後の漫画について《http://togetter.com/li/114406》

東北地方太平洋沖地震が人々に与えた影響は大きい。それが今後の漫画の表現にどう影響してくるかを喜多野土竜先生に聞いてみた。日本敗戦~の興味深い考察。初めてとぅぎゃりましたのでご指摘ご指導ありましたらお願いします。

@mogura2001 突然失礼いたします。喜多野先生のご意見をお聞きしてみたいと思い、つぶやきをお送りする次第です。先程竹熊先生が森川嘉一郎先生のつぶやきをRTなさっていましたが、喜多野先生はこの震災を機に漫画の表現(物語や人間の描き方)がどのように変化していくとお考えですか?shown_file 2011-03-21 14:22:30

@mogura2001 私は、日常の癒しになるものと、社会性のあるシリアスな漫画の二極化が進み、内面的な物を描くフィクションが減る、受け入れられなくなるのではないかと考えています。shown_file 2011-03-21 14:23:59

@mogura2001 自分の考えは浅薄なものであるのは承知しております。お時間のある時で良いので、是非先生のお考えを聞かせて頂きたいです。shown_file 2011-03-21 14:25:43

@shown_file 例えば、日本は敗戦のトラウマを抱えて、それらが作品に反映されました。『宇宙戦艦ヤマト』は、日本が枢軸国ではなく連合国に参加し、ナチスのメタファーである敵を倒す、という捻れた内容でした。これに反発した富野由悠季監督や安彦良和氏は、機動戦士ガンダムを作ります。mogura2001 2011-03-21 14:39:46

@shown_file ガンダムも、コロニーの自治=植民地化された東亜開放、というメタファーです。ミノフスキー粒子による大艦巨砲主義の崩壊と、モビルスーツによる機動力を生かした戦いというのは、真珠湾攻撃以降の空母をベースとした航空機機動戦力時代のメタファー。ザクは零戦なのです。mogura2001 2011-03-21 14:43:38

@shown_file ジオン・ズム・ダイクンが唱えた、認識力が高まった人類(ニュータイプ)による共存というのは、実は八紘一宇です。ガンダムは企画段階ではガンボーイという名称でしたが、銃=アメリカのメタファー。ガンダムの配色が赤・黄・青・白なのはスーパーマンの服と同じ星条旗の色。mogura2001 2011-03-21 14:48:52

@shown_file ところがヤマトの批判として意図されたガンダムも、捻れが生まれます。アムロも企画段階ではアムロ嶺だったように、日系が多いホワイトベースのクルーが、鎧武者をモチーフにしたガンダムで、枢軸国と戦うという、ヤマトと同じモチーフが入り込みます。自虐と愛国心の捻れ。mogura2001 2011-03-21 14:53:43

@shown_file ガンダムでは、ジオンの理念は正しかったが、それをザビ家が歪めた…という態を取ります。では、その理念はどこに? キャスバル兄さんが受け継ぎます。彼のイメージカラーが赤なのは偶然ではなく、日の丸の赤。ガンダムが星条旗カラーなのに呼応しています。mogura2001 2011-03-21 15:00:05

@shown_file このような捩れの結果、ヤマトの反発から生まれたはずのガンダムは、核兵器を肯定できないという日本人の感情に逆らえなくなります。アメリカの『戦争を終わらすには原爆は有効だった』という論理は認めがたい。その結果、ガンダム世界ではジオン側が核兵器を使うことに。mogura2001 2011-03-21 15:04:29

@shown_file ソーラーレイは、巨大ですがただのレーザー光線なのに、アムロが「憎しみの光」と過剰反応するのは、それが原爆のメタファーだからです。枢軸国が原爆を使うという捻れた発想の原点は、たぶん波動砲が影響してるのでしょう。波動砲も核兵器と同じ、絶対的切り札ですから。mogura2001 2011-03-21 15:09:41

@shown_file そうやって、ヤマトへの反発から生まれたガンダムも、敗戦のトラウマを解消はできなかったため、ゼータが生まれます。連邦軍=連合国が勝利した後の、戦後世界の秩序の枠組みに対する異議申し立て、ですね。ハッキリ言えば、アメリカが主導する戦後秩序への反発。mogura2001 2011-03-21 15:13:20

@shown_file ゼータガンダムが星条旗カラーから変化したのも当然ですね。もっともゼータでも「理念は正しかったが、それを歪めてしまった悪人がいた」というプロットが繰り返されます。連合国が発展した国連は気に食わないが、国連中心主義しか選択肢はない以上、常任理事国に文句を言う。mogura2001 2011-03-21 15:17:37

@shown_file 事ほど左様に、敗戦のトラウマは大きなものです。それはアメリカも同じで、ベトナム戦争は本土が無差別爆撃で蹂躙されたわけでもない、形の上では勝ちはしなかったが負けてもいないのに、深い敗北感を残します。さらにこれに、ウォーターゲート事件が追い討ちをかけます。mogura2001 2011-03-21 15:21:03

