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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

人体の血液と大量出血に関する知識メモ

◆人体の全血液量=体重×8%(男)、体重×7%(女)

75kg体重男性の場合、およそ6000mL
55kg体重女性の場合、およそ4000mL
※7~8歳くらいの子供:平均体重26kgの場合、およそ2000mL

『体重(kg)×1/13=循環血液量(kg)』とする計算パターンもあるらしい
(単位換算:1kg=1L=1000mL)。単に語句の違い?

◆全血液量の20%以上の血液が失われるとショック症状が現れるようになる
――皮膚蒼白、冷汗、脈が弱く早くなる、虚脱、呼吸不全

75kg体重成人男性の場合、1200mL~危機状態に
55kg体重成人女性の場合、 800mL~危機状態に
※7~8歳くらいの子供:平均体重26kgの場合、400mL~危機状態に

◆失血死=全血液量の50%以上の血液が失われると死亡する

75kg体重成人男性の場合、3000mL~死亡
55kg体重成人女性の場合、2000mL~死亡
※7~8歳くらいの子供:平均体重26kgの場合、1000mL~死亡

◆妊産婦の死亡原因1位「産科危機的出血」
――定義:1500mL~2000mL超、失血死ラインを超える大量出血のことをいう
――発生頻度(統計&推測):分娩300例に1例/年間15万人が死亡

帝王切開手術で見込まれる出血量 ⇒ 1500mL~2300mL

※10000mL超~大量出血の事例あり(癒着胎盤&帝王切開)
輸血により、妊婦本人の血液は、ほぼ他人の血液に置き換わった……という話。

★外科系の輸血の考え方

500mL超~の出血が見込まれる時に輸血が検討される/手術後の入院療養の期間も、体内で内出血が続いていることを考慮に入れる
――500mL超~600mL以内におさまる出血 ⇒ 輸液(※Hb値6~あたりを輸血適応と考える)

800mL超~出血性ショック状態(救急では、脈拍数120超、収縮期血圧90mmHgを下回ると、危険と判断)
――600mL超~1200mLの出血 ⇒ 赤血球製剤

1200mL~2000mL超(~出血性ショック死)
――1200mL超の出血 ⇒ 全血と赤血球製剤の併用(※)

(※)理論的には「RCC(濃厚赤血球)」と「FFP(新鮮凍結血漿)」の併用が望ましいとの意見がある。自己の物とは異なる血液が大量に入ると、GVHD(graft-versus-host disease:移植片対宿主病)=白血球が輸血成分を異物と認識し攻撃するという拒絶反応が起きやすいため。現在、手術に際しては「自己血輸血」という方法が多く用いられている。

★「備蓄医療機関」(2019年4月に廃止)

――血液センターから緊急輸送で原則60分を超える地域で、一定の輸血用血液製剤を保管・管理している医療機関。様々な要件により、血液センターからの直接供給や備蓄医療機関での対応が困難な場合は、供給業務の一部を業者へ委託している。

配送業務のみを委託する配送委託と、血液製剤の出庫から配送業務までを委託する供給委託がある。

⇒血液製剤を製造販売する日本赤十字社(東京)が『医薬品販売業の許可を受けた者以外の販売や貯蔵などを禁じる医薬品医療機器法との整合性に疑義がある』と判断したため、廃止された。

血液製剤の有効期間が短く、緊急に必要になることから、交通の不便な地域では1960年代から地域の事情に合わせた変則的な「備蓄医療機関」が定着していた。こうした離島や僻地への安定供給を考慮していた従来の変則的な備蓄対応は、法的にはグレー領域。場合によっては法令違反を指摘される可能性もあるとのこと。今後、献血の意義と価値は、いっそう高まることが確実。

◆月経における出血量&鉄欠乏性貧血

健康かつ正常に留まる範囲の出血量=20mL~140mLくらい/体内の鉄吸収&造血機能で追いつくため。

過多月経の出血量=150mL超~
――過多月経にともなう急激な大量出血は、急激な血圧低下につながりやすい。その度合いによっては充分に体調悪化(皮膚蒼白、過呼吸)~失神レベルまでいく。輸血が必要になった事例もある。

(重度の人だと、出血ピーク時、500mLペットボトル分くらいの血液が一気に流出したように見えるそうです。この出血量を多いと感じるか少ないと感じるかは個人差があるでしょうが、もし腹部をナイフで刺されて、この量が急激に出血していたら、間違いなく「自力で立っていられなくなって、崩れ落ちるように倒れる」かも知れません)

鉄欠乏性貧血の診断(ヘモグロビン:Hb値で診断)
――成人男性:正常値13.0~16.6 ⇒ 12.0注意
――成人女性:正常値11.4~14.6 ⇒ 11.0注意

