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制作日誌/深森の帝國

〝認識が言語を予感するように、言語は認識を想起する〟・・・ヘルダーリン(ドイツ詩人)

鑑賞:世界夫人

原詩ヘルマン・ヘッセ,植村敏夫訳/作曲・編曲 Pantax's World

世界は がらくたの中に横たわり
かつてはとても愛していたのに
今 僕等にとって死神はもはや
それほど恐ろしくはないさ

さようなら世界夫人よ さあまた
若くつやつやと身を飾れ
僕等は君の泣き声と君の笑い声には
もう飽きた

世界は僕らに愛と涙を
絶えまなく与え続けてくれた
でも僕等は君の魔法には
もう夢など持っちゃいない

さようなら世界夫人よ さあまた
若くつやつやと身を飾れ
僕等は君の泣き声と君の笑い声には
もう飽きた
コメントメモ=アムゼルさま
「頭脳警察」というのは1970年前後にいわゆる「新左翼」系学生大衆に非常に人気のあったロックバンドです。当時の共産同赤軍派のマニュフェストをアジ演説調に叫んだり、風俗関連の俗語をとりいれたりと過激な歌詞で人気を集めました。そのなかでは『さようなら世界夫人よ』は異色でヘッセの詩をもちいた素敵なバラードでした。ぜひ聞いていただきたいのですがねえ・・・風潮は左に大きくぶれていたような時代でしたが、実はわたしのような右も左も区別せず好きなものは好きというノンポリが学生や高校生の大部分だったのです。特にロックのようなサブカルチャーは政治的メッセージの部分はすぐに色あせて、この歌のようなポエジーのあるものだけが心に残るのですねえ。
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