@shown_file こうしてアメリカではベトナム戦争物と呼ばれるジャンルが生まれます。『地獄の黙示録』カラーから『ランボー』に『プラトーン』などなど。しかし、最大のベトナム戦争物映画と言えば、実は『スターウォーズ』でしょう。あれはSF娯楽大作ではないかと思われるでしょうが。mogura2001 2011-03-21 15:24:47

@shown_file 『ランボー怒りの脱出』のノベライズ版は、第一作の原作者であるデイビッド・マレルが執筆しています。その中で、仲間をヘリに載せて脱出するランボーがベトナムの捕虜兵に、おまえらアメリカに帰ったらスターウォーズを観ろビックリするぜと語るシーンがあります。mogura2001 2011-03-21 15:27:44

@shown_file そこでランボーは忽然と気づきます。スターウォーズは、負けたベトナム戦争のやり直しだったと。悪の帝国に正義の民主主義勢力が勝ち、戦場で失った腕も完璧に復元されたら、自分達ベトナム帰還兵はどんなに救われた事だろう、と。実はヤマトやガンダムと同じ構造です。mogura2001 2011-03-21 15:30:31

@shown_file ガンダムが鎧武者のイメージでありながら、西洋風の盾とM16をモチーフとしたビームライフルを持つように、ルークは東洋のイメージを濃厚にまとっていますね。ルーカス監督が黒澤明のファンというだけでなく、己が敗れた相手の文化を取り込むというのは、よくある現象です。mogura2001 2011-03-21 15:34:44

@shown_file 9.11テロは、そういう意味ではもうひとつのエポックでもありました。直接的にあのテロを描いた作品も多々ありますが、あの事件によってアメリカ人もようやく、ゴジラという作品が持つ意味を理解できたのではないでしょうか。夜に上陸するゴジラは夜間空襲のメタファー。mogura2001 2011-03-21 15:38:11

@shown_file 『クローバーフィールド』という作品が、エメリッヒ版ゴジラとは全く異なる表現を見せたのも、9.11テロの影響でしょう。そして、9.11テロ物と言える作品の決定版が、実は『スーパーマン・リターンズ』です。一見関係内容に思えるジャンルに、本質が宿るのでしょう。mogura2001 2011-03-21 15:43:15

@shown_file ガンダムと同じ星条旗カラーに身を包むスーパーマンは、アメリカの象徴。スーパーマンの原作者はユダヤ系で、スーパーマン自体のモチーフが川に流されたモーセを下敷きにしています。クリストファー・リーブ版では時間を逆行させたように、神のメタファーでもあります。mogura2001 2011-03-21 15:46:55

@shown_file 『リターンズ』では、スーパーマンが9.11テロを救ってくれなかったのは、クリプトン星に帰っていたから…という理由がついています(劇場版ウルトラマンでも、なぜ阪神淡路大震災でウルトラマンが助けてくれなかったかという理由の説明という形で試みられていますね)。mogura2001 2011-03-21 15:57:35

@shown_file リターンズでは、レックス・ルーサーがクリプトナイトを使って新しい国土を作ろうとするのを、スーパーマンが阻止するという内容ですが、これはアメリカの拡大主義への批判でしょうか。預言者は故郷で容れられないように、クリプトナイトで力を失ったスーパーマンは敗れます。mogura2001 2011-03-21 16:01:00

@shown_file その敗れかたが、脇腹をクリプトナイトで刺されて致命傷を負うという、キリストの磔刑がモチーフ。実際、宇宙から墜落するスーパーマンは両手を広げて十字架にかけられたよう。死の淵を彷徨い復活するというのも、キリストの死と復活というモチーフに沿っています。mogura2001 2011-03-21 16:05:38

@shown_file さて、長々と書いてきましたが、ここからが本論。日本は敗戦によって自虐の渦に飲み込まれましたが、同時に対抗運動も起きるわけで。戦前の日本を否定しようとすると、ヤマトやガンダムのような捩れが起きる。ベトナム戦争の敗戦を受け止めたはずのアメリカでも、状況は同じ。mogura2001 2011-03-21 16:22:36

@shown_file 先日のライムスター宇多丸ウィークエンドシャッフルで佐々木中氏が危惧していましたが、大規模災害が起きると内部的な団結が高まるが、その反動もセットで起きる、と。半藤一利氏が言うように、日本人の心を一尺掘ると、尊王攘夷が噴き出す訳で。日本人凄いはそこに同伴する。mogura2001 2011-03-21 16:29:34