過多月経が改善しないまま半年~1年ほど継続すると、Hb値7~8を下回るようになる。肝臓などにある体内貯蔵鉄が枯渇、1ヶ月あたりHb値が1低下するスピードで鉄分が失われてゆく。

主な症状
・Hb値7~頭痛、耳鳴り、眩暈、心雑音(心臓に無理が来ている状態)
・Hb値6~心不全症状、動悸、息切れ、筋力低下、集中力低下

身体が徐々に鉄欠乏性貧血に慣れてしまった場合、Hb値4~5になっても、割と動けるケースがある。
※充分に生命の危機に近いレベルのようです。朦朧として動けない状態になっていても不思議ではない数字であり、実際に動けなくなった人も居るとの報告あり。
※高山の薄い空気に順応するのと似たようなメカニズム?(酸素濃度=平地の30%くらい?)

過多月経~重度の貧血で搬送された事例

・Hb値5.7……過多月経による大量出血、血圧の急低下、プレショック状態(代償機構は有効)で搬送、輸血により生存
・Hb値1.3……長期の鉄欠乏性貧血による慣れがあり自覚症状は弱かった → 過多月経による大量出血、呼吸困難で搬送、輸血により生存
・Hb値0.9……搬送されたと思しき記録はある(計測値が存在する)が、生存したかどうかの記載はない


◆「備蓄医療機関」に関する参照記事(電子版の記事は時間が経つと消えていることがあるので、保存)

西日本新聞 2019/7/22 11:00 医療面★https://www.nishinippon.co.jp/item/n/528797/

「出産時にリスク」 懸念の声 輸血用血液製剤 中核病院での備蓄制度廃止 九州の診療所 輸血まで長時間も 日赤「安定供給に尽力」

大量出血などで輸血が必要になったときのため、輸血用血液製剤を中核病院で備蓄し、周辺の診療所などに譲渡する制度が4月、廃止された。血液製剤を製造販売する日本赤十字社(東京)が「医薬品販売業の許可を受けた者以外の販売や貯蔵などを禁じる医薬品医療機器法との整合性に疑義がある」と判断したからだ。離島やへき地の多い九州では、輸血の必要性が高い産科などで制度に頼ってきており「出産のリスクが高まる」と懸念の声も上がっている。

血液製剤は献血から作られ、成分によって「赤血球製剤」(有効期間採血後21日間、1万7726円)、「血漿けっしょう製剤」(同1年間、1万7912円)などがある。日赤によると、有効期間が短く、緊急に必要になることから、交通の不便な地域で少なくとも1960年代からこの備蓄医療機関制度が「イレギュラーな運用」として定着していた。

日赤によると、昨年6月時点で全国21県の59機関(うち九州・沖縄は全8県の25機関)が備蓄。大分、長崎各6▽熊本4▽佐賀3▽宮崎、沖縄各2▽福岡、鹿児島各1と、離島やへき地が多い県に集中していた。

日赤は昨年6月から制度廃止を周知し、今年4月に廃止。九州では現在、日赤の供給施設(各県1~3カ所)の血液センターなどから直接配送している。法令違反の恐れに加え「医療機関の役割分担も進み、貴重な献血を有効活用したい」とする。

特に需要が大きかったのは、妊産婦の死因1位の「産科危機的出血」。妊産婦300人に約1人の頻度で起こり、緊急輸血や高度施設への搬送が必要となる。

ところが、制度廃止で輸血までの時間が延びる地域がある。年間約900件の出産がある熊本県人吉・球磨地区では、JCHO人吉医療センター(人吉市)が備蓄していた。同市の愛甲産婦人科麻酔科医院では2018年は出産436件中1件、17年は同504件中9件で輸血が行われ、大半は備蓄分が使われた。これまで、医療センターから運ぶと30分以内で輸血できたが、熊本市からの配送を待つと1時間以上かかる。

有効期間が短い製剤を購入して常備するのは経営的にも厳しく、愛甲啓院長(41)は「輸血は生命線。リスクが大きくなると、地方で産科をやめる所も出るかもしれない」と懸念。医療センター産婦人科の大竹秀幸部長(55)も「助かる命は確実に助ける体制が必要」と訴える。

大分県日田市の宮原レディースクリニックは17、18年の2年で出産が計859件あり、輸血は10件。済生会日田病院の備蓄のおかげで約30分で輸血できたが、大分市から運ぶと2時間近く、最寄りの福岡県久留米市からでも1時間はかかるという。宮原英二院長(63)は「夜間や休日のリスクが上がる」と危ぶむ。

日赤は配送回数を倍以上に増やし、臨時配送体制も整備。「これまで廃止に伴う大きな問題はなく、患者への影響が出たという報告もない」とし「安定供給に努め、懸念を払拭ふっしょくできるように説明していきたい」としている。
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