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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

私製詩歌「神無月叙情」

秋風は もみずる袖をひるがえし
梢に 陽差し斜めなり

澄み明らかなり 青き空
雲無き真昼の青空よ
果てなき空のわだつみよ

紺碧の 遥けき天(あめ)の彼方より
光は黄金(きん)と零(こぼ)れ落ち
木の葉と共に舞い降りる

…いよいよ冷たく冴ゆる季節(とき)…
白き風なり 白き風!
誰が袖ふれし 風の色!

冬近き 緑は黄金(きん)を照り返し
さらさらさやぎ しきりに揺すれ

…たまゆらの あやしき歌を 織り成しぬ…

冬を貫く 常盤(ときわ)の緑
寂静の緑の焔の 不動の悲しみ

重き荷を背負いて 傷ついて
それでも見上ぐ 《無限》の底を

…紺碧の空に白き風神…

秋風は もみずる袖をひるがえし
木の葉に 陽差し斜めなり

梢の先に 風が鳴る 風が鳴る――

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