@shown_file スーパーマンリターンズでは、アメリカの拡大主義への批判と同時に、キリスト教への回帰が同伴していたように、何かの経験がより高いステップに繋がるかと言えば、逆に反動で後退することもあるのが、人間の不思議です。竹熊さんは、変化の先を想定しているようですが。mogura2001 2011-03-21 16:33:03

@shown_file 日本では近代化の過程で平田神道のようなオカルトが大きな力を持った。王権神授説を否定したフランス革命は旧来の神を否定しながら理性神を祀る祭壇を築き、無神論を唱えながらもマルクスの思想はユダヤ教とキリスト教に濃厚な千年王国思想の影響を強く受けたものでした。mogura2001 2011-03-21 16:51:54

@shown_file マックスウェーバーは、資本主義という近代的な経済が、プロテスタントの禁欲主義が生み出したという逆説を考察しました。他にも事例はありますが、近代と反近代、合理性とオカルト、前進と後退はセットで起こります(時差はありますが)。佐々木中氏が懸念するのは、そこ。mogura2001 2011-03-21 16:54:19

@shown_file 漫画で癒しとかが増えるとかシリアスが持て囃されるとかは、あったとしても表層的な事でしょう。スターウォーズは娯楽作品ですが、ベトナム戦争での兵士達のシリアスな思いを救済する側面があったように。ただ、そうやって癒されたアメリカは、ブッシュ政権で戦争の泥沼に。mogura2001 2011-03-21 16:57:49

@shown_file 曲解されることを覚悟で言えば、大震災で復興特需が起きて経済が浮上するにではないかという、当事者ではない人間の無責任な、やましい期待感が反映された作品が生まれるでしょう。時代の閉塞感に打ちのめされ、戦争でも起こればいいと口走るのも若者が出現したように。mogura2001 2011-03-21 17:02:40

@shown_file 戦争が起きれば社会秩序がひっくり返り、自分のこの惨めな状態が変わるというのは、実はユダヤ教やキリスト教、その直系子孫である共産主義の革命思想の核でもあるのですが、人類に共通の発想のようです。実際は、戦争が起きて皇帝になれるのは一人で、後は雑兵として消える。mogura2001 2011-03-21 17:07:48

@shown_file 三国志の曹操は乱世の奸雄と評されましたが、同時に治世の能臣でもあったわけで。治世の能臣にもなれない人間が、乱世の奸雄になれる可能性は、ゼロではないでしょうけれど、宝くじに当たるより、東大に合格するより難しそうです。でも、そこを煽る作品が生まれるでしょう。mogura2001 2011-03-21 17:12:49

@shown_file 現在ですら「ひょっとしたらキミにも世界でひとつだけの花が眠ってるかもしれないよ?」式の、読者甘やかし作品が氾濫しています(自分はハリポタハリボテ漫画と呼んでいますが)。これに加えて「日本人すごい」式の、今回の教訓が加味されるでしょう。その先には尊王攘夷。mogura2001 2011-03-21 17:17:24

@shown_file 自分にネトウヨとかレッテルを貼りたい人には意外かもしれませんが、自分はそっちを危惧します。内面的な物を描く・描かないは表層的なことで、そこにキミは凄い・日本人は凄い式の、読者甘やかし要素があるかどうかではないですかね。たぶん、ゾロゾロ出てきます。mogura2001 2011-03-21 17:23:23

@shown_file 己を世界の中心の華と自尊する事は、周辺は文明化されていない野蛮国だという意識と表裏一体です。日本人は素晴らしいは、容易に日本人「だけ」は素晴らしいにすり替えられます。竹熊さん達が想定するのは表現のリアリティの話であり、自分の震災後の表現とは違うでしょう。mogura2001 2011-03-21 17:27:02

@shown_file 右翼的と批判されたヤマトへの批判として生まれたガンダムも、核兵器を肯定することはできませんでしたし、植民地開放の理念を否定できませんでした。当然です。軍部には侵略の口実と批判できても、終戦後も東南アジア各地に残り植民地独立の為に戦った兵士は否定できません。mogura2001 2011-03-21 17:35:50

@shown_file そのような捩れは、どんな作品にも混入します。自分の作品でも。ただ、こういう警句を発する事で、感情的な排外主義(先日批判した韓国に援助なんかするなという意見)に対して、多少の歯止めにはなるかも。原発の危険性を訴えるにAERAのような態度が却って有害なように。mogura2001 2011-03-21 17:40:03

@shown_file Twitterの文字制限の中では上手く説明できませんが、自分の視点はこんなところです。とりあえず、島田英二郎モーニング編集長の動きには、逆説的な意味で気をつけたいかな、と(爆笑)。mogura2001 2011-03-21 17:43:01

@shown_file 多少なりとも参考になったなら嬉しいですが、あくまでも自分の見方ですので、批判的精神を忘れず、悪影響を受けないよう気をつけてください。 では仕事に戻りますm(_ _)m mogura2001 2011-03-21 17:47:10

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